【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.04.08XML: ウクライナでの勝利を前提にした西側の脚本が崩壊、西側の支配システムも崩壊

櫻井春彦

 2月23日に実施されたドイツの連邦議会選挙で第1党になったCDU/CSU(キリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟)の支持率が組閣前に低下、最新の世論調査によると、その支持率は第2党のAfD(ドイツのための選択肢)と同じ24%だ。組閣前に新政府は国民から見放され始めている。

 選挙でCDU/CSUは32%を獲得、第2党のAfD(ドイツのための選択肢)は21%だった。現首相のオラフ・ショルツが率いるSPD(社会民主党)は20%で第3党だが、CDU/CSUを率いるフリードリヒ・メルツは選挙公約を投げ捨て、ロシアとの戦争を続けるために多額の負債を国民に追わせることを決め、SPDや第4党の同盟90/緑の党に接近している。

 メルツはアンゲラ・メルケルのライバルと言われた政治家だったが、2004年にはメイヤー・ブラウン法律事務所の上級顧問に就任した弁護士でもある。2009年には政界から身を引き、大企業の重役を務めているのだが、そうした会社のひとつがブラックロック。2016年から20年にかけて監査役を務めている。

 1970年代から始まった金融規制の大幅な緩和によって銀行のような規制は受けない新しいタイプの金融機関が誕生、世界経済に対して大きな影響力を及ぼすようになった。いわゆる「闇の銀行」だ。その上位3社がブラックロック、バンガード、ステート・ストリートである。この3社はメディアやシリコンバレーのハイテク企業を含むアメリカの主要500社の9割近くを支配している。

 ブラックロックを率いるラリー・フィンクはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも関係が深い。ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントである可能性が高いことは本ブログでも書いてきた。MI6はシティ、つまりイギリスの金融界と関係が深い機関だ。

 ウクライナは兵器のほか「復興資金」を西側政府から提供されているが、その資金の使い道に関してアドバイスしているのがブラックロックだという。​ゼレンスキーはブラックロックのほか、JPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にあることを明らかにしている​。メルツはこうした金融資本の手先であり、2021年に政界へ舞い戻った。

 こうした西側の巨大金融機関は1991年12月にソ連が消滅した際、旧ソ連圏は自分たちのものになったと信じた。ソ連を解体、ロシアも略奪の対象になった。略奪の黒幕は西側の私的権力だが、ロシアにはその手先が存在、巨万の富を築いて「オリガルヒ」と呼ばれるようになった。その一方、大多数の人は貧困化する。

 オリガルヒの大半は若かい。例えばミハイル・ホドルコフスキー(1963年生まれ)、アレックス・コナニヒン(1966年生まれ)、ロマン・アブラモビッチ(1966年生まれ)、ボリス・ベレゾフスキー(1946年生まれ)たちだ。1991年当時、ベレゾフスキーは45歳だが、その他は25歳から28歳である。

 こうした若者の上に「誰か」がいると考えるのが自然だが、それはKGBの幹部だったフィリップ・ボブコフやアレクセイ・コンドーロフたちだと言われている。ボブコフはKGBの頭脳と呼ばれ、政治警察局を指揮していた。ボブコフやコンドーロフはジョージ・H・W・ブッシュをはじめとするCIAのネットワークと連携、ミハイル・ゴルバチョフをコントロールしていたと言われている。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018)

 米英金融機関によるロシア支配は万全だと思われたが、21世紀に入ってから状況が一変した。ウラジミル・プーチンを中心とする勢力がロシアの再独立に成功したのだが、それは西側の巨大資本が奪う寸前だった利権が手からこぼれ落ちてしまったことを意味する。ロシアの技術、資源、穀倉地帯などを奪うことを前提にしてカネを注ぎ込んできた私的権力にとって深刻な事態だ。西側の私的権力は利権を取り戻そうと必死だが、その一方でステパン・バンデラを信奉するネオ・ナチは狂気の戦術でロシアを破壊しようとしている。

 その狂気を支えているのは西側エリートの幻想。CDU/CSU、SPD同盟90/緑の党もその幻想にどっぷり浸かっているが、その足元は崩れ始めている。

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「ウクライナでの勝利を前提にした西側の脚本が崩壊、西側の支配システムも崩壊」(2025.04.08ML)
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