【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年3月15日):ポール・クレイグ・ロバーツ「トランプ大統領はイスラエルの操り人形なのか?」

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

読者の皆様、私は政権を握っている政府に責任を負わせる、という方針を続けている。その結果、民主党と共和党、リベラル左派と保守派の両方を怒らせてしまった。このウェブサイトが存続するには、読者の支持が必要だ。このウェブサイトは、他のウェブサイトとは異なり、USAIDやその他の連邦政府機関や省庁から助成金を受けていない。ロックフェラー財団やフォード財団、ビル・ゲイツ、ジョージ・ソロスは私を好意的に見ていない。

トランプ大統領はイスラエルの操り人形なのか?

トランプ大統領は、MAGAの米国民の利益と同じくらいイスラエルの利益を気にしていることをあらゆる形で示している。トランプのイスラエルに対するうんざりするような屈従は、国内政策の邪魔をする他の反対派に対処できるようになるまで、イスラエル圧力団体の攻撃を遠ざけるための戦略である、という希望を私は表明してきた。私はまだこの希望を抱いているが、トランプ政権がイスラエルを批判から守るために憲法で保護された言論の自由を犠牲にしたことで、その希望は揺らいでいる。

先週の金曜日(3月7日)、エポックタイムズ紙は、トランプ政権が反ユダヤ主義の疑惑に対処しなかったためコロンビア大学への連邦補助金4億ドルを取りやめた、と報じた。トランプ政権の「反ユダヤ主義対策合同対策委員会」は、司法省や教育省、保健省、人的資源省、一般調達局で構成されている。この対策委員会の委員はイスラエルに気に入られる立場にあり、政権を終えた後によく知られた地位に就くことは容易である。

トランプのこの対策委員会が言う「反ユダヤ主義」とは何を意味するのか。それはイスラエルによるパレスチナ破壊に対する抗議を意味する。イスラエルの戦争犯罪がいかに恐ろしいものであろうと、また国際刑事裁判所がネタニヤフを起訴したとしても、イスラエルが加害者であるとして、学生や教員が大量虐殺や大量殺人に抗議することは「反ユダヤ主義」である。他の国に対して抗議するのは構わないが、イスラエルに対してはダメだ、というのだ。

イスラエルの行動に対する抗議は、コロンビア大学のユダヤ人学生に対する嫌がらせや迫害と同一視されている。この同一視は、ユダヤ系米国民は米国ではなくイスラエルに共感している、ということを暗示している。米国民が英国に対して抗議すると、英国からの移民は嫌がらせや迫害を感じるだろうか? トランプ大統領は、イスラエルに対する抗議を「違法な抗議」と決めつけた。言い換えれば、イスラエルが標的である場合の言論の自由の行使は反ユダヤ的であるため違法である、とトランプは言っているのだ。抗議者は、米国民やロシア国民、中国国民、イスラム教徒、パレスチナ人について何を言っても構わないが、イスラエル人についてはそうではない、というのだ。

トランプはイスラエル国民と米国のユダヤ系国民を混同している点でも罪を犯している。もしトランプがイスラエルの基準をすべての民族に適用すれば、いかなる政府によるいかなる行動に対しても誰も批判したり抗議したりすることができなくなるだろう。

トランプは「違法な抗議活動を認める単科大学や学校、大学への連邦資金援助はすべて停止される。扇動者は投獄されるか、出身国に永久送還される。米国民学生は永久追放されるか、犯罪内容によっては逮捕される」と宣言した。トランプはこの措置が(国教の樹立を禁止し、宗教や表現、報道の自由、集会や請願の自由を保障する)憲法修正第1条になぜ引っかからないのか説明しなかった。彼の命令はブラック・ライブズ・マター運動や反ファシスト運動、LGBTQ抗議活動にも適用されるのだろうか?

トランプ大統領や司法省、その他の省庁は、イスラエルによるパレスチナ人大量虐殺に抗議するために憲法で保護された権利が使われた場合、その権利を犯罪化することになることを認識しているのだろうか?米国では、イスラエル人が加害者であるとして大量虐殺に抗議することは違法となるのだろうか?

裕福な私立大学であるコロンビア大学が、米国納税者から4億ドルを受け取っていたことに驚いた。しかし、4億ドルは氷山の一角に過ぎないことも判明した。エポックタイムズ紙は、コロンビア大学が「約50億ドルの連邦政府助成金を保有している」と報じている。

これはコロンビア大学にとっても大金だ。この金銭脅迫に対し、大学当局はトランプ政権による憲法修正第1条の破壊を受け入れ、すぐにトランプ政権に同調した。コロンビア大学は、大学当局は「反ユダヤ主義との戦いに全力を尽くす」と発表し、「反ユダヤ主義と戦うために新連邦政府と引き続き協力していくことを楽しみにしている」と述べた。

トランプとその支持者たちは、言論の自由を抑圧することと「米国を再び偉大にする」ことの間にある明白な矛盾を認識していない。

米国の偉大さは専制政治から生まれたのではない。米国の偉大さは合衆国憲法で保障された公民権にある。トランプ政権により憲法修正第1条が攻撃されているのを見ると失望するしかない。

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2025年3月15日)「ポール・クレイグ・ロバーツ「トランプ大統領はイスラエルの操り人形なのか?」」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-3060.html
からの転載であることをお断りします。

また英文原稿はこちらです⇒Is President Trump an Israeli Puppet?
March 10, 2025、PCR
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身ブログ 2025年3月10日
https://www.paulcraigroberts.org/2025/03/10/is-president-trump-an-israeli-puppet/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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