【連載】安斎育郎のウクライナ情報

2月25日のウクライナ情報

安斎育郎

2月25日のウクライナ情報
安斎育郎

❶ 【速報】ドイツ総選挙、最大野党の保守「キリスト教民主・社会同盟」メルツ党首が勝利宣言 政権交代へ 極右政党も第2党に躍進の見通し(TBS news dig, 2025年2月24日)
ドイツでは23日に総選挙が行われ、最大野党の保守「キリスト教民主・社会同盟」のメルツ党首が勝利宣言しました。極右政党も第2党に躍進する見通しです。
記者
「地元メディアが出口調査の結果を報じていまして、こちらの保守政党が第1党になる見通しだということです」
公共放送「ARD」は、出口調査の結果、最大野党の保守「キリスト教民主・社会同盟」が得票率29%で第1党になる見通しだと報じました。
一報を受けて、メルツ党首は勝利宣言をしました。
メルツ党首
「私たちは選挙に勝利した。できるだけ迅速な組閣が重要だ」
極右政党「AfD=ドイツのための選択肢」も19.5%で、前回の選挙から倍増し、第2党に躍進する見通しです。
一方、ショルツ首相率いる与党は得票率が16%と伸びず、政権交代することになります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dd8b1bed2976740d8749c4279c77ddb7d793771d

❷「平和実現なら辞任用意」 侵攻3年、ゼレンスキー氏会見(KYODO, 2025年2月24日)
【キーウ共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は23日に記者会見し、平和が実現するのであれば、大統領を辞任する用意があると述べた。NATO加盟実現に向け、局面打開を図る狙いとみられる。
ロシアのウクライナ侵攻から24日で3年。ウクライナは国土の約2割を占領され、両軍とも数十万人規模の死傷者を出す激戦で、第2次大戦後の欧州で最悪規模の戦争となった。双方が条件を譲ることはなく、和平への出口は見えない。トランプ米政権はウクライナに寄り添った前政権の方針を大転換してロシアに接近、頭越しに協議を開始した。ウクライナは苦境に立たされ、米欧の亀裂も拡大。混迷は深まる。
和平達成の成果を急ぐトランプ大統領は、ウクライナのNATO加盟は「現実的ではない」と突き放す。一方で報道によると、戦争終結後にロシアが再侵攻した場合は加盟を自動的に認める案も検討。ロシアが譲歩する可能性は低く、ウクライナの安全保障の枠組みは宙に浮いている。
トランプ氏はウクライナへの厳しい姿勢を強め、ゼレンスキー氏を「選挙を経ていない独裁者」と批判。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5bb0a8f5251aa305d3f3024377974440d7f00edd/images/000

❸侵攻3年、ウクライナ窮地 米国はロシアに接近、欧州と亀裂(KYODO, 2025年2月23日)
。ウクライナは国土の約2割を占領され、両軍とも数十万人規模の死傷者を出す激戦で、第2次大戦後の欧州で最悪規模の戦争となった。双方が条件を譲ることはなく、和平への出口は見えない。トランプ米政権はウクライナに寄り添った前政権の方針を大転換してロシアに接近、頭越しに協議を開始した。ウクライナは窮地に立たされ、米欧の亀裂も拡大している。
和平達成の成果を急ぐトランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー政権が求める北大西洋条約機構(NATO)加盟は「現実的ではない」と突き放す。一方で報道によると、戦争終結後にロシアが再侵攻した場合は加盟を自動的に認める案も検討。ただロシアが譲歩する可能性は低く、ウクライナの安全保障の枠組みは宙に浮いている。
トランプ氏は、ゼレンスキー氏を「選挙を経ていない独裁者」と批判。「ウクライナは戦争を始めるべきではなかった」と述べ、侵攻国ロシアに肩入れ。ウクライナに希少な鉱物資源供与も迫り、不利な条件を突きつけている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/271f34ea8f5db97d754444b19392f16a64ae48eb/images/000

❹祝賀ムードのロシアも、トランプに「見捨てられた」ウクライナと変わらない(Newsweek, 2025年2月18日)
停戦は実現するのか? トランプ政権はヨーロッパとの同盟関係を骨抜きにし、交渉が始まる前からプーチンに大きな譲歩をしている。それでも、交渉で終わらせるには大きな障害が残っている
いまモスクワは、クリスマスと復活祭と新年が一緒にやって来たかのようなお祭りムードになっている。
2月12日、トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談を終えた後、ウクライナの未来に関する米ロ交渉を直ちに始めると表明。米ロ交渉は、前提条件なしに、ほかの国を参加させずに行うとされている。ヘグセス米国防長官も、ウクライナのNATO加盟に否定的な見解を示し、ウクライナが2014年のロシアによるクリミア併合以前の国境線を回復することも現実的ではないと述べた。
ウクライナが友好国から見捨てられたように見え始めたのだ。ヨーロッパがすっかり腰砕けになる一方、アメリカのトランプ新政権はヨーロッパとの同盟関係を骨抜きにし、まだ交渉が始まる前からロシアに大きな譲歩をしている。
プーチン周辺が最もほくそ笑んでいるのは、トランプがウクライナやヨーロッパ諸国抜きで交渉を進める意向を示していることだ。プーチン支持派の軍事ジャーナリストであるアレクサンドル・コチも、ウクライナの運命を「2人の男が決定」し、ヨーロッパに「バックコーラス」程度の役割しか与えられないことを歓迎している。
もっとも、ロシア国内の祝賀ムードの陰に隠れているが、戦争を交渉で終わらせるには大きな障害が残っている。
ロシアには、自国の要求を押し通すだけの軍事力はない
プーチンは一貫して強硬な姿勢を崩しておらず、交渉での歩み寄りの余地は小さい。プーチンは、ロシア軍が一度も支配下に置いていない地域まで明け渡すよう、ウクライナに要求している。ウクライナにとっては、とうてい受け入れられない要求だ。
ロシアには、自国の要求を押し通すだけの軍事力はない。戦場ではロシア軍が着々と前進していて、時間がたてばたつほどロシアが有利になるといった主張は、事実に反する。これまでのロシアの戦果は極めて小さく、その半面でロシア軍は莫大な数の兵員と装備を失っている。
結局、ロシアに唯一残されている希望は、アメリカがウクライナを見捨てるという可能性だが、ロシアがトランプをコントロールする手だてはない。トランプの気まぐれに依存しているという点では、ロシアもウクライナと変わらないのだ。
そこで焦点は、トランプに最も説得力のあるお世辞を言うなり、最も明確な利益を提示するなりできるのがロシアとウクライナのどちらか、ということになる。
元情報機関工作員のプーチンは、この点を素早く見て取り、トランプが強くこだわっていること──例えば2020年の米大統領選では自分が勝っていたという主張──に同調することにしたようだ。
それに対し、ウクライナ側は時間を稼ぐ作戦らしい。プーチンの融通の利かない姿勢やけんか腰の態度にトランプがうんざりするのを待とうというわけだ。
この作戦は、おそらくウクライナにとって最善の選択肢と言えるだろう。ロシアも無限にリソースを持っているわけではない。ウクライナが崩壊するなり、欧米の支援が尽きるなりするのを待てる時間は、それほど長くはない。
欧米の結束を分断し、ウクライナへの支援を弱めるというのは、プーチンが一貫して目指してきたことだ。その戦略の成否が判明するのはもう少し先になるだろうが、差し当たりロシアが1つの成果を手にしたことは間違いない。
アレクセイ・コバリョフ(ジャーナリスト)
From Foreign Policy Magazine
https://news.yahoo.co.jp/articles/2457376f459b349668ddca088c461fb1341e2951/images/000

❺ロシア外務次官「次の米ロ協議は今度の週末」 実質的な進展「期待」(朝日新聞、2025年2月24日)
ロシアのリャプコフ外務次官は23日、ウクライナでの戦争終結に向けた米ロの高官協議を、次の週末に開催する予定だと明らかにした。ロシア国営タス通信が伝えた。局長級になる見通し。開催場所は伝えていないが、18日に外相会談が行われたサウジアラビアとみられる。
リャプコフ氏は「我々は米国との接触にオープンだ。次の週末に予定している会談で、実質的な進展を期待している」と話した。現在、様々なルートで接触しており、「(一般的には)短時間で合意することも多い」としている。
ロシアのプーチン大統領とトランプ米大統領は12日の電話協議で、停戦交渉の開始で合意。18日に外相を含む米ロの高官が、ウクライナ侵攻後、初の対面での本格的な協議に臨んでいた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c926cefbe862fab22183fafee3f5f83d5a42715c/images/000

❻米政府、天然資源による収益を米管理の基金に振り向けるようウクライナに提案(2025年2月23日)
米国とウクライナによる今後の経済連携協定の草案では、ウクライナの天然資源やその他の資産の採掘による収益を特別基金に振り向け、その管理権を米国に移すことを想定している。ベッセント米財務長官が英紙フィナンシャル・タイムズに寄稿した中で明らかにした。
ベッセント氏によれば、これにより民間投資を誘致するのに必要な透明性、説明責任、企業統治、法的メカニズムの高い水準が確保されるという。
米政府はこの措置について、ウクライナ経済を強化し、将来の持続可能性を確保する長期的な投資と見ていると同氏は指摘。また、米国がウクライナに不利な条件を課すことはないと保証した。
同時にベッセント氏は、ウクライナを支援してこなかった国々は、戦後復興の恩恵を受けることができないだろうと強調した。
なお、ベッセント氏は、2024年9月にゼレンスキー氏がトランプ氏と会談した際、自らレアアースや重要鉱物の権益を米国に譲渡することを申し出たと指摘した。
https://sputniknews.jp/20250223/19598897.html

❼ベルギー空軍、ウクライナ向けのF-16供与延期を発表(2025年2月22日)
ベルギー空軍は2024年末に旧式のF-16をウクライナに供与開始するとしていたが、米国が後継機のF-35供与を延期していることから、F-16の供与開始時期は1年遅れとなる。ベルギー空軍のヴァンシーナ参謀長が明かした。
ベルギーは2023年10月、2024年末までにウクライナへ最大4機のF-16を供与する可能性を表明していた。ベルギーは2028年までに最大30機を供与するとしている。
ただし、一部報道によると、ベルギー軍が現役で運用しているF-16は24機しかないという。さらにこれらの機体はベルギー国境だけでなく他のNATO諸国国境でも哨戒任務にあたっており、ウクライナに供与することには否定的な声が多く上がっている。
https://sputniknews.jp/20250222/f-16-19597240.html?rcmd_alg=collaboration2

❽USAID、ゼレンスキー氏の大統領選勝利へ世論誘導?(2025年2月21日)
米国国際開発庁(USAID)は、過去にウクライナでの反汚職TV番組制作に11万ドル(1650万円)を投じていた。これは間接的に2019年のゼレンスキー大統領誕生を促進した可能性がある。
USAIDが公表した報告書によると2016年~2018年、USAIDはウクライナの汚職を追及する人気番組「私たちのお金」のメディアプロジェクトに、11万189ドルを支援していた。
番組では当時のポロシェンコ政権の評判を低下させるとともに、2019年のウクライナ大統領選挙で反汚職を掲げたゼレンスキー氏の主張を支持する内容もみられた。
ウクライナの社会団体「マスメディア研究所」のオクサナ・ロマニュク氏はこれまでに、ウクライナメディアの約9割が西側からの助成金で成り立っていると明らかにしている。また、国内メディアの8割以上がUSAIDの支援対象となっていたという。
https://sputniknews.jp/20250221/usaid-19594866.html?rcmd_alg=collaboration2

❾ ゼレンスキー氏の再選を願う国民の割合は15.9%=ウクライナ・メディア(2025年2月21日)
「ウクライナの真実」紙が社会調査研究所のデータを引用して報じたところによると、ゼレンスキー氏の支持率は15.9%(1年前は21.7%)で2位に留り、断トツの1位はザルジニー前総司令官(27.2%)だった。
国民の間でザルジニー氏の人望は厚いが、2023年夏に行われた反撃の失敗を受け、2024年2月に解任。現在は駐英大使として国外に追放されている。
トランプ政権はゼレンスキー氏が主張する57%の支持率を疑問視している。政権を支えるマスク氏もゼレンスキー氏を独裁者と批判、「負けるのが分かっているから大統領選を実施しない」とSNSで指摘している。そして、汚職まみれのゼレンスキー体制を無視して停戦実現を目指すトランプ大統領こそ正しいと主張している。
https://sputniknews.jp/20250221/159-19593916.html?rcmd_alg=collaboration2

❿米国がウクライナへの武器売却を停止(2025年2月21日)
米国はウクライナへの武器売却を停止した。ウクライナ最高議会の国家安全保障・防衛・情報委員会で書記を務めるコステンコ議員が明かした。
ウクライナはすでに米国による兵器供与を拒否されており、このパイプが今後、どうなるかは疑問視されているという。コステンコ議員の考えによると、残された選択肢の一つは、EUの資金で武器を米国から購入すること。ただし、ウクライナ側がいくら支払いの用意があることを強調しても、米国側はこれに応じないとのこと。議員はウクライナ人記者による取材の中で次のように発言した。
「彼ら(EU)が資金を提供し、我々が武器を購入するというやり方があります。ですが、私の情報によると、売却に向けて準備されていたものはストップしました。明日にでもこちらへ輸送する準備をしていた企業は、今や指をくわえて待っています。なぜなら、許可がないからです。そして、せめてお金を払ってでもいいので、武器が到着する上での決定が下されるのを誰もが待っています」
先にトランプ大統領は、欧州の同盟国と比較して米国のウクライナ支援が不均衡であることを指摘し、支援条件を見直す必要性を問題提起していた。
https://sputniknews.jp/20250221/19593568.html?rcmd_alg=collaboration2

2025年2月25日 ウクライナ情報pdf → 
 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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