【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/22:トランピズムとは何か

秋嶋亮

「ガザはアメリカが所有する」というトランプ発言に世界は震撼したのだ。

なにせ当事国でもない国が火事場泥棒的に介入してパレスチナの領有を宣言するという厚かましさであり、これは近代史にも現代史にも例の無い暴虐なエノンセ(発話行為)なのである。

例えばナチスドイツがオーストリアを併合した際には、「在留ドイツ人の保護」という一応の名分があったのだが、トランプは「ガザは破壊され尽くされ居住不能な場所だから出ていけ」と言うだけで、建前としての大義すらないのだ。

このような無知性ぶりや自己欺瞞にトランプという人物がよく表れているのだが、トランピアン(熱狂的支持者)たちはびくともしないのだ。なぜならトランプ支持とはポリシー(政治立場)ではなくカルト(個人崇拝)であり、それは今や認知的均衡(信念と矛盾する情報を拒否する態度)の世界的な精神運動に発展しているのだ。

別の言い方をすれば、彼らは「トランプは悪の帝国を駆逐し世界を平和に導く救世主である」というブランディング戦略のカモであり、こうなるとトランプのご都合主義的イデオロギーや政策矛盾が全く目に入らなくなるのだ。このように彼の信者たちは物事の真偽や信念の妥当性を検証する知性を自ら放棄しており、つまるところトランピズムとはネオ衆愚主義の別称なのである。

そもそもガザ地区が壊滅状態に陥ったのは、アメリカがイスラエルに武器を援助し紛争を拡大させたことが原因であり、居住不能を理由にパレスチナ人を追放するのであれば、それは全く絵に描いたようなマッチポンプである。

世界的な医学誌「ランセット」によると、パレスチナ人の犠牲者数は、昨年前半までに6万4千人を超えており、そのうち約6割が女性や、未成年や、高齢者だが、食料や医療品の不足や、不衛生による死亡者を合わせると、おそらく犠牲者数は10万人近くに上るだろう。

つまりイスラエル・アメリカ・ドイツ・イギリスの連合は武装組織ではなく一般人(非戦闘員)を主体に攻撃しており、これは事実上の「エスノ・クレンジング(民族浄化)」なのである。現にイスラエルの主要紙は「民族浄化のように見えるなら、それはおそらく民族浄化である」という記事を堂々と(国際社会に憚りなく)掲載しているのだ。

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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