【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.03.25XML:問題山積の大阪万博ではCOVID-19プロジェクトと同様、個人情報を集め、監視へ

櫻井春彦

「問題山積の大阪万博ではCOVID-19プロジェクトと同様、個人情報を集め、監視へ」(2025.03.25XML)
からの転載であることをお断りします。
 4月13日から大阪の夢洲で「2025年 日本国際博覧会」が開催されるのだが、さまざまな問題が指摘されてきた。

 夢洲は産業廃棄物処理場として利用されていた埋立地のために地盤が軟弱。そうした場所であることからメタンガスが発生しやすく、引火事故が懸念されていた。実際、昨年3月には建設現場で爆発火災があった。

 そうした場所だということもあり、工事が大幅に遅れて開幕日で完成しない建築物もあるようだ。大阪万博では「健康管理」という名目で個人の生体情報を集めるということも行われると建築家の山本理顕は指摘している。

 万博終了後に夢洲ではカジノを含むIR(特定複合観光施設)施設を建設する計画なのだが、その計画に資金を投入する口実として万博を開催するのではないかとも言われていた。

 日本におけるカジノ建設で需要な役割を果たしたのはユダヤ系の富豪であるシェルドン・アデルソン。2021年1月11日に死亡、遺体は14日にイスラエルへ運ばれ、埋葬された。

 生前、彼はアメリカのラスベガス(ネバダ州)、ベスレヘム(ペンシルベニア州)、さらにマカオ(中国)、マリナ湾(シンガポール)でカジノを経営する一方、アメリカの現大統領であるドナルド・トランプのスポンサーであり、​イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と親しくしていた。2013年10月に彼はイランを核攻撃で脅すべきだと語っている​。

 核攻撃発言から間もない2013年11月にアデルソンは来日、自民党幹事長代行だった細田博之と会った際、東京の台場エリアで複合リゾート施設、つまりカジノを作るという構想を模型やスライドを使って説明している。日本では2010年4月に「国際観光産業振興議員連盟(IR議連)」が発足していたが、このグループが動き、カジノ解禁を含めたIRを整備するための法案が国会に提出された。

 アデルソンはカジノ計画を2020年の東京オリンピックに間に合わせて実現するつもりで、14年2月に日本へ100億ドルを投資したいと語ったという。

 アデルソンは単にカジノを経営したかっただけではないという見方もある。ラスベガス、マカオ、モナコといったカジノのある場所はタックスヘイブン(租税回避地)と関係があり、地下経済と地上経済を資金が移動する役割も果たしている。出所のわからない多額の資金が動くカジノはマネーロンダリングの拠点として好ましい環境にある。

 アデルソンの要望に対する日本側の動きが鈍かったため、2014年5月に来日したネタニヤフ首相は日本政府の高官に対し、アデルソンへカジノのライセンスを速やかに出すよう求めたとイスラエルのハーレツ紙が2015年2月5日付け紙面で伝えた。(この記事をハーレツ紙はすぐに削除している。)

 スイス、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、ベルギー、モナコなどがタックス・ヘイブンとして昔から知られているが、1970年代に金融緩和が進み始めると状況が変わる。ロンドンの金融街(シティ)を中心とするネットワークが整備されていくのだ。カネの流れは変わった。

 そのネットワークはかつての大英帝国をつなぐもので、ジャージー島、ガーンジー島、マン島、ケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島、タークス・アンド・カイコス諸島、ジブラルタル、バハマ、香港、シンガポール、ドバイ、アイルランドなどが含まれている。

 しかし、21世紀に入ると状況はさらに変化。アメリカが最大のオフショア市場/タックスヘイブンになった。​ロスチャイルド家の金融持株会社であるロスチャイルド社のアンドリュー・ペニーが2015年9月、サンフランシスコ湾を望むある法律事務所で税金を避ける手段について講演した際、税金を払いたくないなら財産をアメリカへ移すように顧客へアドバイスするべきだと語ったという。​アメリカこそが最善のタックス・ヘイブンだというわけである。ペニーはアメリカのネバダ、ワイオミング、サウスダコタなどへ銀行口座を移動させるべきだと主張、ロスチャイルドはネバダのレノへ移しているという。

 人間の生体情報を集め、監視するというアイデアの背景には2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」で示された「SDGs(持続可能な開発目標)」がある。この行動計画を実現するため、デジタルIDの導入が進められることになったのだ。日本政府が推進してきた住民基本台帳ネットワークやマイナンバーカードもその一種だ。マイナンバーカードを健康保険証や運転免許証と一体化させるのもそうし戦略に沿ってのことだろう。生体情報を集中管理できれば、臓器移植にも利用されるはずだ。

 デジタルIDはチップ化され、それを体内にインプラントする計画がある。例えば​WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演し、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している​。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えている。その一方、人口の削減を見据え、AIロボットの開発を進めている。

 1970年代から電子技術は急速に進歩、それに合わせて情報機関は電子的な監視技術を発展させてきた。アメリカの場合、技術の研究開発で中心的な役割を果たしてきたのは国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)プロジェクトでも重要な役割を果たしている。

 拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』でも書いたことだが、DARPAで開発されていたTIA(総合情報認識)では個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆる個人データが収集、分析されていた。

 2001年9月にはMATRIXと名づけられた監視システムの存在が報じられた。これはフロリダ州を拠点とするシーズント社が開発したもので、スーパー・コンピュータを使い、膨大な量のデータを分析して「潜在的テロリスト」を見つけ出すことを目的にしていた。

 どのような傾向の本を買い、借りるのか、どのようなタイプの音楽を聞くのか、どのような絵画を好むのか、どのようなドラマを見るのか、あるいは交友関係はどうなっているのかなどを調べ、個人の性格や思想を洗い出そうとしたのだ。図書館や書籍購入の電子化、スマートテレビの普及などと無縁ではない。

 勿論、インターネット上でのアクセス状況も監視されている。街中に張り巡らされた監視カメラもこうした種類のシステムに繋げられる。顔認証で追跡することも可能だ。

 アメリカの国防総省にはCIFA(対諜報分野活動)というデータ収集活動があった。TALON(脅威地域監視通告)というデータベースに情報を記録、このデータを分析することで情報活動をモニターし、将来の脅威を見通すのだという。TALONは2007年9月に中止されたとされているが、事実かどうかは不明である。(William D. Hartung, “Prophets Of War”, Nation Books, 2011)

 アメリカの電子情報機関はNSAだが、CIAにも電子情報活動を行う部門がある。NSAの姉妹組織としてイギリスのGCHQがあり、このNSAとGCHQを中心としてアングロ・サクソン系5カ国はUKUSAを組織している。そのUKUSAとイスラエルの電子情報機関8200部隊は緊密な関係にある。

 この8200部隊は「民間企業」を設立し、情報活動に利用してきた。いわば「企業舎弟」だ。そうした企業のひとつであるサイバーリーズンは8200部隊の「元隊員」3名によって2012年に設立された。重要なインフラへのサイバー攻撃からの防御を謳っているが、攻撃側ではないかという疑惑があるのだ。

 問題が山積みの大阪万博で、負の遺産を残す可能性が高いと言われているのだが、責任の所在が明確でない。失敗を見越してそうした仕組みにしたのかもしれないが、ここにきて石破茂首相は万博の成功は政府の責任だと言い始めた。国民に尻拭いさせるつもりだ。

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