【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/ 2025年4月29日 (火) 〈しょぼい減税〉案オンパレード

植草一秀

4月26日の土曜日からゴールデンウィークが始まったというが、優雅な大型連休とは程遠い。

なかには4月26日(土)から5月6日(火)までの11連休という人もいるが、アンケート調査では全体の7%。

100人中7人しかいない。

最多は4連休の30%。

暦通りに5月3日(土)から5月6日(火)の4連休があるだけ。

4月27日の週は火曜日の29日が祝日なだけで普通の週と変わらない。

連休の過ごし方も

自宅で過ごす   35%
外食       32%
ショッピング   22%
近場の日帰り旅行 18%
ドライブ     14%
映画       10%

といったところ(株式会社ぐるなび調査)。

「予算を抑えてできる範囲で楽しみたい」が56%。

海外旅行に出かける人は50万人強と見込まれており、全人口の0.4%にとどまる。

外国人の訪日は激増して年初から最速で1000万人を突破している。

日本円暴落で海外に行っても食事すら満足にできない状態にある。

日本国内でも豪華な食事をしているのは外国人に限られている。

日本経済の停滞は深刻。

しかも、分配の変化が加速してきた。

中間層が消滅して圧倒的多数が下流に押し流された。

一握りの勢力が所得水準を切り上げた。

生産活動の結果生み出される価値が所得になるが、その所得の分配に際して、一部の者だけが不当に巨額を占有してしまい、圧倒的多数の一般労働者の所得が激減してきた。

所得分配が歪められてきたということ。

社長と平の所得格差が拡大した。

社長の働らきが増したわけではない。

社長が一般労働者が生み出した価値を横取りしているだけ。

これを「頑張った人が報われる」とは言わない。

「頑張った人が報われず」、「頑張っていない人が搾取している」だけだ。

派遣労働など不当極まりない。

「派遣」するだけで巨大な「中抜き」をしている。

派遣企業が労働者の派遣先を決定する権限を有する。

このために、労働者が正当な権利を主張できない。

派遣会社は濡れ手に粟の利益をむさぼっている。

日本の労働者一人当たりの実質賃金は1996年から2024年までの28年間に17%も減少した。

世界最悪の賃金減少国だ。

とてもではないが、ゴールデンウィークに海外旅行を楽しめる余裕などない。

「賃上げ」と叫ばれ続けてきたが労働者一人当たりの実質賃金は2022年4月から2025年2月までの35ヵ月間のうち、31ヵ月で前年同月比マイナス。

本年1月の実質賃金は前年同月比2.8%も減少した。

賃上げを叫んでもインフレが亢進し、実質賃金は減り続けているのだ。

インフレ率は消費者物価指数上昇率で本年1月が前年同月比4.0%上昇。

3月でも前年同月比3.6%上昇した。

生鮮食品は本年1月に前年同月比21.9%も上昇した。

狂乱物価である。

生鮮食品は2022年に8.1%上昇、23年に7.4%上昇、24年に7.0%上昇した。

24年の水準は20年比で24%も高い。

国民生活窮乏の悲鳴が聞こえてくる。

抜本策が必要。

減税論議が喧しいが、〈しょぼい減税〉オンパレードだ。

〈しょぼい減税〉を掲げる政党は選挙後の〈増税〉を目論んでいる。

〈しょぼい減税〉を掲げる政党の化けの皮を剥ぐ必要がある。

※なお、この記事は下記からの転載であることをお断りします。
植草一秀の『知られざる真実』2025年4月29日 (火) 「しょぼい減税〉案オンパレード」

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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