
【櫻井ジャーナル】2025.04.06XML: ウクライナをめぐる米露の交渉を妨害し、両国を軍事衝突へと導く欧米の好戦派
国際政治ウクライナを舞台としたNATO諸国とロシアとの戦闘はロシアの勝利が確定的である。この事実を西側の支配勢力も否定できず、メディアによる宣伝で隠せなくなっている。そこで敗北の責任をウクライナ軍に押し付けようとしはじめたが、実際はNATOの将軍たちがウクライナ軍に押し付けた無理な作戦でウクライナは壊滅的な状態になっているのだ。
そうした状況の中、アメリカのドナルド・トランプ大統領はロシアのウラジミル・プーチン大統領とウクライナを舞台とした戦闘を終わらせようと話し合いを続けているが、戦況が自分たちにとって有利なロシアは急いでいない。それだけでなくロシアは西側から何度も煮湯を飲まされてきた。ロシア側が西側に求めているのは停戦でなく降伏だろう。
1991年12月にソ連が消滅する直前、同年8月にウクライナ議会は民意に問うことなくソ連からの独立を宣言したのだが、この年の3月にソ連全土で実施された国民投票で、ウクライナは71%がソ連残留に賛成している。ソ連時代に政治的な思惑からウクライナへロシアから割譲された東部や南部の住民はウクライナ議会の独立宣言後、自治権の要求、あるいはウクライナからの独立を求めている。ソ連を解体し、ロシアを弱体化させるため、アメリカをはじめとする西側諸国はウクライナの独立を認める一方、ウクライナの東部や南部の人びとの意思は無視した。
西部は1939年にソ連へ編入され、人口の60パーセントがロシア人であるクリミアは54年にウクライナ生まれのニキータ・フルシチョフがロシアとコサックの協定300周年記念の一環としてウクライナへ与えたのだ。ドンバスを含む東部もソ連時代にロシアからウクライナへ割譲されている。最も後でロシアからウクライナへ割譲されたクリミアには自分たちをロシア人だと考える人が多く、1992年2月にクリミア議会が同地域を「クリミア共和国」と改名、5月にはウクライナからの独立を宣言している。ウクライナの独立宣言を認めた西側諸国はクリミアの独立宣言を認めなかった。
ロシアの弱体化を目論む西側の勢力はウクライナを均一の国であるかのように主張するが、実際は違う。故ヘンリー・キッシンジャー元国務長官は2014年3月5日付けワシントンポスト紙で書いたように、ウクライナは複雑な歴史と多言語多文化他宗教の国である。キッシンジャーが指摘しているように、こうした国で一方が他方を支配しようとすれば内戦または分裂につながる。
キッシンジャーの論説はキエフのユーロマイダンを中心に展開されたネオ・ナチのクーデターを受けてのもの。そのクーデターは2013年11月に始まった。
2014年に入ってから前面に出てきたステパン・バンデラを信奉するネオ・ナチのグループは2月に入るとチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ始め、さらにトラクターやトラックを持ち出す。2月中旬になると広場で無差別の狙撃を始めた。
狙撃を指揮したのはネオ・ナチのアンドレイ・パルビーだということがのちに判明、2月25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相もネオ・ナチが実行した可能性が高いと報告している。その報告をEUの外務安全保障政策上級代表(外相)を務めていたキャサリン・アシュトンは封印した。
狙撃が始まる前、EU諸国は話し合いでウクライナの戦乱を話し合いで解決しようとしていたようだが、2014年2月上旬、バラク・オバマ政権で国務次官補を務めていたビクトリア・ヌランドはそうしたEUに対し、「くそくらえ」と罵倒する。ヌランドは暴力的にヤヌコビッチを排除したかったのだ。
こうしたキエフのクーデターを知ったクリミアの住民はロシアとの一体化を決める。2014年3月16日にクリミアで実施された住民投票でロシアへの編入に賛成した人の比率は96.77%、投票率は83%だった。
南部のオデッサでは5月2日にネオ・ナチの一団がクーデターに反対していた住民を虐殺、東部のドネツクとルガンスクでは5月11日に住民投票が実施されている。ドネツクは自治を、ルガンスクは独立の是非が問われ、ドネツクでは89%が自治に賛成、ルガンスクでは96%が独立に賛成しているのだが、クーデター政権やその黒幕である西側諸国はその結果を拒否し、ロシア政府も救いの手を差し伸べない。そして内戦が始まった。
ウクライナ全体ではクーデター体制に対する反発は強く、軍や治安機関では約7割が離脱、その一部はドネツクとルガンスクの反クーデター軍に合流したと言われている。そこで当初は反クーデター軍が優勢だった。クーデターを仕掛けた西側諸国はクーデター政権の戦力を増強するために時間が必要になる。
そうした中、ドイツやフランスが仲介する形で停戦交渉が始まり、2014年には「ミンスク1」、15年いは「ミンスク2」が締結されるのだが、キエフ政権は合意に関係なく東部や南部を攻撃し続けた。のちにアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領はこの合意がキエフのクーデター体制の軍事力を強化するための時間稼ぎだったと認めている。
ミンスク1から8年間、西側諸国はキエフのクーデター軍を増強した。兵器を供与して兵士を訓練、さらに「ヒトラーユーゲント」的なプロジェクトで年少者をネオ・ナチの戦闘員へ育て、マリウポリ、ソレダル、マリインカ、アウディーウカには地下要塞を建設、それらを結ぶ要塞線を構築した。そして2022年に入るとキエフ政権は東部地域に対する砲撃を激化させるのだが、キエフ軍が本格的な攻撃を始める直前、戦争準備のできていなかったロシア軍がウクライナへの攻撃を始めた。
これ以降、一貫してロシア軍が優勢で、ロシアとウクライナは停戦で合意、仮調印もしているのだが、2022年4月9日、イギリスの首相だったボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込んでロシアとの停戦交渉を止めるように命令(ココやココ)。4月30日にはナンシー・ペロシ米下院議長が下院議員団を率いてウクライナを訪問、ゼレンスキー大統領に対してウクライナへの「支援継続」を誓い、戦争の継続を求めた。
こうした動きを見てロシア政府は話し合いで問題を解決できないと腹を括ったようで、2022年9月に部分的動員を発表、ウクライナでの戦闘は新たな段階へ進んだ。アメリカやイギリスの好戦派は戦況を逆転してロシアを倒せると信じていたようだが、それは妄想にすぎなかった。
その妄想から抜け出せない欧米の好戦派はトランプ政権とプーチン政権との関係を悪化させようとしている。ヨーロッパ諸国の軍隊だけではロシアに対抗できないため、アメリカを引き込む必要があるのだ。そうした工作を熱心に進めているのはイギリス、フランス、バルト三国、ポーランド、そしてアメリカのネオコンなどだ。彼らにとって和平は破滅を意味。ネオコンの中にはマルコ・ルビオ国務長官も含まれていると言われている。
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※なお、本稿は櫻井ジャーナルhttps://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
「占領軍による住民虐殺が続くシリア」(2025.04.05ML)
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