【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.05.15XML:インドとパキスタンの戦闘でも露国や中国で製造された兵器の能力が高いと証明

櫻井春彦

 インドとパキスタンの対立が軍事衝突へ発展した。その中でインドはロシア製とインド製の防空システム、つまりS-400とアカーシュ・ミサイル・システムを称賛、その一方、パキスタン軍はインド軍のフランス製戦闘機ラファール複数を中国製のJ-10C戦闘機や中国とパキスタンが共同開発したJF-17が撃墜したという。S-400の優秀さは実戦ですでに証明されているが、J-10CやJF-17がヨーロッパ製戦闘機より性能が上である可能性が高まったインパクトは小さくない。J-10CやJF-17を製造する中国のAVIC成都航空機の株価は大幅に上昇、ラファールを製造するダッソー・アビエーションの株価は下落している。

 ロシア製の兵器が優秀だということは、2015年9月30日にロシア軍がバシャール・アル・アサド政権の要請を受けて軍事介入、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)を含むアル・カイダ系武装勢力を一掃してから知られるようになった。

 その際、ロシア軍はカスピ海の艦船から26基の巡航ミサイルを発射、約1500キロメートル離れた場所にあるターゲットに2.5メートル以内の誤差で全て命中させている。こうしたミサイルをロシアが保有していると考えていなかった西側は驚いた。

 2017年4月にはドナルド・トランプ大統領がアメリカ海軍の駆逐艦2隻から巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射させたが、その6割が無力化され、ロシアの防空システムが優秀だということを証明した。

 その1年後、2018年4月にトランプ政権はイギリスやフランスを巻き込み、100機以上の巡航ミサイルをシリアに対して発射。雪辱を期したのだろうが、今度は7割が無力化されてしまう。前年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリS1が効果的だったと言われている。

 ウクライナではアメリカをはじめとする西側諸国が兵器を供与してきたが、ロシア軍に対して効果がない。ジョー・バイデン政権はATACMS(陸軍戦術ミサイル・システム)ミサイルの使用をキエフ政権に許可、ロシアの深奥部に対する攻撃で使われ、その直後、イギリス製ストームシャドウとHIMARSミサイルも使用されたのだが、ロシア側の防空システムを突破できなかった。

 ATACMSの使用許可はロシアに核攻撃させることが目的だった可能性があるのだが、ATACMSなどの攻撃の直後、ロシア軍はマッハ10という極超音速で飛行する中距離弾道ミサイル「オレーシニク」でドニプロにあるユジュマシュの工場を攻撃。射程距離は約6000キロメートルだとされている。これは新型極超音速中距離ミサイルのテストを兼ねた警告だ。

 現在の戦争で戦車の果たす役割は低下しているが、それでも西側の有力メディアは自分たちの戦車を絶対視する宣伝を展開。そうした戦車にはアメリカの「M1エイブラムズ」、イギリスの「チャレンジャー2」、ドイツの「レオパルト2」がある。いずれもロシア軍に対して役に立たず、ロシア軍からの攻撃で壊滅的な打撃を受けた。ロシア軍はレオパルト2について、射撃管制システムや電源システムの遅れを指摘、公表されているデータが実際の性能と一致していないという。

 ​ロシア軍は3月1日、イスカンデル・ミサイルでドネプロペトロフスク州にあるウクライナ軍の試験場を攻撃した​が、その攻撃で外国人教官最大30人を含む武装勢力最大150人が殺害されたと伝えられている。この訓練場にはウクライナ軍の第157独立機械化旅団の兵士が駐留していたという。

 こうした現実は製造業の分野で西側諸国がロシアや中国より劣っていることを示している。1970年代以降、西側では金融資本が企業を解体して商品として売却、製造業が潰されてきた。日本では製造業に加えて農業が破壊され、社会の構造が脆弱になっている。

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「インドとパキスタンの戦闘でも露国や中国で製造された兵器の能力が高いと証明」(2025.05.15ML)
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