【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/21:カタストロフィは終わらない

秋嶋亮

原発事故は来月で15年目を迎えるのだが、国民がよく認識しなくてはならないことは、これが「ポスト(その後)と言える段階ではない」ということだ。

宣伝機関化したマスコミは原発事故があたかも収束したかのような報道を繰り返しているが、「原子力緊急事態宣言」は未だ解除されていない。

政府はデブリを回収できるように言うが、そのような技術などあるはずもなく、要するに経済産業省も東電もお手上げであり、絵に描いたような「プロメテウス的落差(科学技術が暴走し制御できない状態)」が進行しているのだ。

それにしても気がかりなのは被災地住民の健康状態である。

御用学者たちは「被害などない!」と口裏合わせるが、これは作話どころか暴論である。崩壊原子炉からはセシウムだけでなく、ストロンチウムやプルトニウムなど超猛毒の核種が膨大に発散されているのだから、健康に影響が出ないはずはないのだ。

かくして3.11以降この国は壮大な「否認主義(都合の悪いことは認めない態度)」の営みなのである。

小児甲状腺ガンの発生率は100万人に1~2人程度だが、被災地では38万人の児童の内約300名がそれと診断されていることも全く問題にされていない。

つまり原発事故を起点に小児甲状腺ガンが数百倍に跳ね上がっているのだが、このような重大な事案も問題圏として扱われていないのだ(子どもは大人よりも放射線の閾値が低く、健康被害が生じて当然なのだが、それについての議論が皆無なのである)。

アメリカのエネルギー省が航空機で被災地をモニタリングした際、チェルノブイリで最も汚染が酷いベラルーシの2倍以上の放射線量が認められたというが、だとすれば政府がやっていることは度し難い「環境レイシズム(核汚染地帯に社会弱者を強制的に住まわせること)」なのだ。

この続きは会員制ブログで購読できます。
http://alisonn.blog106.fc2.com/blog-entry-1451.html


 

★ISF(独立言論フォーラム)「市民記者」募集のお知らせ:来たれ!真実探究&戦争廃絶の志のある仲間たち

※ISF会員登録およびご支援のお願いのチラシ作成しました。ダウンロードはこちらまで。
ISF会員登録のご案内

「独立言論フォーラム(ISF)ご支援のお願い」

秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

ご支援ください。

ISFは市民による独立メディアです。広告に頼らずにすべて市民からの寄付金によって運営されています。皆さまからのご支援をよろしくお願いします!

Most Popular

Recommend

Recommend Movie

columnist

執筆者

一覧へ