
植草一秀【連載】知られざる真実/ 2025年4月28日 (月) メディアがトランプ叩くわけ
社会・経済トランプ2.0が始動して100日が経過。
ハネムーンの100日という言葉がある。
大統領就任から100日間は選挙で選出された大統領に敬意を払う習慣。
しかし、この美風は消え去っている。
米国は分断され、対立が深刻化している。
米国を支配する巨大資本勢力は反トランプ。
トランプに対する批判、攻撃を小休止しなかった。
主要メディアは軒並み反トランプ。
選挙戦のさなかも、選挙後も、大統領就任後も一貫してトランプ攻撃を続けている。
そのトランプがエキセントリックな政策を提示。
そのために金融市場も混乱してきた。
エキセントリックな政策の第一は高率関税政策。
米国産業を復興するために輸入に高率関税を課す。
高率関税で国内産業を守り、国内産業の復興を図る。
しかし、他国に対しては関税率の引き下げを求める。
ダブル・スタンダードだ。
自由貿易の主張なのか、保護主義の主張なのか。
判別不能。
金融市場は株価急落の反応を示した。
すると、トランプ大統領は掲げた政策を大幅に後退させた。
国別追加関税発動に90日の凍結期間を設けた。
高率関税で米国製造業が全面復活することはない。
製造業の立地は変遷する。
国ごとの発展段階が異なる。
労働賃金にも大きな格差が存在する。
製造業の立地は時の流れに連動して変遷する。
その製造業立地が全面的に米国に回帰することはない。
また、米国はレアアースなどを中国等に依存。
自由貿易は米国に恩恵を付与している。
高率関税政策はトータルで米国に負の影響を与えると考えられる。
したがって、トランプ大統領は軌道修正を求められる。
FRBに対する要請も同じ。
FRBに利下げを強要してFRBが応じるなら、FRBの信認が低下する。
トランプ大統領がFRBに利下げを強要しようとして株式市場は下落反応を示した。
米ドル、米債券、米株式がすべて売られる構図。
米国からの資本逃避が生じる気配が広がった。
トランプは軌道修正せざるを得ない。
こうした〈実績〉が積み上げられてトランプ大統領支持率が低下。
就任100日時点の支持率ではワースト記録になったと報じられている。
だが、状況に臨機応変に対応するのがトランプ大統領の強み。
関税政策もFRB対応も修正してくると予想される。
このなかで、最重要問題がウクライナ停戦。
この問題については、ロシアのプーチン大統領と米国のトランプ大統領の主張が正しい。
バイデン時代に米国とウクライナが連携して戦争を創作した。
不必要な戦争を創作した。
トランプが大統領だったら戦争を引き起こさずに処理した、というのは真実に近い。
無用な戦争を引き起こしたために、ウクライナの少なからぬ領土がロシア支配下に移行した。
ウクライナは馬鹿な戦争を始めたと言える。
現在の占有領域を固定化するかたちで戦争を終結させることになる。
トランプとプーチンが主導することになるだろう。
それでも戦争を終結させれば巨大な実績になる。
トランプはノーベル平和賞を受賞するのが筋だが、国際カルトが容認するかどうか。
トランプ2.0に対する評価を下すのは時期尚早である。
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植草一秀の『知られざる真実』2025年4月28日 (月)[メディアがトランプ叩くわけ]
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050