
【櫻井ジャーナル】2025.03.06XML: ウクライナでは停戦を望むトランプだが、ガザではイスラエルによる虐殺を支援
国際政治イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は2月4日にドナルド・トランプ米大統領の招待でホワイト・ハウスを訪れて会談したが、その際、トランプがネタニヤフが座ろうとしていた椅子を引いてサポートする様子を撮影した映像が世界に発信され、ウェイターのようだと話題になった。ウォロディミル・ゼレンスキーとの口論とは全く違う。
ウクライナでの戦闘やCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動の問題ではジョー・バイデンやバラク・オバマ政権の闇にメスを入れようとしているトランプ大統領だが、イスラエルによるパレスチナ人虐殺の問題では民主党政権と同じようにイスラエルと連携している。
イスラエル軍によるガザでの住民虐殺は2023年10月7日に始まったのだが、その前からイスラエルは挑発を続けていた。例えば、2023年4月1日にイスラエルの警察官がイスラム世界で第3番目の聖地だとされているアル・アクサ・モスクの入口でパレスチナ人男性を射殺、4月5日にはイスラエルの警官隊がそのモスクへ突入、ユダヤ教の祭りであるヨム・キプール(贖罪の日/昨年は9月24日から25日)の前夜にはイスラエル軍に守られた約400人のユダヤ人が同じモスクを襲撃、さらにユダヤ教の「仮庵の祭り」(昨年は9月29日から10月6日)に合わせて10月3日にはイスラエル軍に保護されながら832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入している。ハマスを中心とする武装グループがイスラエルを攻撃したのはその直後、10月7日のこと。その攻撃は「アル・アクサの洪水」と名付けられた。
ネタニヤフ政権は停戦を第2段階へ進めることを望んでいない。その先には永続的な平和とガザからのイスラエル軍撤退があるからだと言われている。
イスラエルはガザを再び包囲、アメリカ政府の支援ですべての物資がガザへ運び込めないようにしている。人道支援物資も運び入れることができない。パレスチナ人に対する兵糧攻めが強化されている。
イスラエル支持という点でトランプも民主党も変わりはない。イギリスのキア・スターマー首相は親イスラエルを公言、妻ビクトリア・アレキサンダーの家族がユダヤ系だということをアピールしてきた。イギリスでパレスチナ人虐殺を批判した労働党のジェレミー・コービンは有力メディアから「反ユダヤ主義者」だと激しく攻撃され、党首の座から引摺り下ろされた。
欧米でシオニストを批判することは難しいのだが、シオニストの一派であるネオコンはここにきて力が弱まっている。トランプからの攻撃で風前の灯だが、そのトランプもイスラエルを盲目的に支持している。シオニスト全体が弱体化しているわけではない。
トランプに多額の資金を提供してきたシェルドン・アデルソンはラスベガス(ネバダ州)、ベスレヘム(ペンシルベニア州)、さらにマカオ(中国)、マリナ湾(シンガポール)でカジノを経営、日本にもカジノを作らせるように要求していた。この人物は2021年1月に死亡したが、妻のミリアムもトランプに対する大口スポンサーだ。シェルドンはネタニヤフと関係が深く、生前、イランに核兵器を使用することを提案していた。ミリアムは1億ドルの選挙資金を寄付する代償として、イスラエルによるヨルダン川西岸の正式な併合を認めるように求めていた。
アル・カイダ系武装集団ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)が昨年12月8日にシリアの首都ダマスカスを制圧、バシャール・アル・アサド政権は倒された後、イスラエル軍がシリアへ軍事侵攻、シリアの防衛システムの大半を破壊、ゴラン高原の占領地域を拡大、シリア南部に対する激しい空爆を展開している。イスラエルとハマスは1月15日にガザでのに合意、その協定は19日に発効したのだが、すでに本格的な戦闘が再開されそうな雲行きだ。
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「ウクライナでは停戦を望むトランプだが、ガザではイスラエルによる虐殺を支援」(2025.03.06XML)
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