【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年3月23日):支持率を維持するためにトランプが画策している「暫定停戦」「希少資源」の交渉国の無人機を撃墜 – ロシア防衛省

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

トランプはトランプゲーム参加者として、すべてのカードを卓上に置いておきたい、と考えている。EUは、まやかしの姿を見せているが、最終的にはトランプが賞品を獲得できるようにしている。

クルスクでの冒険に関する多くの大西洋主義者の期待が悪化し続けているこの週に、私たちはウクライナ紛争をめぐる報道機関による曲芸のような報道を次々と目撃し続けている。ウクライナの「永続的な」平和を明らかに懸念しているトランプ、ロシア連邦を「脅威」である、と分類することに固執する「ヨーロッパ」、EU諸国と連携しているが交渉開始にはより乗り気であるように見えるゼレンスキー、ヨーロッパ全体を代表して「プーチンは信用できない」と述べるマクロン、軍事費の大幅な増加を主張するフォン・デア・ライエン、そしてホワイトハウスでの屈辱的な光景の後、最終的に数日後にクルスクでの冒険で決定的な敗北を喫した後、即時停戦の提案を受け入れるに至ったリヤドのウクライナ代表団など、一見対照的であるこれらの物語はすべて、完璧に調和したお互いを補完する動きだった。まるで、トランプがひと組のトランプカードを配ったかのようだ。

これらがどのように絡み合っているかを理解するには、これらの物語の最後の部分、つまりサウジアラビアでの交渉の茶番劇から考察を始めるのが最善の方法である。ロシア連邦の立場と願望に賛成するか否かに関わらず、「特別軍事作戦」と呼ばれる作戦の目的が何であるかは誰にとっても秘密ではない。それは、ウクライナを非武装化し、非ナチ化し、軍事的に無力化し、NATOへの統合を阻止し、ユーロマイダンの軍事政変後に記録された外国人排斥の迫害からロシア国民を保護することにある。

しかしながら、ロシアは対話の道を開くことを躊躇したことは一度もない。それは、米国代表団と協議するためにサウジアラビアを訪れた際に示されたことだ。ロシアは、その性格上、言葉を濁したり、駆け引きをしたり、煙幕を張ったりすることはなかった。ロシアは、脆弱で一時的な解決策の交渉をするつもりはなく、ロシア連邦の安全保障上の懸念を考慮した堅固で永続的な合意のみを交渉するつもりであることを明確にしていた。この状況は変わっていない。現在、主要報道機関は、ロシアが停戦を受け入れるための要求一覧を作成した、と報じている。

それにもかかわらず、マルコ・ルビオは、有名な「レアアース」をめぐってウクライナ代表団と合意を交渉し、米国によるその採掘を確実なものにした後、その進展はロシア連邦に対する具体的な提案の対象となるだろう、と耳を傾ける者すべてに語った。その口調は明白で、米国がこの調停協議全体の結果に期待しているということを人々に信じ込ませることが狙いだった。本当にそうだろうか?

ロシア連邦の話に戻り、次の質問をしよう。モスクワ軍がクルスク地域で圧倒的かつ屈辱的な勝利を収めた時になされた即時停戦の提案は、ロシア代表団のどの程度の好みにかなうだろうか。クレムリンが頻繁に強調してきた目的のどれかが保証されるだろうか。即時停戦から、ウクライナがロシア側の要求をすべて受け入れると推論できるだろうか。そして、紛争で主導的な立場にあるロシア連邦が、停戦でそれをすべて放棄する、ということは信じられるだろうか。特に、発表されたこととは反対に、米国は実際にはウクライナへの武器や諜報の供給を一度も止めていないのに。

主流報道機関で我々全員が耳にしたように、マルコ・ルビオはジャーナリストに対し、ウクライナへの武器供給が再開された、と伝えた。これは、実際には供給が停止されたことはなかったことを意味する。この2日間という時間では、必要な官僚的な時間制限を考慮すると、供給停止の実現は不可能である。したがって、米国がキエフ軍への武器供給を停止せず、逆に再開したとすれば、これはロシア連邦にどのような信号を送ることになるだろうか? 彼らが交渉を望んでいるという信号か? 彼らが誠意を持って行動しているという信号か? 彼らがウクライナ側に交渉を受け入れるよう圧力をかけることに本当に関心があるという信号か?

私にはそうは思えない。むしろ、伝えられる伝達内容はその逆、つまり停戦はキエフ政権が再編成し、軍を統合し、再軍備するために役立つ、と取られても仕方がない。そうでないとしたら、停戦案を議論している段階で、実際には一度も停止されたことのない供給を再開する目的は何なのだろうか。これはロシアにどんな伝言を送ることになるのだろうか。米国は戦争を止めたいが、武器の供給は止めたくない、ということなのだろうか。少なくとも、そんなやり口は矛盾しており、一見して無意味だ。

したがって、この現実を踏まえると、ロシア連邦が即時停戦の提案を受け入れることはまったく信じられない。ラブロフ外相は、クレムリンはもはや「純真さ」に左右されない、とすでに何度も述べていることに留意していただきたい。これらすべての要素を考慮して、米国からの提案が本気であり、ホワイトハウスの意図が本気である、と想定することが受け入れられるかどうか自問する必要がある。すべての情報を入手できる彼らが、ロシア連邦が、何の保証も提供されず、ウクライナ側への武器供給を継続しながら、この種の提案を難なく受け入れる、とどうして信じることができるのだろうか。プーチン大統領の顧問であるウシャコフが述べたように、クレムリンは「一瞬」ではなく、永続的な平和に関心があるのだから。

ロシア側が受け入れないという状況は、特にウクライナ側が最初から受け入れる用意がない要求を提示された後には、非常にあり得ることだ。たとえ外交上の理由から、ロシア側の拒否は、他の当事者との決定的な距離を正当化しないよう、十分な注意を払って表明されたとしても、である。これは、ロシアの代表者が、何が議題に上がっているか、ホワイトハウスの真意、そして米国国内での利用のために、停戦提案の不受理がクレムリンをさらに悪者にするために利用される可能性を知らない、ということを意味するものではない。今の時代、ロシアとその代表者にとって、そんなことはほとんど問題にならないだろう。

実際、トランプとその取り巻きが米国民に、ロシア連邦は何も譲歩したくないし、何も譲歩したくない、したがって「紛争を直ちに停止する」ことには関心がない、と発言するのは前例のない話ではない。もし米国内でこの言説が機能するのであれば、地上の力関係という物質的な観点から見れば、軍事的に優位な立場にあるロシア側が、なぜ自分の意図を譲歩するのだろうか?特にロシア側は、紛争の「単なる終結」は望んでおらず、この「終結」には根本的な問題の解決が伴わなければならない、と常に述べてきたのだから。

ロシアのこの立場は、当初は「ウクライナが戦争に勝っている」、「ロシアは戦場で敗北するだろう」と言い、後には「紛争は膠着状態にある」、あるいはすでにトランプ政権下では「双方とも負けており、ロシアはすでに百万人の兵士を失っている」と言っている喧伝広報に酔っている欧米人には、とんでもないことにしか思えないだろう。当初から、この戦争は西側にとって負け戦になるだろうと知っていた人たちにとっては、たとえ全員が負ける状況、つまり核ハルマゲドンで終わらない限り、クレムリンが目的を諦めないのは驚くに当たらない。なぜなら、情勢を考えれば、交渉で目的を達成できなくても、戦場では達成できるからだ。

国内消費と、西側諸国の人々を混乱させ、納得させるための曲芸の話に戻ろう。ロシア連邦が予想どおりその野望を頑なに貫く状況では、トランプは国民の前で使う切り札として、彼の「未開発」鉱物資源に関する「合意」を必要とするだろう、と私は思う。結局のところ、記録された鉱物埋蔵量に関する知識を考慮すると、物質的な効果が極めて限られている合意に、これほどの重要性が与えられる理由は他に何があるだろうか?キエフ政権が支配する領土には、その地域に存在する鉱物埋蔵量はすでにロシアの所有物であるか、ロシア連邦が「占領」していると見なされる領土にあるため、非常に重要な鉱物埋蔵量は含まれていないことを考えると、米国側がなぜ一握りの無価値なものにこれほど重点を置くのだろうか?

この、ホワイトハウスが鉱物協定に与えた重要性は、この合意がドナルド・トランプ率いる新政権にとって国内での切り札となるという事実によって説明される。ロシアは米国が保証するのが難しい要求を予想どおりに拒否または提示した後、事業家としてウクライナ事業を継続するためには、トランプには少なくとも2つの論点が必要である。1. ロシアやウクライナ自身、あるいはヨーロッパでさえも、「トランプ大統領」からの「合理的で誠実で寛大な」提案を受け入れなかったため、合意を目指して譲歩したくないのだ、と米国民を説得すること。2. 「トランプ大統領」がウクライナ側と鉱物協定を結び、過去または将来の前払い額を米国に利子付きで支払うことを保証しているため、ウクライナへの支出の維持が保護されている、ということ、だ。

言い換えれば、ロシアが和平を望まなかったり、ウクライナが和平を受け入れなかったり、ヨーロッパが和平を拒否したりしても、トランプは、戦争を終わらせるためにあらゆることをしたが成功しなかった、とMAGAの人々に納得させるのに必要な切り札を常に持っていることになる。しかし、たとえ成功しなかったとしても、彼は米国がこの状況によって損害を受けないようにするだろう。そしてこうすることでトランプは、ウクライナ問題から抜け出そうが、そこに留まろうが、自分はその責任を負っていない、いずれにせよ、費用の大部分を補う「貴重な」鉱物資源への道筋を保証されているのだから、と言うことができる。戦争は続くのだろうか?答えは、はい!だ。しかし、トランプは、それは自分のせいではなく、バイデンとは違って、支出した費用を納税者に補償する方法を見つけた、と言うことができるだろう。もちろん、これは誤りである。米国の多国籍企業がキエフ政権の所有下でどれほどの資産を横領したかは誰もが知っている。

もしこれが事実なら、そして私はそうなるだろうと思うが、少なくともトランプは、どちらかの側に優雅に逃げることができる幅広い選択肢を持ちたい、と思っているだろう。いずれにせよ、彼はウクライナだけでなく、欧州連合やその他の「同盟諸国」にも武器を売り続けるだろう。彼はその状況を手放したくないだろう。もし彼が望む条件で紛争が終結すれば、トランプはウクライナの鉱物資源に頼るだろう。それはウクライナとの武器取引の終了と米国がウクライナに貸したすべての資金をほぼ補うことになるだろう。

したがって、これがゼレンスキーとの、不確かな鉱物協定の二重の役割である。この協定は、いかなる状況においても議論による強化を可能にする。この協定は、戦争が終わるか米国が撤退した場合には過去の金額の支払いを保証し、戦争が続く場合には将来の金額の支払いを保証する。米国民の前では、トランプは常に優位に立つだろう。

したがって、トランプにとって、すべては、米国民に正当性を与える、同等に有利な幅広い選択肢を自由に使えるようにすることに帰着するようだ。しかし、この戦略にうまく適合しないものがある。その疑問とは、ウクライナに「レアアース」の埋蔵量が知られていないという事実であり、他の鉱物資源を考慮しても、最大かつ最も価値のある埋蔵量は、ロシアが自国領とみなしている地域、つまりドンバスにある。それゆえ、ウクライナへの武器流入の維持と関連して、またロシアが停戦提案から距離を置いていることも考え合わせて、停戦の意図にはトランプ大統領の隠し球がさらにもうひとつないのか、を疑問視する必要がある。

切り札の話が好きな人間としては、この動きは本気の参加者の動きのように思える。ロシア連邦が停戦、あるいは紛争地域を分割するいかなる提案も受け入れず、この地域で最大かつ最も価値のある鉱物資源の少なくとも一部への米国の近接を保証しない場合、米国は米国の有権者の前でクレムリンをさらに悪者にするだけでなく、戦争の継続や武器の販売、そして少なくとも部分的にドンバスを奪還するという野望(これは幻想であることはわかっている)の試みを正当化し、ゼレンスキー一味と結んだ鉱物協定を実際に実行することができる。

言い換えれば、ウクライナ側が保有するわずかな埋蔵量に関する疑惑が確認された場合、鉱物協定の実質的な効果は、ロシア連邦がウクライナ側の要求する譲歩を通じて、ウクライナ側が保有する、あるいは保有しようとしている土地の分割交渉に同意した場合、あるいは、ロシアが受け入れないと予想されるように、それが実現しなかった場合、ウクライナ側に忠誠を誓う勢力がこれらの土地の一部を再征服した場合にのみ生じる。これらの状況のいずれかが確認されない限り、最初から、鉱物協定は国内消費の切り札にすぎない。いずれにせよ、米国は常に勝つ。米国は、ロシアが譲歩すれば(領土譲歩を通じて和平を買う)、また、より多くの武器を購入することになるので、ロシアに勝ち、ロシアが譲歩しなければ、ウクライナに、そしていかなる状況でも軍事化の道を歩み続けるヨーロッパにも勝てる。

したがって、実際には、ゼレンスキーは、将来の収益の約束を通じて、戦争継続に必要な支持を獲得し、ロシアに紛争の30日間の休止に同意させようとしている、と私は考えたくなる。この休止は、あまり変化をもたらさないものの、西側が間接的にロシア連邦に構築させた戦争機構を少なくとも一時的に停止させることになるだろう。彼らはまた、停戦の拒否を利用して、今回は戦闘の終了と紛争の封じ込めを拒否しているのはウクライナではなくロシアであるという情報を広め、ロシアの同盟諸国の一部を遠ざけようとするかもしれない。これは、ロシアを交渉の卓に引き出すための、トランプが使えるもう一つの切り札となるだろう。

トランプは、こうした策略を通じて、さらなる制裁や国際的孤立、そしてウクライナへの武器供給(供給再開はまさにそのとおり)でロシアを脅迫し、鉱物資源のある領土の譲歩を得ることを期待している。ロシアはそのような状況に引きずり込まれるだろうか?私にはそうは思えないが、トランプの考えでは、これは大いに納得がいくだろう。しかし、どこかで、マルコ・ルビオが述べた「ロシアも負けている」という理論、そしてロシアも紛争を止めることに関心があるという理論が当てはまり、必死なのはウクライナ側だけでなくロシア側もだ、ということを伝えようとしている。

こうしたことが起き、トランプがこれらすべての選択肢を開いている一方で、我々はブリュッセルでのピーター・ヘグゼスの言葉にも注意深く耳を傾けなければならない。ルビオとトランプの論調が、ウクライナ紛争を直ちに止める必要がある、という方向に揺れ動いているとすれば、彼らが表面的に、そしてロシアが懸命に戦ってきた保証を提示することなくそうするつもりであることが今になってようやく分かったのだが(ロシアは繰り返しウクライナのNATO加盟を拒否すると述べている)、その一方でヘグゼスの論調は、ヨーロッパが防衛を引き受け、紛争の責任を取り、迫りくる脅威に自ら立ち向かう必要がある、という方向に向けられている。その脅威が何であるかは言うまでもない。

これら2つの言説を組み合わせると、全体像が見えてくる。また、ヨーロッパの行動とトランプの願望の間に矛盾があるように見えるものが、実際にはまったく矛盾ではなく、むしろその逆であることも理解できる。トランプをウクライナの軍事崩壊をもたらした一種の悪魔と見なし、欧州連合は、現地の実際の状況を 3年間ヨーロッパから隠した後、今度はトランプ政権の悪魔化を、キエフ政権の神聖化に対する対抗手段として利用している。キエフ政権は今やトランプと手を組んでいる。明らかに「和解不可能な」悪循環に陥っている。

事実は、ロシア連邦との交渉や、ウクライナ戦争を終わらせるという意図(少なくとも表明され、今では単純な「停戦」に具体化されている)に関してトランプ政権が採用した戦略に対してEUの「指導者」が表明した抵抗と拒絶は、EU自体が下した実際の決定と甚だしく矛盾しており、一見矛盾する言説から信じられる以上に、これらの「新しい」米国の願望に沿った決定となっている。ピーター・ヘグゼスはブリュッセルで、ヨーロッパが大西洋同盟諸国の肩からウクライナの重荷を取り除く(「荷を下ろす」)時が来た、と皆が聞く耳を持つように再度述べた。そうすれば、同盟諸国は米国だけが立ち向かうことができ、また立ち向かうことに関心を持っている、さらに大きな課題に立ち向かうことができるのだ。

したがって、欧州連合の「指導者」によるトランプに対する一種の陰謀を仕掛けているように見せるこの見せかけの曲芸を、表面的な面を超えて深く分析すると、ある意味では、EUは米国の覇権戦略に同調し続けており、それはトランプ主義の下でも終わらなかったことがわかる。米国の「離脱」に直面した欧州連合は、米国に課せられた責任を要求する代わりに、ピーター・ヘグゼスが伝えた言説に即座に同調し、欧州諸国民の願望に反して、米国側からの離脱提案を自発的に受け入れ、ホワイトハウスが表明した命令に従い始め、欧州連合の軍事化にすべてを賭けた。トランプに「離脱」の見返りとして、ますます時代遅れになりつつあるNATOの枠組み内での欧州の支出の急激な増加を保証した、ということだ。

明らかに、そして見かけに反して、熱烈なフォン・デア・ライエンの欧州連合は、トランプの野望と衝突するどころか、ウクライナの惨事に関する彼の任務を手助けしている。あたかもその役割は彼の任務を手助けし、本質的なことから注意をそらすのを助けることであるかのように。EUはトランプから注意をそらし、米国の重荷を引き受け、太平洋への冒険のために彼らを解放する。これらすべては、新政権に対して非常に怒っているように見えながら、その行動が米国の覇権的戦略的必要性に収束するようにあらゆることをおこなっている。

EUは、計画の資金提供と欧州の軍備支出の増加を前提として、トランプが先ほど述べた選択肢を維持できるようにしている。トランプが紛争に留まる場合、ロシアやウクライナ、または欧州の強硬姿勢を正当化できる。離脱したい場合、トランプはEUとウクライナに武器を売り、紛争が終結しても、トランプは常に、欧州の防衛資金の増加で、紛争から得られる利益を利子付きで保証する。また、紛争が彼の条件で終結した場合、現在ロシア連邦が保有している鉱物の一部も保証する。米国は、どんな選択肢があろうと、決して負けることはない。少なくとも私は、これがトランプの願望だと信じている。この願望は、ロシアが脅迫されたり、ロシア自身の犠牲で米国が勝者となる状況に引きずり込まれたりすることは非常に難しいという事実と衝突する。ロシア側がそのような絶望状態にあるとは思えない。それどころか、ウクライナ側と欧州連合の側には絶望があり、トランプは彼らから首を切ることになるだろう。

したがって、トランプの取り巻きが「大統領はこの問題を終わらせたい」と言っているのと、そうでないのとでは、私たちは明確に区別しなければならない。すべては見た目の問題であり、「終わらせる」ということは、起こったことに対して責任を負わないことを意味する。したがって、ロシアやウクライナ、EU、またはバイデンを非難することで、トランプは、少なくとも彼の(国の力を信奉する)マキャベリ的な考え方では、この紛争から優雅に抜け出すための幅広い切り札を自由に使えることになる。トランプが紛争から抜け出すということは、紛争が続かないことや、米国がそこに武器を送り続けないことを意味するわけではない。一方、トランプは、何が起ころうと、常に清潔な状態で抜け出し、たとえそれが仮想的なものであれ将来のものであったとしても、支持者に提示する利益を持って出て、交渉の失敗を「正当化」しようとする。

トランプはトランプゲーム参加者として、すべてのカードを卓上に置いておきたい、と考えている。EUは、まやかしの姿を見せているが、トランプが最終的な賞品を獲得できるようにしている。

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2025年3月26日)「支持率を維持するためにトランプが画策している「暫定停戦」「希少資源」の交渉」
http://tmmethod.blog.fc2.com/
からの転載であることをお断りします。

また英文原稿はこちらです⇒The trump cards that Trump thinks he has on the Ukrainian issue
筆者:ヒューゴ・ディオニシオ(Hugo Dionísio)
出典:Strategic Culture Foundation 2025年3月16日
https://strategic-culture.su/news/2025/03/16/trump-cards-that-trump-thinks-he-has-on-ukrainian-issue/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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