【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年3月 9日 (日) 高額療養費改悪凍結に騙されるな

植草一秀

石破首相が高額療養費制度改悪凍結を表明した。

衆院予算審議終盤で凍結を表明すれば立民の手柄になる。

これを避けた。

参院に審議が移り、石破首相が高額療養費制度改悪凍結を訴える団体幹部と面会。

これを受けて凍結を表明した。

石破首相がポイントを上げたとの演出が施された。

2025年度の制度改悪は見送られた。

しかし、重大な点を見落としてはならない。

今秋までに議論の結論を示すとしたこと。

制度改悪が消滅したのではない。

今夏に参院選があるから、参院選前は制度改悪を引き下げておくということに過ぎない。

石破内閣が存続するなら参院選後に改悪が決定される可能性が高い。

したがって、高額療養費制度を参院選争点にする必要がある。

制度改悪の是非を問う選挙。

各政党は公約を明示する必要がある。

〈制度改変を行わない〉のか〈制度改変を行う〉のか。

〈制度改変を行う〉ことは国民の命綱を切るということ。

テレビ朝日「報道ステーション」の大越健介氏は最悪のMC。

「野党は財源を明示すべき」と主張。

財務省の御用聞きでしかない。

直近4年間で国税収入は12.6兆円も増加。

1年間の税収が12.6兆円も増加したのだ。

1回限りのものでない。

根雪となって1年につき12.6兆円の増収が入り続ける。

馬鹿げたことを口にするべきでない。

2020年度から政府は放蕩三昧の狂気の財政運営を続けてきた。

4年間で154兆円の散財を行った。

このときに財源論を主張した者が一人でもいたか。

大越健介氏は、なぜ、154兆円の補正予算での財政支出拡大の際に〈財源論〉を主張しなかったのか。

財務省が連絡してくる内容を右から左に流しているだけだと推察される。

4年で154兆円の財政支出追加は全額を新規国債の発行で賄った。

財政赤字を増やして154兆円の財政拡張=放蕩三昧を実行した。

放蕩三昧の財政支出と国民の命をつなぎとめる財政支出のどちらが大事なのか。

高額療養費制度を維持するために財源が必要になるなら国債を発行すればよい。

しかし、1年で12.6兆円もの税収増があるからその必要はゼロだ。

どうでもいい利権まみれの補助金を出すときには全額を国債発行で賄い、国民の命綱を守る財政支出を検討する際には国債以外の財源が必要というのは本末転倒。

しかし、石破内閣が維持されれば、高額療養費制度改悪が強行されることになる。

選挙前だから〈凍結〉を示したに過ぎない。

選挙が終われば〈凍結〉などなかったかのように制度改悪論議が強行される。

〈秋までに結論を得る〉としているのだから、選挙が終われば制度改悪に突き進むと宣言しているに等しい。

しかし、衆議院で自公は過半数を割っている。

野党が結束して制度改悪に反対すれば制度改悪を阻止できる。

しかし、衆議院で維新は高額療養費制度改悪を含む予算案に賛成した。

さらに国民医療費4兆円削減の方針にも賛成した。

今秋以降、自公維が制度改悪を牽引すると制度改悪は強行される。

したがって、今夏の参院選で高額療養費制度についての公約を各党に明示させ、制度改悪を目指す政党を完膚なきまでに敗北させなければならない。

2025年度予算での制度改悪が凍結されたからと言ってまったく安心できない。

この問題の天王山が参院選後になる。

制度改悪を推進する勢力を参院選で完敗させることが必要だ。

※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年3月 9日 (日)「高額療養費改悪凍結に騙されるな」
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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