【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.03.22XML: ブラックロックの元重役、メルツ独首相が選挙公約に背いて多額の負債

櫻井春彦

 アメリカのネオコンが仕掛けたロシアとの戦争をイギリス政府だけでなく、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランドの政府はそれを継続しようとしている。ドイツの新首相、フリードリヒ・メルツは選挙公約を投げ捨て、ロシアとの戦争を続けるために多額の負債を国民に追わせることを決めた。

 勿論、こうした国の他にもロシアとの戦争へ向かっている国がある。そのひとつが2023年4月にNATO加盟国になったフィンランド。フィンランドのNATO加盟に対抗するため、ロシアはレニングラード軍管区を編成した。

 当時、同国の大統領だったサウリ・ニーニストはロシアに対する敵対的な発言をしている事で知られているが、現大統領のアレクサンデル・ストゥブは「国際法の範囲内」という条件付きで、西側諸国から提供された武器でウクライナ軍がロシア領土を攻撃することに問題はないと語る。そのストゥブはウクライナへの武器供給政策の拡大を提唱している。フィンランドという国自体が反ロシアになっているように見える。EUの外務安全保障政策上級代表を務めるエストニア人のカヤ・カラスもロシアとの戦争を望んでいる。

 ところで、メルツはアンゲラ・メルケルのライバルだった政治家だったが、2004年にはメイヤー・ブラウン法律事務所の上級顧問に就任した起業弁護士でもある。2009年には政界から身を引き、大企業の重役を務めているのだが、そうした会社のひとつがブラックロック・ドイツ。2016年から20年にかけて監査役を務めている。

 ブラックロックは「闇の銀行」のひとつ。「闇の銀行」とは銀行のような規制は受けない巨大金融機関で、メディアやシリコンバレーのハイテク企業を含むアメリカの主要500社の9割近くを支配している。

 ブラックロックを率いるラリー・フィンクはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも関係が深い。ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントである可能性が高いことは本ブログでも書いてきた。MI6はシティ、つまりイギリスの金融界と関係が深い機関だ。

 ウクライナは兵器のほか「復興資金」を西側政府から提供されているが、その資金の使い道に関してアドバイスしているのがブラックロックだという。​ゼレンスキーはブラックロックのほか、JPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にあることを明らかにしている​。メルツはこうした金融資本の手先であり、2021年に政界へ舞い戻った。

 メルツもアンナレーナ・ベアボックと同じようにドイツを破壊しようとしている。2013年11月から14年2月にかけてウクライナで実行されたクーデターでロシアから天然ガスをヨーロッパへ運ぶパイプラインがアメリカに抑えられ、2022年9月にはウクライナを迂回してロシアからドイツへ天然ガスを運ぶ「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」が爆破された。ジョー・バイデン政権の犯行だった可能性が高い。

 クーデターによってビクトル・ヤヌコビッチ政権は2014年2月、ネオ・ナチによるクーデターで倒された。そのネオ・ナチを操っていたのはアメリカのバラク・オバマ政権にほかならない。ウクライナにネオコンの傀儡国家を築き、その傀儡国家をNATOが飲み込むことでロシアを軍事的に威圧すると同時にヨーロッパとロシアを分断しようとしたのだ。

 ヨーロッパとロシアは天然ガスで結びつきを強めていた。安価なロシア産天然ガスはヨーロッパ経済を支えていたのだ。ロシアからヨーロッパへ天然ガスを輸送するためにパイプラインが使われているが、その多くがウクライナを経由していたのだ。

 アメリカのネオコンはウクライナを制圧することでドイツから安価な天然ガスの供給元を潰し、ロシアからヨーロッパという巨大マーケットを奪う予定だったと見られているが、ロシアは中国との関係が強化されて今では戦略的な同盟関係にある。またロシア国内から外国資本が撤退したため、国内産業が成長している。苦境に陥ったのはヨーロッパである。

 それだけでなく、ドイツでは軍がアメリカの命令通りに動いている。​ロシアのメディア、RTのマルガリータ・シモニャン編集長はドイツ空軍のインゴ・ゲルハルツ総監や作戦担当参謀次長のフランク・グレーフェ准将、そして連邦軍宇宙本部の2名による会話を録音した38分間の音声記録を公開している​。その会話は2月19日に行われたという。宇宙本部の人間は2月21日にウクライナを訪れ、ロシア本土への攻撃準備についても話し合ったとされている。

 その4名はクリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア橋(ケルチ橋)の爆破について話し合っている。ドイツ国防省は会話がどのように記録されたかを調査を開始、ドイツ国内で録音を聞けないようにブロックしていることから音声は本物である可能性が高い。この話し合いは長距離ミサイル「タウルスKEPD 350」のウクライナへの供給に絡んで行われたものだ。ドイツ軍はネオコンの命令に従い、ドイツの社会や経済を破壊しようとしている。

 ドイツの自動車メーカー、​フォルクスワーゲンもロシアとの関係を強め、2015年9月にはロシアで年間15万基のエンジンを生産する能力がある新工場を始動させた​。ロシアとの関係を断てというアメリカから命令を無視したのだ。その​フォルクスワーゲンが排ガス規制を不正に回避するためのソフトウエアを一部の自動車に搭載させたとアメリカの環境保護局はその直後に発表した​。

 ​昨年10月、フォルクスワーゲンの経営者は従業員代表に対し、ドイツ国内の少なくとも3工場を閉鎖する意向を伝えた​という。すでにアメリカがドイツの自動車メーカーを呑み込もうとしているが、中国の自動車会社もドイツの工場に興味を示しているようだ。

 フランスの経済界もロシアとの関係を維持しようとしていた。例えば大手石油会社トタルもアメリカからの圧力を押し返し、ロシアとの取り引きを拡大していた。キエフでのクーデターから5カ月後には、トタルの会長兼CEOだったクリストフ・ド・マルジェリが石油取引をドルで決済する必要はないと主張、ユーロの役割を高めれば良いとしていた。その3カ月後の2014年10月、ド・マルジェリはモスクワ・ブヌコボ空港で事故死している。

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