【連載】安斎育郎のウクライナ情報

2月13日のウクライナ情報

安斎育郎

❶ 米、欧州諸国に兵器購入拡大求める計画 ウクライナ向け=関係筋(ロイター、2025年2月11日)

[10日 ロイター] – トランプ米政権は欧州の同盟国に対し、ウクライナ向けに米国製兵器の購入を増やすよう求める計画だと、事情に詳しい関係者2人が明らかにした。
ウクライナ・ロシア担当特使を務めるキース・ケロッグ氏を含む米政府当局者が今週開催されるミュンヘン安全保障会議で、欧州の同盟国と兵器購入の可能性について協議するという。
この計画が正式になれば、トランプ氏が追加支援を阻止する可能性を懸念するウクライナ指導部に幾分の安心感を与えることになるだろう。
関係者によると、これは米国が多額の資本を費やすことなくウクライナへの兵器供与を継続するため政権が検討している案の一つという。
ケロッグ氏は10日のロイターとのインタビューで、この計画を確認することは避けたが、「われわれは常に米国製の兵器を販売したい。経済の強化につながるからだ」と語った。
「選択肢はたくさんある。今、あらゆることが検討されている」とも述べ、バイデン前大統領が以前に承認した兵器が引き続きウクライナに提供されていると指摘。
「今後24時間で、これと違うことをする必要は必ずしもない」と語った。
米国が欧州諸国に商業契約を通じて米国製兵器を購入するよう要請するのか、それとも米国の備
蓄から直接購入するよう求めるのかは明らかではない。商業契約は完了までに何年もかかる場合がある。

https://news.yahoo.co.jp/articles/62c40af3f73ad4aeb021399c37ce710b6b9d380a/images/000

❷ウクライナ大統領、鉱物巡る米との「ディール」に前向き姿勢(2025年2月10日)

[キーウ 7日 ロイター] – ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、トランプ米大統領が軍事支
援継続の条件としてレアアース(希土類)など重要な鉱物資源の供給を求めたことを受け、協議に前向きな姿勢を示した。
ロイターのインタビューで「取引(ディール)について話しているのであれば、取引をしよう。賛成だ」と発言。かつては機密扱いだったレアアースなどの広大な鉱床の地図を広げた。
その上で、いかなる合意にも同盟国による安全保障が必要になると強調した。
ウクライナとロシアの戦争の早期終結を求めるトランプ氏は3日、米国の支援に対してウクライナからの「応分の見返り」を望んでいると表明。レアアースなどの提供についてウクライナと取引をしたいと考えていると述べていた。
ゼレンスキー氏は、レアアース鉱床の約半分を含むウクライナの鉱物資源の20%弱がロシアの掌握地域にあるとし、「プーチン(ロシア大統領)を阻止し、ウクライナ中部の非常に豊かなドニプロ(ドニエプル)地方を守る必要がある」と述べた。
また、資源を「手放す」のではなく、共同で開発する互恵的なパートナーシップを提案していると強調した。
米国の液化天然ガス(LNG)を貯蔵するためにウクライナの広大な地下ガス貯蔵施設を利用する案をホワイトハウスと協議していることも明らかにした。
「トランプ政権がこれに非常に関心を持っていることは分かっている。われわれにはウクライナへのLNG供給契約を結ぶ準備と意志がある。欧州全体の拠点となるだろう」と語った。
ゼレンスキー氏は、プーチン氏よりも前に自身がトランプ氏と直接会談することが重要だとも述べ、「そうでなければ、ウクライナ抜きでのウクライナに関する協議のようになる」と指摘した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1e2d69e5fac10c284a3befdd29470b04ce780292/images/000

❸ポーランドはもう疲れた…ウクライナへの軍事支援、反対派が「意外な世代」で増えている(ニューズウィーク、2025年2月11日)

間もなく4年目に突入するウクライナ戦争をめぐり、軍事・財政面でウクライナを強力に支えてきたポーランドの世論に変化が生じている。
昨年 11~12 月に同国で実施された世論調査によれば、ウクライナへの軍事支援に反対する人の
割合は、1年前の26%から35%に増加。逆に支持する人は5ポイント減の49%だった。
また、特に若い世代を中心に、ウクライナ人への否定的な感情も強まっている。45歳以上では肯定的な感情を持つ人が否定的な感情を持つ人を依然として上回っているが、若年層では否定派が
37%に達し、肯定派は16%にとどまっている。
35%:ウクライナへの軍事支援に反対するポーランド人の割合
37%:ウクライナ人に否定的な感情を持つ若年層の割合
16%」ウクライナ人に肯定的な感情を持つ若年層の割合

https://news.yahoo.co.jp/articles/59987cb6e8c4f4fdced413b8e48f9409a396b3b0/images/000

❹ラブロフ外相、ウクライナ交渉に前向き ただし「国益は確保されなければならない」(2025年2月11日)

ロシアにおける外交官の日を記念した式典で、ラブロフ外相は、ロシアの正当な国益が確保されるのであれば、ウクライナを巡る交渉に応じる用意があると表明した。
ラブロフ外相は「プーチン大統領が何度も述べているように、ロシアは交渉の準備ができている」とした上で、「(交渉は)我が国の正当な国益が確保されなければならない」と指摘。
そして、他国の利益を犠牲にするのではなく、誰も危険にさらされないような包括的な安全保障体制の必要性を強調した。
これより前、米紙「ニューヨーク・ポスト」は、トランプ米大統領がプーチン大統領とウクライナ問題について協議したと報じた。一方、トランプ氏はプーチン大統領といつ、どのくらいの頻度で連絡を取ったかという質問に対しては具体的な言及を避けた。
https://sputniknews.jp/20250211/19569556.html

❺ウクライナへの援助はもう終わり?AfDのアリス・ヴァイデルがベルリンの政策に宣戦布告! | タイムズ・ナウ・ワールド(2025年2月11日)

不信任決議によりオラフ・ショルツ首相の政権が危機に陥る中、ドイツは政治的不確実性に直面している。経済苦境、エネルギーコストの高騰、移民危機が国民の不満を募らせる中、右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の党首アリス・ヴァイデルは不満につけこんでいる。ヴァイデルは熱烈な集会で、ウクライナへの軍事援助を中止し、ドイツの利益を優先し、ウラジミール・プーチン大統領との関係を強化すると誓った。彼女の国家主義的な姿勢は支持を集めているが、全国的な抗議運動も引き起こしている。世論調査でAfDの支持率が20%を超え、ドイツは大きな政治的転換期を迎えているのだろうか?
https://youtu.be/kqy4D3M5oJE
https://www.youtube.com/watch?v=kqy4D3M5oJE

❻クルスクの激戦:ロシアはウクライナ軍320人を派遣、キエフにドローン139機が攻撃(タイムズ・ナウ・ワールド、2025年2月10日)

ロシアとウクライナの紛争は激化しており、ロシア軍は複数の地域に139機のドローンを配備して
一晩で大規模なドローン攻撃を仕掛けた。一方、ロシア国防省は、ウクライナ軍のクルスク地域への侵攻を撃退したと主張し、ウクライナ軍に大きな損害が出たと報告している。
https://youtu.be/Eby3uOMism8
https://www.youtube.com/watch?v=Eby3uOMism8

❼ウクライナ軍が危機に陥る ― 事務所が燃える、ゼレンスキー大統領は「特別契約」を使って若者を前線に呼び寄せる(2025年2月10日)

ウクライナは、爆撃や銃撃を含む軍募集事務所への暴力的な攻撃の増加に悩まされており、戦争疲労が高まる中、妨害行為の恐れが高まっている。当局はロシアの関与を疑っているが、強制徴兵に対する不満も不安を煽っている。死傷者や脱走者が増える中、キエフは募集危機に直面している。これに対応して、ゼレンスキー大統領は徴兵年齢に達していない若者を対象に、金銭的インセンティブを提供する自発的入隊プログラムを開始した。しかし、米国の影響力とキエフの戦争努力維持への苦闘に対する懸念から、懐疑的な見方は残っている。
https://youtu.be/L8My30o6o_M
https://www.youtube.com/watch?v=L8My30o6o_M

❽ダグ・マクレガー大佐:ウクライナは虐殺場だ(2025年2月9日)

トランプ大統領は、米国はウクライナから、特に希土類鉱物へのアクセスを通じて、多額の財政援助と軍事援助の見返りとして経済的利益を得るべきだと示唆している。これは議論の方向転換を表しており、純粋に戦略的または人道的理由ではなく、潜在的な経済的利益に焦点を当てている。
希土類鉱物と資源管理:議論では、ウクライナには相当な希土類鉱物の埋蔵量があるが、そのほとんどはロシアが支配するウクライナ東部にあり、米国がロシアと直接交渉しない限りアクセスは困難であることが強調されている。一方、ウクライナの支配下にあるウクライナ西部は、多国籍農業企業が支配している。
汚職とマネーロンダリングの疑惑:議論では、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が汚職に関与していると非難されており、多額の米国援助が行方不明になったり、悪用されたりしていると主張している。また、米国の政治家がウクライナ経由で流入した資金から経済的利益を得ているとも主張されている。
ウクライナの軍事戦略と将来の見通し: ウクライナ軍を米国式の軍団システムに再編するというゼ
レンスキーの提案は、人員不足と、そのような変更を実施するのに長い時間がかかることから、非現実的であると批判されている。この議論は、ウクライナ軍が苦戦しており、長期的な成功のための資源が不足していることを示唆している。
西側政策と NATO の立場: マーク・ルッテ氏などの人物を含む NATO 指導者は、ロシアの脅威
を強調し続けており、ロシアの影響と不安定化の取り組みが西ヨーロッパにさらに広がっていることを示唆している。しかし、この議論では、西側指導者が平和を求めるのではなく戦争を長引かせていると批判している。
米国と同盟国へのより広範な影響: この会話では、米国には希土類鉱物の代替供給源があるが、国
内生産を怠り、中国を含む外国に依存していることが強調されている。講演者は、米国はウクライナで資源を探すのではなく、自国の資源の開発に重点を置くべきだと主張している。
全体的に、この議論では、この戦争は戦略的失敗、財政的腐敗、地政学的誤算が混在したものとして描かれており、米国はウクライナの軍事的取り組みに資金提供を続けるのではなく、損失を削減し、交渉による和平を推進すべきだと主張している。
https://youtu.be/lmpQIHf0WNk
https://www.youtube.com/watch?v=lmpQIHf0WNk

❾ウクライナ「ロシア領になるかも」 トランプ氏、領土割譲示唆か(2025年1月29日)

【ワシントン時事】トランプ米大統領は10日に放映されたFOXニュースとのインタビューで、ロシアの侵攻にさらされるウクライナに関し、「いつかロシア領になるかもしれないし、ならないかもしれない」と語った。
ウクライナ側はトランプ米政権が仲介を目指すロシアとの停戦交渉で領土の割譲を迫られることを警戒している。トランプ氏の発言は割譲もあり得るという認識を示したとみられ、波紋を広げそうだ。
トランプ氏はウクライナでの戦闘終結に向け、各国への働き掛けを強めている。
インタビューでは停戦交渉の見通しに関し、「先週、大きな進展があった。ロシアともウクライナとも取引している」と説明。時期には触れなかったものの「取引するかもしれないし、しないかもしれない」と述べ、話し合いが前進する可能性を示唆した。
その上で、米国が対ウクライナ支援で拠出してきた巨額の資金を「取り戻したい」と表明。ウクライナには大量のレアアースが埋蔵されていると指摘した。5000億ドル(76兆円)相当のレアアースを米国に供給するよう要求し、ウクライナ側が「基本的には同意した」と明らかにした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7f97373c1782351a25ad78f49e8ca1fe772fb75e/images/000

❿もはや敗色濃厚!それでも兵力増員を図るゼレンスキーの愚(2025年2月10日)

1月2日に公表した拙稿「【報じられない真実】3年目の新年、すでにウクライナ戦争の勝負は決し
ている!」で論じたように、ウクライナは敗色濃厚である。日本のマスメディアは相変わらず、ウクライナの負けを認めるような報道はしていない。
ところが、欧米のマスメディアはさすがに無視によって事実を隠蔽できないと考えて、相次いでウクライナの劣勢を報道するようになっている。

一旅団でウクライナ兵1700人が欠勤
1月16日になって、親バイデン派として知られた英誌『The Economist』でさえ、フランスで訓
練を受けたウクライナの第155旅団について、「旅団の約3分の1に当たる1700人が無断欠勤し
(一部は元の部隊に戻った)、50人がフランスで脱走した」と報じた。「第155旅団の費用は約9億
ユーロ(約1400億円)にのぼると言われる」とも記述されている。
ウクライナの『キーウ・インディペンデント』は、ウクライナ地上軍司令官のミハイル・ドラパツィイが1月6日の記者会見で、フランス軍の訓練を受けた第155旅団が「高い離職率や組織力の低さなど、重大な課題を抱えていることを認めた」と報じた。1月23日には、「第155旅団の元司令官も拘束され、その翌日から裁判がはじまった」という情報も報じられた。
1月27日、『The Economist』はついに「停戦話のなかで、ウクライナの前線は崩れつつある」と
いう記事を公表した。1月2日の拙稿で、ネツク州のポクロフスク近郊にあるコークス用炭鉱が陥落したことで、ウクライナが大打撃を受けたことを書いたが、この記事はようやく、「ポクロフスクでの戦闘によって、ウクライナ側はすでに、国内の冶金産業の需要の半分を供給していた重要な石炭炭鉱を放棄している」とした。

空軍兵を陸軍に回すウクライナ軍
ウクライナ軍のカニバリズム(人食)とも言える現象まで起きている。ウクライナ軍では、空軍の兵士を陸軍に移行させて戦わせるという現象が起きているのだ。
『キーウ・インディペンデント』は、「空軍から地上軍への約5000人から6000人の兵士の移籍は
今年1月に始まった」と報道している。『ウクライナ・プラウダ』(1月14日付)は、最高司令官オレクサンドル・シルスキーからの人員移籍に関する最新の命令が1月11日に空軍部隊に届き、「5000人以上の兵士が陸軍に移籍することになった」と伝えている。1月16日付の『キーウ・インディペンデント』は、「『不条理な現象』――ウクライナ空軍弱体化という脅威をもたらす人員問題」と題したタイトルの記事のなかで、14日に公開された動画で兵士が明らかにした話を伝えた。
この時点までに、ウクライナ軍司令部は、ビデオ公開時点で218人の専門家を歩兵部隊に異動さ
せようとしており、それより前に、すでに250人が異動したというのである。
これは、せっかくコストをかけて訓練した専門の知識や技能を有する空軍兵士の能力を陸軍に投入することで、空軍の能力を低下させる。その一方で、陸軍は数合わせに走るだけという、いまのウクライナ軍の末期症状を示している。

動員延期政策が2月28日に終了
劣勢にあるウクライナは、兵員増強によって巻き返しをはかろうとしている。昨年11月22日、ウ
クライナ閣僚会議は決議第1332号を採択した。これによって、本決議発効前に経済省の決定によって兵役義務者に付与された、動員中の兵役召集の延期は、今年2月28日まで有効とすることにな
った。わかりやすく言えば、動員対象者であっても、重要企業の従業員や国家公務員を適用除外としてきた動員延期政策をいったん、2月28日で終了し、3月1日から新しい制度のもとで仕切り直しとするものである。
そのねらいは、もちろん、動員延期対象者を減らし、少しでも多くの兵員を確保することにある。これまで重要企業(エネルギー産業・食品産業・公益事業など)の必須基準は、
(1)民間企業の従業員の平均給与が2万フリヴニャ(約7・3万円)を下回らない、(2)税金および
統一社会保険料の滞納がない――であったが、これらに加えて、(3)年間150万ユーロ(約2・3億
円)以上の税金および関税を納付している、(4)年間3200万ユーロ(約50億円)以上の外貨収入
がある(貸付金および借入金を除く)、(5)戦略的に重要な国家施設のリストに含まれている――
などの追加条件が付与された。ほかに、国および地方政府機関(国の統治を確保するため)の職員
や国防契約を結んでいる企業(たとえば、軍事装備や資源の供給業者)の従業員も対象となる。
ただし、従業員の動員を予約できる職種と専門職のリストがある。すべての従業員を動員猶予できるのは、特定の企業・機関に限られている。
たとえば、国防産業と燃料・エネルギー部門の従業員がそれである。ただし、一般に重要企業に雇用される動員猶予される被雇用者の数は、その組織における兵役義務のある被雇用者総数の50%を超えてはならないとされている。

動員猶予中の150万人の命運
当初、2月28日以降、重要企業の経営者は「ディアポータル」(下の写真)を使って72時間以内に
従業員を再び動員延期とすることが可能となるとされていた。
ところが、1月中旬になって、閣僚会議は2月28日を待たずにディアポータルを通じて、従業員
の動員猶予の再予約をすることを企業に許可したことが明らかになった。このルールは、重要企業に対して、1月22日から3月1日まで有効である。
この結果、何人の動員対象者の動員猶予の延長が認められなくなるかは判然としない。一説には、猶予労働者の数を100万人減らすという目標が設定され、動員猶予を失った労働者はさらなる動員のために地域採用センター(TCC)に送られるという。ある情報によると、動員最低年齢が27歳から25歳に引き下げられた昨年5月以降、これまで動員猶予されてきた労働者数は約150万人と言
われているから、これらの動員猶予者のうち、3分の2は動員されてしまうかもしれない計算にな
る。
(出所)https://strana.news/news/475239-pravitelstvo-obnovljaet-kriteriibronirovanija-ot-mobiliatsii.html

狙われる地域採用センター
TCC(地域採用センター)は、動員を集めている国防省の下請け機関である。昨年12月11日に公
表した拙稿「いつまでも戦争止めないゼレンスキー…それは止めたら自分が追放されるから」では、「バス化」(TCC将校が街頭で男性を拘束し、軍隊に送り込むこと)と呼ばれる現象まで引き起こしていると紹介した。
すでに敗色濃厚でありながら、無理やり動員して戦場に送り込もうとする行為はどうみても非道であり、TCCのやり方に対する憤怒がウクライナ国内で高まっている。だからこそ、これを利用して、ロシアはTCCをねらった攻撃を相次いで仕掛けているらしい。
2月5日、フメリニツキー州のカミャネツ=ポドリスキー市のTCCが襲撃された(下の写真)。一説
によると、1人が死亡、4人が負傷した。2月1日には、リウネ州でも、TCCが爆破され、1人が死
亡、6人が負傷したとの報道がある。
(出所)https://nv.ua/ukraine/events/vzryv-v-kamence-podolskom-v-tck-i-spprokommentirovali-napadenie-novosti-ukrainy-50487494.html

18~25歳の自発性に賭ける
1月24日にAP通信が伝えたところによると、ウクライナは、「動員が免除されている18歳から
25歳までの若者を徴兵するべく、徴兵改革の最終段階にある」という。
大統領府副長官のパブロ・パリサ大佐がインタビューで語ったものだ。ゼレンスキー大統領は、18歳からの義務的動員実施に断固として反対しているため、新制度はあくまで自発的な兵員募集を18歳から契約に基づいて行うという。
しかし、劣勢にあり、しかも和平が近いかもしれないウクライナで、自ら兵士になろうとする若者がどれほどいるのかは判然としない。

戦争忌避者が急増か
開高健の自伝『破れた繭(まゆ)』には、太平洋戦争で日本が次第に劣勢になる様子をつぎのように
書いている。
「中学生の制服が木綿からスフになり、ボタンが金属から瀬戸物になった。靴が皮革からサメの革になり、たちまち布製になった。食物一切が配給制になり、切符を支給されて求める様になったけれど、誰もそんなものではやっていけないので、田舎へ、農村へ物々交換に走るようになった」「御飯は急速にまぜ飯となり、はじめのうちはイモ、フキ、マメなど、まともで風雅なものであったが、そのうち米そのものがなくなってきたので、手あたり次第の物をまぜるようになった。おかずは肉や魚がたちまち姿を消し、ヨメナ、ノビル、イモの葉、イモの蔓など、七草粥が常食となった」
それでも、日本人は大本営発表による情報統制下に置かれていたために、本土爆撃が増えたこと
で、日本が劣勢にあったことは気づいたとしても、国民は本土決戦に備えて竹やり訓練をまじめにやっていた。
しかし、いまのウクライナ人は違う。
すでに、彼らはウクライナが敗色濃厚であることをよく知っている。さらに、ドナルド・トランプ米大統領の登場で、ウクライナ戦争の終結が近づいていることにも気づいている。そうであるならば、わざわざ戦地に赴(おもむ)こうとするウクライナ人がどれほどいるだろうか。
もうすぐ戦争が終わるのであれば、戦争忌避者になっても生き抜こうと考える人が増えることが十分に予想される。つまり、動員猶予政策の変更で、動員対象となっても、動員逃れを選択し、闇に紛れることで、戦争終結と待とうとする人が急増する可能性がある。

ゼレンスキー大統領の問題
こうした事態は、もはや負けが濃厚な戦争をつづけようとするウォロディミル・ゼレンスキー大統領への批判につながらなければならない。
はっきり言えば、これから動員されて兵士になって死んでゆく人々は犬死だ。一刻も早く戦争を終結させなければならない。たとえ、それがウクライナにとって「負け」を意味していても、もはや戦争を継続する大義名分などないからだ。
1月22日、トランプ大統領はFOXニュースの司会者ショーン・ハニティとの独占インタビューに応
じた。翌日、FOXニュースは、「トランプ、ゼレンスキーは『天使ではない』と発言」という見出しを立てて報道した(下の写真)。それにはビデオがついていて、10分過ぎのところで、たしかにトランプは“He is no angel”とのべた。『Newsweek』は24日になって、「ドナルド・トランプ、ゼレンスキーを攻撃『彼は天使ではない』」というタイトルの記事を報道した。そう、トランプ自身、もはやゼレンスキーが「善」ではないことをよく知っているのである。
(出所)https://www.foxnews.com/video/6367602293112?msockid=1c714e17947d622e3ab1438095ec639e

2月2日、ロイター通信は、トランプ大統領のウクライナ・ロシア担当特使であるキース・ケロッグが、ロシアとの戦争中に中断されたウクライナの大統領選挙と議会選挙を「実施する必要がある」とインタビューで語ったと報じた。さらに、別のインタビューでも、たしかにケロッグが、選挙を実施できることが「健全な民主主義の証」だと語っていることが確認できる(ビデオの3分過ぎの箇所を観てほしい)。
現在、有力となっているのは、「停戦-選挙-新政府による和平協定調印」という3段階のスキーム
だ。もはや、何が何でも戦争を継続しようとするゼレンスキーは「善人」ではなく「悪人」ですらある。

NATOがゼレンスキーを追い出す?
実に興味深いのは、ロシア連邦対外情報庁(SVR)が2月3日、「SVR報道局は、SVRが入手した
情報によると、北大西洋条約機構(NATO)本部はウクライナの政権交代を検討する姿勢を強めてい
ると報じた」ことである。
それによると、NATO本部はゼレンスキーの信用を失墜させる大規模な作戦を準備している。具体
的には、ゼレンスキー大統領とそのチームのメンバーが、弾薬購入のための資金から個人的に15億ドル(約2300億円)以上を横領したことに関する情報を公開することが計画されているという。
さらに、ゼレンスキーとその側近が、ウクライナの軍人13万人分の手当を海外に流出させるという計画を明らかにする予定であるとも記されている。また、ウクライナに寄贈された大量の西側軍事装備を、アフリカ諸国のさまざまな団体に売却する事件が繰り返されるなかで、ウクライナの最高司令官が関与している事実を公表することも計画されているとしている。
もちろん、このSVRの報道がまったく根拠のない情報かもしれない。それでも、ウクライナ情勢をよく知る人々は、敗色濃厚にもかかわらず、戦争を停止しようとしないゼレンスキーに手を焼いていどうだろうか。日本国民が知るウクライナ情勢とはまったく違う状況が展開されていることに気づいてほしい。フジテレビだけでなく、NHKも含めて、日本のテレビ局はウクライナ戦争の「現実」を伝えていないと断言できる。そして、それは国民を騙すことにつながっている。だからこそ、岡倉天心記念賞受賞作『帝国主義ロシアの野望』の「あとがき」の文頭に、つぎのように書いておいた。
「私はいま、『戦前』を生きているのかもしれないと感じている」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8529bebc21ecbf5b6f54d2a766f076f4349d11e?page=5

⓫NHKと日本政府とUSAID、ウクライナメディアを三位一体で支援(2025年11月12日)

汚職と世論操作の温床として、トランプ氏によって事実上廃止された USAID(アメリカ国際開発
庁)。ウクライナはこの3年間でUSAIDの活動資金の約3分の1を享受してきた。ウクライナメディアの関係者によれば、同国メディアの 9 割は外国の助成金に依存しており、そのうち 8 割超を
USAIDが占めてきた。
日本もウクライナメディアをサポートしてきた。JICA(国際協力機構)がウクライナへの技術協力として行ったのが、「公共放送組織体制強化プロジェクト」(2017-2022年)である。ウクライナ公共放送PBC(Public Broadcasting Company of Ukraine)を「まとも」で「民主的な」テレビ局にし、ウクライナがEUに加盟できるようにしてあげようという試みだ。
NHKは2022年4月7日、「ウクライナのテレビ局で考えた『公共放送』のこと」と題して、プロジ
ェクト責任者である宮尾篤氏の手記を掲載している。宮尾氏は「JICAは、公共放送局PBCの組織改革や人材育成をサポートする方針を決定し、私の所属する NHK インターナショナルが支援プロジェクトを担当した」と記している。
手記では「編集権の独立」と「財源の独立」が重要だとされているが、実際のところ PBC の収入の95%はウクライナ政府からの交付金である。
JICA の2016年事業事前評価表では、実施期間は2017年1月から2019年7月までの計31か月の予定であり、日本側の総事業費は4.3億円となっている。ところが事業は2022年3月まで延長され、当初予定の2倍以上の時間がかかった。
手記の中で宮尾氏は「私は、公共放送は国営放送とは全く違うと伝え、自ら考え、足で稼ぐべきだとアドバイスした。取材先と食事をしたりお酒を飲んだりして、とにかく気楽に話せる関係を作ろう。
情報を取るのはその後で構わない、と何度も激励した」と、職員に「意識改革」を働きかけたことを明かしている。
2023年1月、プロジェクトのフェーズ2が始動。さらに機材や記者らが集まる場所の提供など、
日本は現在進行形で支援を続けている。米国が手を引いた今、日本はどうするのだろうか。
https://sputniknews.jp/20250212/nhkusaid-19572030.html

2025年2月13日 ウクライナ情報pdf → こちら


 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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