【連載】真田信秋の多事争論

連載:日米合同委員会廃絶・抗議街宣(2)真田信秋

真田信秋

真田信秋の新連載「日米合同委員会廃絶・抗議街宣」が始まります。掲載は毎週土曜日になります。


 

甲斐正康、川口智也主催 日米合同委員会廃絶・抗議街宣
日米合同委員会は無効である 我々は独立を宣言する

□はじめに 無効な日米合同委員会を解体する
・立ち上がる主体的国民 最初の一歩の重要性

2024年2月1日、通称ニュー山王ホテル前において、日米合同委員会に反対する抗議街宣が執り行われた。主催者は甲斐正康さんと、川口智也さんのふたりである。このふたりの呼びかけに応じ、抗議文に対する賛同者は24人。一水会代表の木村三浩さん、植草一秀先生、小林興起元衆議院議員、池田としえ日野市議会議員などが名を連ねた。要求内容の詳細については、第一章で賛同者一覧とともに、甲斐さんの了承を得ているため、要求文をそのまま掲載させて頂く。第1回目のデモの当日は50人ほどが、ニュー山王ホテルの対岸の狭い歩道に参集した。緊張感の中にも熱気が感じられた素晴らしい集まりだった。

「ニュー山王ホテル」は、ホテルとは言っても、列記とした米軍の軍事施設であり、正式名称は「ニュー山王米軍センター」と言い、米軍の重要拠点とされている施設である。霞が関にある外務省と、このニュー山王米軍センターで、月に二回、交互に日米合同委員会が開催されていると言われているが、実態は定かではない。開催日について、反ジャーナリストの高橋清隆さんが外務省に情報公開請求をかけていたが開示されなかった。

我々は、基本的にデモの開催日を、日米合同委員会が開催されていると言われている木曜日に設定してきたが、日米合同委員会の開催が確認できた日はなく、完全に秘密裏に行われていると言える。

この日米合同委員会と、これが開催されているニュー山王米軍センターこそ、米軍による日本支配の象徴的存在であり、今まで誰も面と向かって抵抗と、拒否の姿勢を表してこなかった存在である。だからこそ、最初に日本支配の象徴的存在である日米合同委員会が開催されている本拠地・ニュー山王米軍センターに抗議街宣をしかけるという着想を得て、実際に、この運動を実行に移した甲斐さんと川口さんの行為は大変な偉業なのである。

日本においては、日米合同委員会という名前すら、知る人ぞ知る存在であり、日本が米国(米軍)の属国状態、植民地状態である事実とともに、日米合同委員会の存在と、その影響力は日本人に隠された状態にある。だからこそ、この存在を明らかにするための行動と、この支配構造に拒否(NO)の意思を表明することが何よりも重要である。山本太郎議員に、日本はアメリカの属国かと問われた当時の総理大臣・岸田文雄は、日本は属国ではないと答えていた。しかし、日米合同委員会が日本を支配している現状、私は日本政府のことを、「売国傀儡政府」と呼ぶことにしている。私たちの国は、自分たちの国の事を、何一つ自分たちで決めることができない。属国と呼ぶほかないではないか。

はっきりとは覚えていないが、記念すべき第一回のデモが開催された日は寒い日だった記憶である。ニュー山王米軍センター前は、午前中たいてい日当たりが悪く冷え込みやすい。それだけではなく、米軍施設前ということで特別な警戒態勢がしかれ、デモを行う我々を、常に同等数以上の警察官や公安関係職員と思しき人間が取り囲むことが通例であり、一種独特の雰囲気がある。首相官邸前や国会前よりも警備が厳重になる。この国では、国会や首相官邸よりニュー山王米軍センターが重要だという証拠である。

通行する人や周辺住民に迷惑が掛からないように、また何らかの偶発的な事件や事故を未然に防ぐという警察の表向きの警備自体は悪いものではない。通行人に邪魔にならないように、ポールでデモの参加者を封じ込めるように囲むことも一定の必然性があり、デモの参加者も周囲の住民に迷惑を極力かけないようにする必要性を理解している。しかし、私たちはデモを警備する警察官たちが、それだけではなく、宗主国である米国からの命令によって特別な警戒態勢を敷いているように感じることがある。また仮に、米軍側から細かい命令が出ていなかったとしても、過去からの通例として、日本の警察側が過剰に忖度をして、必要以上に厳しい警備をしいているように見受けられることも度々あった。そのような警察によるデモ参加者への過剰と思わるような威嚇姿勢は、イスラエル大使館前のデモでも同様である。

特に一回目のデモの日は、通常のデモとは異なるひんやりとした緊張感があった。「ニュー山王米軍センター前でデモをすることは危険なのではないか」という思いが参加した人々の中に多少なりとも存在していた。そのような発言をする登壇者もいたが、甲斐さんや川口さんは、過剰な恐怖心を掻き立てる言葉を明るく打ち消す発言をしてくれていた。そして、それから私たちは、何度もデモを重ねているが、私たちは今、現在も生きている。甲斐さんや川口さんの発言が正しく、自称自衛隊出身者の発言が、的を得ていなかったのだと思われる。

恐いから何もしない。面倒だから何も言わない。そういう態度が国民全体に蔓延して、今の支配体制を永続化させている。日本が独立を成し遂げるためには、石橋湛山のような気骨をもった日本人を一人でも多く増やすしかない。だからこそ、私は2024年1月に「日本国独立宣言論 私は独立を宣言する」という書籍をしたためた。この本を書きあげたばかりの私に対して、甲斐さんらが日米合同委員会廃絶デモの一回目開催を2月1日に行うことを、高橋清隆さんが教えてくださったことから、私はこのデモに関わることになった。

甲斐さんらは「日米合同委員会抗議街宣」と呼んでいるが、私は、「日米合同委員会廃絶デモ」と呼んでいる。初回デモに先立って公開された抗議文に名を連ねたISF独立言論フォーラム代表理事(編集長)の木村朗・元鹿児島大学教授は、私の呼び方「日米合同委員会廃絶デモ」という呼び方で、このデモのことを記憶してくれている。

私は、日米合同委員会というイカサマな存在に対して、反対の意思を表明するとか、抗議の意思を表明するとかいう言葉で対峙するよりも、日米合同委員会という日本の支配システムそのものを廃絶、解体する対象と考えて対峙することが良いと思っている。よって、初めて参加した一回目の演説において、日米合同委員会が無効であることを指摘し、その無効性を双方の交渉や協議によって争うのではなく、無効であるから争いの対象にすらならない。純粋に無効であることを言い渡すという主張をさせて頂いたのである。甲斐さんも同じ気持ちを持ってくれていると思っている。そのためあえて、本書の表紙にも「日米合同委員会は無効である」と書くことにした。そして、「我々は独立を宣言する」という言葉も書き添えた。デモでご一緒させて頂いたナオライオンさんが、気に入ってくれたのは、我々が独立を宣言するにあたり、誰の承認も必要としないという私の考え方である。独立するかしないかは、私たち、日本人の気持ちひとつであることを私は強調したい。

甲斐さんは一回目のデモで、右とか左とかの言い争いは米軍に出て行ってもらってからやりましょう。対米従属から脱することは右も左も関係なく、日本人として全員が合意できることだろうというような言葉から、デモを始めた。この言葉は重要な言葉なので、今後も繰り返し伝える意味があるのではないかと改めて私は思っている。

甲斐さんの言葉や考え方は、分断統治されている我々、日本人を統合するような考え方であると私は感じた。仲の良い夫婦ですら考えが違う。いろいろな環境で育ってきた個々人の考え方が違って当たり前。それでも、同じ日本人であれば、日本が独立するということにおいては共通項として共闘ができるはずだという、当たり前の考え方を披露してくれたのである。至極もっともな考え方である。私にもまったく異論がない。そもそも私は自分を右とも左とも色付けしていない。サルサ岩渕さんも同じである。

しかし、この当たり前の共通項の設定ができないのが、戦後の日本のプロレス政治家たちだった。その意味で、私は現状の国会にも地方議会にも議員たちにも、正直うんざりしている。議員よりも公務員よりも主権者である我々国民の方がうえ。まったく問題解決をせずに、日本を貶めている官僚と政治家たちより、国や自治体に依存せず自分たちで生きている生活者の方がよっぽど立派で素晴らしい。そして、ひとりひとりの主権者として活動している個々人の方が尊いのである。713人も存在している国会議員の誰一人として、日米合同委員会廃絶デモに参加しない。国会議員経験者として参加してくださったのは小林興起さんだけである。日本のためにリスクを取った行動ができない国会議員よりも、甲斐さん、川口さん、我々の方が立派な主権者なのである。

2024年9月4日の「ガーベラの風」主催の国会議員会館における集会において、私が説明させて頂いたように、日本は民主主義国家ではない。日本では民主制が機能していない。日本だけではなく、ほとんどの国(ほぼ全ての国々)は正式な民主制国家ではない。そのため私は、これを「偽装民主主義、偽装民主制」と呼んでいる。そうすると、私たち自身は、主権者になれておらず、「偽装主権者状態」にあると言える。そして、日米合同委員会という存在を一般国民が気づいていないのと同じで、自分たちが偽装民主主義国家の偽装主権者であることに気づいていない国民が大半なのである。

私は、「日本国独立宣言論 私は独立を宣言する」において、主権者を全ての国民ではなく主体的国民として、本来、主権者である国民が保持している正当な権限を行使する人間であると定義している。甲斐正康さん、川口智也さんによる日米合同委員会の廃止を訴える運動の発起は、まさに、主体的国民としての行動の発露であると私は感じ、2024年2月1日から基本的に可能な限り行動をともにさせて頂いている。日米合同委員会廃絶デモに参加する主要メンバーは同じ気持ちであると思われる。

私の言う「日本国独立宣言」という方法論は、主体的国民による個々の独立宣言や行動が積み重なることによって、自ずと、この国が真の独立を達成することができるという考え方に基づいている。逆の言い方をすれば、主権者ひとりひとりの独立宣言なくして、器(うつわ)としての国の独立宣言がなされても、何の意味もないという考えに基づいている。その証左として、戦後から80年たった今も、私たちの国は、実質的に国際カルトのフロント組織である米国・米軍に支配され続けているのだ。

密約に密約を重ね、嘘に嘘を重ねた日米合同委員会は無効であるが、明治維新から続く日本の為政者たちが、積極的従属(共謀)をすることによって、日米合同委員会の命令が有効であるかのように見繕い日米合同委員会という支配システムを有効化している。よって、我々が独立宣言を突きつける相手は、米国だけではなく、それに従属して敗戦利得を得ている日本の支配者層、そしてそれらを操っている国際カルトである。そして独立宣言は自分自身に対する約束でもあり、自分の精神を解き放つものでもある。

この国は、相変わらず売国傀儡国家のままであり、全ての主要メディアは生まれた時から腐ったままである。日本の置かれている状況は、日に日に悪くなっているようにも思える。既存政党は全て操り人形のプロレス団体であり、投票したい政党など存在しない。いくつかの新政党が生まれても状況に大差はない。口だけで国民を騙しているにすぎない。しかし、自らの意思で独立を宣言した者は、個人の独立を達成し、心の自由を得ることができると私は感じている。そして、甲斐正康さんや川口智也さんのように、自分が信じる行動に打ちこむことができると私は考えている。

2024年2月1日から始まった日米合同委員会廃絶デモの動きは、いろいろ人と思いを繋いでいる。思想の枠を超えて、年齢の枠を超えて、生まれや生い立ちを超えて、繋がるべき人は必ず自然と繋がるようにできている。本書で、私は自説をこれ以上論じることや歴史の解釈などを新たに記載はしない。それらの内容は既に公開している書籍でふれているし、現在執筆中の「徹底的不服従主義」に関する書籍でも新たに記すつもりである。

本書は、純粋に、甲斐さん、川口さんの公式な要求文と、日米合同委員会廃絶デモと、これに関連した主権者権限行使デモに参加した仲間の演説内容を公開するものである。これらの要求文と演説内容によって、この国の主権者国民が理解すべき事実は十分に整理されていると考えている。そして、また本書は、私を自由な生き方に導いてくれた甲斐さんと川口さん、そしていつも一緒に活動している仲間の思考と活動の記録を行うものである。真田信秋

次ページに2024年活動の記録、主要な参加者を一覧にする。


 

<連載:日米合同委員会廃絶・抗議街宣 真田信秋は、毎週土曜日に公開します。>

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真田信秋 真田信秋

真田信秋 ニコニコ動画、ニコニコチャンネルを中心に、多事総論チャンネルを展開中。 1977年生まれ、和歌山県田辺市出身。2004年より東京在住。 地方行政機関、民間企業10社以上の幅広い参画歴を持つ。 アマゾンキンドルにて電子書籍も公開している。 コロナ茶番前より医学不要論に習い、2017年10月より薬を一切飲んでいない。 ますます悪化する属国状態を憂え、国民、一人一人が独立宣言を行うことの結果として、国民総意の独立宣言を行う「日本国独立宣言」を唱えている。 独立言論フォーラム一般会員、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)、日本列島100万人プロジェクトの趣旨に賛同するものである。

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