【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年4月 1日 (火) サックス教授の欧州議会講演

植草一秀

米コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が2月19日に欧州議会で講演した。

テーマは「アメリカ一極化の破綻と新たな道拓く独自外交」。

長周新聞が前編、後編の二つに分けて日本語訳講演全編を公開しているので参照されたい。

https://x.gd/TtkNq

https://x.gd/ERA6b

サックス氏は米ソ冷戦終結から30年余にわたって欧州諸国やソ連、ロシアの経済アドバイザーを務めた経験を有する。

これらの経験を踏まえ、ウクライナ戦争、ガザ戦争、そしてトランプ再登場によって混乱する世界情勢についての解説と政策提言を示した。

サックス氏は冷戦終結後の1990年代以降の〈米国一極支配〉が完全に破綻したことを指摘し、欧州に対して米国追従の戦争政策を転換し、ロシアや中国を含む国々と独自の平和的外交関係を再構築する必要性を訴えた。

サックス氏の南米、ポーランド、ロシアなどにおける過去の活動に対する評価は分かれるところ。

グローバル巨大資本とのつながを指摘される側面がある。

しかし、サックス氏が語った米国一極支配政策とその破綻に関する解説は正鵠を射る。

本ブログ、メルマガで2022年2月24日のウクライナ戦乱拡大以降、ウクライナ問題についての見解を記述してきたが、サックス氏の解説は本ブログ・メルマガの記述と整合的な内容である。

2022年2月のウクライナ戦乱拡大は、一般に〈領土的野心に基づくロシアの軍事侵攻〉と報じられてきた。

グローバル資本が支配するメディアがこう伝えた。

しかし、この説明は根本的に間違っている。

そもそも、この日に戦争が始まったものでない。

この日以前にウクライナ東部で内戦が繰り広げられていた。

その東部の内戦が拡大・発展したものである。

サックス氏は

「バイデンの交渉拒否によって、ウクライナ戦争は2022年2月に〈激化〉した。」

と述べる。

重要なことは戦乱拡大に至る前、ロシアのプーチン大統領がバイデンに対して現実的な平和解決のための提案を示したこと。

サックス氏は講演で以下の事実経過を明らかにした。

「2021年末、プーチンはアメリカとの関係において、最後の協議の機会を提案した。

彼は、ヨーロッパ向けとアメリカ向けの二つの安全保障協定案を示し、そのうちロシア・アメリカ間の草案を2021年12月15日に正式に提示した。

その後、私はホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンと1時間、電話で会談した。」

「私は

「ジェイク、戦争を回避してほしい。戦争は避けられる。アメリカが“ウクライナにまでNATOは拡大しない”といえば、それだけで戦争は防げる」

と懇願した。

彼はこう答えた。

「ああ、NATOはウクライナに拡大しない。心配することはない」。

私は

「ジェイク、それを公に発表してくれ」

と頼んだが、彼は

「いや、公にはいえない」

と答えた。

「実際には起こらないことで戦争をするつもりなのか?」

と尋ねると、彼は

「心配するな、ジェフ。戦争にはならないから」

といった。

――その翌月、何が起こったかは周知の通りだ。」

ウクライナの政権を転覆し、ウクライナの戦争を引き起こしたのは米国である。

強く非難されるべきは米国であってロシアではない。

この基本を見誤ってはならない。

※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年4月 1日 (火)「サックス教授の欧州議会講演」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2025/04/post-1c2e31.html

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メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」
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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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