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☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年2月17日):米露電話会談のもつ意味を、ロシア研究者タリック・シリル・アマール氏(ドイツ人、イスタンブールのコチ大学在籍)が詳細に分析
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
© セルゲイ・グネエフ/スプートニク
巨大な核兵器を保有するもう一つの大国、ロシアに対する反外交政策(その不条理な本質は、本当に危険な問題があるときは、外交の話し合いによって解決しようとしないということ)を米国がようやく終わらせたことは、世界にとって明らかに朗報だ。
しかし、さらに大きな視点を忘れてはならない。米国のドナルド・トランプ大統領はそれを認めないだろうし、認めることもできない。そしてロシアのウラジーミル・プーチン大統領も賢明にもそれを誇示しない。しかし、昨日の電話会談から得られた最も重要な教訓は、ロシアが西側諸国との戦争に勝利したということだ。
確かに、これは半ば代理戦争(つまり、西側を代理して、しばしば中途半端な形でのもので、ロシアとウクライナの双方にとって非常に直接的な戦争)だったが、今となっては地政学的な違いはほとんどない。西側はずっとこの敗北を求めてきた。ロシアともっと早く妥協点を見いだすか、ロシア側とウクライナ側の戦いに介入しないことで、これは簡単に避けられたはずだ。しかし、今や事態はこうであり、西側は阻止され、敵(この場合はロシア)の条件で交渉せざるを得なくなるという新たな現実が生まれ、そして全世界がこれを実証済みの経験的事実として認識している。これは歴史的な転換点であり、人類にとっても良いニュースだ。その余波は今後何十年も続くだろう。
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これまでウクライナ国民は利用され、裏切られてきた。西側諸国でこのような事態が起こると警告した少数の人々は、組織的に中傷され、無視されてきた。しかし今や、報いを受けるべきなのはウクライナの偽りの「友人たち」(および彼ら自身の米国とカナダ在住のディアスポラ(異郷の地の同胞))である。キエフ政権も同様だ。ウクライナの悲劇は計り知れないが、それは不必要だった。ウクライナにとっても、今回の電話はまた歴史的な転換点となり、長期にわたる影響を及ぼすだろう。
米国とロシアの間で何が起こるかはまだ予測できないが、より広範な緊張の緩和はあり得る。いずれにせよ、ひねくれていて、自滅的で、反逆的に従順なEUの指導者層は、ウクライナのように、最初は利用され、その後は無視されるのがどんな感じかを知ることになるだろう。彼らができる最悪のこと、そして現状では実際にやってしまうかもしれないことは、米国に戦争を「欧州化」させてしまうことだ。バイデン政権は、EU-NATOの従属諸国を壊滅させるという見事な仕事をした。トランプは、これらの欧州諸国をロシアと独自に争おうとする罠に誘い込むことで、それを完了させるかもしれない。その間、米国側とロシア側は、当然ながら和解する。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2025年2月17日)「米露電話会談のもつ意味を、ロシア研究者タリック・シリル・アマール氏(ドイツ人、イスタンブールのコチ大学在籍)が詳細に分析」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-2977.html
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒Russia has won a war against the West: What the Putin-Trump callreally means
新たな現実は、西側諸国を阻止し、「敵」の条件で交渉させることができるということだ。
筆者:タリック・シリル・アマール(Tarik Cyril Amar :イスタンブールのコチ大学でロシアやウクライナ、東欧、第二次世界大戦の歴史、文化的冷戦、記憶の政治について研究しているドイツ出身の歴史家)
出典:RT 2025年2月13日
https://www.rt.com/news/612637-what-putin-trump-call-meant/