【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.02.28XML:COVID-19プロジェクトを指揮する国防総省は「白紙小切手」を持っている

櫻井春彦

 ドナルド・トランプ米大統領は1月24日、連邦政府内の省庁や機関で監査役を務める監察総監17名を解雇すると発表した。その中には保健福祉省、国防総省、そしてUSAIDも含まれている。本来の役割を果たしていないという理由からだろう。

 アメリカだけの話ではないが、予算の実態は闇の中にある。カネと情報が流れる先に権力は生まれるわけで、予算は権力システムの核だと言える。特に闇が深いのは国防総省や中央情報局(CIA)。CIAが麻薬取引など違法行為で資金を調達していることは公然の秘密だ。

 ベトナム戦争中は東南アジアの山岳地帯、いわゆる「黄金の三角地帯」で生産されるヘロイン、ラテン・アメリカでの工作が激しくなった1980年前後にはその地域で生産されるコカイン、アフガニスタンでの工作が本格化してからはその地域で生産されるヘロインをCIAは資金源にしていた。そうした麻薬を売りさばくのが犯罪組織だ。

 いわゆる「イラン・コントラ事件」ではアメリカの情報機関による武器と麻薬の違法売買が関係していたが、その実態に迫ろうとするジャーナリストもいた。1985年にはAPの記者だったロバート・パリーやブライアン・バーガーはニカラグアの反革命ゲリラ「コントラ」と麻薬取引の関係を記事にしている。コントラを操っていたのはCIAだった。

 この記事に触発されて上院外交委員会の『テロリズム・麻薬・国際的工作小委員会(ジョン・ケリー委員長)』が1986年4月に調査を開始、89年12月に発表された報告書にはコントラと麻薬業者との深い関係が明確に指摘されていた。

 1996年8月にはロサンゼルスのサンノゼ・マーキュリー紙にコカインとコントラの関係を指摘した連載記事『闇の同盟』が掲載される。執筆したゲーリー・ウェッブは1990年にサンフランシスコ地震に関する報道でピューリッツァー賞を受賞している。有力メディアはこの記事を無視したが、公民権運動の指導者や議員が麻薬問題の徹底的な調査をジョン・ドッチCIA長官やジャネット・レノ司法長官らに要求し始めた。

 ジャーナリストが記事にする前、1970年代からロサンゼルス市警の捜査官はCIAによる麻薬売買に気づいていた。1980年代になると市警察は麻薬取引を調査するための特捜隊を編成、実態に迫り、1987年に解散するのだが、その直後からアメリカ司法省は捜査官の税務申告について調べ始め、1990年頃、捜査を担当した警察官は組織から追い出されてしまうが、特捜隊が編成される前に警察官として麻薬の問題を調べていた人物がある集会でジョン・ドッチCIA長官にCIAと麻薬の問題を質問、長官は調査を約束した。

 その調査結果が1998年1月と10月、2度に分けて公表されている。監察総監による報告書、いわゆる『IGレポート』だ。CIAの内部調査だという限界はあるが、10月に出た『第2巻』では、コントラとコカインとの関係を認めている。ウェッブの記事が裏付けられたわけだが、有力メディアのウェッブ攻撃は続き、「自殺」に追い込まれた。

 国防総省の場合、「白紙小切手」を持っていると言われてきた。情報機関と同様、安全保障上の機密ということで実態は不明だったのだが、1990年代の後半には資金の流れが調べられていたと言われている。

 同省の使途不明金や「ジョージ・W・ブッシュ大統領の財布」と呼ばれていたエンロンに関する捜査資料は世界貿易センターの7号館(ソロモン・ブラザース・ビル)に保管されていたが、2001年9月11日、このビルはツインタワーと同じように崩壊、資料は消えた。

 アメリカの政府機関は1991年12月にソ連が消滅して以降、ウクライナに多額の資金を投入してきた。ビクトリア・ヌランドは国務次官補時代の2013年12月、アメリカは1991年からウクライナのエリートを懐柔するために50億ドルを投入したと語っている。

 そして2014年2月、彼女たちネオコンはネオ・ナチのグループを使ってキエフでクーデターを成功させたのだが、それ以降、アメリカの国防総省はウクライナで生物化学兵器の研究開発を進めてきた。この研究開発にはCOVID-19プロジェクトも含まれ、保健福祉省や医薬品メーカーも関係している。それと並行してマネーロンダリングを行っていたと見られている。

 2020年2月4日に保健福祉長官はCBRN(化学、生物、核、放射線)緊急事態に関するふたつの宣言、EUA(緊急使用許可)とPREP法の適用を宣言した。EUAは大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定している。CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用することの許可だ。またPREP法により、付随的損害について誰も法的責任を負わないことが保証されている。

 つまり、COVID-19問題で医薬品メーカーに的を絞ることは間違いであり、国防総省にメスを入れる必要がある。元外交官で、2020年当時にはトランプの弾劾を進めていた下院司法委員会の共同顧問を務めたノーム・アイゼンは今回、トランプによる情報公開作業を妨害しているが、そうしたことがなくても国防総省や情報機関はガードが硬い。そのガードを破らない限り、アメリカを民主化することは不可能である。

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