【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.04.21XML: 欧州が露に対する軍事攻撃に積極的な姿勢を見せる中、露軍がNATO司令部を粉砕

櫻井春彦

 5月6日からドイツの首相を務める予定のフリードリッヒ・メルツはロシアとの戦争に前向きの発言を繰り返し、第3次世界大戦を望んでいるかのように見えた。メルツは巡航ミサイルの「タウルスKEPD 350」をウクライナへ供与すると主張している。

 ​このミサイルでクリミア橋(ケルチ橋)を攻撃する計画についてドイツ空軍のインゴ・ゲルハルツ総監や作戦担当参謀次長のフランク・グレーフェ准将、そして連邦軍宇宙本部の2名が昨年2月19日にリモート会議で話し合っている​が、​その音声を昨年3月1日にRTが明らかにした​。

 ロシアとの戦争についてはイギリスやフランスも積極的で、ウクライナでの停戦を実現したいドナルド・トランプ米大統領は苛立っているようで、ヨーロッパに対し、ロシアと戦いたいのなら自分たちだけでやってみろと言っている。ロシアとの戦争にアメリカを巻き込むなと釘を刺したわけだ。トランプ政権はロシアとビジネスの話をしていると言われている。

 2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した段階におけるヨーロッパの姿勢はそれほど光線的ではなかった。そのクーデターの際、EUは話し合いでの解決を模索していたようで、アメリカの国務次官をだったビクトリア・ヌランドは電話でウクライナ駐在アメリカ大使のジェオフリー・パイアットに対し、「EUなんかくそくらえ」と口にしているのだが、その後、EU諸国はネオコンの戦略に従うようになった。ところがトランプ政権になり、EUの現幹部は梯子を外されたような状態だ。

 第2次世界大戦でドイツ軍はソ連へ軍事侵攻したが、1943年1月31日にフリードリヒ・パウルス第6軍司令官とアルトゥール・シュミット参謀長らがソ連軍に降伏、2月2日にはカール・シュトレッカー歩兵大将の第11軍団が投降し、事実上、ドイツの敗北が決まった。

 そうした展開に慌てた米英仏の首脳は1943年1月にカサブランカで会談、「ソ連勝利」の印象が広がらないように戦争を長引かせようと考えた。そして同年7月にイギリス軍とアメリカ軍はシチリア島へ上陸するが、その目的はコミュニストが主力のレジスタンス対策だったと言われている。ハリウッド映画で有名になったノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。日本の降伏も時間の問題になる。フランクリン・ルーズベルトが初めて大統領になった1933年に反ルーズベルトのクーデターを計画、ナチスを資金面から支援していたウォール街にとって良くない状況だ。そうした中、1945年4月12日にルーズベルト大統領は急死、5月8日にベルリンでウィルヘルム・カイテル元帥が降伏文書に調印する。

 その段階でイギリスのウィンストン・チャーチル首相はソ連に対する奇襲攻撃を目論み、アンシンカブル作戦が作成された。7月1日にアメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始めるというものだが、イギリスの参謀本部がこの計画を拒否したので実行されなかった。チャーチルは1945年7月26日に辞任する。

 現在、イギリス、ドイツ、ポーランドに加えてフランスの政府はロシアとの戦争に積極的な姿勢を見せているが、​ここにきてロシア軍はドネツクでポーランド軍部隊を全滅させ​、​ヘルソンでポーランドとイギリスの傭兵が粉砕され​、スミィにあったウクライナ軍の司令部とNATO軍の司令部をイスカンデルM戦術弾道ミサイル2発で破壊したとロシア軍は発表している。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相によると、スミィでウクライナ軍の将校たちは西側の将校らと会談していたという。

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「欧州が露に対する軍事攻撃に積極的な姿勢を見せる中、露軍がNATO司令部を粉砕」(2025.04.21ML)
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