【連載】安斎育郎のウクライナ情報

4月17日のウクライナ情報

安斎育郎

4月17日のウクライナ情報
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❶米政権仲介の和平交渉支持 ルッテ氏、ウクライナ訪問(KYODO, 2025年4月16日)
【キーウ共同】北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は15日、ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領と同国南部オデーサを訪れ、安全保障を協議した。ルッテ氏は、トランプ米政権が仲介するウクライナとロシアの戦闘終結に向けた交渉について「簡単ではない」と指摘した上で、和平実現を目指す取り組みを支持すると強調した。
停戦が見通せない中、ロシアのミサイル攻撃は激しさを増し、ウクライナ南部クリブイリフや北東部スムイなどで市民の犠牲が相次いでいる。穀物輸出の主要拠点であるオデーサの港湾インフラへの攻撃も続き、ゼレンスキー氏はルッテ氏との会談後、防空システム増強の必要性を訴えた。
ルッテ氏も市民やインフラを狙ったロシアの攻撃を非難。ウクライナの防衛強化、停戦後のロシアによる再侵略防止、恒久的な平和実現に向けた「われわれの支援は揺るぎない」と連帯を表明した。
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❷アメリカ国連臨時大使、ウクライナ停戦交渉巡り「ロシアの約束違反には我慢ならない」(讀賣新聞、2025年4月9日)
【ニューヨーク=金子靖志】米国のドロシー・シェイ国連臨時代理大使は8日、ウクライナ情勢に関する国連安全保障理事会の会合で、侵略を続けるロシアに対し「不誠実な交渉や約束違反には我慢ならない」と述べ、停戦交渉に早期に応じるよう求めた。
会合は、ウクライナ中南部クリビー・リフで4日に起きたロシアによるミサイル攻撃を受けて開かれた。この攻撃で子供9人を含む民間人20人が死亡した。
シェイ氏は、この攻撃は「恐ろしい悲劇だ」と述べ、戦争の早期終結が必要だと強調した。ロシアとウクライナが既に合意している停戦措置の完全な履行を求め、「我々はロシアの行動を見て、プーチン露大統領が停戦に向けた意思を持っているかどうかを最終的に判断する」と語った。
これに対し、ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使は「我々の目標の一つはウクライナの非武装化だ。(停戦合意には非武装化などの)紛争の根本原因の排除が必要だ」と主張した。ロシアは、米国の停戦案について「根本原因」の解決策を伴わないとして受け入れない考えを示していたが、ネベンジャ氏は「真剣に対話を行う用意がある」とし、前向きな姿勢を見せた。
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❸ウクライナへの有志国部隊「ドニプロ川西側に」 米特使が提案(TBS News dig, 2025年4月14日)
ロシアとの停戦後にヨーロッパなどの有志国がウクライナに部隊を派遣する構想について、アメリカ・トランプ政権の担当特使が、ウクライナを南北に流れるドニプロ川の西側に部隊を展開させる案を示しました。
これは、トランプ政権のケロッグ・ウクライナ担当特使が11日に公開されたイギリス「タイムズ紙」のインタビューで語ったものです。
ケロッグ氏は、停戦後のウクライナの安全保障体制について、▼ウクライナを南北に流れるドニプロ川の西側にイギリス・フランスが主導する有志国による部隊が展開し、▼ウクライナ東部や南部クリミア半島などロシアが実効支配する地域にはロシア軍がとどまる案を示しました。
また、現在の前線付近には「非武装地帯」を設けて、ロシアとウクライナ軍の衝突を回避するとしています。
ケロッグ氏は、有志国部隊が駐留する案について「ロシアにとって全く挑発的なものではない」と主張したほか、アメリカが地上部隊を派遣する考えはないと強調しました。
また、タイムズ紙は停戦後のウクライナの状況について、ケロッグ氏がアメリカ・イギリス・フランスとソ連が分割統治した「第2次大戦後のドイツ・ベルリン」になぞらえたと報じています。
これについてケロッグ氏はSNSで不正確だと指摘し、有志国部隊の責任地域について述べたもので、「ウクライナの分割についての言及ではない」と主張しました。
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❹ ゼレンスキー氏を猛批判 トランプ氏、対米依存不満(KYODO, 2025年4月15日)
【ワシントン共同】トランプ米大統領は14日、ウクライナのゼレンスキー大統領を猛烈に批判し「有能ならロシアとの戦争は起きなかった」と述べ、米国の軍事支援に依存する姿勢への不満をあらわにした。「彼が有能かどうかも分からない」とも語った。早期の停戦実現が見通せない中、ウクライナへの圧力を強めた。ホワイトハウスで記者団に語った。
米国が主導する和平交渉を巡ってウィットコフ中東担当特使が11日にロシアでプーチン大統領と会談したが、目立った成果は報じられていない。トランプ氏は最近「ロシアは動かなければならない」とも訴えており、ロシアとウクライナの双方へのいら立ちを強めている。
トランプ氏は記者団に和平交渉で「非常に近い将来に大変良い提案があるだろう」と主張したが、詳細は語らなかった。
ゼレンスキー氏について「国土が20倍のロシアと戦争をするべきではない」とし、米国に武器供与を「次々に求めてくる」と不快感を表明。口論になった2月末の米ウクライナ首脳会談について「乱暴」だったとし、ゼレンスキー氏に対して批判的に振り返った。
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❺特別軍事作戦 4月15日の概要 露国防省(2025年4月15日)
ロシア国防省は、特別軍事作戦の進捗状況に関する日報を発表した。スプートニクが最も重要な項目をまとめた。
ウクライナ軍は過去24時間で1200人以上の人員を失った。
ロシアの対空防衛システムは過去24時間でウクライナ軍の米国製誘導爆弾JDAMを4発と、米国製M142高機動ロケット砲システム「ハイマース」のロケット弾5発とドローン304機を撃墜した。
ロシア軍は過去24時間でウクライナ軍の軍事空港と攻撃ドローン組み立て作業所を攻撃した。
https://sputniknews.jp/20250415/415-19776697.html

❻ウクライナの復興費用、推計80兆円 誰が払う?(2025年4月15日)
ハンガリー首相官邸のオルバン・バラシュ補佐官(首相と同姓だが別人)は、ウクライナの復興費用は5000億ユーロ(80兆円)に上るとの推計を示した。また、ウクライナ政府は1兆ユーロ(約160兆円)と見積もっているという。
オルバン氏は「これに加えてウクライナの国家機能維持には年間1000億ユーロ(16兆円)の費用がかかるが、これも大部分をEUが負担することになる」と述べた。
ウクライナをめぐっては、これまで最大のドナー国であった米国が、トランプ政権になり支援に否定的になっている。米国の支援が下火になれば、EUや日本といった他の西側諸国が埋め合わせをする事態にもなりかねない。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、このごろの英紙のインタビューで「資金が必要だ。ウクライナの予算は足りず、別のプログラムが必要。欧州は資金提供する必要がある」と西側諸国の更なる支援を引き出そうとしている。
日本も円借款などを含め、これまでに総額120億ドル(約1.8兆円)以上のウクライナ支援を表明してきた。岩屋外相は「ウクライナのこれからの復旧・復興にしっかり関わって、日本の果たすべき役割を果たしていきたい」と述べている。
https://sputniknews.jp/20250415/80-19775771.html

❼ プーチン大統領とウィトコフ特使の会談は生産的=露特別代表(2025年4月15日)
ロシアのドミトリエフ大統領特別代表(対外投資・経済協力担当)は、プーチン露大統領と米国のウィトコフ特使の間で行われた交渉は「生産的」だったと述べた。ウィトコフ氏は会談後のメディア出演で、「商業的な協力」を通じて露米関係の新たな形を確立する可能性について言及している。
https://sputniknews.jp/20250415/19774257.html?rcmd_alg=collaboration2

❽露クルスク州で大規模な無人機攻撃 1人死亡(2025年4月15日)
露クルスク州は現地時間15日未明、大規模な無人機攻撃により住民1人が死亡、9人が負傷したと報告した。
集合住宅や民家が被害を受け、複数の住宅で火災が発生した。また、救急車両の車庫が攻撃を受けた。
クルスク州では無人機攻撃による危険が発表される中、上空で一連の強力な爆発があったという。
https://sputniknews.jp/20250415/1-19773956.html

❾ロシアは米国との取引で罠に陥らない方法を知っている=ラブロフ外相(2025年4月15日)
ロシアのラブロフ外相は、露紙『コメルサント』のインタビューで、「互恵的な取引とはどのようなものかをよく理解している」とし、ロシアを罠にかけるような取引をトランプ米大統領と結ばない方法を知っていると語った。
ラブロフ氏のその他の発言
・ウクライナの政権は、1991年の国境線への回帰を口にしながら、「より高値で」を交渉するための土地にしか興味がない。
・ロシアは、紛争解決に関する西側諸国とのいかなる計画について議論する際、ウクライナの「(道徳的な)清らかさ」を確認することを主張している。
・欧州は「新たな半総統」を見つけ、ウクライナ領土の一部でナチス体制を維持したいと考えている。
・ロシアは、世界の戦略的状況が変わらない場合に自国の防衛能力を確保する方法を知っている。
・ロシアは誰かを「追いかけている」わけでもなく、制裁解除を求めているわけでもない。
・露米は、両国間の接触において、ウクライナでの和解に関する合意の主要な要素についてまだ合意に至っていない。
・ロシア側は米政府から二国間形式で戦略的関係を議論するという申し出を受けていない。
・トランプ政権は、ロシアとの対話不足についてバイデン陣営から受け継いだ「愚行」として扱った。
・露米は、大使館の業務再開と外交官へのビザ発給問題の解決に向けてどのように進めていくかについて理解を示している。
https://sputniknews.jp/20250415/19773786.html

❿【4/15 ロシア・ウクライナ紛争】ウクライナ紛争継続を謀るグローバル・エリート(2025年4月15日)
https://youtu.be/NUugwvriD28
中立の立場からロシア・ウクライナ紛争を見る。
今回は、ウクライナ軍参謀本部がロシア軍の攻勢を認めたのですが、情報戦の中の互いの情報はそのまま信じることができない。なぜならばグローバル・エリートがリベラル・マスコミを通じて世論誘導をしているからというお話です。
ドンバス生まれの平和を知らない少女が言っていました。「戦争は、他人の意見を憎むことから始まる」と。
ロシア国防省は、4/10、ロシア軍がスムイのジュラフカ村を占領したと発表しましたが、ウクライナ当局は、それを認めなかったのですが、4/11、なぜかウクライナ軍参謀本部が認めたのです。そればかりかウクライナ軍に不利な情報までもたくさん流し始めたのです。
我が国には米民主党系とチャイナ系の二つのグローバル・エリートが与野党を問わず、マスコミ、財界、学会、法曹会、労組、官僚にいらっしゃるかもしれません。上智大学名誉教授の故・渡辺昇一先生は、戦後利得者とおっしゃっていました。
https://www.youtube.com/watch?v=NUugwvriD28v=pp0e5WGogTA

2025年4月17日ウクライナ情報pdfはこちら

 


 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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