【連載】今週の寺島メソッド翻訳NEWS

☆寺島メソッド翻訳NEWS(2025年5月18日):イスラエルによるガザでの残虐行為が深刻になるほど、BBC の報道は静かになる。

寺島隆吉

※元岐阜大学教授寺島隆吉先生による記号づけ英語教育法に則って開発された翻訳技術。大手メディアに載らない海外記事を翻訳し、紹介します。

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© 写真:AP

再び、英国の国営放送局が報道を怠っている。今回は、イスラエルによって処刑されたパレスチナ人救急隊員の集団埋葬地が発見された事件だ。

BBCのニュース検証サービス「Verify(検証)」は、今週初め(4月7日)にミャンマーのマンダレーにある住宅高層ビルをデジタル再構築し、3月28日に東南アジアのミャンマーで発生した大規模な地震でどのように崩壊したかを示した。ミャンマーは、外の世界からほぼ遮断された国だ。

放送局は、携帯電話の動画、衛星画像、NASAの熱検出画像などを組み合わせて、市の他の部分の被害を丹念に再構築した。
Verifyがこの任務に多大な時間と労力を費やした理由は単純だ。ミャンマーの軍事政権が「7.7マグニチュードの地震で2,000人しか死亡しなかった」とした主張が明白に虚偽であることを暴露するためだ。

西側諸国はミャンマーの将軍たちを公式の敵と見なしており、BBCは軍事政権の事件説明が信頼できないことを示したかったのだ。ミャンマーの支配者たちは、政権のイメージを守るために死者の数を少なく報告する傾向がある。

これらの嘘を暴こうとする BBC の断固たる取り組みは、今週の別の重要なニュースの報道、あるいはむしろその報道の欠如とは対照的だった。

イスラエルは、またも恐ろしい戦争犯罪を犯した。先月(3月)末、パレスチナ人救助隊員 15 人を処刑し、その遺体を、押しつぶされた車両とともに秘密裏に集団墓地に埋葬した。

イスラエルは公式な西側の同盟国であり、アメリカ合衆国、イギリス、その他のヨーロッパ諸国は、世界最高裁で調査中の数多くの反人道犯罪において、イスラエルに武器を提供し支援してきた。14ヶ月前、国際司法裁判所(ICJ)は、イスラエルがガザでジェノサイドを犯している可能性が「あり得る」という判決を下した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、その姉妹裁判所である国際刑事裁判所(ICC)から逃亡中の容疑者だ。
同裁判所の判事たちは、食料、水、援助を遮断してガザの230万人を飢餓に追いやったなど、人道に対する罪でネタニヤフを起訴したいと考えている。

イスラエルは、18ヶ月間にわたるガザ地区への絨毯爆撃で、数万人のパレスチナ人を殺害したことが知られている。その多くは女性や子供たちだ。しかし、報告されていない死者はさらに多い可能性が高い。

これは、イスラエルがガザの死者を数えることができるすべての医療施設と行政機関を破壊し、ガザ地区の大部分に標識のない「殺戮区域」を設定し、救助隊が広範な地域を探して死体を発見することをほぼ不可能にしたためだ。

ガザの最新の犯罪現場は、イスラエルが民間人を殺害し、医療従事者を標的とし、犯罪を隠蔽する手法は衝撃的である。また、西側メディアがこのような残虐行為を過小評価する役割を果たし、ガザでの死者の正確な数が決して明らかにならないようにイスラエルを支援していることも浮き彫りになっている。

「一人ずつ」襲撃

先週日曜日(4月6日)、国連当局者はようやくイスラエルから許可を得て、3月23日にパレスチナ緊急救助隊が行方不明になったガザ南部の現場に到着した。15人のパレスチナ人の遺体が集団墓地から発掘され、もう1人は行方不明のままである。

全員が制服を着用しており、一部は手や足に結束バンドで縛られていたと、目撃者が報告している。一部は頭や胸部に銃弾を受けていた。彼らの車両は埋葬される前に破壊されていた。

救急隊員2人は、ラファでの以前の空爆で負傷した人々を救助しようとした際に、イスラエル軍の銃火で殺害された。

残りの13人は、同僚の遺体を回収するために派遣された車列の乗員だった。国連は、イスラエルが救急車を「1台ずつ」攻撃したと述べた。

イスラエルの最新の残虐行為の場合、いつもの言い訳は、いかにも馬鹿げたものであって、通用しない。そのため、イスラエルは当初、この事件を隠蔽しようとしたのだ。

週の後半にさらに詳細が明らかになり、5人の遺体を検死した医師は、1人を除いて全員が至近距離から複数の弾丸で射殺されたと報告した。その1人は、野生の動物によってひどく損傷を受けており、状態がひどく、詳細な鑑定が不可能だった。カーン・ユニス(*)にあるナセル病院で法医学コンサルタントとして働くアフマド・ダハー氏は、次のように述べた。「弾丸は1人の頭部を狙い、もう1人は心臓を狙われ、3人目は胸部に6~7発の弾丸を撃ち込まれていた」
*カーン・ユニスはガザ南部、ラファの北に位置する。

赤新月社の保健プログラム・ディレクター、バシャール・ムラド氏は、イスラエル軍が射撃を開始した際、派遣隊の医療補助者の1人が救急車基地と連絡を取っていたのを見た。「通話中、イスラエル兵が現場に到着する音とヘブライ語で話す声が聞こえた。会話は(パレスチナ)人たちの集合に関するもので、「『壁の所に集めて手錠を持ってこい』といった発言があった」。 これは、多くの医療スタッフがまだ生きていることを示していた」と述べた。

パレスチナにおける人道問題調整担当国連事務所長ジョナサン・ウィットール氏は、報告によると、遺体の回収に向かう途中、彼と彼のチームは、その地域から逃げる民間人たちにイスラエル兵が銃撃を加えるのを目撃した。彼は、後頭部を撃たれたパレスチナ人女性と、彼女の遺体を回収しようとした若い男性も撃たれたのを見た。

虐殺の隠蔽

イスラエルにとって困ったことには、この集団埋葬地の発見は、この 1 年半にわたって欧米メディアに流してきた、戦争犯罪を正当化するためのいつもの虚偽の理由に、簡単に頼ることができないという点であった。

イスラエルは先月、米国が支援するハマスとの停戦合意を一方的に破って以来、この飛び地に対する絨毯爆撃により、1,000人以上のパレスチナ人を殺害し、公式の死者数は5万人以上に達している。しかし、イスラエルとその擁護者たち(欧米諸国政府やメディアを含む)は、この虐殺を隠蔽するための口実を常に用意している。

イスラエルは、ガザの保健省が犠牲者数を水増ししていると主張しているが、これまでの戦争における同省の数字は常に高い信頼性を誇っていた。イスラエルは、殺害された人々の大半はハマス「テロリスト」であり、殺害された女性や子供たちの多くはハマスによって「人間の盾」として利用されたと主張している。

また、イスラエルはガザの病院を破壊し、多数の救急車を撃ち、何百人もの医療関係者を殺害し、その他を拷問室に連行して行方不明にし、医療用品の搬入も拒否している。

イスラエルは、ガザにある 36 の病院すべてがハマスの運営する「指揮統制センター」であり、そこで働く医師や看護師の多くは実際にはハマス工作員であり、ガザの救急車はハマス戦闘員の輸送に使用されているとほのめかしている。

これらの主張が多少なりとも信憑性があったとしても、西側メディアは最も明白な質問を投げかけようとしない。つまり、なぜハマスは、イスラエルが18ヶ月間のジェノサイド的な殺戮作戦の開始時から、それらを標的として扱うと明言していたにもかかわらず、ガザの病院や救急車を継続して使用したのだろうか?

ハマス戦闘員が、親や兄弟、子供、親族がイスラエルの絨毯爆撃から生き延びるために必要としている医療部門の保護を気にしないとしても、なぜ自分たちが容易に発見されるような場所にいるのか?

ハマスにはガザに隠れる場所が他にもたくさんある。この地域の大部分の建物は破壊されたコンクリート構造物で、ゲリラ戦に最適な場所だ。

イスラエルの隠蔽工作

イスラエルの最新の残虐行為の場合、いつもの言い訳は、いかに馬鹿げたものであっても通用しない。そのため、イスラエルは当初、この事件を隠蔽しようとした。

ガザへの西側ジャーナリストの入域を禁止し、前例のない数の現地ジャーナリストを殺害し、国連難民機関UNRWAを正式に非合法化したイスラエルは、その犯罪が発見されないことを望んでいたかもしれない。

しかし、先週ソーシャルメディアに虐殺のニュースが流れ始め、日曜日に集団墓地が発見されると、イスラエルはでっち上げの言い訳をでっち上げざるを得なくなった。

彼らは、5台の救急車、消防車、国連車両からなる「車列」がイスラエル兵士に向かって「不審な動きをしていた」と主張した。また、証拠の一片もないまま、これらの車両がハマスとイスラム聖戦士の戦闘員を隠蔽していたと示唆した。

再び、私たちはイスラエルの非現実的な主張だけでなく、完全に矛盾した主張を受け入れるよう求められた。なぜハマスの戦闘員が、ガザで残る数少ない緊急車両に隠れて標的になるような行動を取ったのか?

なぜ彼らは、他のゲリラ軍のようにガザの広大なコンクリート廃墟や地下トンネルを隠れ蓑に敵と戦うのではなく、イスラエル軍の前線に現れて容易に標的となるような行動を取ったのか?
救急隊員が銃撃戦の最中に殺害されたのなら、なぜ一部の遺体が手足を縛られた状態で掘り出されたのか?兵士たちが生存者を縛るよう叫ぶ声が聞こえていたのに、全員が銃撃戦で殺害されたのはなぜなのか?

そして、もしイスラエルが本当に被害者なら、なぜ遺体と破壊された車両を砂の下に隠そうとしたのか?

「深く心を痛めて」

すべての証拠は、イスラエルが救急隊員の大半、または全員を冷酷に殺害したことを示している——重大な戦争犯罪だ。

しかし、月曜日にこのニュースが報じられた際、BBCの『ニュース・アット・テン』が放送時間を割いたのは、バーミンガムの労働者のゴミ収集ストライキ、Netflixのドラマ『Adolescence〈思春期〉』が引き起こしたソーシャルメディアの影響への懸念、ギリシャの島の悪天候、NASAの宇宙飛行士の地球帰還、そしてイギリス第4の政党が来月の地方選挙で好成績を収めると主張したことなどであった。

これらの話題が、イスラエルのガザでの最新の戦争犯罪に関する報道を閉め出した。

おそらく、公共放送局がガザでのイスラエルの残虐行為を継続的に報道しないので、爆発寸前の状態にある一般記者からの圧力により、翌日の30分間の夕方のニュースは、放送順の最後近くでようやく30秒間をこの件に割いた。

これはBBC Verifyが本格的な調査を行う絶好の機会だった。イスラエルが隠蔽しようとした残虐行為をつなぎ合わせてまとめることができたはずだった。

この形式的な報道は、国連が「深刻な懸念」を表明した声明を即座に否定するもので、ニュースキャスターはイスラエルが「殺害された者の中に9人の『テロリスト』がいた」と主張していると伝えた。

この場合、BBC Verifyチームはどこにいたのか?ミャンマーのGoogleマップを調べている最中だったようだ。

もしもその地域で、その法医学的オープンソース(*)の技術を有効に活用できる場所があるとしたら、それはガザだ。つまり、イスラエルは外国のジャーナリストを排除し、過去150年間で西側の主要戦争の合計よりも多くのパレスチナ人ジャーナリストを殺害しているのだ。
*オープンソースとは、ソフトウェアを構成しているプログラム「ソースコード」を、無償で一般公開すること。

これは、BBC Verify が、イスラエルが隠蔽に必死だった残虐行為を、実際の調査で明らかにする絶好の機会だった。BBC がガザについて、真のジャーナリズムを発揮するチャンスだった。

なぜ BBC は、西側諸国に反対される東南アジアの抑圧的な国での地震の報道に異議を唱える一方で、西側の同盟国が犯した重大な残虐行為の報道には異議を唱えないのか?

行動の欠如

BBC Verify がガザの重要な局面で行動を起こさなかったのは、これが初めてではない。

2024年1月、イスラエル軍は、ガザ市への攻撃から逃れようとした6歳の少女、ハインズ・ラジャブと彼女の親族が乗った車を銃撃した。全員が死亡したが、ハインズは死ぬ前に、救急隊員に助けを求めて必死に叫ぶ声が録音されていた。彼女を助けようとした 2 人の救急隊員も殺害された。別の救急隊員が遺体に到達するまで 2 週間もかかった。

BBC Verify がこの事件について法医学的な調査を行うことは確かに可能だった。なぜなら、別の団体がまさにそれを実行したからだ。ロンドン大学を拠点とする研究チーム「Forensic Architecture」(*)は、入手可能な現場の画像を用いて事件を再現した。
*Forensic Architecture(法医学的技術)は、ロンドンのゴールドスミス・カレッジを拠点とし、建築、メディア技術を駆使して、紛争や環境破壊を調査する研究グループ。

その結果、イスラエル軍は、ハインズとその家族を乗せた小型車に 335 発の銃弾を発射していたことが判明した。ハインズが殺害される前の音声録音では、ハインズのいとこが救急隊員に、イスラエル軍の戦車が近くにいると伝えているのが聞こえる。

おそらく戦車の機関銃による銃声は、戦車が 13 メートルほど離れた場所にいたことを示しており、乗組員は車内の子供たちを見ることができたほど十分に近い距離だった。
BBC Verify はこの報道を無視しただけでなく、遺体が回収されるまで BBC もこの事件を報道しなかった。これまで何度も繰り返されてきたように、BBC は、物的証拠によってイスラエルが事件を確認せざるを得なくなるまで、あえて報道を控えたのだ。

BBC のジャーナリストから内部告発者となったカリシュマ・パテル氏によると、彼女は、ハインズが助けを求める声が録音された音声が最初に公開されたときに、このニュースを報道するよう編集者に働きかけたが、却下されたとのことだ。

BBC は、非常に遅れて、ハインズの恐ろしい殺害をオンライン(ネット)で報じたが、その方法は、いつものように、イスラエルからの反発を最小限に抑えるものだった。その見出し「6 歳のハインズ・ラジャブ、助けを求める電話から数日後にガザで死亡」は、イスラエルを記事から巧みに削除したものだった。

証拠の隠蔽

こうして、明確なパターンが浮かび上がってくる。BBC は、イスラエルがガザの砂の中に犯罪の証拠を埋めたのと同じように、15 人のパレスチナ人救急隊員の虐殺も隠蔽しようとした。

このニュースの最初の見出しは、「ガザで 8 人の医療従事者を殺害、赤十字が怒りを表明」だった。ここでもまた、イスラエルは犯罪現場から排除されていた。

しかし、ソーシャルメディアでの大規模な批判と、記事が消えなかったため、BBCは後になって見出しを変更し、殺害を「イスラエル軍」の仕業とした。

その後の記事では、イスラエルの自己正当化主張を強調する傾向が顕著である。イスラエルは、死と破壊の現場に救急車両が存在したことが「不審」だったため、兵士が救急隊員を射殺する権利があったと主張している。

ある報道では、BBCのジャーナリストが、これと同じ、明らかに馬鹿げた「弁明」を2分間のひとコマに2度も無理やりねじ込んだ。彼女は、イスラエルの虐殺の発見を単なる「主張」に矮小化し、明白な戦争犯罪を「apparent(~らしい)」ものとして軽視した。

注目すべきは、BBCが救急隊員への攻撃を報道する際に、他のメディアより唯一、一歩踏み込んだ点がある。映像は、米国製のアパッチヘリコプターが救急隊員と、彼らが避難させようとしていた若い家族を攻撃する様子を明確に映していた。

救急車内に「テロリスト」がいた可能性はなかった。なぜなら、ドキュメンタリーチームは数ヶ月間追跡していた救急隊員と共に車内で撮影していたからだ。この映像は、ガザのパレスチナ人の苦難を主に子どもの目を通して描いたドキュメンタリーの終盤に収録されていた。

しかしBBCは、イスラエルロビーが、子どものナレーターの一人がガザの農業副大臣の息子で、ハマスが運営する民間政府で勤務していたことを問題視したため、その映像を含むドキュメンタリー『ガザ:戦争地帯で生き延びる方法』を迅速に削除した。

大規模な破壊

18ヶ月間に及ぶジェノサイドの初期から明らかだったのに言及できない真実とは、イスラエルがガザの医療部門を意図的に解体し、破壊していることだ。

国連によると、イスラエルの戦争は少なくとも1,060人の医療従事者と399人の援助要員を殺害し(確認可能な死亡者数)、ガザの医療施設を破壊した。イスラエルは、数百人の医療スタッフを一斉検挙し、その多くを、イスラエルの人権団体が「拷問室」と呼ぶ場所に失踪させている。

ガザ北部のカマル・アドワン病院の院長、フサム・アブ・サフィヤ医師は、12月下旬に拉致されて以来、イスラエルに拘束されている。弁護士との短い面会の中で、サフィヤ医師は拷問を受けていることを明らかにした。他の医師たちも、イスラエルの拘禁中に虐待を受けて死亡しており、その中には、レイプされて死亡したとされる者もいる。

イスラエルによるガザの病院の破壊と医療関係者の処刑は、同じメッセージ の一部だ。安全な場所も、聖域も、戦争の法ももはや存在しない。

なぜイスラエルは、ガザの医療部門をこのように全面的に破壊しているのだろうか?その理由は 2 つある。まず、ネタニヤフ首相は最近、ガザの完全な民族浄化を行う意向を改めて表明した。彼はこれを「自発的な移住」と表現しているが、おそらくは、230万人のパレスチナ人を他の国に移住させるというドナルド・トランプ米大統領の計画に沿ったものだろう。

イスラエルがここ1か月間、ガザへの食糧や援助の搬入を一切拒否し、ガザを無差別に爆撃している状況の中では、パレスチナ人がガザを離れることは決して自発的な行為ではない。イスラエルの最終的な目的は、住民を恐怖に陥れて逃亡させることにある。
イスラエル駐オーストリア大使のデビッド・ロエト氏は先月、「ガザには無関係者はいない」と発言し、その様子が密かに録音された。これはイスラエル当局者の常套句だ。また、イスラエルが銃を所持していると非難した者は、子供も含め「死刑」にすべきだと言い出した。

一方、イスラエルの国防相イスラエル・カッツは、ガザの住民が「ハマスを排除」しない場合、ガザの民間人人口を「完全破壊」すると脅迫した。これは住民にとって実行不可能な要求だ。

当然ながら、ジェノサイドの激化と自分たちや愛する者の差し迫った滅亡の脅威に直面したガザの一般市民は、ハマスに対する抗議運動を組織し始めた。これらのデモはBBCを含むメディアによって広く報じられている。

イスラエルがガザの病院を破壊し、医療従事者を処刑していることは、次のメッセージと同じだ。安全な場所はない、避難所はない、戦争の法則はもはや適用されない、そしてあなたがたが最も必要とする時に助ける者はいない。あなたは、私たちの狙撃手、ドローン、戦車、アパッチヘリコプターに対して、無力だ。

耐え難い

イスラエルがガザの医療部門を破壊している 2つ目の理由は、私たち西洋人、少なくとも私たちの政府やメディアが、イスラエルの残虐行為を容認し、そのあらゆる過程に積極的に参加してきたからだ。どの過程でも、意味のある反発があったならば、イスラエルは別の道を進むことを余儀なくされていただろう。

先月、英国のデイビッド・ラミー外相が、昨年夏に外相に就任して以来、当局者から受け続けてきた「イスラエルは、住民を飢餓状態に追い込むことで明らかに国際法に違反している」という助言を受けて、それを議会で口走ったところ、キア・スターマー首相の事務所から即座に叱責された。

スターマーは、野党党首だった頃、イスラエルがガザへの食糧、水、電気の供給を遮断する虐殺行為を「その権利がある」と述べ、承認したことを忘れてはならない。

ラムリーのコメントに対して、スターマーの広報担当は、イスラエルは国際法に違反する「危険性がある」だけだという政府の見解を改めて表明した。この立場により、英国はイスラエルへの武器供与と、キプロスの英国空軍基地からガザ上空を飛行するスパイ機による情報提供を継続することができる。

私たちの政治家は、過去 18 ヶ月間にガザで起こったことだけでなく、イスラエルが行なってきたすべてのことに同意してきた。この虐殺は、何十年もかけて準備されてきたものだ。

75年前(1949年)、西側諸国は、パレスチナの大部分を民族浄化して、そこに自称ユダヤ人国家を設立することを承認した。西側諸国は、1967年にパレスチナの最後の地域が暴力的に占領されたこと、そして、武装したユダヤ人過激派による、新たに占領した領土の段階的な植民地化も容認した。

西側諸国は、イスラエルがパレスチナ人コミュニティに対して「ユダヤ化」を目的として行なった一連の家屋破壊を黙認した。西側諸国は、伝統的な農業コミュニティの生存手段を奪うため、パレスチナ人の農地に広範な「射撃区域」を設定したイスラエル軍を支援した。

西側諸国は、イスラエルの入植者や兵士がパレスチナ人のオリーブ畑を破壊し、羊飼いを殴打し、家屋を放火し、家族を殺害する行為を無視した。オスカー受賞者(*)であっても、蔓延する入植者の暴力から免れることはできない。
*今年の米アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞を受賞した「ノー・アザー・ランド(故郷は他にない)」の共同監督であるパレスチナ人のハムダーン・バラール氏が24日、イスラエル当局に拘束され、翌25日に釈放されたことが分かった。(ロイター)

西側は、イスラエルがパレスチナ人をますます縮小するゲットーに閉じ込めるアパルトヘイト道路システム(*)と検問所網を構築し、パレスチナ地域を壁で囲んで世界から永久に隔離することを承認した。西側は、パレスチナ人が未来の国家の中心となるはずの土地にある彼らの最も聖なる場所の一つ、アル・アクサ・モスクへの入場阻止を許した。
*アパルトヘイト道路システムとは、イスラエルとパレスチナの交通を分離するために、道路の中央にコンクリート製の障壁が設けられている状況を指す。イスラエル人は両側を走行できるが、パレスチナ人は特定の側でのみ走行が許可されている。これにより、一部の批判者はこの道路を「アパルトヘイト道路」と呼んでいる。この分離は、パレスチナ人とイスラエル人の移動に大きな差を生み出し、生活に影響を与えている。

西側諸国は、イスラエルがガザの200万人を17年間にわたり包囲し、子供たちがますます栄養失調になるよう厳しい配給制を課した際も沈黙を守った。ガザの住民が、包囲された地域周辺の壁に対して非暴力の抗議行動を展開した際、西側諸国は何もしなかった——武器を供給する以外には——。その結果、イスラエルの狙撃銃の銃弾により、数千人が死亡または重傷を負った。

西側は、2023年10月7日にハマスがガザの窒息状態の孤立を突破し、イスラエルで24時間にわたる混乱を引き起こす方法を見つけた時、ようやく集団的な抗議の声を上げた。以来、西側は、ガザで飢えと絶滅に追いやられている子供たちの18ヶ月間の叫びを押しつぶすように、その日の出来事への恐怖を声高に訴え続けている。

15人のパレスチナ人医療従事者と援助要員の殺害は、イスラエルの犯罪の海の一滴に過ぎない。それは、西側諸国が数十年にわたりさせてきた野蛮行為だ。

このジェノサイドは西側で生まれたものだ。イスラエルは私たちが生みだしたものであり、鏡に映る醜い姿だ。だからこそ、西側の指導者たちと主流メディアは、私たちに目を背けさせようと必死なのだ。その姿は、魂を持つ者には耐え難いものだからだ。

※なお、本稿は、寺島メソッド翻訳NEWS http://tmmethod.blog.fc2.com/
イスラエルによるガザでの残虐行為が深刻になるほど、BBC の報道は静かになる。」(2025年5月19日)http://tmmethod.blog.fc2.com/


からの転載であることをお断りします。

また英文原稿はこちらです⇒The graver Israel’s atrocities in Gaza, the quieter the BBC grows
筆者:ジョナサン・クック
出典:Strategic Culture Foundation 2025年4月8日

https://strategic-culture.su/news/2025/04/08/graver-israels-atrocities-gaza-quieter-bbc-grows/

寺島隆吉 寺島隆吉

国際教育総合文化研究所所長、元岐阜大学教授

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