【連載】社会学作家・秋嶋亮の「リアリティ・オブ・ジャパン」

秋嶋亮(社会学作家)連載ブログ/24:我々も被差別民族であること

秋嶋亮

僕が初めて海外に出たのは大学を卒業しエンジニアの通訳としてシンガポールに赴いた25歳のときだった(貧乏学生だったので在学中に外国に行くことができなかったのです)。それを皮切りに、アメリカ、カナダ、イギリス、フランスなどに出張したが、これらの国々では随分酷い差別を受けたものだ。

ホテルではルームキーを投げつけられる、カフェでは(メニューを渡されず)ガン無視される、レストランでは(他にいくらでもテーブルが空いているのに)トイレ脇の末席に案内される、飛行機では(有色人種の隣に座れるか!)と怒鳴られるという具合で、つくづく自分が「差別される側である」ということを若き日の僕は思い知らされたのだ。

相変わらずSNSは在日へのヘイトで溢れているが、白人種が有色人種に抱く偏見は到底比肩し得るものではない。要するに差別感情が桁違いであり、もっと言えば彼らは我々を人間と見ていないのだ。

例えばかつて有色人種を見世物にする「人間動物園」が在ったことをご存じだろうか。

これはイギリスやフランスなどの列強国が、アジアやアフリカなどの植民地の住民を捕獄し、博覧会などのパビリオンで檻に入れ展示していたものだが、このようなイベントはハンブルク、バルセロナ、ミラノ、NY、ワルシャワなどでも開催され大好評を博したという。

これは興行であると同時に、大衆に有色人種を動物視させることで、アルトルイズム(野蛮な民族に文明を授けるのは正義だという論理)を受容させ、植民主義を推進するための国策でもあったのだ。

そしてこれがアフリカ分割に発展し、植民地争奪の諍いが欧州に飛び火し、第一次世界大戦を引き起こしたのだが、そこでさらに各国は住民を強制徴募したのである(徴兵して戦争に駆り出し人命を搾取したのだ)。

ところで先日ドナルド・トランプが脳腫瘍を患う黒人少年をシークレットサービスに任命したことから(抱擁シーンが大々的に報道され)大衆人気がさらに沸騰しているのだが、僕にはこれが偽善の政治宣伝にしか見えないのだ。

繰り返すがトランプは不動産業者であり、レッドライニングと呼ばれる黒人への融資拒否や、高利貸付けによって返済不能になった物件を買い叩く「略奪的包摂」で財を成した人物だ。過去には「(有色人種の)住宅差し押さえこそ儲けるチャンスだ!」とすら発言しており、まさに差別を利益に結びつけるスキームで富を築いたのである。

そればかりかトランプは大統領に初就任後に、居住者の大半が黒人である公営住宅の予算を大幅に削減するなど(これに合わせ公的保険や医療の予算を削減するなど)マイノリティに対し徹底的に政治的虐待を繰り返してきたわけだ。

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秋嶋亮 秋嶋亮

☆秋嶋亮(あきしまりょう:響堂雪乃より改名) 全国紙系媒体の編集長を退任し社会学作家に転向。ブログ・マガジン「独りファシズム Ver.0.3」http://alisonn.blog106.fc2.com/ を主宰し、グローバリゼーションをテーマに精力的な情報発信を続けている。主著として『独りファシズム―つまり生命は資本に翻弄され続けるのか?―』(ヒカルランド)、『略奪者のロジック―支配を構造化する210の言葉たち―』(三五館)、『終末社会学用語辞典』(共著、白馬社)、『植民地化する日本、帝国化する世界』(共著、ヒカルランド)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―15歳から始める生き残るための社会学』(白馬社)、『放射能が降る都市で叛逆もせず眠り続けるのか』(共著、白馬社)、『北朝鮮のミサイルはなぜ日本に落ちないのか―国民は両建構造(ヤラセ)に騙されている―』(白馬社)『続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学』(白馬社)、『略奪者のロジック 超集編―ディストピア化する日本を究明する201の言葉たち―』(白馬社)、『ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへOUTBREAK―17歳から始める反抗者になるための社会学』(白馬社)、『無思考国家―だからニホンは滅び行く国になった―』(白馬社)、などがある。

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