
☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年4月9日):アメリカの高等教育をシオニストが破壊
国際※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。
われわれは、戦後のアメリカの世界的な影響力と覇権の最大の柱の一つが、現在、破壊されつつあるのを目撃しているのかもしれない。
先週末、アメリカ社会で驚くべき出来事が起こり、その事件の映像がインターネット上で瞬く間に広まった。
トルコ出身の30歳のタフツ大学博士課程の学生でフルブライト奨学生である女性が、友人宅での休日の夕食に向かう途中、ボストン地区付近を歩いていたところ、夕方早くに国土安全保障省の覆面をした連邦捜査官6人に突然捕まり、拉致された。恐怖に怯えたこの若い女性は手錠をかけられ、待機していた車に連行され、友人、家族、弁護士との面会も許されずに24時間秘密裏に拘留された後、ルイジアナ州の留置所に送られ、即時国外追放される予定だったが、連邦判事が現在、手続きを一時的に停止している。
この事件の短い動画を映したツイートの1つだけでも450万回以上再生され、さらに長いYouTube動画も数十万回再生されている。
その非常に不穏な光景は、ディストピア的なアメリカの警察国家の行動を記録したハリウッド映画のワンシーンのようだった。ルメイサ・オズタークが故郷の町で連れ去られた理由をメディアが説明したことで、その第一印象は確かなものとなった。彼女の唯一の違反行為は、1年前にタフツ大学の学生新聞に寄稿した論説記事で、イスラエルとガザ地区の民間人に対する継続中の攻撃を厳しく批判したことだけだった。
どうやら、シオニストの億万長者たちから資金提供を受けている数多くの強力な親イスラエル検閲組織のひとつが、彼女の意見に激怒し、彼女を公に懲らしめることを決めたため、トランプ政権の従属的な手下たちが即座に彼女の逮捕を命じたようである。
CBSニュースは、この若い女性の釈放を求める地元の抗議デモを報道し、参加者の一人の発言を引用した:
「大学のキャンパスは、自由で開かれた意見交換の場であるべきであり、意見を表明しただけで奈落の底に消えてしまうというのは、実に恐ろしいことだ」と集会参加者のサム・ワックマンは語った。
今、このような場面が、このような理由で、ロシア、中国、イラン、あるいは、米国政府から強い不興を買っているその他の国の路上で起こったと仮定してみたい。その事件は、間違いなく、責任のある政権の評判を落とすことを目的とした、大規模な世界的なプロパガンダ攻勢の目玉となっただろう。世界中の視聴者に対して、この逮捕劇は、米国憲法や権利章典が保障する自由のない社会で暮らすことの恐ろしい危険性を示すものだと強く印象づけられたことだろう。このようなプロパガンダ・キャンペーンを最近目にした記憶はないので、そのような事件はそれらの国々では極めて稀であるということになる。
https://twitter.com/i/status/1905023527876464649
しかし残念ながら、今日のアメリカでは、それはほとんど成立しない。タフツ大学の大学院生が街でさらわれた1~2日前、コロンビア大学の3年生(21歳)が、連邦捜査官が彼女の通う大学の寮を強制捜索して彼女を逮捕した後に、同様の運命を避けるために身を隠した。ニューヨーク・タイムズ紙が報じたところによると、高校の首席卒業生であるユンソ・チョンさんは7歳の時に家族とともに韓国から米国に移住したが、イスラエルの政策を公に批判したために永住権を突然取り消された。彼女はほとんど記憶にない国へ即強制送還を命じられた。
これは、イスラエルのガザ地区攻撃に対する昨年のキャンパスでの抗議活動に深く関与していたコロンビア大学の大学院生、マフムード・ハリールの逮捕が今月初めに大きな物議を醸し出したことに続くものだ。彼は、妊娠8か月のアメリカ国籍を持つ妻と共有していたキャンパス内の学生寮で早朝に強制捜索を受け、拘束された。ニュージャージー州で一時的に拘束された後、ルイジアナ州の拘置所に移送されたが、この間、家族や友人、弁護士と連絡を取ることは一切できなかった。
グリーンカード保持者として、つまり米国の合法的永住者として、彼は米国市民としての通常の権利と特権をすべて完全に有しているとみなされていたが、マルコ・ルビオ国務長官は、それまでその目的のために用いられたことのない曖昧な法理論に基づき、彼のグリーンカードを取り消し国外追放すると宣言した。これに対して連邦裁判所で強い法的異議申し立てがなされた。さらに、ニュージャージー州の管轄からディープサウス(南部の奥地)の別の管轄への移送は、通常の法的手続きに違反しているようにも思われた。
その逮捕から1週間後、同じくフルブライト奨学金でコロンビア大学に留学していたインド人のランジャニ・スリニヴァサンは、連邦当局が学生寮を強制捜索し、彼女が逮捕寸前まで追い詰められたため、急いで荷物をまとめて国外に脱出し、カナダに逃れた。ニューヨーク・タイムズ紙が報じたところによると:
スリニヴァサンさん(37)は金曜日(3月28日)、ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、カナダへの脱出後初めて公の場で次のように語った。「雰囲気が非常に不安定で危険なように感じられたのです。それで、私は即座に決断しました。」
その前日、ルビオは、イスラエルを批判したとして、すでに全国で300人以上の学生の逮捕と即時国外追放を承認したと説明していた。そのため、これらの特定のケースは、明らかに非常に大きな氷山の一角に過ぎない。
過去数十年、コロンビア大学のようなトップアイビーリーグの大学の学長は、コミュニティの学生たちを断固として守ってきたかもしれない。しかし、トランプ政権が突然年間4億ドルの資金提供を停止したことで、そのような抵抗は打ち砕かれた。要求には、イスラエルの政策に批判的な学生の逮捕への全面協力、反イスラエルのキャンパス抗議行動を鎮圧するための新たな内部治安部隊の創設、大学の名門中東研究プログラムの「管財人」化などが含まれており、おそらくはシオニストによる強固な管理につながるものと思われる。
カトリーナ・アームストロング学長代行は、教職員の学問の自由と学生の個人の自由を犠牲にして、これらの要求に屈した。しかし、このような相反する大きな圧力に直面し、彼女は金曜日(3月28日)の夕方に辞任した。前任者がほぼ同じ理由で辞任してから約7カ月後のことである。
同じ日、新聞各紙は、ハーバード大学の同様に名高い中東研究センターのトップも解任されたと報じた。おそらく、70年以上にわたって続いてきたこの独立した学術組織は、今後は明確に親イスラエル的な方向性を示すことになるだろう。昨年、ハーバード大学の元学長(女性)は、敵対的な議会委員会で学問の自由を強く擁護した結果、すぐに辞任に追い込まれている。
土曜日(3月28日)にニューヨーク・タイムズ紙のウェブサイトのホームページを何気なく見ていたら、アメリカの一流大学の知的自由へのこれらの衝撃的な打撃を報じている5つの異なる記事に気づいた。他にも1つか2つは見逃していた可能性も十分にある。
• Columbia President Is Replaced as Trump Threatens University’s Funding
• Leaders of Harvard’s Middle Eastern Studies Center Will Leave
• University of Minnesota Student Detained by Immigration Agents
• Targeting of Tufts Student for Deportation Stuns Friends and Teachers
• How Colleges Are Cracking Down on Students Now
過去数世代にわたり、アメリカの一流学術機関は世界でも最も権威のある機関の一つであり、世界中から優秀な学生を集め、我が国のソフトパワーの中心的な支柱となってきた。昨年まで、アイビーリーグの学長が政治的な理由で突然解任されたという前例は思い浮かばなかった。しかし、この12か月間で、4、5人のアイビーリーグの学長がその運命をたどった。
同様に、覆面の連邦捜査官チームによって、平和志向の大学生たちが逮捕されたという前例も私は聞いたことがない。彼らは、突然の強制捜索で寮の部屋から連行されたり、自分の住む街で路上から拉致されたりした。
皮肉な歴史的比較を考えてみよう。1950年代初頭、ローゼンバーグ夫妻は、米国の核兵器の秘密をスターリンに漏らしたソ連のスパイ組織に関与したとして有罪判決を受け、処刑された。しかし、私が知る限り、彼らの逮捕は非常に控えめに扱われ、死刑に値する罪状にもかかわらず、数人のFBI捜査官がひっそりと連邦拘留所に連行しただけだった。したがって、イスラエルに対する公的な批判は、冷戦の絶頂期に核スパイ活動が犯した罪よりもはるかに重大で危険な犯罪とみなされているようだ。
確かに、最も近い過去の例として思い浮かぶのは、1919年後半から1920年前半にかけての悪名高いパーマー強制捜索であり、この事件では数百人の移民が国外追放された。しかし、この一斉検挙は、ボリシェヴィキ革命とアメリカ国内の多くの都市で発生したテロ爆弾攻撃の波を受けておこなわれたものである。司法長官A. ミッチェル・パーマーは、ワシントンDCの自宅が爆破された爆弾テロ事件を含む2つの暗殺未遂事件を辛うじて生き延びた。一方、逮捕され国外追放された移民のほとんどは、入国してまもない人々で、一般的にアメリカ政府を転覆させる意図を宣言していたアナーキストやボリシェヴィキの急進派だった。
おそらく、平和的で完全に合法的な立場を主張する学内新聞の論説記事を書いたという理由だけで大学生が逮捕されたという前例はあるのかもしれない。しかし、私が高校の時に使っていた歴史の教科書にはそのようなひどい事例は載っていなかったように思うので、そんなことはなかったのだろう。
現在の状況の奇妙な点は、アメリカ政府やドナルド・トランプ大統領を公然と批判したために逮捕された学生がいないということだ。ユダヤ国家イスラエルやユダヤ人自身に対する批判だけが、このような厳しい法的弾圧を引き起こすようだ。これは、ヴォルテールのものと広く誤解されている、非常に鋭い観察を思い起こさせる。
誰があなたを支配しているかを知るには、誰を批判してはいけないかを知るだけでいいのだ。
第二次世界大戦以降、アメリカのエリート大学は、世界中から優秀な若者たちを引き寄せる傾向にあり、それによって多くの将来のグローバルリーダーの考え方を形作ってきた。そのため、学問の自由に対する過酷なイデオロギー弾圧や覆面をした連邦捜査官による突然の劇的な逮捕といった衝撃的なニュースは、すでに世界中に反響を呼び、アメリカが地政学的に優位に立つ数少ない柱のひとつに深刻なダメージを与えているのではないかと私は思う。
おそらく、トルコ、韓国、インドから来た優秀な学生たちの突然の絶望的な窮状を追っている一般のアメリカ人はほんの一握りだろうが、アメリカの重要な同盟国の教育を受けたエリート層の非常に大多数は、何が起きたのかを十分に認識しており、心底震え上がっていると私は思う。
親イスラエル派の支配下にあるトランプ政権の指導者たちは、わが国の世界的に支配的な高等教育システムの最先端機関に深刻な打撃を与えるか、実際に破壊しようと決意しているようだ。
実際、最近の一連の衝撃的な事件が起こる前から、著名な政治学者ジョン・ミアシャイマーは、イスラエル・ロビーがアメリカの言論の自由に対する最大の脅威であると宣言しており、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授や元CIA職員フィリップ・ジラルディも彼の見解を強く支持している。
トランプ政権による言論の自由と学問の自由に対する厳しい攻撃に私は深く衝撃を受けたが、そんな衝撃を感じるべきではなかったろう。多くの点で、それは昨年、同じく親イスラエル派の民主党前任者ジョセフ・バイデン大統領の下ですでに起こったことを単に延長したに過ぎず、当時私は数多くの記事でそのことを取り上げてきたからだ。
たとえば、約11か月前の2024年5月初旬に、私は現在進行中の大学抗議運動の波とその発生理由、そしてそれを抑圧するために行われた前例のない取り締まりについて論じた。これは、これまでのキャンパス政治活動で起こったこととはまったく異なる反応だった。現在、参加者の多くに非常に厳しい法的制裁が課されていることを考えると、その歴史を詳しく振り返る価値があると思う:
子どもの頃から、政治活動や抗議活動は大学生活の定番だということを私は常に認識していた。1960年代のベトナム戦争反対運動はその頂点のひとつで、後の教科書やメディアでは英雄的な理想主義として広く称賛されている。1980年代には、南アフリカのアパルトヘイトに抗議する粗雑に建てられた小屋の長い列がハーバード校舎の端、あるいはスタンフォード校舎の中庭に何週間も並んでいたのを覚えている。また、同じ頃、UCLAの他の小屋や抗議活動家たちは、ソ連のユダヤ人拒否者を支援するために長時間の徹夜の祈りを捧げていたと思う。政治抗議は、期末試験と同じくらい大学生活の普通のことのようで、伝統的な友愛会によるいじめの儀式や無茶ないたずらに取って代わった。学生や教員の間では、敵対的な社会的検閲官によって、こうした団体はますます政治的に不適切だと非難されるようになっていった。
ここ10年ほどの間、ブラック・ライブズ・マター運動は、キャンパス内外の学生による抗議活動を新たな高みに引き上げた。その抗議活動には、しばしば大規模なデモ行進、座り込み、または破壊行為が伴い、その背景にはスマートフォンやソーシャルメディアの影響力の高まりがあったと考えられる。一方、主流メディアは定期的にこの「人種的正義運動」を賞賛し、宣伝しており、2020年夏にジョージ・フロイド(*)が死亡した事件をきっかけに、この運動は急激にピークに達した。この事件をきっかけに、若年層を中心とした大規模な政治的抗議活動、暴動、略奪が全米200都市近くで発生し、1960年代後半以来最悪の都市不安を引き起こした。しかし、その時代とは異なり、ほとんどの既存メディアと政治指導者たちは、暴力を鎮圧するために警察を派遣すべきだという意見を激しく非難した。実際、多くの場合、あるいはほとんどの場合、地元の警察は手を引いて何もしなかった。折しも一部の政治指導者たちは「警察への予算を削減せよ!」と大声で叫んでいた。
* ジョージ・ペリー・フロイド・ジュニアはアフリカ系アメリカ人で、2020年5月25日にミネソタ州ミネアポリスで、店員がフロイドが偽の20ドル紙幣を使用したのではないかと疑い逮捕された際に白人警察官によって殺害された。
この間、多くの大学がこうした論争に大きく巻き込まれることになった。イェール大学は2017年初頭にカルフーン・レジデンシャル・カレッジの名称を変更し、2020年のジョージ・フロイド抗議運動による名称変更のリストはあまりにも長いため、独自のウィキペディアページが作成されている。このリストには、ブラッグ砦やフッド砦など、最も有名な軍事基地の一部も含まれている。アメリカで最も有名な大統領や国民的英雄の象徴や銅像に対する口頭による、あるいは物理的な攻撃が頻繁に行われるようになり、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、エイブラハム・リンカーン、セオドア・ルーズベルト、ウッドロウ・ウィルソン、クリストファー・コロンブスなど、多くの人物が中傷や非難の対象となり、それは時にはエリート層からの支持も得た。ニューヨーク・タイムズ紙の社説では、ジェファーソン記念館を黒人女性の巨大な像に建て替えるべきだと主張し、同紙の常連コラムニストの一人は、ジョージ・ワシントンを称えるすべての記念碑は同様の運命をたどるべきだと繰り返し主張した。多くの観察者は、アメリカは自国の歴史の大部分が取り返しのつかないほど汚されたため、公共の場から消し去らなければならないという主張が蔓延する中、まるで中国版の文化大革命を経験しているかのようだ、と論じた。
こうした政治的抗議活動の大半、特に大学キャンパスでの抗議活動は、メディアという拡声器を握る人々から、アメリカ民主主義の最大の美徳の 1つを示すものとして広く歓迎された。こうした社会的、文化的激変を擁護する多くのエリートたちは、こうした出来事は、わが国の最も神聖な象徴や英雄に対する最も激しい公の攻撃を自由に許すわが国の社会の偉大な強さを示していると主張した。アメリカ人は、世界の他のどの国でもおそらくほとんど許されないであろう、痛烈な自己批判を受け入れた。
長年にわたって、認識された不正に対する公の抗議を許可し、あるいは称賛してきたその長い歴史は、2023年9月に講義が始まった若い大学生たちに自然に吸収され、心に刻まれていた。それから数週間のうちに、長らく包囲されていたガザ地区のハマス武装勢力による驚くほど大胆な奇襲がイスラエル軍を不意打ちし、5億ドルの費用をかけて構築されたハイテク防衛システムを突破した。数百人のイスラエル兵と治安部隊の職員が死亡し、同数の民間人も死亡した。民間人の大半は、パニックに陥り、すぐに引き金を引くようになったイスラエル軍部隊による誤爆によって命を落としたと思われる。240人ほどのイスラエル兵と民間人が捕虜として捕らえられ、ガザ地区に連れ戻された。ハマスは、イスラエルの刑務所に長年、しばしば野蛮な条件の下で、収監されていた何千人ものパレスチナ民間人の解放と捕虜の交換を望んでいた。
いつものように、圧倒的に親イスラエルの主流メディアは、歴史的背景をまったく考慮せず、極めて一方的な形で攻撃を描写したが、これは3世代にわたって続いてきたパターンである。その結果、イスラエルはガザへの報復攻撃に向けて動員され、国民とエリート層から多大な同情を浴びた。数日のうちに、我が国のアントニー・ブリンケン国務長官がイスラエルに飛び、「ユダヤ人として」来たと宣言し、その危機の瞬間にアメリカの揺るぎない支援を誓約した。この感情は、ジョセフ・バイデン大統領と彼の政権全体に完全に反映されている。しかし、ハマスの戦闘員と捕虜となったイスラエル人は要塞化されたトンネル網に隠れており、彼らを一掃すると多くの犠牲者が出る恐れがあったため、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と彼の顧問たちは別の戦略を決定した。
ハマスを攻撃する代わりに、ネタニヤフは世界からの同情の波を利用し、ガザの200万人を超える民間人に対して前例のない軍事攻撃を開始した。膨大な数の民間人を殺害し、残りをエジプトのシナイ砂漠に追いやり、イスラエルが彼らの領土を併合してユダヤ人とともに再定住できるようにするつもりなのは明らかだった。その後すぐに、イスラエル政府はヨルダン川西岸のユダヤ人入植者に突撃銃を配布し始め、その目的で約24,000丁の自動小銃を注文した。宗教狂信者の手にそのような武器を渡せば、確実に現地での虐殺につながり、それが何百万人ものパレスチナ人を国境を越えてヨルダンに追いやる口実になるかもしれない。最終的な結果は、シオニスト運動の長年の夢である「川から海まで」広がる人種的に純粋な大イスラエルの創設となるだろう。したがって、もしネタニヤフが考えたとおりになれば、ユダヤ人の歴史における彼の地位は栄光あるものとなり、彼が絡んだ多く賄賂事案や失策は簡単に見逃されるかもしれない。
アメリカの空輸により必要な軍需品が際限なく供給される中、イスラエル軍は人口密集地ガザとその無力な住民に対する大規模な空爆作戦を開始した。地下トンネルに避難していたハマス戦闘員の死者は比較的少なかったが、ガザの民間人は壊滅的な被害を受けた。その多くは、これまで都市部に投下されたことがほとんどなかった2000ポンド爆弾によるものだった。ガザの大部分はすぐに月面のような景色に変わり、病院、教会、モスク、学校、大学、政府機関、パン屋など、民間人の生活を維持するために必要なあらゆるインフラを含む約10万の建物が破壊された。わずか数週間後、ファイナンシャルタイムズ紙は、ガザの大部分に与えられた破壊は、第二次世界大戦中にドイツの都市が何年も連合軍の爆撃を受けた後に被った被害よりもすでにひどいものだと報じた。
ネタニヤフ首相は厳格に世俗主義者であったが、パレスチナ人はアマレク族であり、ヘブライの神が最後の赤ん坊に至るまで絶滅するよう命じたと公言することで、宗教的支持者の支持を取り付けた。他の多くのイスラエルのトップリーダーも非常に似たような大量虐殺の感情を表明しており、より熱心なイスラエルの兵士や司令官の中には、おそらくそれらの発言を文字どおりに受け止めた者もいただろう。
この巨大な流血への渇望は、イスラエル政府とそれを支持するプロパガンダ担当者が、イスラエルの赤ん坊の斬首や焼殺、性器切断、集団レイプなど、ハマスによるとんでもない残虐行為の作り話を広め始めたことで、さらに燃え上がった。悪名高い親イスラエル派の国際メディアは、これらの話を鵜呑みにして報道し、パレスチナ民間人の大量虐殺から人々の注意をそらすために利用した。報道が一方的なものにとどまるように、イスラエルはガザの独立系ジャーナリストを殺害の対象とし、過去数か月間に約 140 人を殺害した。これは、過去数年間に世界中でおこなわれた他のすべての戦争で殺害された人数の合計に匹敵する数字である。
イスラエルの指導者らが敵であるパレスチナ人に対する大量虐殺計画を公言し、イスラエル軍がテレビで放映された世界史上最大の無力な民間人虐殺を実行するなか、国際機関は次第に進行中の紛争に介入するよう強い圧力を受けるようになった。12月下旬、南アフリカは国際司法裁判所(ICJ)に91ページに及ぶ法的意見書を提出し、イスラエルが大量虐殺を犯したと非難した。数週間のうちにICJの判事らは、これらの告発を支持し、ガザ地区の人々がイスラエルの手によって大量虐殺を受ける重大な危険にさらされていると宣言するほぼ全員一致の判決を下した。イスラエルが任命した判事、元イスラエル最高裁判所長官も、これらの判決のほとんどに同意した。
しかし、ネタニヤフ政権は撤退するどころか、ガザへの攻撃を強め、食料の配給を担当する国連機関を禁止することで、食糧輸送の封鎖を強化した。イスラエルは、飢餓、爆弾、ミサイルの組み合わせが、パレスチナ人全員を殺害、または追放する最も効果的な手段であると信じていたようだ。
過去数十年間、これらの恐ろしい出来事は比較的注目されなかったかもしれない。主流メディアの圧倒的に親イスラエル派の門番たちが、こうした悲惨な情報が一般のアメリカ人の目や耳にほとんど届かないようにしていたからだ。しかし、技術の発達がこのメディア環境を変えた。TikTokやイーロン・マスクのツイッターなど、比較的検閲の少ないソーシャルプラットフォーム上の動画クリップは、今やその封鎖を容易に回避できるようになった。何十年にもわたる苦しみと抑圧にもかかわらず、ガザのパレスチナ人は完全な現代人であり、スマートフォンはほぼ全員が持っている。彼らが撮影したシーンは世界中で共有され、ソーシャルメディアを主なニュースソースとする若いアメリカ人の間で急速に大きな注目を集めた。
何世代にもわたり、大学生たちはホロコーストの恐怖を徹底的に教え込まれ、無力な男性、女性、子供が残酷に攻撃され虐殺されている間、決して沈黙してはならないと繰り返し教え込まれてきた。彼らが今目にする、破壊された都市や死んだり死にかけたりしている子供たちの映像は、まさに映画の中の出来事のようだったが、それは現実世界でリアルタイムに起こっていることだった。
数年前、トランプ政権とバイデン政権は、相当数のウイグル人が殺害されたどころか危害を受けたという証拠がないにもかかわらず、中国政府が少数民族ウイグル人に対して「ジェノサイド」を犯したと共同で宣言していた。したがって、その基準によれば、ガザの完全な破壊と、数百万人の住民の大量虐殺または意図的な飢餓は明らかに大規模な「ジェノサイド」を構成し、数週間以内に大学キャンパス中の学生活動家がその叫びを取り上げ、イスラエルが犯している恐ろしい虐殺に反対する公開抗議活動を組織し始めた。
3年前、ジョージ・フロイドという名の犯罪常習犯が警察の拘留中に薬物の過剰摂取で死亡し、彼の最期の瞬間を捉えた非常に誤解を招くビデオが1本公開されたことで、1960年代後半以来最大のアメリカ国民の抗議運動が巻き起こった。そのため、ガザの子供たちの死体や遺体をバラバラにされた映像が何百、何千本も広まり、強力な抗議運動を引き起こしたことは驚くに当たらない。しかし今回は、人道的活動で称賛されるどころか、学生たち、そして抗議を許可した大学当局は、私が当時述べたように、猛烈に攻撃され、処罰された。
ツイッターなどのソーシャルメディアでは、ガザ地区の荒廃やパレスチナの子供の死の生々しい画像が広く拡散しており、世論調査では、アメリカの若者の大多数が、イスラエルとの継続的な闘争においてハマスとパレスチナ人を支持していることが明らかになった。これは、テレビ、映画、印刷物を通じて圧倒的に親イスラエル的な、何世代にもわたる情報によって形成された親世代の考え方からの衝撃的な逆転であり、イスラエルがガザでジェノサイドを犯したとして南アフリカと他の22カ国から国際司法裁判所で訴追されている今、このような傾向は続く可能性が高い。
こうした若者たちの強い感情が原因となり、多くの大学で反イスラエルデモが勃発し、多数の親イスラエル派の億万長者寄付者を激怒させた。 ほぼ同時に、億万長者寄付者の一部は厳しい報復キャンペーンを開始、多くの企業リーダーが、パレスチナ支援を公に表明する大学生を将来の雇用機会から恒久的に排除すると宣言した。また、ハーバード大学や他のエリート大学では、広範囲にわたる「個人情報の暴露」キャンペーンを実施し、こうした脅しを強調した。
数週間前、イスラエルに好意的な当選議員たちがこの論争に参戦し、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、マサチューセッツ工科大学といった最も名門の大学の学長たちを招集し、キャンパス内で「反ユダヤ主義」が疑われることについて証言するよう求めた。連邦議会議員たちは、これらの議員たちが反イスラエル活動を容認しているとして、彼らを厳しく非難した。中には、彼らのキャンパスで「ユダヤ人ジェノサイド」を求める声が公然と上がっていることを容認していると、無知にも、また馬鹿げた理由で非難する議員もいた。
これらの大学指導者の対応は、政治的言論の自由への支持を強調していたが、親イスラエル派の寄付者やその主要メディアの同盟者からは不十分とみなされ、解任を求める大きな圧力がかかった。数日のうちに、ペンシルバニア大学の学長と彼女を支持する理事会の議長は辞任を余儀なくされた。その後すぐにハーバード大学初の黒人学長も同じ運命をたどった。親イスラエル派の団体が、学長の広範な学術的盗作の証拠を公表し、彼女を解任したのだ。
アメリカの名門大学の学長が思想的理由でこれほど急速に解任された例はこれまで聞いたことがないが、わずか数週間以内に2件も続いたことは全く前例のない事態であり、学問の自由に多大な影響を及ぼすと思われる。
このような反応に、ほとんどの学生は完全に唖然としたことだろう。何十年もの間、彼らとその先輩たちは、幅広い政治的問題について自由に抗議活動をおこなってきたが、そのような悪質な報復行為に遭ったことは一度もなく、ましてや、抗議を許可したアイビーリーグの学長2名が辞任に追い込まれるような組織的なキャンペーンなど一度もなかった。一部の学生団体は即座に禁止され、抗議活動を行った学生たちの将来のキャリアは厳しく脅かされた。それでもガザ地区からの恐ろしい映像は彼らのスマートフォンに届き続けた。ADL(Anti-DefamationLeague名誉毀損防止同盟)のジョナサン・グリーンブラットが以前、リークされた電話で言っているが、「私たちはTikTokという大きな問題を抱えている」。
実際、イスラエル人は以下のような人々の心を離さないような動画を作り続けた。イスラエルの活動家たちは定期的に食料トラックの通行を妨害し、数週間後には国連高官が100万人以上のガザ人が飢餓の危機に瀕していると発表した。 絶望的な飢餓状態にあるガザ人が、通過が許可された数少ない食料輸送車に群がった際、イスラエル軍は「小麦粉虐殺」で100人以上を射殺し、その後も同様の行為を繰り返した。こうした死と意図的な飢餓の恐ろしい光景はすべて、ソーシャルメディアを通じて世界中に配信され、その中には、飢えに苦しむパレスチナ人の遺体を飢えた犬が食べる様子に喜びを隠しきれないイスラエル兵士の投稿による最悪の例もあった。別の画像には、イスラエル軍の戦車に生きながら押しつぶされて死んだパレスチナ人の囚人の遺体が写っていた。ヨーロッパの人権擁護団体によると、イスラエル軍はブルドーザーを使ってパレスチナ人を生き埋めにすることを常態的におこなっていたという。国連当局者は、いくつかの病院の近くに集団墓地を発見したと報告しており、犠牲者は縛られ、服を脱がされた状態で、処刑の方法で撃たれていた。インターネット上の扇動者であるアンドリュー・アングリンが指摘しているように、イスラエル人の行動は単に邪悪というだけでなく、「漫画のように邪悪」であり、彼らのあからさまな犯罪はすべて、大げさなプロパガンダ映画の台本に基づいているように見えるが、実際には現実世界で起こっていることである。
このような悲惨な展開を受けて、当然ながら、これらの残虐な犯罪を犯したイスラエルと、資金や武器の提供によってそれを可能にしたバイデン政権を非難する学生による抗議活動が継続的に発生している。シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授は、主流派の最高峰に位置する学者であり、リアリズム学派の非常に冷静な学者である。先週のインタビューで、彼はこれらの事柄についてほとんど驚いていないと述べた。結局のところ、イスラエルは明らかにアパルトヘイト国家であり、現在、全世界が見守る中でジェノサイドを犯しているのだから、大学キャンパスでの政治的な抗議活動は予想されるべきことであると彼は指摘した。
ここ数ヶ月、親イスラエル派は、敵対者の反シオニズムを反ユダヤ主義として定期的に非難し、抑圧を主張してきた。2月に私は、彼らの立場の皮肉な意味合いについて言及した。
これは確かに奇妙な状況であり、慎重な分析と説明が必要である。「反ユダヤ主義」という言葉は単にユダヤ人を批判したり嫌ったりすることを意味するが、近年、イスラエルの支持者たちは、この言葉が反シオニズム、つまりユダヤ国家への敵意も含むように拡大されるべきだと要求し、ある程度成功している。
しかし、後者の点を認め、「反シオニズム」は実際に「反ユダヤ主義」の一形態であるという親イスラエル活動家に同意すると仮定しよう。ここ数ヶ月、イスラエル政府はガザで何万人もの無力な民間人を残忍に虐殺し、テレビで放映された世界史上最悪の大虐殺をおこなってきた。イスラエルの指導者たちは、パレスチナ人に対する計画を明らかにジェノサイド的な言葉で説明している。実際、南アフリカ政府は、これらのイスラエルの声明を列記した91ページの法律趣意書を国際司法裁判所に提出し、何百万人ものパレスチナ人がイスラエルの手によるジェノサイドの可能性に直面しているというほぼ全会一致の判決を出した。
最近、ほとんどの西側の人々はジェノサイドを明らかに否定的に見ていると主張している。では、これは三段論法的に、彼らが「反ユダヤ主義」を受け入れ、支持することを要求しないのだろうか? 火星から訪問者があれば、この奇妙なジレンマと、それが必要としていると思われる哲学的、心理的なゆがみに非常に困惑するのは確実だろう。
アメリカをはじめとする西側諸国の極めて「公正な表現を重んじる」支配層が、人種的に排他的なイスラエル国家を声高に応援していることは、むしろ驚くべきことである。イスラエルは、前例のない大量殺戮を繰り返し、膨大な数の女性と子どもを殺害し、約200万人の民間人を餓死させようと懸命に取り組んでいる。結局のところ、アパルトヘイト下の南アフリカのはるかに温和で慎重な政権は、そのような悪行のほんのわずかな断片のために、普遍的に非難され、ボイコットされ、制裁を受けた。
重要な転換点となったのは、4月17日にコロンビア大学のミヌーシュ・シャフィク学長が、自身のエジプト人としての背景から、キャンパス内で反イスラエル抗議デモを許可したとして、米連邦議会委員会から厳しく追及されたことかもしれない。彼女の尋問者たちは、これらの抗議デモは「反ユダヤ主義的」行為であり、コロンビア大学のユダヤ人学生の一部に「身の危険を感じさせる」と主張した。これは、言論の自由と学問の自由を凌駕する深刻な事態である、と。
シャフィクはそれらの主張に賛成だったかもしれないし、反対だったかもしれないが、数ヶ月前にハーバード大学とペンシルベニア大学の学長が誤った答えを出したという理由で即座に追放されたことを確かに覚えていた。そして、彼女は彼らと同じ運命をたどることはほとんど望んでいなかった。そこで彼女は、自分の大学からこのような公然たる反ユダヤ主義を根絶すると固く誓った。そして間もなく、ヘルメットをかぶったニューヨーク市警の機動隊員100人がキャンパスに招集され、デモを鎮圧し、抗議者たちを逮捕した。抗議者のほとんどは「不法侵入」の容疑で告発されたが、これは、彼らが自分のキャンパスに在籍する学生であることを考えると、かなり奇妙な告発である。
このような過酷で警察による即時の弾圧は、大学の政治的抗議運動の近代史上、ほとんど前例がないように思われる。1960年代には、ハーバード大学の管理事務所を占拠したり、コーネル大学で銃器を持って行進したり、スタンフォード大学の校舎を焼き払ったりした過激な抗議者を逮捕するために警察が呼ばれたという事例がいくつか散見される。しかし、平和的な政治的抗議者が、自分たちの大学の構内で、政治的スピーチの主張内容のみを理由に逮捕されたという話は聞いたことがない。
議員らが要求したコロンビア大学への取り締まりは、明らかに全米の大学キャンパスでの抗議活動を鎮圧する意図があったが、予想どおり逆効果をもたらした。屈強なヘルメットをかぶった機動隊が平和的な大学生をキャンパス内で逮捕する場面がソーシャルメディアで拡散し、全国の多くの大学で同様の抗議活動が起こり、ほとんどの場所ですぐに警察による逮捕が続いた。最新の集計によると、現在までに数十の大学で約2,300人の学生が逮捕されている。
エモリー大学でのジョージア州警察の行動は特に常軌を逸しているように思われた。その出来事を含む映像が載ったツイートはすでに約150万回閲覧された。キャロリン・フローリンという57歳の終身在職権を持つ経済学教授は、自分の学生の一人が歩道に押し倒されているのを見て心配し、彼の方に歩いて行ったが、彼女は無残にも地面に放り出され、両手両足を縛られ、軍曹率いる二人の巨大な警官に逮捕された。CNNのキャスター、ジム・アコスタはこの話を報じた時、完全にショックを受けていた・・・。
UCLAではさらにひどい光景が繰り広げられた。平和的な抗議活動の野営地が、大学とは関係のない親イスラエル派の暴徒集団に激しく攻撃され、殴打され、重傷者が出た。歴史学の教授は、UCLAの学生が部外者に襲われ、被害者200人が逮捕されたのに、近くの警察が傍観して何もしなかったことに憤慨したと述べた。地元のジャーナリストによると、この暴徒集団は親イスラエル派の億万長者ビル・アックマンが組織し、金銭を支払っていたという。
外部から来た暴徒が組織的に、自分たちのキャンパスで平和的なアメリカの学生デモ隊を暴力的に襲うことを許されるなどという話は、これまで聞いたことがない。それはまるで、激動のラテンアメリカの独裁政権を彷彿させるような話だ。思い浮かぶ最も近い例としては、1970年にニューヨーク市で起きた悪名高い「ヘルメット暴動」が挙げられるだろう。この事件では、数百人のニクソン大統領支持派の建設作業員が、同数の反戦デモ参加者とマンハッタンの下町で衝突した。この事件はあまりにも悪名高いので、ウィキペディアに独自のページが設けられている。
しかし、多少異なるものの、もっと近い、より最近の類似例が存在するかもしれない。ドナルド・トランプが予想外に成功した大統領選挙運動を開始した後、大学のキャンパスに招待された右翼のトランプ支持の講演者は、聴衆とともに暴力的な「アンティファ(反ファシズム)」の暴徒から定期的に嫌がらせや暴行を受けた。後者の多くは、明らかにその目的のために募集され、報酬を受け取っていた。
このように非常に物理的に「オンライン・プラットフォームから排除する動き」は、彼らにとって脅迫的な考えが影響を受けやすい大学生に届かないようにすることを目的としており、保守派が自分たちのグループ、例えば「プラウドボーイズ[アメリカ合衆国およびカナダの男性のみによって構成されるネオ・ファシズム思想を有するオルタナ右翼団体]のようなグループを組織し、物理的な保護を提供し始めた。バークレー校やその他の大学では暴力的な衝突が発生し、ワシントンD.C.では同様の「アンティファ(反ファシズム)」暴動がトランプ大統領の就任式を妨害した。私の記憶では、これらの暴力的な「アンティファ(反ファシズム)」グループの主催者や資金提供者の大半はユダヤ人であったように思われるため、他のユダヤ人指導者たちが、自分たちが不快とみなすさまざまな政治運動を弾圧するために、非常に似通った戦術を使い始めたとしても、驚くことではないのかもしれない。
数年前、AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)の元幹部は、ある親しいジャーナリストに、「ただのナプキンに何か書けば、24時間以内に70人の上院議員の署名を集められる」と自慢したことがある。ADLの政治力も同様に恐ろしい。したがって、先週、教育省の反差別政策における反シオニズムと反ユダヤ主義の意味を拡大し、これらの考えを差別的と分類するために公民権法で使用されている定義を成文化する法案が、超党派の圧倒的多数320対91で可決されたことは驚くに値しない。
私はこの法案の本文を読んでいないが、明らかな意図は、大学に対して、キャンパス内での反イスラエル抗議活動などの有害な活動を排除しなければ連邦助成金の喪失を招くというものだ。これは学問の自由に対する攻撃であると同時に、アメリカの伝統的な言論と思想の自由に対する攻撃であり、他の民間団体にも同様の政策を採用するよう圧力をかける可能性がある。特に皮肉なのは、法案で使用されている反ユダヤ主義の定義が、キリスト教聖書の一部を明確にカバーしていることだ。そのため、無知で妥協的な共和党議員たちは、人口の95%がキリスト教を信仰するこの国で、聖書の禁止を全面的に支持することになってしまった。
(以上Israel/Gaza: The Masks Come Off in American Society
Ron Unz • The Unz Review • May 6, 2024 • 6,800 Wordsより)
これまでは、永住権のグリーンカードの取り消しは、その保持者が殺人や強姦などの重罪を犯した場合のみ可能だったが、トランプ政権の力を得た親イスラエル派は、その法律をイスラエルやユダヤ人への批判にまで拡大適用し、そのような批判は世界中で反ユダヤ主義と闘うというアメリカの重要な国家目標を損なうと主張している。昨年の超党派議会による反ユダヤ主義啓発法の制定と合わせると、特にハマスなどの公式指定テロ組織への「物質的支援の提供」と描写できれば、そのような政治的見解を実際に犯罪とする法的前例となるかもしれない。
ADL や同様の組織のどんなに頑張っても、おそらく、こんな法的変革は起こらないだろう。しかし、キャンパス新聞にイスラエルを批判する論説記事を書いたことで、覆面をした連邦捜査官が大学生を拉致するのを見ることになるとは、私はまったく予想していなかった。
同様に、ワシントン DC での 1 月 6 日の抗議活動参加者の大量逮捕と長期の懲役刑を考えてほしい。被告のほぼ全員が不法侵入とおそらく軽微な破壊行為で有罪だったが、彼らに下された厳しい刑罰は、強いイデオロギー的圧力とメディアの圧力によって、アメリカの裁判所が法律を極端にまで拡大解釈し、十分に悪者扱いされている政治活動に従事する個人を厳しく処罰できることを実証した。
より広い視点から見ると、アメリカ社会とその政治生活が非常に奇妙な局面に達していることを示す兆候がすでに現れている。
マックス・ブルーメンタールとアーロン・マテは、ウェブマガジンとYouTubeチャンネルであるGrayzoneを運営する、熱心な若いユダヤ人進歩主義者だ。昨年のいくつかの記事の中で、私は、親イスラエルの寄付者たちが最近、有権者基盤の圧倒的な見解に反して、民主党内のあらゆる政治的反対意見を粉砕したことについての彼らの長い議論に注目した。
同じライブ配信で、ブルーメンタールとマテは、この問題でアメリカの議員たちを従わせるために使われる手法にも焦点を当て、数日前、シオニスト億万長者たちが、ガザでの停戦を呼びかけた黒人進歩主義者の「スクアッド(*)」メンバーに腹を立て、民主党予備選でコーリー・ブッシュ下院議員を破るために前例のない800万ドルを費やしたことを指摘した。ほんの数週間前には、同じような理由で、同様の人物たちが、彼女の側近であるジャマール・ボウマン下院議員を排除するために、ほぼ2倍の資金を費やしていた。
* 民主党コーカスの一部を構成する米国下院の非公式の進歩的かつ左翼連合。全員が議会進歩党員集会のメンバー。当初は、2018年の米国下院選挙で選出されたアレクサンドリア・オカシオ=コルテス (ニューヨーク)、イルハン・オマール (ミネソタ)、アヤナ・プレスリー (マサチューセッツ)、ラシダ・トライブ (ミシガン) の四人で構成されていた。(ウィキペディア)
これら 2 つの予備選挙は、アメリカ史上最も費用がかかった選挙であり、その余波で、議員の大半は、自分たちが AIPAC とそのイデオロギー的同盟者の許しを得て職にとどまっていることにきっと気付いたに違いない。進歩主義のリーダーであるアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員は、これらの予備選挙における大金の役割を非難したが、親イスラエル派の寄付者を恐れるあまり、誰の大金が関与していたのかへの言及は一切しなかったのは明らかだ。Grayzoneの編集者たちははるかに率直で、その資金は「アパルトヘイト国家の外国の代理人」によって投入されたと正確に表現した。
これらの出来事は、かなり特異な状況を示唆しているようだ。アメリカの議員たちは、特定の外国に対する忠誠心が不十分であるとみなされると、定期的に職務から解任されるようだが、これは政治学の教科書で通常論じられるような政府の枠組みとはまったく異なる。
Grayzoneの編集者たちは長年、中東紛争を報道してきたが、現在苦しんでいるパレスチナ人に降りかかっている恐怖や、バイデン政権全体が表明しているイスラエルへの完全なる奴隷的支持について考えたことはなかったと思う。これらの衝撃的な展開はイデオロギーの再評価を促し、5月に私は以前のポッドキャストで彼らがおこった皮肉な発言について述べた:
シオニズムに対する政治的反対勢力を、合法的、準合法的、非合法的手段を織り交ぜて徹底的に弾圧するこのやり方は、多くの憤慨した批評家の目に留まらないわけにはいかなかった。マックス・ブルーメンタールとアーロン・マテは、イスラエルとそのガザ攻撃を非常に厳しく批判する若いユダヤ系進歩派である。彼らは、その連邦議会の投票の1~2日前にライブストリーム配信で、シオニストがアメリカの自由に対する最大の脅威であり、わが国はイスラエル・ロビーによる「政治的占領下にある」と同意見であると述べた。
彼らは、自分たちの怒りに満ちた非難が、過去半世紀にわたって最も悪名高い極右の用語のひとつと酷似しており、それはアメリカの現行の政治体制を「ZOG(Zionist Occupation Government)」すなわち「シオニスト占領政府」に他ならないと断罪するものだったことを知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない。時が経つにつれ、明らかな事実上の現実が、イデオロギー的な先入観に関係なく徐々に明らかになっていく。
8月頃には、彼らは最新のポッドキャストでこの扇動的な言葉を明確に使い始めたことに気づいた:
私の書いたその記事はかなり人気があったので、私の発言が直接的または間接的に彼らの耳に入った可能性もある。それが事実かどうかは別として、彼らの最新のポッドキャストでは、「ZOG」を馬鹿げた反ユダヤ主義的表現としていつも退けていたが、最近の出来事がその現実を証明しており、アメリカ人は今や明らかに「ZOGの下にある一つの国家」に住んでいると述べている。これは、彼らが私たちの世界を理解する上で重要な一歩前進をしたのだと思う。
ほどなくして、彼らのGrayzoneチャンネルはYouTubeから一時的に禁止され、1週間後に再開された際には、この2人の編集者は、口にするのを慎重に避けなければならない頭字語について、視聴者に啓発するためにいくつかの韻を踏む言葉を使いながら、緊張した様子で冗談を言った。最近、多くの思慮深いアメリカ人も、これまで馬鹿げているとしていつも却下していた考えを、心に抱き始めたのではないかと思う。
しかし、この半年間、こうした残念な傾向はさらに加速している。そのため、数週間前にコロンビア大学で最初の逮捕者が出たことを受け、彼らは「Shalom, the Occupation’s Home(シャローム、占領下の家)」と題した新しいGrayzone ポッドキャストを配信した。
ブルーメンタールは、アメリカ人は「ある種のシオニスト占領下で暮らしている」と強調し、司会者2人は、私たちの国家的苦境を説明する覚えやすい3文字の頭字語を誰かが考え出せたらどんなに便利だろうと冗談を言った。彼らはその後、同じ番組の中で、アメリカ政府に対するシオニストの圧倒的な支配を説明する際に、再び同じことをした。
YouTube からプラットフォームが削除されるという現実的なリスクを考えれば、このような慎重な婉曲表現は理解できるが、ずっと以前にその運命を味わってきた個人は、もっと大胆な発言をやってのけている。
私が強調してきたように、明白な事実上の現実が、最も相容れないイデオロギーの陣営の間でも、ある程度の記述上の収束を生み出している。昨年末、スチュ・ピーターズという名の過激な右翼活動家が、これらの同じ問題や関連する問題の多くを取り上げえた2時間近いビデオ・ドキュメンタリー「占領」を公開した。残念ながら、誤った情報もかなり含まれていたが、少なくとも70~75%は正確であり、私がこれまで見たことのない映像も多数含まれていた。
当初はインターネット上で自由に公開されていたが、それらのコピーは現在では視聴できないようである。しかし、メールアドレスを登録すれば、彼のウェブサイト上で誰でも視聴できるようだ。
先週、私はイスラエルとそのアメリカの協力者がケネディ兄弟の暗殺に関与していたことを示す、強力な、あるいは圧倒的な証拠を要約した長文の記事を掲載した。 ケネディ兄弟を暗殺した主な動機の一つは、ケネディ一家が、当時台頭しつつあったイスラエル・ロビーの政治的影響力を断ち切る決意を固めていたことだった。
• 関連記事:How Israel Killed the Kennedys
60年経った今、同じ政治勢力が拡大し、アメリカの二大政党とほぼすべての連邦議会議員をほぼ支配するに至り、政治的言論の自由を含む伝統的な憲法上の権利を根絶やしにしようとしているかもしれない。大学の学生が、学内新聞に論説記事を書いたというだけで、覆面をした連邦捜査官に街中で連行されるという事態は、アメリカ社会が極めて危険な状況に陥っていることを如実に示している。
(関連記事)
• Israel/Gaza: The Masks Come Off in American Society
• American Pravda: Hamas, Nazis, and the Right to Rape
• Jews and Antisemitism at Harvard University
• American Pravda: October 7th and September 11th
• American Pravda: The Total Madness of the State of Israel
• How Israel Killed the Kennedys
※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2025年4月9日)「アメリカの高等教育をシオニストが破壊」
http://tmmethod.blog.fc2.com/
からの転載であることをお断りします。
また英文原稿はこちらです⇒The Zionist Destruction of American Higher Education
出典:The Unz Review 2025年3月31日
https://www.unz.com/runz/the-zionist-destruction-of-american-higher-education/