【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.02.26XML:米露の首脳から相手にされなくなったEUのリーダーは必死に存在感を演出

櫻井春彦

 ウクライナを舞台にした戦闘に対するドナルド・トランプ米大統領の姿勢が劇的に変化、ジョー・バイデン政権に従属していたヨーロッパ諸国のリーダーは動揺しているようだ。ヨーロッパ諸国の首脳は自分たちだけで会議を開き、意味のあることをしているように演じているが、トランプ大統領やロシアのウラジミル・プーチン大統領から相手にされていない。思考力も決定権もないからだ。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月24日にトランプ大統領と会談するためにホワイトハウスを訪問したのだが、到着時に出迎えたのはホワイトハウスのスタッフだけ。裏でどのようなやり取りがあったのかは不明だが、マクロンは到着をやり直し、その2度目はトランプが出迎えた。マクロンとしてはアメリカとフランスの友好関係を演出したかったのだろうが、この出来事は両国の関係がそれほど友好的でないことを世界に知らせることになった。

 自分たちがアメリカの支配層と結びついていると思わせることで地位と収入を手にしてきた人々にとって、アメリカ政府から相手にされなくなることは恐怖以外の何ものでもないだろう。ロスチャイルド系銀行の幹部だったマクロンも追い詰められているはずだ。

 トランプはウクライナ問題でロシア側の要求を基本的に受け入れているようだが、最初は違った。トランプはキース・ケロッグ退役陸軍中将をウクライナ特使に起用、同中将は自身が2024年春に執筆した論文に基づく「和平計画」を作成し、それをトランプは実行しようとしたが、この論文はロシアが苦境にあるという前提で書かれていた。つまり、事実に基づいていなかったのだ。

 当初、トランプはウクライナでの戦闘で戦死したロシア兵を100万人近くだと主張、ウクライナ兵の戦死者約70万人を上回るとしていたが、これは事実に反している。制空権を握っているのがロシア軍だということが決定的だが、ミサイルの数や性能でもロシア軍が圧倒、ウクライナの街頭で兵士の徴募担当者が男性通行人を拉致している現実もある。

 戦場において発射された砲弾の数は死傷者数に反比例すると言われているが、その数は6対1から10対1でロシア軍が上回っている。つまり、ロシア軍の死傷者数はウクライナ軍の6対1から10対1だということになる。実際は1割程度だと見る人が少なくない。ウクライナ軍が保有する武器弾薬が枯渇していることはゼレンスキーの発言でも明確だであり、ヨーロッパ諸国の兵器庫も空だ。ヨーロッパのNATO加盟国は何もできない。

 イギリスの​ベン・ウォレス元国防大臣は2023年10月1日、テレグラフ紙に寄稿した記事の中で、その当時、ウクライナ兵の平均年齢はすでに40歳を超えていると指摘​、もっと多くの若者を前線へ送り出せと要求していた。それだけ死傷者数が多いということをイギリスの元国防大臣も認めている。現在の状態はさらに悪化しているはずだ。

 トランプの言動から判断すると、彼はすでにウクライナでロシア軍が勝っていることを理解している。欧米の代理として戦ってきたウクライナは降伏するか全滅するしかない状態。早晩、トランプ政権はウォロディミル・ゼレンスキーを排除すると見られているが、そうなると戦争を推進してきた勢力の不正が一気に露見する可能性がある。

 ​ゼレンスキーがイギリスの情報機関MI6のエージェントだと指摘したのは、アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターだ​。

 ゼレンスキーは2020年10月にイギリスを公式訪問した際、MI6のリチャード・ムーア長官を非公式に訪問、会談しがが、その訪問はジャーナリストに察知され、撮影された。その事実からゼレンスキーはMI6のエージェントであり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はムーア長官だと推測されている。会談後、ゼレンスキーの警護担当者はウクライナ人からイギリス人へ交代になったという。ゼレンスキーの排除はイギリスの支配層にとって大きな痛手だろう。

 EU経済を支えてきたドイツ、そのドイツ経済を支えてきた自動車産業はロシアとの戦争で大きなダメージを受けている。​昨年10月、フォルクスワーゲンの経営者は従業員代表に対し、ドイツ国内の少なくとも3工場を閉鎖する意向を伝えた​という。すでにアメリカがドイツの自動車メーカーを呑み込もうとしているが、中国の自動車会社もドイツの工場に興味を示しているようだ。

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