
☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年3月5日):ロシアにとって「最高の日」、ウクライナの「放出」、EUの狼狽: トランプとプーチンの会談に世界のメディアが反応
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
ドナルド・トランプ米大統領とウラジーミル・プーチンロシア大統領。©スプートニク/セルゲイ・グネエフ
ウクライナ情勢をめぐるロシアのプーチン大統領と米国のドナルド・トランプ大統領の歴史的な電話会談は、キエフを冷遇し、米国とEUの関係をひっくり返し、ロシアにとっては大きな外交的勝利であると、複数の国際メディアが議論している。
水曜日(2月12日)、モスクワとワシントンは、両首脳が非常に生産的な90分間の会談をおこなったことを確認した。これは、2022年のウクライナ紛争の激化以来、米国大統領がロシア大統領と交渉する初めてのケースとなる。
電話会談の後、トランプ大統領は、長年ロシアが懸念してきたNATOからウクライナを除外することに「同意する」と示唆した。また、ウクライナが過去10年間にロシアに奪われた領土を全て取り戻すことは「ありそうにない」と示唆した。
トランプ大統領は、ウラジーミル・ゼレンスキーを和平プロセスから「締め出している」との見方を否定し、プーチン大統領との電話会談後に両者が話し合ったことは認めたが、ゼレンスキーはいずれ選挙を実施しなければならないだろうと示唆した。ゼレンスキーの大統領としての任期は2024年5月に終了しており、モスクワは彼を「違法状態にある」とみなしている。
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この電話会談は世界中のメディアに衝撃を与え、これはウクライナとEU諸国への打撃、そしてロシアの勝利だと、ほぼ一様に伝えた。
英国のデイリー・テレグラフ紙は「今や『プーチン-トランプ』時代」と題する記事を掲載し、米大統領が「ウクライナ抜きでウクライナについて語るな」というバイデン政権時代の原則を踏みにじったと主張した。
同紙はさらに、ロシアと米国のチームが実際に交渉を開始したとすれば、「これはプーチンの世界観にとって大きな勝利」であり、「ロシアに代償として奪われた土地を与え、ウクライナを今後数年のうちに2度目の攻撃に対して脆弱な状態にするという厳しい取引」だと付け加えた。
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ニュースメディアポリティコは、トランプとプーチンの電話会談を「ヨーロッパとウクライナが何ヶ月、いや何年も恐れていた瞬間」と表現し、ついに電話会談が実現したが「ウクライナの同盟国は依然として衝撃を受けている」と付け加えた。金融テクノロジー企業ブルームバーグもこれに同調し、情報筋はワシントンの主要同盟国は「交渉について何の通知も受けていなかった」と主張している。
ブルームバーグが報じたところによると、匿名のウクライナ支持者の欧州人は、この電話会談を「裏切り」と呼び、協議が本格的に始まる前に米国はプーチン大統領の主要な要求に屈したと主張した。
CNNは、この新たな対話を「プーチン大統領にとって侵攻以来最高の日」と呼び、この電話会談が分岐点となり、「米国と欧州の関係は今後決して元に戻ることはなくなるだろう」と示唆した。
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トランプ大統領は、「彼の旧友プーチンから譲歩を勝ち取るために使えたはずの交渉の切り札をウクライナ人から奪った」とCNNは主張し、さらに、アメリカ大統領は、ロシアを含む大国が「その地域の影響力の及ぶ領域で拡大主義をとる権利がある」と考えているようだと付け加えた。
ワシントン・ポスト紙によると、この電話会談はプーチン大統領にとって「画期的な出来事」であり、「西側諸国の指導者たちからのほぼ3年にわたる孤立状態」に終止符を打った。同紙は、いかなる和平協定においても、トランプ大統領はロシアが「2022年以降に制圧したウクライナ領土の一部または全部」の支配権をロシアが保持することに同意する可能性が高いと付け加えた。
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フィナンシャル・タイムズ紙は、EUの高官数名の話として、EUの政策立案者らはトランプ大統領が「EUが関与しない和平協定を維持するためにウクライナの復興費用を負担し、そこに軍隊を派遣しなければならないと告げるだろう」と予想していると報じた。
フィナンシャル・タイムズ紙の情報筋の一人は、この難問はEUにとって「真の団結の試練」となるだろうと予測した。「トランプはわれわれを金とみなしている。そして率直に言って、その金と引き換えにわれわれがロシアとの交渉でどんな席が与えられるのかは明確ではない」と彼は同紙に語っている。
ブルームバーグは別の分析で、ウクライナの防衛とEU軍の強化には、今後10年間でEUに3兆1000億ドルの追加費用がかかる可能性があると試算した。
ロシアの新聞コメルサントは結論を急ぐことに対して警告し、電話会談の主なポイントは、今後の協議は「ウクライナ紛争についてだけでなく、その根本原因の除去についても」おこなわれるということだと強調した。
「基本的に、これは新たな『ヤルタ会談』であり、ロシアは少なくとも過去10年間これを主張してきた」とロシア紙コメルサントの記事は述べ、第二次世界大戦後の新たな世界秩序を確立する上で極めて重要だった1945年の会談に言及した。
RIAノーボスチ通信は、トランプ大統領が「ついにゼレンスキー大統領を文字どおり傷つけた」と報じ、同米大統領は本質的に「キエフやブリュッセルの意見にあまり配慮しない」というシグナルを送ったと主張した。
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2025年3月5日)「ロシアにとって「最高の日」、ウクライナの「放出」、EUの狼狽: トランプとプーチンの会談に世界のメディアが反応」
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また英文原稿はこちらです⇒’Best day’ for Russia, ‘sell-out’ of Ukraine and EU dismay: Global media reacts to Trump-Putin call
歴史的な会談はキエフの支持者たちに衝撃を与え、同時に和平合意の見通しはさらに「厳しくなった」と、欧米メディアは論じている。
出典:RT 2025年2月13日
https://www.rt.com/news/612649-best-day-for-russia-sell/