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2月21日のウクライナ情報
国際2月21日のウクライナ情報
安斎育郎
❶ ウクライナ抜きの終戦「不可」 ゼレンスキー氏、サウジ訪問延期(2025年2月19日)
【キーウ共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、米ロ外相がサウジアラビアでロシアとウクライナの戦争終結をウクライナの頭越しに協議したと批判した。訪問先のトルコでエルドアン大統領と共同記者会見し「ウクライナ抜きで戦争終結はできない。われわれの背後で何かを決めてほしくない」と語った。
ゼレンスキー氏は19日に予定していたサウジ訪問を3月に延期すると表明。「キーウで米国代表団を待つ」と述べた。米国のウクライナ・ロシア担当特使ケロッグ氏の訪問を念頭に置いた発言だとみられる。
エルドアン氏は会見で「トルコは(和平交渉の)理想の開催地になる」と強調し、トルコも交渉に関与させるよう求めた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/378e8cd155ad423d1747b367c8e04b387b370341/images/000
❷米露「停戦→選挙→終戦」3段階のウクライナ和平案を策定か 米記者が報じる
(産経新聞、2025年2月19日)
米FOXニュースのホワイトハウス担当の著名記者、ハインリッヒ氏は18日、米国とロシアがウクライナ戦争の終結に向け、①停戦の実施②ウクライナでの大統領選実施③終戦合意の締結-の3段階からなる和平案を策定中だとX(旧ツイッター)で報じた。サウジアラビアで同日開かれた米露協議に近い複数の外交筋の話だとしている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、米露がウクライナの頭越しに和平プロセスを進めることに反対してきた。報道が事実であれば、ウクライナ抜きで戦争終結を模索しようとする米露の思惑が示唆された形だ。
ハインリッヒ氏によると、外交筋は「(ロシアの侵略により延期されている)ウクライナでの選挙実施こそが和平プロセスの成否の鍵を握っていると米露両国は考えている」と指摘。ただ、ロシアは選挙が公正に行われるか疑問を抱いているほか、ウクライナも親露派の傀儡(かいらい)大統領が誕生することを恐れているとし、こうした和平案は物議をかもす可能性が高いとした。
外交筋はまた、プーチン露大統領が「ウクライナで選挙が行われれば親露派大統領が選出される可能性が高い」と考えており、そうならなかった場合でも「ゼレンスキー氏以外なら交渉や譲歩に応じやすくなる」と考えていると指摘したという。(小野田雄一)
https://news.yahoo.co.jp/articles/5c51ee7e191e24836fdeea70d791d7cf09c40742/images/000
❸ドイツ「いら立ち覚える」“対話再開”も…欧州除外 米ロが進める“停戦交渉”道筋は(テレ朝news, 2025年2月19日)
ウクライナの停戦交渉に向けた話し合いがサウジアラビアで行われました。アメリカからは3人、ロシアからは2人が出席。この協議が米ロの首脳会談につながると両国は期待を見せています。
一方で、前日にパリで行われたのがヨーロッパ首脳による緊急会合です。“欧州外し”の形で行われた話し合いの行方は…。
■“対話再開”も 欧州を除外
サウジアラビアの仲介で始まった高官協議。アメリカとロシアの外交・安保の高官が顔を合わせるのは3年ぶりです。ウシャコフ補佐官が「ビジネスライクにやる」としていた会談は4時間以上に及びました。
ロシア側が求めている「ウクライナのNATO加盟凍結」「ウクライナ軍の併合地域からの撤退」は停戦交渉開始の条件に過ぎません。それでもフェーズは軍事から政治に移ってきているようです。
■欧州各国 異なるスタンス
アメリカはすでにヨーロッパ抜きで停戦交渉を進めることを公言しています。本来は結束を強めなければいけないのですが…。
ドイツ ショルツ首相
「今この議論をするのは完全に時期尚早。間違ったタイミングです。このような議論には少しいら立ちさえ覚えます」
不快感を隠そうとしません。
ドイツ ショルツ首相
「まだ行われていない和平交渉の結果について、ウクライナを無視してあらゆる議論がされています。平和維持軍をはじめとして様々が議論されています。我々はまだ平和な状態ではなく、ロシアが繰り広げている残忍な戦争の真っただ中なのです」
関係各国で今、意見が割れているもの。停戦後、平和維持部隊として自国の兵をウクライナに送るか否かです。ウクライナへの派兵は、ロシア軍と直接戦闘になるリスクを背負うことに他なりません。地政学、国内の政治状況など、それぞれの置かれている立場で思惑は大きく変わります。
ポーランド トゥスク首相
「ポーランドはすでにGDPの5%を防衛費にあてている」
スウェーデン クリステション首相
「欧州各国は可能な限り足並みをそろえるべきです。断固ウクライナを支持しており、当然派兵の可能性はあります」
アメリカは先週、ヨーロッパ各国に文書を送っていました。このような質問が書かれていたといいます。
アメリカ政府が欧州各国に送った文書(ロイター)
「ウクライナに軍を派遣する意思があるか。必要なアメリカの支援はあるか」
そもそも、まだ停戦していませんが、もし派兵となれば10万〜20万人規模が必要になると言われています。全てはアメリカ次第です。
イギリス スターマー首相
「永続的な和平合意を条件にイギリス軍派遣を検討する用意があります。ただし、アメリカの後ろ盾は必須です。ロシアの再攻撃を効果的に抑止するには、アメリカによる安全の担保が唯一の方法です」
デンマーク フレデリクセン首相
(Q.平和維持部隊の派遣に賛成か)
「まだ早いです。重要なのはアメリカが平和維持部隊をどう見るかです。この戦争はウクライナでは
なく、ロシアが最大の焦点です。より強大なロシアを築こうとする帝国主義的な野望が問題なのです。彼らがウクライナで止まるとは考えていません」
■「首脳会談は時期尚早」
3年ぶりの米ロの高官協議は日本時間の午後9時ごろに終わりました。ウシャコフ補佐官は、プーチン大統領とトランプ大統領の会談について「日程について話すのは時期尚早だ」としています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c2b8410eecf97239e5f549a8bda4ee42aaf7d701/images/000
❹ケロッグ米特使、東欧駐留米軍の規模維持を確約=ポーランド大統領(ロイター、2025年2月19日)
[ワルシャワ 18日 ロイター] – ポーランドのドゥダ大統領によると、トランプ米政権のウクライナ・ロシア担当特使ケロッグ氏が東欧駐留の米軍規模を削減する予定はないと確約した。ケロッグ氏との会談後、記者団に対し明らかにした。
ドゥダ大統領は「米国には、特に安全保障の面で、米兵の数を減らすなど、欧州における活動を削減する意図は全くないという確約を得た」と述べた。
これより先、ヘグセス米国防長官は14日、訪問中のワルシャワで記者会見し、欧州諸国が防衛費を増額すべきとの考えを改めて示したほか、北大西洋条約機構(NATO)同盟国は米国の存在が永続すると想定することはできないと強調している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7c44d7419b62e0262ec0cf3b6d9fdff342f76e51/images/000
❺トランプ政権が「プーチンをつけ上がらせている」 ウクライナ高官(AFP, 2025年2月19日)
【AFP=時事】ウクライナの高官は18日、米国のドナルド・トランプ政権がウクライナの頭越しにウクライナ紛争終結に向けた協議をロシアと開始したことを批判した。
米ロ高官はサウジアラビアで同日、ウクライナ不参加で協議を行い、停戦に向けた道筋を探る交渉チームを設けることで合意した。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以降、両国による高官レベルの会談は今回が初。
匿名でAFPの取材に応じたウクライナの高官は「2014年以前の(バラク・)オバマ(元米大統領)も、この紛争以前の(ジョー・)バイデン(前米大統領)も、当事者の問題を当事者の頭越しにプーチンと協議した。わが国抜きでわが国について、欧州抜きで欧州の問題を話し合った」と指摘した。
「側近の働き掛けで、トランプも同じ道をたどった。このやり方ではプーチンはますますつけ上がり、勝つのは自分、米国は負けるという自信を強めるだけだ」と批判。
「トランプ政権内かトランプ氏に近い誰か」がロシアからの見返りについて「非現実的な期待」を募らせているのではないかとの見方を示した。
さらに「実情」を把握するために、ウクライナ政府は20日に訪問が予定されている米国のキース・ケロッグ特使(ウクライナ・ロシア担当)との対面による会談に期待していると付け加えた。【翻訳編集】 AFPBB News
https://news.yahoo.co.jp/articles/15362763aa1b1088c0a53f52a13e3023589e539b/images/000
❻米国はプーチン氏を「喜ばせたがっている」 ゼレンスキー氏(AFP, 2025年2月18日)
【2月18日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、17日に放送されたインタビューで、米国はロシア・ウクライナの停戦交渉でロシアを「喜ばせたがっている」との見方を示した。
15日にドイツ・ミュンヘンで同国の公共放送ARDのインタビューに応じたゼレンスキー氏は、ドナルド・トランプ大統領をはじめ、米政権側がロシアを懐柔する発言を行っていることについて、「米国は今、(ロシアのウラジーミル・)プーチン(大統領)に非常に好意的な発言をしている。彼を喜ばせたいからだ」と指摘。
「彼らは直ちに会談を行い、一刻も早く勝利を収めたがっている。だが、彼らが求めている『単なる停戦』は勝利ではない」と強調した。
トランプ氏は先週、プーチン氏との電話で、ウクライナ紛争の早期終結に向けたプロセスについて直接話し合ったとして、同盟諸国を驚かせた。
ピート・ヘグセス米国防長官も、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟や2014年以降にロシアに占領された領土の回復に否定的な姿勢を示した。(c)AFP
https://www.afpbb.com/articles/-/3563457?utm_source=yahoo&utm_medium=news&cx_from=yahoo&cx_position=r2&cx_rss=afp&cx_id=3563639
❼プーチンが「張り子の虎」ゼレンスキーに勝利、ウクライナにとって最大の衝撃。キエフはいかに交渉力を失ったか(2025年2月19日)
数百万人が国外に逃亡し、外国企業が資産を差し押さえ、西側諸国が政策を指示する中、ウクライナの主権は危うい状況にある。米ロ会談が迫る中、ゼレンスキー大統領のキエフの役割へのこだわりは、空虚なレトリックに過ぎないのかもしれない。
https://youtu.be/tm2oo8I3ntQ
https://www.youtube.com/watch?v=tm2oo8I3ntQ
❽ゼレンスキー、ヨーロッパが沈む中サウジアラビアのパーティーを崩壊させる(2025年2月19日)
ゼレンスキー大統領は、2025年2月18日火曜日にサウジアラビアで予定されている米国とロシアの協議をウクライナは承認しないと述べた。我々はまた、昨日2025年2月17日月曜日にパリで行われた欧州首脳会議の結果についても協議する予定である。
https://youtu.be/YwdJ94WUHEE
https://www.youtube.com/watch?v=YwdJ94WUHEE
❾ ゼレンスキーの支持率は4%、大統領選を実施すべし=トランプ大統領(2025年2月19日)
ゼレンスキー氏に対するウクライナ国民の支持率は4%にまで低下しているため、大統領選を実施する必要がある。トランプ大統領は会見で指摘した。
トランプ大統領は前回の選挙からウクライナでは「長い時間が経過した」と指摘、ゼレンスキー氏の支持率は4%にまで低下していると発言した。
また、ウクライナ大統領選の問題はロシアからの要求ではなく、「多くの」国が懸念していることだとも発言した。
さらにウクライナに割り当てた資金の使用には透明性のある報告書がないことも問題視した。
「我々は数千億ドルを渡したが、その金がどこに使われたのかを示す透明な報告書を見た試しがない」
先にトランプ大統領はウクライナに行った支援の額を3000億ドルから3500億ドルと見積もっており、その返還を要求した。具体的にはウクライナが保有する鉱物やレアアースに対する利権の提供を要求している。
これに対し、ゼレンスキー氏は利権の提供ではなく、投資と共同開発を米国側に呼びかけている。
https://sputniknews.jp/20250219/4-19587822.html
❿露米高官のリヤド会談 世界各国メディアの反応(2025年2月19日)
ディ・ベルトボッへ
ほら、捨てたもんじゃないだろう?ロシア人とアメリカ人が対話し、地球はまだ回っている。
テレグラフ
トルコにいたゼレンスキーにとって、空は灰色だった。気分も憂鬱で、心ここに有らずだったと疑わざるを得ない。
アル・リヤド
この会談は、ロシアと米国の関係回復を目指す、トランプ米大統領の外交政策の大きな転換の一部だ。
ニューヨーク・タイムズ
会談はモスクワに外交的圧力をかけるこれまでの米国の政策からの急転換を意味した。今、ワシントンは協力への用意を示している。
エル・ムンド
急速に進む停戦へ向けた米国の尽力が、ウクライナと全欧州の懸念を呼んでいる。
ウォール・ストリート・ジャーナル
大西洋を挟んだ米欧関係は、ただでさえバンス副大統領の(ミュンヘン安全保障会議での)破滅的演説で傷ついていたが、これでより強い圧力に晒されることになった。
朝日新聞
2022年2月以降、米露外相の対面での公式会談は初めてで、関係の劇的な転換となる。ただ、今回はウクライナが不参加で、一方の当事者抜きで交渉が進む懸念も出ている。
https://sputniknews.jp/20250219/19587940.html
2025年2月20日 ウクライナ情報pdf →
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。