
レイチェル・クラーク:【外務省が出した切り札は、第三次世界大戦を回避できるか?】
国際第28回ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議(AFMGM+3)が2025年5月4日、イタリアのミラノで共同声明を発表しました。
ソース:https://youtu.be/B6r2D0G0mDg
私見: 帝国の保護貿易主義という形で、関税を使って経済の武器化を図った米国に対して、アジア圏は独自路線を追求する姿勢を、「脱ドル化」と「アジア圏内(ASEAN+中国・韓国・日本)の協力強化」という形で、ドルに影響されずに発展を遂げる姿勢を明確に示した共同声明です。
財務省解体が叫ばれる中、財務省は第三次世界大戦を回避する最大の切り札を出して、存在意義を示したかのようにも見えます。さてさて、隣国との協調を約束した財務省と、明日にでも隣国が日本に攻めてくると煽る防衛省との今後の関係がどうなるか、注視すると同時に、今回の共同声明に関しては、財務省に拍手を送りたいです。年間数兆ドルの貿易が、ますます拡大するアジア圏内の経済の波に日本が上手く乗ることは、中国・韓国との対話と協調無しにはできません。日本と同じく米国の同盟国で国内経済の衰退に苦しむフィリピンの一般市民もきっとこの共同声明を歓迎すると思います。
参考資料:https://www.mof.go.jp/…/conve…/asean_plus_3/20250504.pdf
オリジナル(英語):
https://asean.org/…/Final-Draft-of-Joint-Statement_28th…
以下は財務省が発表した仮訳から上記のソースで取り上げたものを抜粋して貼り付けたものです。文中にある(*)の部分は上記ソースの解説を要約したものです。
6.
貿易保護主義の高まりは世界貿易への重荷となり、経済の分断を招き、地域の貿易、投資、及び資本フローに影響を及ぼし得る。短期的な見通しもまた、世界的な金融環境の引き締まり、主要貿易相手国における成長の減速、及び投資フローの減少を含む他の外的リスクにも影響され得る。
7.
我々は、不確実性の高まりを乗り越えて行く中で、地域の結束と連携の更なる強化と協力の深化を呼びかける。我々の目下の政策上の優先議題は、保護主義の高まりや世界的な金融市場の不安定化を含む短期的な課題に取り組むための柔軟性を維持しつつ、長期的な強靱性を高めることである。財政面では、持続的な成長に的を絞った支援を継続しながら、政策バッファーを再構築し、構造改革を実行することを意味する。我々は、また、国内環境に応じて金融政策を慎重に調整する。我々は、外的ショックに対するバッファーとして為替レートの柔軟性を維持する。重要なことは、我々の輸出市場と成長の源泉は、近年、多様化が進んでおり、内需と域内貿易が今や成長の主要な原動力となっているということである。
8.
不確実性の高まりと長期的な構造変化を背景に、我々は、世界貿易機関を中核とする、ルールに基づく、無差別的で、自由で、公正で、開かれた、包摂的で公平かつ透明性のある多角的貿易体制に対する我々のコミットメントを再確認する。我々は、マクロ経済政策対話を強化し地域金融協力を推進し、安定かつ円滑な産業・サプライチェーンの確保を通じて、地域経済及び金融の安定を共に維持していく。我々は、地域的な包括経済連携(RCEP)協定の着実な実施を全面的に支持する。(*RCEPは15カ国で構成される国際的な経済連携でRCEPには米国は含まれない。つまり、脱ドル化を促進すると宣言している。)
【チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)】
15.
2010年に締結されたCMIMの原契約書の15周年を記念し、我々は、CMIMをグローバルな金融セーフティネットの重要な構成要素である効果的な地域金融セーフティネットとして強化していくことへの強固なコミットメントを再確認する。この観点から、我々は改正CMIM契約書を承認するとともに、その発効に向けた署名及び国内手続の迅速な完了に取り組むことをコミットする。
本改訂は、CMIMの下で選択通貨として適格な自由利用可能通貨(FUC)が導入された緊急融資ファシリティ(RFF)の創設、及びCMIM契約書の第2回定期見直しの結果を反映したものである。我々は、CMIM契約書の改訂に沿って、改訂版CMIM運用ガイドライン(OGs)を承認した代理を称賛する。我々は、この新たなCMIMファシリティは、パンデミックや自然災害といった突発的な外生ショックに対応するための緊急対外収支ニーズが生じた際に、メンバー国が緊急融資に迅速にアクセスすることを可能とすることで、地域の強靭性を高めると確信する。
(*IMFや世界銀行に頼らず、アジア圏内の通貨スワップを可能にし、米ドルの介在無しで危機管理をする)
【アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)】
23.
我々は、「ABMI中期ロードマップ2023-2026」の下での進捗を歓迎する。国際金融市場の不確実性が続く中、機能的な現地通貨建て債券市場は地域の金融安定の礎であり続ける。我々は、信用保証・投資ファシリティ(CGIF)の15周年を祝福する。これまでにCGIFは、12の国・経済圏において9通貨にわたる、64社によって発行された100件の債券・スクーク(イスラム債)に対する保証を実行し、累計保証額は41億5,100万米ドルに達する。我々は、ワン・ホンウェイCEOのリーダーシップの下、過去3年間におけるCGIFの前例のない事業成長を称賛する。我々は、CGIFが発行した2つのレポート、「ASEAN+3
社債市場レポート」と「CGIFの持続的成長の歩み」を歓迎する。これらは、2010年以降のCGIFの運営実績と、ASEAN+3現地通貨建て債券市場の進展、そして今後の政策的アプローチについて体系的にレビュー・評価したものである。
24.
我々は、ABMIが、現地通貨建てのサステイナブル・ボンドの発行を促進し国内市場を創出するとともに、より広範なサステイナブル・ファイナンスのエコシステムの発展に取り組んでいることを認識する。この取組には、必要な規制の枠組みの整備、地域の認証機関の関与、サステイナビリティに関する開示慣行の強化が含まれる。カザフスタンがオブザーバーとしてASEAN+3債券市場フォーラムに参加することを歓迎し、今後更に、債券市場のデジタル化に関する知見と経験を共有するため、ASEAN+3域外の国々との関与が深まることを期待する。ABMIの下、デジタル債券市場フォーラムが設立され、成功裡に立ち上がったことを歓迎する。このフォーラムが、研究や知識の共有、そして地域での導入を見据えたビジネスモデルの構築に向けた協力の場として機能することを期待する。ABMIの取組に対するADBの貴重な貢献に感謝し、域内債券市場の更なる発展に向けて連携を深めていくことを期待する。
アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI)
23.
我々は、ABMI中期ロードマップ2023-2026の下での進展を歓迎する。
グローバルな金融市場の不確実性が続く中、十分に機能する域内通貨建て債券市場は、域内の金融安定の礎であり続ける。我々は、信用保証・投資ファシリティ(CGIF)の設立15周年を祝う。これまでCGIFは、12か国にまたがる64の企業が9つの通貨で発行した100の債券保証とスクーク(訳者註:イスラム債券)を実現し、累積保証額は41億5,100万米ドルに達した。我々は、王洪偉CEOのリーダーシップの下、過去3年間におけるCGIFの前例のない事業成長を称賛する。我々は、CGIFが作成した2つの報告書、すなわち「ASEAN+3社債市場報告書」と「CGIFの持続可能な成長の旅」を歓迎する。これらの報告書は、2010年以降のCGIFの業務実績と、ASEAN+3現地通貨建て債券市場の進捗状況および今後の政策アプローチを体系的に検討・評価したものである。
24.
我々は、ABMIが、国内市場の創設と、より広範な持続可能な金融エコシステムの発展を促進するため、現地通貨建て持続可能な債券の発行を増加させるべく継続的に取り組んでいることを評価する。
これには、必要な規制枠組みの構築、現地検証機関の関与、持続可能性開示慣行の強化が含まれる。我々は、カザフスタンがASEAN+3債券市場フォーラムにオブザーバーとして参加することを歓迎するとともに、債券市場のデジタル化に関する知識と経験を共有するため、非ASEAN+3エコノミーとの更なる関与を期待する。我々は、ABMIの下でのデジタル債券市場フォーラムの設立を支持し、その成功裏の立ち上げを歓迎する。我々は、同フォーラムが、調査、知識交換、地域的な導入に向けたビジネスモデル開発のための共同プラットフォームとして機能することを期待する。我々は、ABMIイニシアティブへのADBの貴重な貢献に感謝の意を表するとともに、地域債券市場の更なる発展のために協力を深めていくことを期待する。
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日系米国人、通訳・コンサルタント・国際コーディネイター ベテランズフォーピース(VFP) 終身会員 核のない世界のためのマンハッタンプロジェクト メンバー 2016年以来、毎年VFP ピース・スピーキングツアーをコーディネイトし、「戦争のリアル」を米国退役軍人が日本に伝える事によって、平和・反核・環境保護活動につなげている。