
5月9日のウクライナ情報
国際5月9日のウクライナ情報
安斎育郎
❶モスクワ市内の全空港を閉鎖 ウクライナによる2夜連続のドローン攻撃受け
(2025年5月6日)
ロシアは5日、首都モスクワが2 夜連続でウクライナのドローン(無人機)攻撃の標的になったと発表した。ロシア連邦航空局は、モスクワ市内の四つの主要空港すべてを安全確保のため一時的に閉鎖したと、メッセージアプリ「テレグラム」に投稿した。
モスクワのセルゲイ・ソビャーニン市長は、少なくとも19機のウクライナのドローンが「さまざまな方向から」市内に到達する前に破壊されたと、ソーシャルメディアに投稿した。破片の一部はモスクワ市内に続く主要幹線道路の一つに落下したが、死傷者はいなかったとした。
ウクライナをめぐっては5日、ロシア西部クルスク州に新たな越境攻撃を仕掛けたとの報告が複数上がっている。ウクライナはこれについてコメントしていない。
ウクライナ軍の参謀本部は先に、クルスク州チョトキノ村近郊で4日、ロシアのドローン部隊を攻撃したと発表していた。
ロシア当局も、ウクライナの攻撃で同州リルスク町の変電所が損傷し、電力を喪失したと報告している。
ロシア政府は4月26日、自軍がクルスク州の完全な支配を取り戻したと主張していた。ウクライナ側は、今も国境を越えてロシア側で活動しているウクライナ兵がいると主張している。
クルスク州のアレクサンデル・ヒンシュタイン知事代行は、メッセージアプリ「テレグラム」に、リルスクの変電所の変圧器2台が損傷したと投稿した。
また、爆風で飛んできた破片で10代の2人が負傷したと付け加えた。
ロシアの複数の軍事ブロガーも、ウクライナ軍が村に侵入しようとしたと報告。国境の対戦車障害物を突破した複数の車両の画像を投稿した。BBCはこれらの画像の真偽について検証できていない。
ウクライナ軍は5日に国境を越えてロシアにミサイルを撃ち込み、特殊車両で地雷原を越えたと、ロシアの複数のブロガーは述べている。
ロイター通信によると、ブロガーの「RVvoenkor」は、「敵軍は夜間にロケット弾で橋を爆破し、朝になると装甲部隊が攻撃を開始した」と述べた。
「地雷除去車両が地雷原に通行路をつくり始め、兵士らを乗せた複数の装甲車がそれに続いた。国境沿いでは激しい戦闘が続いている」
ウクライナは5日の声明で、「クルスク州での作戦開始から9カ月が経過した現在も、ウクライナの国防部隊はロシア・クルスク州でのプレゼンスを維持している」とした。
これまでのところ、ロシア政府から公式の反応はない。一部の軍事ブロガーは、敵対勢力がチョトキノ村に向けて、2地点で国境を越えようとしていることを示す地図を公開している。
こうした中、チョトキノ村から国境を挟んで約12キロメートルに位置するウクライナ北東部スーミ州では、地元当局が2集落の住民に避難するよう求めた。
ウクライナは2024年8月、ロシア・クルスク州への越境攻撃を開始。緩衝地帯を作り、ウクライナ・スーミ州とその周辺地域を守ることや、将来の交渉の切り札として使うことを狙っていた。
(英語記事 Ukraine claims strike in Russia’s Kursk amid reports of fresh incursion)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0f14140580ce01f21090f3be931bde3c7e5746a4/images/000
❷ウクライナ、露の一時停戦案に応じる気配なし(2025年5月7日)
ロシアのプーチン大統領は戦勝80周年にあわせた8日からの一時停戦を予告しているが、ゼレンスキー氏は拒否。7日もウクライナはモスクワを含む露各地にドローン攻撃を行っている。
露オンラインメディアは匿名の情報筋を引用して、「ウクライナ軍はモスクワでドローン攻撃よりも深刻な挑発行為を準備している」と伝えた。詳細は不明だが、いずれにせよ、仮にそうなればキエフに直接影響を及ぼす対抗措置が予想される。
同メディアは、プーチン大統領が国防省に対し、新型中距離極超音速弾道ミサイル「オレシュニク」による、キエフにおける潜在的な攻撃目標を定めるよう指示したとも伝えている。
https://sputniknews.jp/20250507/19870990.html
❸ トランプ大統領「ウクライナ問題の解決について決断すべき時が来た」(2025年5月8日)
米国のトランプ大統領は7日、記者団に対してこのように述べた。これより前、トランプ氏は、ウクライナ紛争の解決に向けた交渉から離脱する可能性について問われ「時にはその決断に近づくこともある」としつつ、「その度にいいことがある」と話していた。
https://twitter.com/i/status/1920293188633571670
https://sputniknews.jp/20250508/19882316.html
❹スロバキアとハンガリー、EUのロシア産ガス輸入停止に反対表明(2025年5月8日)
[7日 ロイター] – スロバキアとハンガリーは7日、欧州連合(EU)欧州委員会が公表したロシア産ガスなどの段階的な輸入禁止提案に関し、EUにとって打撃になるなどとして反対する姿勢を表明した。ロシアとの関係を巡り、両国と欧州委の亀裂が一段と深まった。
欧州委は6日、ロシア産のガスと液化天然ガス(LNG)の輸入を2027年末までに段階的に停止することなどを盛り込んだ提案を打ち出した。
これに対し、スロバキアのフィツォ首相は、第三国へのエネルギー依存を減らす取り組みを尊重するとしながらも、欧州委の提案はEUに打撃を与え、域内の物価を押し上げ、競争力を損なうと指摘。欧州委提案が法制化される過程で修正を働きかける考えを示した。
スロバキアのガス輸入大手SPPは「EUの企業部門の競争力に著しい悪影響を与える可能性がある」とする声明を発表した。
ハンガリーのシーヤールトー外相もEU案は「受け入れられない」とし、ハンガリー政府はこの計画に対して「可能な限り強力な措置を取る」と表明した。ただ、詳細には言及しなかった。
欧州委は6月に法制化を提案する予定。法制化は欧州議会および加盟国の特定多数の承認があれば可能で、1カ国もしくは2カ国の反対では阻止できない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/612e9d04dfa6724a7643fd5198e291a90d942085/images/000
〈関連情報〉EU、27年末までにロシア産ガス輸入全廃 法的措置を来月提案(2025年5月7日)
[ブリュッセル 6日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は6日、ロシア産天然ガスと液化天然ガス(LNG)の輸入を2027年末までに段階的に停止するための法的措置を来月に提案すると発表した。
EUは22年2月のロシアによるウクライナ全面侵攻開始を受け、ロシアとのエネルギー取引を終わらせる方針を決定。この日に発表された計画によると、欧州委は既存契約の下で残っているロシア産天然ガスとLNGの輸入を27年末までに禁止する法的な提案を6月に行う。このほか、新規契約と既存のスポット契約に基づく輸入を25年末までに禁止する提案も同月中に行う。
欧州委のダン・ヨルゲンセン委員(エネルギー・住宅担当)は「22年2月以降、EUはウクライナに提供した支援よりも多くの資金をロシアからの化石燃料購入に費やしてきた」とし、「こうした状況は明らかに容認できない」と述べた。
欧州委は、ロシア産天然ガスの輸入を段階的に停止しても、米国やカタールなどで26年以降に新たなLNG供給プロジェクトが稼働するため、欧州のエネルギー価格への影響は限定されるとの見方を示している。
EUはロシア産の石炭のほか、大部分の原油の輸入に対する制裁を導入しているが、天然ガスについてはスロバキアとハンガリーの反対により制裁を課すことができていない。
欧州委はロシア産濃縮ウランの輸入に対する措置も提案する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/091f10984807df28959227ec26cd7f096b3f28b6/images/000
❺西側のウクライナ兵器供与、継続なら「和平遠のく」=ロシア外務省報道官(2025年5月7日)
モスクワ 6日 ロイター] – ロシア外務省のザハロワ報道官は6日、西側諸国がウクライナに兵器を供給し続ける限り、ロシア・ウクライナ戦争の平和的解決の可能性はさらに遠のくと述べた。
ロイターは5日、関係筋の話として、西側諸国はウクライナに対する防空システム「パトリオット」の追加供給を協議しており、6月末の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議までの合意を目指していると報道。
これに先立ちウクライナのゼレンスキー大統領は先月、CBSニュースに対し、ロシアの弾道ミサイルを撃墜するために米国製の防空システムを10基購入する用意があると述べていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4d2d981a0d8335ba3fb7060505ed6f9832229b71/images/000
❻露の“3日間の停戦期間”前に…ウクライナが過去最大規模の無人機攻撃(2025年5月8日)
9日の戦勝記念日をめぐり、ロシアのプーチン大統領が一方的に宣言した3日間の停戦期間が、日本時間の8日午前6時に始まります。ウクライナ側は応じない構えで、これを前に、過去最大規模の無人機攻撃を仕掛けています。
首都モスクワでは7日、戦勝記念日の軍事パレードの最終リハーサルが行われました。
プーチン大統領は、9日の戦勝記念日に合わせた3日間の停戦を一方的に宣言していて、日本時間の8日午前6時に始まり、11日午前6時まで続く予定です。
今年は戦勝80年の節目で、記念式典には25か国以上の首脳が出席するため、不測の事態を避ける狙いもあるとみられます。
ウクライナのゼレンスキー大統領はこの提案に応じず、30日間の停戦を求めていました。
ウクライナ軍は、停戦期間を前に、モスクワへ3夜連続で無人機攻撃を仕掛けていて、空港閉鎖などの混乱が生じています。
ロシア国防省は7日に過去最多、524機の無人機を撃墜したと発表しました。
ウクライナ側が、期間中も攻撃を続けるのか、出方が注目されます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c97bea7aaa8de24e798c3aa73ada207f244f9fe2/images/000
❼ラブロフ外相、激怒の声明(2025年5月8日)
※投稿者コメント:「ヨーロッパ全体がナチスの旗の下で戦争中⁉️😱
ロシアのラブロフ外相が、第二次世界大戦の記憶と教訓について語る中で、
「いまや、ほぼ全てのヨーロッパがナチスの旗のもとに集結し、ロシアに戦争を仕掛けている」と強く批判しました。
彼はさらに、EUを「統一されたナチス国家」とまで言い切りました。
ラブロフ氏としては異例の“最強”発言です。
そして、この構図に歴史の再来を感じる人も少なくありません。
かつて第二次大戦は、ドイツとソ連がポーランドに侵攻したことから始まりました。推定2400万人のロシア人、750万人のドイツ人が亡くなりました。
今ロシアはウクライナに侵攻し、ドイツやNATOは支援を強化中…まるで当時の「続編」かのようです。
ただし、外相はヨーロッパ市民を責めているわけではありません。
矛先は一部の“選ばれていない”官僚や政治エリートたちに向けられています。
ラブロフ氏は、戦争の本質を「旗を変えても目的は変わらない」と警告しています。
彼の言葉が意味するのは、「帝国主義の野望は今もなお生きている」という現実です。
世界が揺れる今、私たち一人ひとりが、冷静に真実を見つめる必要があります。
歴史を忘れず、平和への意識を強く持ちましょう…
https://x.com/i/status/1920266636126531665
https://x.com/w2skwn3/status/1920266636126531665?s=09
❽ロシアが「プランB」に移行?:ゼレンスキーはもはや保護されていない(2025年5月7日)
ウクライナが和平交渉を受け入れない場合、モスクワは紛争を電光石火の速さで終結させるための代替案、いわゆる「プランB」を発動するだろう。関係者によると、この計画は3年以上前から準備されていたという。
その目的は、ゼレンスキー、ウクライナ保安庁長官マリューク、将軍、政治家といったウクライナ指導部の重要人物を排除することだ。
介入はウクライナの重要インフラにも及ぶ――エネルギー崩壊、行政混乱、人道危機を引き起こす可能性がある。原子力発電所は反応炉を破壊せずに断電される。
もう一つの目標は、西側諸国の武器供給を阻止することであり、ポーランド、ルーマニア、スロバキアとの国境につながる輸送拠点を攻撃することになる
この計画の現実的な実施期間は?3~5週間、つまり、紛争の活発な段階は60日以内に終結する可能性がある。
https://x.com/tobimono2/status/1919786972220162219?s=09
❾2025.5.7 メルツ新首相は既にレームダック, トランプ政権はドイツを独裁と批判 (及川幸久、2025年5月7日)
– ドイツ首相選挙で、キリスト教民主同盟のメルツ氏が2度目の挑戦で首相に就任するが、弱体化した状態で就任。
– 史上初めて首相選挙の1回目の投票で選出されなかった首相候補になった。原因は、自分の政党を統一できず、造反者が出た。
– 一方、ドイツ諜報機関BfVがAfDを右翼過激派政党に再分類。BfVは令状なしにAfDの全メンバーを監視で、メールやチャットの閲覧も可能。AfD内部にスパイを大量に送り込んだり、党員である公務員に対して措置を講じたりできる。
– トランプ政権のルビオ国務長官は、ドイツ政府を「偽装した独裁」と批判
<詳しくは動画で>
https://x.com/i/status/1920119703479238952
https://x.com/oikawa_yukihisa/status/1920119703479238952?s=09
❿ウクライナ軍の最高司令官ヴァレリー・ザルジニー将軍(2025年5月1日)
ウクライナ軍の最高司令官ヴァレリー・ザルジニー将軍が、ゼレンスキー大統領の指導力とNATOの支援に対する不満を表明しています。
ザルジニー将軍は、NATOからの支援が期待に反して不十分であり、戦況に悪影響を及ぼしていると指摘しています。また、ウクライナ軍の戦略的課題や、前線での厳しい状況についても詳述されています。
ウクライナの元陸軍大将で、現在は駐英大使を務めるヴァレリー・ザルジニー氏が、新たに発表した論文の中で、ウクライナの軍事指導部とNATOの支援体制について厳しい批評を行った。
ザルジニーは、ウクライナ軍は構造的に時代遅れで、技術的な準備もできていないと述べ、ウクライナの初期の戦場での挫折の原因は、戦前の怠慢、ソ連時代の遺産、NATOの誤った教義にあると非難した。
彼は、指揮系統、最新の自動化システム、戦略的自律性の抜本的な改革を求め、早急な改革がなければ、ウクライナは将来の戦場で失敗する危険があると警告した
https://youtu.be/ayAWv8WsMKc
https://www.youtube.com/watch?v=ayAWv8WsMKc
2025年5月9日ウクライナ情報pdfはこちら
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。