
【櫻井ジャーナル】2025.05.02XML:資源協定でウクライナ利権を手にした米国だが、露国は欧米軍の侵入を許さない
国際政治アメリカとウクライナは4月30日、鉱物資源協定に署名した。この協定により、ウクライナとアメリカは鉱物を探すための共同投資基金を設立し、収益の分配方法を定めることになる。この協定はドナルド・トランプ米大統領が強く求めていたもので、これを口実としてアメリカ政府はウクライナに軍事支援するつもりだろう。トランプ大統領はアメリカがウクライナに対する軍事支援を再開すればロシア政府は屈服するとでも思っているのかもしれないが、そうなる可能性は小さい。
この協定についてロシアのドミトリー・メドベージェフ国家安全保障会議副議長は、アメリカの支援に対し鉱物資源で支払わざるを得ないところまでウクライナをトランプ大統領は崩壊させたと語っている。
セルゲイ・ラブロフ外相は4月27日、ブラジルのオ・グロボ紙に対し、ウクライナ紛争を終わらせるために満たさなければならない条件を改めて述べている。
条件のひとつはウクライナによるロシアとの交渉の法的な禁止を解除すること。さらにウクライナは中立かつ非同盟の地位を維持し、NATOに加盟しないこと、西側諸国は制裁を解除し、凍結されたロシアの資産を返還することを求めている。クリミア、セバストポリ、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、そしてザポリージャにおけるロシアの主権的な支配を国際的に承認すること、ロシアの言語、メディア、文化、伝統、そして正教会などに対する弾圧を止めることも要求している。ネオ・ナチの問題もある。こうした条件が満たされ、和平合意への明確な道筋が示されない限りロシアは戦闘を継続するということだろうが、さらに大きな問題が残されている。ウォロディミル・ゼレンスキーと西側諸国軍のウクライナ駐留だ。
イギリスの情報機関MI6にコントロールされている可能性が高いゼレンスキーは30日間の無条件停戦を主張していたが、これはロシア軍の動きを止め、ウクライナ軍の戦力をテコ入れすることが目的だとロシア政府でなくても考える。また、CIAとの関係が深いラジオ・リバティの見通しによると、その停戦期間中にヨーロッパ諸国がウクライナの西部に「安心感を与える部隊」を編成する。その部隊は地上軍ではなく、ハブとして機能しているリビウ空港とその周辺地域を「空中パトロール」すると、このメディアは推測しているが、ロシア側はウクライナに西側の軍隊が駐留すれば、軍事攻撃の標的にするとしている。これは単なる脅しではないだろう。国家の存亡がかかっているからだ。
本ブログでは繰り返し書いてきたように、ネオコンたちが1990年代から続けているNATOの東への拡大は現代版の「バルバロッサ作戦」、いわば「ネオ-バルバロッサ」にほかならない。バラク・オバマ政権がウクライナをクーデターで乗っ取った段階でNATOはルビコンを渡ったと言える。そのクーデターの際に動かなかったプーチンは大きな間違いを犯したと言われた。
ウクライナでの停戦に同意し、どのような形であれ、西側の軍隊を同国へ入れることはロシアにとって受け入れ難いはずだ。「新デタント」でアメリカから経済的な利益を得られると浮かれるような話ではない。プーチン大統領もそうした譲歩はしないだろう。ヨーロッパの現指導部はアメリカがロシアに楽勝すると言う前提で好戦的な政策を推進してきたのだろうが、その見通しは間違っていた。
ウクライナでクーデターを実行する際にネオ・ナチを使っているが、それだけでなくウクライナ軍に武器弾薬を提供、さらにアル・カイダ系戦闘員も戦場へ投入してきた。戦闘が終了した場合、ネオ・ナチやアル・カイダ系戦闘員が武器を携えてヨーロッパ諸国へ入り込む可能性が高い。失業問題が深刻化するだろうが、それだけでなく、兵器は犯罪組織へも流れ、戦闘員が市街戦を始めるかもしれない。ヨーロッパ諸国の政府としては、そうした兵器や兵士はウクライナに留まっていてほしいだろう。つまり、戦争は終わらないでほしいはずだ。
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「資源協定でウクライナ利権を手にした米国だが、露国は欧米軍の侵入を許さない」(2025.05.02ML)
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