【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年4月19日):無謀さと数々の秘密生物的犯罪に手を染めてきたアメリカの遺産

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

米国の何十年にもわたる生物兵器の追求は、秘密、欺瞞、そして科学的無謀さに包まれたままであった。

米政府は、生物兵器を世界的な安全保障に対する脅威として公に非難する一方で、同時に、より致死性が高く、感染力が強く、長期にわたって陰湿な被害をもたらす微生物を開発してきた。この隠された遺産は、第二次世界大戦中の極秘の生物実験から冷戦時代の人体実験、そして最も憂慮すべきことに、緊急の倫理的・実存的問題を提起する現代の遺伝子操作にまで及んでいる。衝撃的な真実とは、生物兵器は単なる過去の遺物ではないということだ。生物兵器は、生物兵器防御やパンデミックへの備えという名目で、現在もなお続けられている。フォート・デトリックの暗い廊下であろうと、海外の秘密研究所であろうと、あるいは物議を醸す「機能獲得」研究であろうと、病原体の強化を追求することは、人類を破滅の瀬戸際に立たせることになる。問題は、破滅的な大流行が起こるかどうかではなく、それは「いつ起こるか」という問題になっている。

恐ろしい現実は、公衆衛生を守るための制度そのものが、防衛と攻撃の境界線を曖昧にしていることだ。敵を標的にする軍事アプリケーションであれば、それは常に倫理的責任よりも優先される。兵士や民間人が秘密実験で致命的な病原体に意図的にさらされることから、地政学的戦略の武器として配備される可能性のあるウイルスの開発に至るまで、米国の生物兵器研究は、人命の尊厳を恐ろしいほど軽視してきた。COVID-19のパンデミックは、こうしたリスクをさらに顕在化させた。実験室起源、免疫抑制、野放しの生物学的実験の潜在的結果についての疑問が再燃している。もし歴史が我々に何かを教えてくれたとすれば、それは病原体が一度放出されると、それが偶然であれ意図的であれ、制御することはできないということである。それらは進化し、広がり、最終的にはそれらを生み出した人々をも悩ませることになる。この進行中の研究がもたらす危険は仮定の話ではない。それは現実であり、差し迫っており、次の大惨事が起こる前に、直ちに精査する必要がある。

1941年から1969年にかけて、米国政府は軍や情報機関、一部の科学機関と協力し、生物兵器の広範な研究、実験、さらには配備にまで手を染め、その際、対象となった人々の多くは、その事実を知らされることも、同意を求められることもなかった。この研究は、公式には防衛に必要な手段として正当化されていた。しかし、この研究は、米国市民や軍関係者、さらには外国の人々を対象とした実験につながり、倫理に反する行為や、人道に対する罪の遺産を残す結果となった。病原体実験を無謀に追求したこの行為は、意図的であれ偶発的であれ、致死性生物の放出は封じ込めることができず、破滅的な結果を招くという根本的な現実を無視したものだった。


画像: メリーランド州フォート・デトリックのナリン・ファーム・ゲートの標識 (パブリック・ドメイン)

米国の初期の生物兵器計画の中心人物は、ウィスコンシン大学の微生物学者で、1942年に陸軍省に採用されたアイラ・ボールドウィン博士であった。ボールドウィン博士は、メリーランド州フォート・デトリックに米国初の生物兵器専用研究施設の建設を任された。この施設は、その後数十年にわたって論争とスキャンダルの中心となる。 フォート・デトリックでは、炭疽菌、ボツリヌス毒素、野兎病、Q熱、ベネズエラ馬脳炎などの生物兵器の研究が大規模に行われた。 ボールドウィンは、大量生産の生物技術の基礎を築き、米国が戦時下においてこれらの病原体を確実に配備できる体制を整えた。 彼の研究は、水の汚染、空中散布、感染した昆虫媒介物の使用など、散布方法の開発につながった。このプログラムは、冷戦の激化に伴い急速に拡大した。契約を結んだ科学者や軍事戦略家たちは、国民全体を病気に罹らせる生物兵器の開発に熱心に取り組んだ。

政府の計画の中で最も悪質な側面の一つは、何も知らない民間人を対象に、生物兵器の大規模な屋外実験をおこなったことである。軍は、都市環境における生物兵器攻撃をシミュレートするために、一連の機密作戦を実施した。1950年、「シースプレー作戦」の下、海軍はサンフランシスコ市上空に、無害とされる細菌セラチア・マルセセンスを散布し、沿岸大都市における生物兵器の拡散の可能性を研究した。約80万人の住民が知らず知らずのうちに曝露し、その後まもなく肺炎や尿路感染症が増加した。少なくともエドワード・ネビンという男性が曝露の直接的な結果として死亡したが、政府は真の死因を公表しなかった。その後も、他の実験が行われた。1957年から1958年にかけて実施された「広域散布作戦(Operation Large Area Coverage)」では、ミズーリ州、ミネソタ州、さらにはカナダの一部に亜鉛カドミウム硫化物を散布し、生物学的エアロゾルの到達範囲を測定した。これらの地域の住民は、自分たちが被験者として利用されていることを知らされていなかった。1950年代初頭の「Operation Dew(露の滴作戦)」では、軍は大気中に放出された生物剤の影響を研究するために、バクテリアを混入したエアロゾルをサウスカロライナ州とジョージア州の沖合に散布した。政府が記録の多くを破棄したため、今日に至るまで、これらの実験の長期的な健康への影響はほとんど不明のままである。

民間人以外にも、米軍兵士が知らぬ間に実験台にされることが多々あった。最も悪名高いプログラムのひとつが、19年間にわたって実施された「オペレーション・ホワイトコート」(1954年~1973年)である。この極秘の生物兵器実験の対象となったのは、宗教上の理由から戦闘に反対するセブンスデー・アドベンチスト派の兵士たちであった。彼らは、公衆衛生に役立つ実験に参加していると聞かされていたが、実際には、Q熱、野兎病、ベネズエラ馬脳炎などの極めて危険な病原体に故意にさらされていた。多くの被験者が長期にわたる病気を患ったが、ワシントンは再び責任を否定した。同様に、1962年から1973年にかけて実施されたプロジェクト・シャッドでは、海軍の水兵たちが、セラチア・マルセセンスやバチルス・グロビギィなどの生物剤にさらされるという実験が公海上で行われた。その後、被ばくした退役軍人の多くが原因不明の健康問題に苦しみ、同意なしにモルモットとして利用されたのではないかという疑惑が持ち上がった。

しかし、アメリカの生物兵器計画は自国に限定されたものではなかった。朝鮮戦争中、米軍が生物兵器を北朝鮮と中国に対して使用したという疑惑が浮上した。両国は、疫病に感染したノミや炭疽菌の胞子を民間人居住地域に投下し、食糧を汚染するという秘密の細菌戦を米国が実施したと非難した。米国はこれらの主張を共産主義のプロパガンダとして退けたが、後に機密解除されたソビエトの諜報文書は、米国の軍当局が少なくともそのような戦術を真剣に検討していたことを示す証拠を提供した。もしこれが事実であれば、これらの行為は戦争における生物兵器および化学兵器の使用を禁止するジュネーブ議定書に違反することになる。

米国の生物兵器計画における倫理的な失敗をさらに深刻にしたのは、戦後、旧ナチスの科学者たちへの依存である。 ペーパークリップ作戦により、米国は秘密裏に数十人のナチスの科学者を呼び寄せ、生物兵器計画を進めた。 その中には、ナチスの強制収容所でペストやチフス、その他の致死性病原体を人体実験していたSS将校、クルト・ブローム博士もいた。米国はニュルンベルク裁判で裁かれることなく、ブロム博士とその同僚を招へいし、米国の生物兵器開発に彼らの専門知識を活用した。ナチスの残虐行為を非難しながら、同時にその加害者を利用するというこの偽善は、国家の安全保障を理由に、いかに人権の明白な侵害が正当化されてきたかを如実に示している。

ペーパークリップ作戦により米国に引き抜かれたナチスの生物兵器科学者の一人に、エーリッヒ・トラウブがいた。トラウブの研究は、20世紀における生物科学と秘密軍事・諜報活動の最も闇の深い交差点の一つを象徴するものであると言えるだろう。ロックフェラー研究所でウイルス学者としての訓練を受けたトラウブは、その後、帝国動物ウイルス疾患研究所で勤務した。ハインリヒ・ヒムラーの指揮下で、トラウブはナチスによるウイルスやその他の病原体を潜在的な兵器として開発する生物実験に深く関与していた。戦後、ソビエト連邦に短期間採用された後、ペーパークリップ作戦により米国に連れて来られ、米国の国防プロジェクトに従事した。


1962年、ケープカナベラルミサイル実験棟ブロックハウス34での概要説明会で、ジョン・F・ケネディ大統領とリンドン・B・ジョンソン副大統領の間に座る、元V-2ロケット科学者でNASA長官となったカート・デバス(パブリックドメイン)

フォート・デトリックで勤務していた間、トラウブはマダニ媒介感染症の研究に専念した。 彼が研究対象とした病原体には、ツラレミア、Q熱、ライム病の原因となるボルレリア・ブルグドルフェリが含まれ、これらはマダニを媒介としてひそかに広がる能力がある。 コネチカット州沖のプラム島にあるバイオ研究所は、感染したマダニを使った実験の拠点となった。 ライム病は、この研究から発生した可能性が高いことを示す証拠が数多くある。機密解除された文書によると、ダニ媒介病原体に関する広範な研究が、ライム病などの防衛研究という名目で、プラム島で実施されていたことが示されている。関心があったのは、単に病気を蔓延させる能力だけではなく、それを敵の軍事・民生インフラを麻痺させるような方法で実行し、かつそれを否定できるような形にすることだった。

1936年、トラウブは免疫麻痺またはエンドトキシン耐性としても知られる免疫寛容を発見した。マウスを使ったリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス (LCM) の実験で、トラウブは休眠状態にしておいたウイルスを再活性化させ、他のマウスに急速に感染させて流行を引き起こすことに成功した。この研究は、病気がどのように広がるかを理解するだけでなく、特定の条件下でワクチンがどのように同様の効果を発揮するかについても、深い意味を持っていた。やがてトラウブは、感染した母親は必ず感染した子どもを産むことに気づいた。その子どもたちは、健康そうに見えても、ウイルスに満ちており、感染を広げる能力があるのだ。これらのマウスは、免疫系が実質的に機能しなくなっていたため、ウイルスに対する抗体を産生しなかった。彼らは年をとるにつれて、慢性疾患、神経変性疾患、がんを発症した。最終的に、トラウブは免疫寛容を利用するだけで、これらのマウスのがん発生率を50%にまで高めることに成功した。これは将来の生物兵器研究にとって画期的な発見だった。

組み換えDNAやmRNA技術が登場する以前、研究者は病原体の特定の特性を強化するために、異なる種の間でウイルスを繰り返し移すプロセスである動物継代法を使用していた。この方法は、人工的な操作の痕跡がほとんど残らないため、ウイルスが遺伝子操作されたことを証明することがほぼ不可能であることから、特に有用であった。異なる動物宿主を使用して、病原体に特定の病理学的特性をプログラムすることができた。例えば、マウスに感染させることで、脳や中枢神経系を標的にする神経指向性ウイルスに変えることが出来る。また、他の動物に感染させることで、心臓を標的にする心臓指向性ウイルスに変えることも可能である。トラウブはこれらの技術を習得し、当時最も有能な生物兵器開発者の一人となった。彼の研究は、最終的には、即座に死に至らしめるのではなく、長期にわたって衰弱させる病気を引き起こすことを目的としたステルス生物兵器プログラムの基礎となった。

今日、慢性疲労症候群、神経疾患、そして癌の急増といった疾患が蔓延している。これらの疾患はすべて、『スリーパー・エージェント:ライム病、慢性疾患、そして生物兵器の模倣抗原の台頭』の著者アダム・フィネガンが免疫寛容の「ダーク・トライアド」と呼ぶ慢性疾患、神経変性疾患、そして精神疾患に当てはまる。これらの疾患の多くは、エプスタイン・バーウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型、ライム病の病原体であるボレリア・ブルグドルフェリなどの潜伏病原体に関連しており、これらの病原体は体内で何年も潜伏状態にあり、免疫抑制によって再活性化することがある。

この現象は自然に発生する感染症に限定されるものではない。ワクチンは、免疫系を抑制する抗原を含むことで、免疫寛容にも関与する。SARS-CoV-2ウイルスと、COVIDワクチンの重要な構成要素であるスパイクタンパク質は、トラウブのステルス病原体と同じパターンに当てはまる。スパイクタンパク質は、研究者が「偉大な模倣抗原」と呼ぶものとして機能する。これは免疫抑制、慢性疾患、長期的な健康問題につながる可能性がある。事実上、長いCOVIDは免疫寛容のもう一つの現れに過ぎない。

過去の事例もまた、こうした懸念を裏付けている。ライム病予防のために開発されたライメリックス社のワクチンは、免疫系に深刻な悪影響を及ぼすとして、発売から2年で市場から撤収された。インフルエンザワクチンにも同様の影響があることが示されており、特にPAM3-Cisと呼ばれる合成抗原を使用した場合にはその傾向が顕著だ。こうしたワクチンは、時間の経過とともに免疫系を消耗させ、慢性疾患にかかりやすい体質にしてしまうことが報告されている。

トラウブの研究が埋もれてしまった理由の一つは、それが主流の免疫学と真っ向から矛盾しているからかもしれない。理論的には、免疫寛容はワクチン科学の根本的な欠陥を露呈させる。抗体を産生せずに活動性感染症を患っている可能性があるというトラウブの発見は、恐ろしいものだ。保健当局がこの研究を隠蔽したくなるのも無理はない。もしこの知識が1960年代にオープンに議論されていたら、私たちは今日、慢性疾患をはるかに深く理解していたかもしれない。しかし、医学界は抗体反応の測定のみに注力し、免疫寛容のより広範な影響を無視した。

こういった知識の抑圧は、現実世界において深刻な影響を及ぼしてきた。免疫寛容に関連する疾患を患う患者は、しばしば激しい痛み、神経症状、疲労感を経験するが、標準的な血液検査では異常が認められない。医師たちは、これらの症状が従来の診断基準に当てはまらないため、その症状を軽視する。トラウブは、この現象を既にマウス実験で観察していたのだ。血液検査で測定可能な異常が現れる頃には、病気は既に進行していた。

例えば、今日、免疫関連疾患に苦しむ多くの個人は、その症状が従来の医学的診断基準に沿った形で現れないために、補償を受けることができない。炎症と抗体産生の代わりに、多くの人々は免疫系が適切な反応を起こすことができず、免疫寛容を経験している。慢性疾患の明らかな証拠があるにもかかわらず、患者はしばしば「あなたは病気ではない」と言われる。これと同じ問題は、長期にわたるCOVID患者やmRNAの有害反応にも及ぶ。これらの人々はしばしば医療的心理的虐待に直面する。公衆衛生当局は長い間COVIDが存在していることを認めているが、標準的な検査では異常を検出できないため、医療システムは必要なサポートを提供できていない。

元連邦検察官でナチス戦犯追及者でもあった調査ジャーナリスト、ジョン・ロフタスは、ライム病が生物兵器研究の結果であると示唆した最初の人物の一人だ。1982年に出版された著書『ベラルーシの秘密』の中で、ロフタスは、政府が正式にライム病を認める前年にダニがライム病を蔓延させていたと指摘している。当局はプラム島で病原体を兵器化する実験がおこなわれていたことを否定したが、ロフタスの調査結果はそうではないことを示唆している。

生物兵器の開発は、単に倫理に反するだけでなく、危険極まりない無謀な行為であった。民間人や軍人に対して致死性の病原体を故意に曝露させる行為は、医療倫理と人権の重大な侵害であり、科学の進歩の名の下に人間の命を軽視する体系的な無視に他ならない。特に、ダニ、ノミ、コウモリなどによる媒介生物を用いた生物兵器能力の無謀な追求は、生物兵器の制御不能な性質を危険なほど無視している。一つの誤算、事故による漏洩、または予期せぬ変異が、破滅的な全地球的結果を引き起こす可能性がある。遺伝子組み換え病原体は、標的地域を超えて拡散し、想定していない国民に感染する可能性がある。トラウブの指導下でおこなわれた政府実験とその後に続く政府プロジェクトは、生物兵器戦略の根本的な欠陥を浮き彫りにしている。つまり封じ込めの幻想だ。ナチスの専門知識がアメリカの防衛計画に組み込まれたことは、戦時上の必要性と倫理的妥協の境界線を曖昧にした。生物兵器は本質的に予測不能だ。病原体は国境を認識しない。また、生態系に導入されると、信頼性を持って制御することはできない。プラム島、フォート・デトリック、または中国の武漢研究所のような施設から病原体が漏洩する可能性は、そのような探索的研究が提供する戦術的優位性を遥かに上回る存在脅威を孕んでいる。生物兵器実験の歴史は、深刻な警告を突きつける:倫理的制約なしに科学が濫用されると、それは進歩のツールではなく、大量破壊の道具へと変質する。

数十回に及ぶ議会公聴会も、世界中の米国資金提供の研究所で何が起こっていたのか、その全容を明らかにするには至っていない。事実の曖昧化、先送り、そして完全な否定が繰り返されてきた。しかしながら、機能獲得研究を見てみると、それがCOVIDウイルス、そしてひいてはCOVIDワクチンの最も可能性の高い説明であるように思われる。

2022年3月8日、上院外交委員会での緊迫したやり取りの中で、当時のビクトリア・ヌーランド国務次官は、ウクライナに米国関連の生物学研究施設が存在することを認める衝撃的な発言をおこなった。マルコ・ルビオ上院議員の質問に対し、ヌーランド次官は施設の存在を否定せず、むしろこれらの施設がロシアの手に渡る可能性を心配していた。

「ウクライナには生物化学研究施設があり、ロシア軍がそれを掌握しようとしているのではないかと我々は非常に懸念している」とヌーランドは述べた。「そのため、ロシア軍が接近した場合に、これらの研究材料がロシア軍の手に渡らないよう、ウクライナ側と協力して対策を講じている」

ヌーランドがそのような研究所の存在を認めたことは、そのような主張を陰謀論として片付けた以前の他の当局者や主流メディアの主張と矛盾していた。2022年6月に公開された米国政府文書(国防脅威削減局の生物兵器脅威削減プログラムに関連するものを含む)によると、米国はウクライナの少なくとも46の生物兵器研究施設を支援していた。米国は、これらは疾病発生の予防に重点を置いた公衆衛生研究所であると主張してきたが、ロシアは全く異なる説明で反論した。ロシア当局者によると、自国軍がウクライナの生物兵器研究施設をいくつか制圧し、大量の文書と生物サンプルを回収したという。マリウポリにある主要な研究所の1つは、ウクライナのナチス・アゾフ大隊の保護下にあった。これらの発見により、公衆衛生を装って運営されていたアメリカ主導の秘密の生物兵器計画が暴露された。

押収された文書は、炭疽菌、ペスト、野兎病など、極めて危険な病原体に関する研究が数多くおこなわれていたことを浮き彫りにしている。ロシア国防省が、これらの研究所がコロナウイルスのサンプルも扱っていたという調査結果を発表したまさにその日、世界保健機関(WHO)はウクライナの保健当局に対し、「流出を防ぐため、高脅威の病原体を破棄する」よう勧告した。最も憂慮すべき疑惑の中には、アメリカの支援を受けた科学者たちが、渡り鳥、コウモリ、遺伝子組み換えを通じてこれらの病原体を拡散させる方法を研究していたというものがある。さらに憂慮すべきは、人体実験がおこなわれたという主張である。

モスクワは、米国が生物兵器条約に違反していることを示す膨大な文書を国連安全保障理事会に提出した。これらの研究所は純粋に公衆衛生のためだけのものだという米国の主張は、何十年にもわたって生物兵器開発計画を隠蔽するために使われてきた、あまりにもお馴染みのパターンを彷彿とさせる。米国の生物兵器計画の初期から、ペンタゴンが資金提供したアフリカとアジアの研究所に関する最近の非難に至るまで、繰り返し同じ言い訳が使われてきた。つまり、これらの研究は純粋に防衛目的であり、公衆衛生の保護を目的としているという言い訳だ。

ウクライナ以外にも、米国が資金提供している生物学研究所の世界的な規模に対する懸念は、中国からも表明されている。中国外務省は、米国が世界中で300以上の生物学研究所を運営していると主張している。中国の報告によると、これらの施設の多くは、東欧、東南アジア、アフリカ、中東の戦略的な要衝に位置している。これは、民生と軍事の双方に応用可能な、軍民両用の研究や実験がおこなわれているのではないかという懸念を引き起こしている。中国は、これらの研究所の一部が病原体の毒性と伝染性を高めるための機能獲得研究に関与しているという疑惑を踏まえ、国連に対し、これらの研究所の真の目的を調査するよう繰り返し要請している。

国際的な武器密売と秘密軍事計画に関する徹底的な調査で知られるブルガリアの調査ジャーナリスト、ディリヤナ・ガイタンジエワは、ペンタゴンが資金提供している生物研究所が公衆衛生と疾病予防を装って活動していることを示す重要な証拠を明らかにした。彼女の報告書はむしろ、偶発的または意図的な病原体の漏洩による不可解な地域的疾病流行の一因となった、無謀な秘密の生物兵器研究を記録している。ガイタンジエワが検証した漏洩文書は、これらの研究所が炭疽菌、野兎病、出血熱など軍事用途の致死的な病原体の研究をおこなっていたことを示している。2016年と2017年には、ハリコフ近郊にある米国が支援するウクライナの施設近くでA型肝炎とコレラの発生が起こり、数人が死亡した。ウクライナの地方自治体は、研究所からの偶発的な漏洩の可能性について懸念を表明した。

隣国ジョージアでは、トビリシのルガールセンターに関連した疑わしい病気の発生が相次いでいる。2018年にガイタンジエワが公表した文書によると、DTRA(Defense Threat Reduction Agency防衛威嚇緩和機関)とCDC(国立疾病センター)の資金提供を受けていたこの生物研究所は、クリミア・コンゴ出血熱や炭疽菌など、非常に致死性の高い病原体の研究をおこなっていた。記録には、ジョージア国民に対する致死的な人体実験も記載されており、伝えられるところによると、インフォームドコンセントなしに危険な生物兵器が投与されたという。さらに、内部告発によるリークでは、2013年に薬剤耐性結核の謎の発生に関与し、原因不明の状況下で複数の患者が死亡したとして、このセンターが非難されている。2018年には、ルガール地区で抗生物質耐性炭疽菌の発生があった。ロシア当局は、米国が生物兵器禁止条約に違反してルガールセンターを生物兵器研究に利用していると繰り返し非難している。

カザフスタンのさらに東には、アルマトイの中央リファレンス研究所など、ペンタゴンが資金提供している生物研究所が複数ある。カザフスタンは、中央アジアで最も腐敗した権威主義的な国と言っても過言ではない。ウクライナと同様、カザフスタンのひどい人権状況にもかかわらず、アメリカ政府はロシアと中国に近いことから、この地域の重要な軍事同盟国としてこの政権に多大な支援を提供してきた。2016年、米国防総省は、炭疽菌、ペスト、クリミア・コンゴ出血熱、野兎病の研究に重点を置くため、アルマトイの研究所を開設した。2017年から2019年の間には、この研究所が起源と疑われる原因不明の肺炎のような病気が複数報告されている。2019年には、クリミア・コンゴ出血熱に似た珍しいダニ媒介性ウイルスの発生があった。カザフスタンの研究所の生物学的活動に対する国際的な懸念にもかかわらず、米国は、この研究所は疾病予防と疫学研究のみを目的としていると主張し続けている。

アルメニアは、もう一つの旧ソビエト連邦構成共和国であり、米国資金提供の生物学研究所の拠点ともなっている。ガイタンジエワは、米国軍関係の研究者がアルメニア市民の生物サンプルへのアクセスを許可されていたことを明らかにした。これは米国がパンデミック対策の口実の下で秘密の実験をおこなっているのでは、との推測につながった。国防総省はまた、アルメニアの生物安全保障インフラの強化に数百万ドルを投入している。その結果、アルメニアの政治家やロシアのアナリストの間で、米国が同国を生物監視や秘密の生物兵器研究の拠点として利用しているとの懸念が高まっている。

アメリカの海外における生物兵器作戦の無謀かつ秘密性は、ロシアとその受入国だけでなく、人類全体にとって重大な脅威となっている。国防総省の生物学研究所は、謎の疾病の発生、バイオセキュリティの不備、そして致死的な人体実験につながる致死性の病原体を用いた野放しの実験という危険なパターンを明らかにしている。旧ソ連圏4カ国におけるワシントンの生物兵器研究所の存在は、公衆衛生とは全く関係がなく、むしろより広範な地政学的戦略の一環と考えられる。NATOの軍事インフラが国境沿いに拡大するのを目の当たりにしたロシアは、これらの生物兵器研究所が西側諸国による封じ込め策の新たな好戦的な政策として機能し、米国とその同盟国がロシア政府を不安定化させ、国民に危害を加える生物学的脅威を解き放つ能力を与える可能性があるのではないかと、ますます警戒を強めている。

HIV/エイズの流行は、ステルス生物兵器研究の役割についても疑問を投げかけている。単一のレトロウイルスが30もの異なる疾患を引き起こすことはあり得ないが、エイズではまさにそれが観察された。ヒトヘルペスウイルス6型など、他の病原体が大きな役割を果たしていることを示す証拠があるにもかかわらず、公式見解に疑問を呈した研究者たちは沈黙させられた。中には、慢性疲労症候群は実際には直接的なHIV感染ではなく、免疫抑制によって引き起こされる軽度のエイズであると考える研究者さえいた。

ここにはある特定のパターンがある。ライム病からエイズ、そしてCOVID-19に至るまで、病原体が即座に死に至るのではなく、免疫抑制を引き起こすように改変されているという、繰り返し見られる現象があるのだ。目的は大量死ではなく、むしろ自然な健康状態をゆっくりと、そして陰険に悪化させることだ。しかし、圧倒的な証拠があるにもかかわらず、政府や保健機関はいかなる不正行為もない、と言い続けている。

現実には、これらの実験は公衆衛生に永続的かつ壊滅的な結果をもたらしてきた。病原体が戦争のためだけでなく、制御のための道具として作られているという考えは、誰もが警戒すべきである。問題は、人々が説明責任を求める前に、いつまで公式の説明を受け入れるのか、ということだ。

20世紀で最も著名なワクチン学者の一人で、メルク社に勤務し多くのワクチンを開発したモーリス・ヒレマンは、今では悪名高くなったインタビューで、衝撃的な事実を暴露した。このインタビューの中で、ヒレマンはポリオワクチンの製造ロットでサルウイルス40(SV40)を発見したことを何気なく認めたのだ。彼は、このウイルスが癌の原因になるのではないかと疑っていた。このウイルスは、ワクチン製造に使用されたサルの組織培養液に由来しており、そこには他の多くの病気が含まれていた。ヒレマンは、経口ポリオワクチンの開発者であるアルバート・セービンにこの汚染について警告した。しかし、セービンはこの警告を自分の研究の信用を失墜させるためのものだと一蹴した。しかし、この汚染は深刻な意味合いを持っていた。二人の議論では、これらのワクチンが意図せずしてエイズなどの病気を人々に持ち込んだ可能性にまで言及した。さらに、汚染されたワクチンはソ連を含む世界中に流通し、原因が明確に特定されないまま神経疾患や麻痺性疾患の原因となった可能性がある。

一方、米国政府は、自閉症を含むワクチン関連の被害を立証できた個人に対し、40億ドル以上の賠償金を支払ってきた。しかし、これらの賠償金はほんの一部の被害者たちに支払われたに過ぎない。

米国の秘密の生物兵器研究と実験の遺産は、特に論争の的となっている問題に直接関係している。つまり①SARS-2-CoVウイルスの実験室起源と、②mRNAワクチンが免疫機能不全を悪化させる役割を果たしていることだ。データによると、長期COVID症例の90%はワクチン未接種者よりもワクチン接種者に発生している。このことはこれまでの主流的な言説に疑問を投げかけるものだ。最も重症で死亡率が最も高いのは、複数回のワクチン接種を受けた患者なのである。

従来のワクチンとは異なり、mRNAワクチンは体内の細胞にスパイクタンパク質を製造するように指示する。医療専門家は現在、この戦略がウイルス自体への曝露よりも危険であると主張している。私たちは、これらのスパイクタンパク質は迅速に分解されると説明されてきたが、データを見るとそれらが数ヶ月から数年もの間持続することははっきりしている。この持続性は、心血管疾患、自己免疫疾患、がん、神経疾患、その他の慢性疾患の増加と関連付けられている。独立した科学者の警告がますます増えているにもかかわらず、一般市民はこれらのワクチンが安全で効果的であると言われ、安心させられている。

SARS-CoV-2ウイルス(COVID-19パンデミックを引き起こしたウイルス)の起源は、激しい議論の的となっている。当初の公式見解では、中国・武漢の華南海鮮市場で中間宿主を介したコウモリからの自然由来の動物由来感染が指摘されていたが、科学文献や証言聴取会において、ウイルスが研究室での機能獲得(GoF)研究から発生したとの証拠が次第に蓄積されている。具体的には、COVID-19ウイルスは米国政府の資金提供を受けた実験を通じて開発され、特にノースカロライナ大学でエコヘルス・アライアンスと武漢ウイルス研究所と協力して実施されたラルフ・バリック博士の研究が中心となっている。議会調査、科学的分析、内部告発者の証言は、自然起源説の重大な矛盾を浮き彫りにし、ウイルスの遺伝的特徴を現実的に説明できるのはGoF研究のみである点を強調している。

2020年3月に世界保健機関(WHO)が世界的パンデミックを宣言した当時、HIVの発見で知られるノーベル賞受賞ウイルス学者リュック・モンタニエは、SARS-CoV-2のゲノム解析を実施。モンタニエは、このウイルスは人工的に改変されたものだと主張した。2020年4月の物議を醸したインタビューで、モンタニエはSARS-2のゲノムにはHIVや他のウイルスの配列に類似した異常な挿入配列が含まれていると主張した。モンタニエはまた、クロイツフェルト・ヤコブ病(狂牛病)や慢性疲労ウイルスの可能性のある断片も特定した。生物数学者ジャン=クロード・ペレスと共同で行ったモンタニエの解析により、これらの遺伝子断片の存在は実験室での操作を示唆していることが証明された。モンタニエの研究結果は医学界から広く否定されたが、2022年に亡くなるまで、パンデミックは自然進化ではなく実験室での改変の結果であるとモンタニエは主張し続けた。これらの遺伝子挿入物が検証されれば、SARS-2 ウイルスが時間をかけて免疫系を弱めるように設計された操作された生物兵器であることが確認されることになる。

複数の公表された研究は、パンデミック前にSARS様コロナウイルスが実験室で操作されたことを確認している。2015年、バリックと武漢の石正麗博士は共同で論文を発表し、コウモリ由来のコロナウイルスのスパイクタンパク質をヒトに適応させたウイルス骨格に組み込むことで、ヒト感染の可能性を実証するためのSARS様ウイルス工学的な改変について記述した。この研究は、アンソニー・ファウチ博士の国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)からの助成金の一部で資金提供され、エコヘルス・アライアンスを通じて実施された。

SARS-2ウイルスの最も注目すべき遺伝学的特徴は、フリン切断部位を有していることだ。これは、他の既知のSARS関連コロナウイルスには存在しない。この部位はウイルスのヒト細胞への感染能力を劇的に高めるため、自然起源説全体に疑問を投げかけることになる。さらに、エコヘルス・アライアンスは2018年に、コウモリコロナウイルスにフリン切断部位を導入する研究プロジェクトを提案した。SARS-CoV-2がまさにこの遺伝子改変を受けて出現したことを考えると、これは不気味なほど先見の明のある実験だった。他の研究者は、このウイルスはヒトへの感染に事前に適応しており、明確な進化の中間段階を欠いているように見えると意見を述べた。これは、新たな人獣共通感染症病原体では前例のないことだ。

議会公聴会、内部告発、情報機関の報告では、連邦政府機関が2018年には早くも武漢の研究所の安全上の懸念を認識していたことが確認されている。米国務省の報告書によると、武漢の研究者らは、公式に報告された発生のほぼ2か月前の2019年11月に、COVIDのような症状で入院していた。

COVID-19ウイルスの遺伝子工学は、病原体をウイルス強化し兵器化するという米国のプログラムの広範な歴史的パターンに当てはまる。これまで見てきたように、米国軍と情報機関は第二次世界大戦時代から生物兵器研究に関与してきた。初期の懸念の抑圧、研究者間の利益相反、そして病原体強化への政府の歴史的関与は、より広範な秘密主義と隠蔽のパターンを示唆している。生物兵器禁止条約はそのような研究を正式に禁止している。しかし、防衛への応用に関する米国の研究は継続しており、公衆衛生と軍事的利益の境界線が曖昧になっていることが多い。

米国の生物兵器研究の遺産は、人道的にも倫理的にも、驚異的な規模の失敗である。これらのプログラムは、医療倫理の基本原則に対する重大な裏切りである。政府は、国家安全保障の旗の下で自らの行動を繰り返し正当化してきたが、その結果は国や国民を守るといった類いのものでないことははっきりしていた。兵士、民間人、そして国民全体は、何の認識も説明責任もないまま苦しんできたのだ。これらの実験は国際法に違反しているだけでない。科学と医学に対する国民の信頼を組織的に損なってきた。さらに悪いことに、これらのプログラムの責任者は連邦政府の保護によって守られたままであり、内部告発者、独立した科学者、被害者は沈黙させられ、笑いものにされている。

知識の追求が、破壊の追求と区別がつかなくなるのはいつか? 致死性の病原体を作り出すことは、安全策ではなく、爆発を待つ時限爆弾であることを、私たち社会はいつ認識するのだろうか? この研究の道徳的代償は計り知れない。歴史が示すように、未来の世代は、戦略的利益と経済的利益のために自然を制御できると信じていた人々の傲慢さを、恐怖とともに振り返ることになるだろう。これらの危険性を単に認めるだけでは不十分。私たちの生存だけでなく、人間であることの意味そのものを脅かす無謀な科学実験には、終止符を打たなければならない。
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リチャード・ゲイル はプログレッシブ・ラジオ・ネットワークのエグゼクティブ・プロデューサーであり、バイオテクノロジーとゲノム産業の元シニア・リサーチ・アナリストです。
ゲアリー・ヌル博士 は、代替医療と栄養健康に関する全国で最も長く放送されている公共ラジオ番組のホストであり、多額の賞を受賞したドキュメンタリー映画監督で、最近の作品には『ラスト・コール・トゥ・トゥモロー』があります。
彼らはグローバル・リサーチの定期的な寄稿者です。

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS(2025年4月19日)「無謀さと数々の秘密生物的犯罪に手を染めてきたアメリカの遺産」
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-3122.html
からの転載であることをお断りします。

また英文原稿はこちらです⇒America’s Legacy of Recklessness and Covert Biological Crimes
筆者:リチャード・ゲイル(Richard Gale)とゲアリー・ヌル(Gary Null)博士
出典:Global Research 2025年4月4日

https://www.globalresearch.ca/america-legacy-recklessness-covert-biological-crimes/5883491

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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