
【櫻井ジャーナル】2025.03.17XML: ロシアとの戦争に執着する大英金融帝国
国際政治ウクライナを舞台にした戦闘でロシアが勝利したことは明白である。ロシアにはNATO/ウクライナと話し合う意味がないものの、ウクライナや西側諸国は停戦を実現して態勢を立て直す時間が欲しいはずだ。自分たちの好戦的な政策が破綻したことを人びとに気付かれたくないということもあるだろう。
アメリカをはじめとするNATO諸国は2014年から8年かけて反クーデター派の人びとが生活するドンバスの周辺に要塞線を築き、本格的な攻撃の準備が整った2022年にロシア軍が一歩早く攻撃を開始、そこから戦況はロシアが優勢なまま現在に至っている。要塞線はマリウポリ、ソレダル、マリインカ、アウディーウカの地下要塞が軸になっていたが、2024年2月までに全て陥落。この時点でNATO/ウクライナの敗北は決定的だった。
ネオ・ナチを使ったクーデターでNATO諸国は2014年2月22日、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すことに成功するが、軍や治安機関の中にはネオ・ナチ体制に反発する人も少なくなかったようで、約7割が離脱し、一部は半クーデター軍に合流したと言われている。そのためクーデター軍は反クーデター軍に太刀打ちできず、ドンバスでは包囲されて壊滅寸前だった。そうした事態を救ったのが2014年のミンスク1と15年のミンスク2にほかならない。アメリカのドナルド・トランプ政権はロシア政府に対し、「即時暫定30日間停戦」を求めたが、これはミンスク3にしか見えない。ロシア政府は一時的な停戦でなく戦争の恒久的な平和を求めている。
2013年11月にユーロマイダンで始まったカーニバル的な集まりで人を集めるところからネオコンのクーデター工作は始まった。2014年に入るとステパン・バンデラを信奉するネオ・ナチのグループが前面に現れて様相は一変、2月に入るとそのメンバーはチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ始め、さらにトラクターやトラックを持ち出し、2月中旬になると広場で無差別の狙撃を始めた。
狙撃を指揮したのはネオ・ナチのアンドレイ・パルビーだということがのちに判明、2月25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相もネオ・ナチが実行した可能性が高いと報告している。その報告をEUの外務安全保障政策上級代表(外相)を務めていたキャサリン・アシュトンは封印した。
しかし、狙撃が始まる前、EU諸国は話し合いでウクライナの戦乱を話し合いで解決しようとしていたようだ。2014年2月上旬、バラク・オバマ政権で国務次官補を務めていたビクトリア・ヌランドがウクライナ駐在アメリカ大使のジェオフリー・パイアットとクーデター後の閣僚人事について電話で話し合ったいる音声が漏れたのだが、その中でヌランドは「EUなんかくそくらえ」と口にしている。この発言について「品のない言葉」で誤魔化そうとする人もいたが、EUがキエフの混乱を話し合いで解決しようとしていたことに対する怒りだった。ヌランドは暴力的にヤヌコビッチを排除したかったと見られている。実際、そうしたことになった。
その後、EUやNATOのロシアに対する姿勢が好戦的になっていく。その象徴的な存在が欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(ドイツ人)、EU外務安全保障政策上級代表のカヤ・カラス(エストニア人)、ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相、NATOのマルク・ルッテ事務総長(オランダ人)などだろう。
しかし、ヨーロッパにおける好戦的な言動の中心はイギリスだ。この国ではエリザベス1世の時代(1533年から1603年)に「ブリティッシュ・イスラエル主義」なる信仰が出現、シオニズムを産み出した。その信仰のベースには、アングロ・サクソンが「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だという神話がある。この信仰は帝国主義を正当化する思想的な基盤にもなった。
19世紀に入ると、イギリスには強い反ロシア感情を持つ有力政治家が現れた。19世紀前半に首相や外相として暗躍したヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)だ。
彼はロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなし、「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ポーランドをロシアとドイツの間の障壁として復活させる計画を立てていた。
またパーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を始めた。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナー、ウィンストン・チャーチルらが引き継ぐ。その経済的な基盤は金融資本であり、大英帝国は金融帝国として今でも生きている。
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「ロシアとの戦争に執着する大英金融帝国 」(2025.03.17XML)
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