【連載】安斎育郎のウクライナ情報

5月2日のウクライナ情報

安斎育郎

5月2日のウクライナ情報
安斎育郎

❶一時停戦、ロシアの宣言的な意思表示=専門家(2025年4月29日)
プーチン露大統領が対独戦勝記念日にあわせた一時停戦を提案したことは、紛争の最終的解決に向けたロシアの意思を改めて確認するものだと、軍事専門家のロドルフォ・ラテルザ氏が、スプートニクに語った。
「停戦は、前線全域におけるあらゆる攻勢の停止や重要インフラを含む後方への攻撃の放棄を含んでおり、3日間続く。主に緊張緩和の意思を示す、宣言的な効果を持つものであるが、ウクライナ側は受け入れないだろう。イースター停戦の例がこれを示している。戦術的な観点から言えば、特に国境の長さを考えると、ウクライナ側が再編し、挑発的な行動に出るリスクがある」
https://sputniknews.jp/20250429/19838103.html

❷ウクライナ・ゼレンスキー大統領「ロシアが無条件停戦への第一歩を」 改めて無条件での停戦実現求める(2025年4月30日)
ウクライナのゼレンスキー大統領は、戦闘終結に向け「ロシアが無条件停戦への第一歩を踏み出す必要がある」などと述べ、改めて「無条件での停戦」の実現を求めました。
ゼレンスキー大統領は29日、ビデオ演説で、ロシアとの戦闘終結について「無条件で完全な停戦が最初の一歩となるべきで、ロシアがこれを行う必要がある」と述べて、改めてロシア側に対し、無条件での停戦の実現を求めました。
そのうえで、ロシアに対する新たな制裁について「アメリカ側との協議の準備を進めている」と述べました。
プーチン大統領は28日、来月の戦勝記念日にあわせ72時間の一時停戦を一方的に表明しましたが、ゼレンスキー氏はこの日まで停戦を待つ理由はなく「新たなまやかしだ」と非難しています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fc6d12b84e7b7bc8b0b7d4802ba0291405fdff94/images/000

❸ロシアの停戦「新たなまやかし」 ウクライナ大統領が一蹴(2025年4月29日)
【キーウ共同】ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、ロシアが5月9日の対ドイツ戦勝80年の記念日に合わせて8日から72時間の停戦を一方的に宣言したことについて「新たなまやかしだ」と述べ、ウクライナに同調を求めるロシアを一蹴した。数日間ではなく、完全な停戦が必要だと重ねて訴えた。
ゼレンスキー氏は、ロシアは世界を操作し、米国を欺こうとしていると非難。停戦は戦勝記念日のパレードを平穏に実施するのが目的だと指摘し「私たちはパレードではなく、人命を重視している」と強調した。
少なくとも30日間の完全かつ無条件の即時停戦が必要だと主張。5月8日まで待つ理由もないと表明した。
ウクライナのシビハ外相もX(旧ツイッター)で「ロシアが真に平和を望むのであれば、直ちに停戦しなければならない」と訴えた。
ロシア大統領府によると、プーチン大統領はモスクワ時間の8日午前0時(日本時間同午前6時)から11日午前0時まで72時間の停戦を決めた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8d18d0b01e7e53cb4532da0a0d7a4349c88186ba/images/000

❹ プーチン氏の3日間停戦宣言に…米ホワイトハウス「トランプ氏は恒久的停戦を追求」(2025年4月29日)
米国ホワイトハウスはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が第2次世界大戦勝利記念日(戦勝節)連休である来月8~10日(現地時間)の3日間、ウクライナとの戦争を停戦すると宣言したことに対して「恒久的停戦」を望むと明らかにした。
ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は28日、記者会見で「私はプーチンが暫定的停戦を提案したと理解している」とし「(ドナルド・トランプ大統領は)殺傷をやめて流血事態を中断させる恒久的停戦を見ることを願っている点を明確にしてきた」と話した。
レビット氏は「トランプ大統領は両国の指導者に徐々に挫折感を持つようになっている」とし「彼は合意に至るまで相変らず楽観的だが、また現実的でもある。(ロシアとウクライナの)両首脳は交渉テーブルに出てくる必要がある」と求めた。
ロシアのクレムリン宮(大統領府)はこの日テレグラムを通じて声明を発表して「ロシアのプーチン連邦軍最高司令官の決定によりロシアは人道主義的考慮を基に勝利80周年記念日の間、停戦を宣言する」と明らかにした。具体的な停戦期間は5月8日0時から10日夜12時まで計72時間だとクレムリン宮は説明した。
5月9日はロシアが第2次世界大戦勝利を記念する公休日だ。勝利80周年を迎える今年、ロシアは5月8日から連休に入る。クレムリン宮は「この期間すべての軍事行動が禁止される」とし「ウクライナはこの模範に従うべきで、ウクライナ側が停戦を違反すればロシア軍は適切かつ効果的に対応するだろう」とした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a27c9f469abfcdebe4fc6cb95f509fe1676c356a/images/000

❺米国、デッドライン設定か…「今週ウクライナ終戦仲裁を続けるか決める」(2025年4月29日)
米国務長官が「今週がウクライナ戦争の終戦協議仲裁を継続するかどうかを決める極めて重要な週になるだろう」と述べた。事実上「仲裁デッドライン」を定めたということだ。ロシアとウクライナの交戦が続いている中、米国側が終戦協議の圧力を強め、一寸先が見えない状況を迎えている。
ルビオ米国務長官は27日(現地時間)、米NBC放送のインタビューでこのように伝え、「トランプ大統領は戦争を終わらせようと努力していて、実質的な進展があったが、最後の数段階が最も難しい部分」と話した。また「(終戦協定に)近づいたが、まだ十分ではない」とし「(我々の)努力が実を結ばなければ、時間と資源を引き続き投入することはできない」と述べた。
これに先立ち米政府は「終戦協議が進展しなければ手を引く」という趣旨の立場を表していた。20日、トランプ大統領はトゥルース・ソーシャルに「今週中に合意すれば両国は米国と大きな事業を始め、大きな富を築くだろう」と投稿するなど「ニンジン」も提示した。
しかし協議に進展がない中、デッドラインを提示すると同時に警告性の立場を表している。特にトランプ大統領は最近、ロシアのプーチン大統領に向けてウクライナ爆撃を批判する一方、対ロシア追加制裁の可能性まで示唆した。トランプ大統領は26日、フランシスコ教皇の葬儀のためバチカンを訪問してゼレンスキー大統領と会い、「とても多くの人が死亡している。(ロシアは)攻撃をやめるべきだ」と述べた。続いて「2次制裁」などに言及し、「おそらく彼(プーチン大統領)は戦争を中断する考えがないようだ。私は彼がこれまでとは違う待遇を受けるべきだと考える」と明らかにした。
ロシアとは違ってウクライナに対しては以前とは異なり穏健な態度も見せている。トランプ大統領はゼレンスキー大統領との対話について「すばらしく美しい会議だった」とし「彼(ゼレンスキー大統領)は立派で熱心に仕事をしている」と述べた。続いてゼレンスキー大統領が追加武器支援を要請した事実に言及し、「彼は3年間ずっと武器がさらに必要だと話している」とし「(終戦協議で)ロシアに関連してどんなことが起きるのか見守る」と語った。協議の結果しだいで武器を支援するかどうかが決まる可能性があるということだ。ただ、従来のようにクリミア半島放棄を終戦条件の一つにしようとする圧力は続いている。トランプ大統領は「クリミア半島をゼレンスキー大統領が放棄する準備ができたと見るか」という質問に対し、「私はそう考える」と答えた。
こうした状況の中、世界の軍事支出増加も目立っている。ストックホルム国際平和問題研究所(SIPRI)の28日の報告書「2024世界軍事支出動向」よると、昨年、全世界の軍費は2兆7180億ドル(約386兆円)だった。これは前年比9.4%増で、1988年以来の最大幅だ。このうちロシアが前年比38%増の1490億ドルを支出したことが分かった。ウクライナは前年比2.9%増の647億ドルだが、これはウクライナ全体の国内総生産(GDP)比34%にのぼる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6affb1c0ced70d4b59fd74baaff1b839cf865c01/images/000

❻ゼレンスキーのおねだりはとめどなく続く……ロシアの方が合意しやすい=米大統領(2025年4月30日)
トランプ大統領はメディアの取材に応じた中でロシアとウクライナの停戦交渉について言及、プーチン大統領の方が合意しやすいと認めた。
https://twitter.com/i/status/1917390661344714942
https://sputniknews.jp/20250430/19839749.html

❼ BRICS諸国が世界のGDPに占める割合が過去最高に(2025年4月30日)
IMFによると、BRICS諸国が世界のGDP(購買力平価)に占める割合は0.64%増加して過去最高の36.8%に達した一方、G7は0.42%減少して28.86%となった。結果、BRICSとG7の差は過去最高の8%にまで拡大した。
BRICS諸国は急速な成長を続けている。BRICS諸国の中で世界経済に占める割合が減少したのはエジプトと南アフリカのみ。一方、G7では全ての国でGDPにおけるシェアが減少した。
https://sputniknews.jp/20250430/bricsgdp-19839302.html
〈関連情報〉BRICS諸国は急速な成長を続けている(2025年4月30日)
🇨🇳中国19.45%(0.34%🔺)
🇮🇳インド8.25%(0.25%🔺)
🇷🇺ロシア3.54%(0.05%🔺)
6
🇪🇹エチオピア0.27%(0.01%🔺)
🇧🇷2ブラジル.4%(0.01%🔺)
🇮🇷イラン0.9%(0.01%🔺)
🇦🇪UAE0.4%(0.01%増🔺)
BRICS諸国の中で世界経済に占める割合が減少したのはエジプトと南アフリカのみ
🇿🇦南アフリカ0.5%(0.01%🔻)
🇪🇬エジプト1.14%(0.01%🔻)
一方、G7では全ての国でGDPにおけるシェアが減少した。
🇺🇸米国14.88%(0.06%🔻)
🇯🇵日本3.3%(0.1%🔻)
🇩🇪ドイツ3.06%(0.1%🔻)
🇬🇧英国2.2%(0.05%🔻)
🇫🇷フランス2.2%(0.05%🔻)
🇮🇹イタリア1.8%(0.05%🔻)
🇨🇦カナダ1.3%(0.1%🔻)
https://x.com/sputnik_jp/status/1917414162126495968?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1917414162126495968%7Ctwgr%5E66b132396cf28e53b32aac017a5c63763731553a%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fsputniknews.jp%2F20250430%2F19839749.html

❽ハンガリー、ICCの活動に参加することを拒否(2025年4月29日)
「ハンガリー議会はたった今、国際刑事裁判所(ICC)からの脱退について採決を行い、可決した。この決定により、我々は、その公平性と権威を失った政治化された組織の一部であることを拒否する」ハンガリーのシーヤールトー外相がXに投稿した。
https://x.com/sputnik_jp/status/1917414162126495968?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1917414162126495968%7Ctwgr%5E66b132396cf28e53b32aac017a5c63763731553a%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fsputniknews.jp%2F20250430%2F19839749.html

❾トランプ関税は中国にとって「贈り物」 米紙が指摘(2025年4月29日)
トランプ大統領が導入した関税は、米国に対する世界の信頼を揺るがしたため、中国の習近平国家主席にとって「まさに贈り物」となった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルがこのような見解を報じている。
「関税が国内にのみ損害を与えるとの考えは間違いだ。友好国やライバル国への強引な攻勢は、米国に対する世界の信頼を揺るがしている。中国はすでにこの状況を利用し、より信頼できる巨大市場として米国の同盟国を引きつけている」
同紙によれば、有権者は「一期目の経済政策を温かく記憶していた」こともあってトランプ氏を選んだが、二期目では「貿易と外交政策での執着」に走っており、その最初の成果はマイナスなものだという。
一方、ホワイトハウスのレビット報道官は以前、米国は関税を巡って世界が中国に接近することを恐れておらず、アジア諸国もトランプ氏に交渉を呼びかけていると強調した。
https://sputniknews.jp/20250429/19834771.html?rcmd_alg=collaboration2
❿ウクライナ紛争継続なら「核エスカレーションはあり得る」=バンス氏(2025年4月29日)
ウクライナは今後数年間戦闘行為が続いても紛争には勝てないが、核のエスカレーションというシナリオはあり得る。米国のバンス副大統領は、チャーリー・カーク氏のオンライン番組に出演した中でこのような見解を語った。
「このままでは、ウクライナは戦争に勝てない。主流メディアでは、この状況があと数年続けばロシアは耐えられなくなり、ウクライナは領土を取り戻し、すべてが戦争の前の状態に戻るという奇妙な見方があるように思う。しかし、我々が生きている現実はそうではない」
バンス氏の意見では、戦闘行為が止まらなければ、結果として「核戦争へのエスカレーションにつながる可能性がある」という。
ロシアのプーチン大統領は、前提条件なしにウクライナと和平交渉を行う用意があると表明した。一方、ウクライナ側は停戦後にのみ和平に関する対話に応じる用意があると述べている。
https://sputniknews.jp/20250429/19834659.html

2025年5月2日ウクライナ情報pdfはこちら

 


 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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