【連載】安斎育郎のウクライナ情報

5月31日のウクライナ情報

安斎育郎

5月31日のウクライナ情報
安斎育郎

❶NATO戦闘機、フィンランドで高速道路着陸訓練…理由は「ロシアの脅威に対応」(中央日報、2025年5月29日)
北大西洋条約機構(NATO)加盟国がロシアの軍事的脅威に対応してフィンランドで戦闘機の高速道路非常着陸、ミサイル回避機動などの戦術訓練を遂行していると、英日刊ザ・タイムズなどが27日(現地時間)報じた。
オランダ空軍所属のF-35AライトニングII戦闘機は2日前からフィンランドのティカコスキ近隣の高速道路で同国の年次訓練「バアナ(Baana)25」に参加している。Roadという意味のこの訓練は29日まで行われる。
フィンランドは1960年代から隣接国ロシアの攻撃に備えて毎年2回、戦闘機の高速道路着陸訓練をしてきた。2023年にNATO加盟国となった後、昨年は米国、ドイツと共に訓練を実施し、今年はオランダが参加して訓練のノウハウを受けた。
オランダのF-35戦闘機は今回の訓練で着陸だけでなく、敵の地対空ミサイル回避のために急下降した後ほぼ垂直に上昇する戦術機動訓練も共に行った。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5842deefbc840a9bb0f1b99c04bf2cf240188b8/images/000

❷オランダがF-16戦闘機の運用を終了 ウクライナに供与へ 自国の防空どうするの?(2025年5月28日)
オランダ空軍は2025年5月26日、保有する最後のF-16戦闘機を手放したと発表しました。同国のF-16は隣国のベルギーを経由して、ウクライナに向かうといいます。
オランダは1970年代半ばにベルギーやデンマーク、ノルウェーとともにF-16戦闘機を採用。1979年6月7日に自国向けの初号機の引き渡しを受けると、複座型含めて213機導入し、最盛期には9個飛行隊で運用していました。
しかし、冷戦が終結して以降、軍備縮小の機運から段階的に削減が行われ、2020年ごろには現役で運用されていたのは42機で、これらもロシアによるウクライナ侵攻が始まると、ウクライナ空軍への供与が決まり、近い将来退役する計画が立てられます。
オランダ政府がF-16の全廃に踏み切れたのは、2000年代初頭に最新のF-35A戦闘機を導入することが決まっていたからです。2019年10月31日に、オランダ向けの初号機が同国に到着、運用を開始しています。
オランダはF-35Aを52機導入する計画で、現時点で40機強が引き渡されているとのこと。このうち約10機は米本土で訓練に用いられていますが、残りはオランダ本土に配備されるため、今後はF-35AがF-16に代わって領空防衛やNATO(北大西洋条約機構)域内の共同防衛任務に従事するとしています。
なお、オランダ空軍は戦闘機に関して1992年以降、2種類以上運用するといったことをしていないため、今後はF-35Aただ1機種だけとなります。
オランダは最終的にF-16戦闘機を24機、ウクライナに供与するとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d2f76b7a27df2006241c0f33fbd7ff89d0c73edc/images/00

❸ 大爆発で一瞬にして建物が粉々に…ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間(Newsweek, 2025年5月28日)
<ウクライナ軍のMiG-29戦闘機が、搭載したフランス製のAASMハンマー精密誘導爆弾2発によってロシア西部ベルゴロド州のFSB関連施設を攻撃したとする映像が話題に>
ウクライナ軍のMiG-29戦闘機(2020年7月、ウクライナ・リヴィウ上空) Maksym Pasternak-Shutterstock
ウクライナ軍の戦闘

機が、ロシア西部ベルゴロド州にあるロシア連邦保安庁(FSB)の拠点を空爆し、複数の情報将校を殺害したと報じられている。
ウクライナ空軍と関連のあるテレグラムチャンネル「ソニアシュニク(Soniashnyk)」は、この攻撃は、フランス製のAASM(空対地モジュラー兵器)ハンマー精密誘導爆弾を搭載したMiG-29戦闘機によって実行されたと述べている。
X(旧ツイッター)上のオープンソース・インテリジェンス(OSINT)のアナリストたちは、標的となった建物がFSBに関連する施設であることを確認している。
本誌はロシアおよびウクライナの当局に電子メールでコメントを求めている。
今回の攻撃は、2022年2月にウラジーミル・プーチン大統領が始めたこの戦争の中でも大きな転換点になるとみられる。
ウクライナはこれまでにロシア国内の弾薬庫や後方支援の拠点、空軍基地といった軍事施設を標的としてきたが、今回のベルゴロド州グロトボの基地への攻撃は、FSBに関連する施設に対する初めての攻撃とみられる。
ソニアシュニクは、ベルゴロド州のウクライナ国境付近にあるFSBの拠点が、フランス製のAASMハンマー精密誘導爆弾2発で攻撃されたと報じている。
同チャンネルが共有した動画は未検証ではあるが、攻撃の瞬間を捉えている。ドローンで撮影されたこの映像には、爆弾が建物に直撃し、煙が巻き上がる様子が映っている。
<攻撃の狙いは?>
動画のキャプションには、「最初の警告を無視した結果だ──コサックたちは再び話をしに行くことになる」と記されている。
「ウクライナ空軍は全方面で作戦を継続しており、MiG-29がFSBの将校たちを含む敵勢力を破壊している」
ウクライナ軍はドローン基地、管制センターといったロシアの軍事目標を攻撃するために、これまでにもAASM爆弾を広く使用してきた。
AASMはフランスのサフラン・エレクトロニクス&ディフェンス(Safran Electronics & Defense)が設計した空対地兵器で、深部攻撃と近接航空支援任務(地上部隊への航空支援任務)の両方に対応している。
今回の攻撃は、ウクライナ軍がベルゴロド州のデミドフカ村を掌握したと報じられてから数週間後に行われた。同地域ではまた、ウクライナの長距離ミサイル「HIMARS」によってロシア軍のヘリコプター4機が破壊された。
フィンランドに拠点を置く「ブラック・バード・グループ(Black Bird Group)」の軍事アナリスト、エミール・カステヘルミは以前、本誌の取材に対し、ウクライナ軍がデミドフカ以外で目立った進展を見せている兆候はないと述べている。今回の展開も領土奪取ではなく、ロシア軍の戦力を拘束する「牽制行動」とみられている。
サフラン・エレクトロニクス&ディフェンスはビジネス・インサイダーに対し、2025年はAASMハンマー精密誘導爆弾の生産を大幅に増強すると述べているが、ウクライナにどれだけ供給されるかは不明だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cdbed36628809d3a919fb94fe7999e3ca5456910/images/000

❹ウクライナ国防相“協議に反対ではないがロシアの覚書を待つ” 作成終了の報告受けるも未提出(2025年5月29日)
ウクライナのウメロフ国防相は28日SNSで、ロシアが6月2日に次回の直接交渉を提案したことを受けて「協議に反対ではないが、ロシア側の覚書を待っている」と主張しました。
ウメロフ氏は、ロシア側が「覚書の作成を終えたと伝えてきた」ものの、提出されていないとしています。
そのうえで、次回の直接交渉まで「4日間の猶予がある」と述べ、実のある議論とするために早急に覚書を提出するよう求めました。
一方で、ウクライナ側の立場を示した文書はすでにロシア側の代表団に提出したとしています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c79a74bf15656e07fe20126bde6222b7c603de05/images/000

❺親ロシア派のウクライナ元政治家 複数人から銃撃され死亡(テレ朝ニュース、2025年5月22日)
ウクライナの親ロシア派の元政治家がスペインで複数人から銃撃を受けて死亡しました。
ロイター通信などによりますと、21日午前、スペインの首都マドリードの学校前でウクライナの元政治家、アンドリー・ポルトノフ氏が銃撃されて死亡しました。
ポルトノフ氏が子どもを学校に送り届けて車に乗り込もうとしたところ、近付いた数人が頭部や背中に向けて複数発砲したということです。
撃った人物らは逃走中です。
ポルトノフ氏はヤヌコビッチ元大統領の側近で親ロシア派として知られています。
2014年のマイダン革命後はロシアに逃れ、2019年にウクライナに戻りましたが、ロシアの侵攻後再び国外へ逃れていました。
2021年にはアメリカの制裁対象に指定されています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cbcf64aecc404f9d8be1f695f3fa8a87f8bde0fa

❻親ロ派の元ウクライナ大統領側近、スペインで射殺される(BBC,2025年5月28日)
2014年に失脚した、親ロシア派の元ウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコヴィッチ氏の側近だったアンドリー・ポルトノフ元大統領府副長官(51)が21日、スペイン・マドリード郊外のアメリカンスクールの外で射殺された。スペイン当局が明らかにした。
ポルトノフ氏は、マドリード郊外ポスエロ・デ・アラルコンにあるアメリカンスクールに子供たちを送り届けた後、学校の駐車場に停めた自分の車へ歩いて戻る際に銃撃された。
目撃者の話によると、少なくとも1人の正体不明の襲撃犯が、ポルトノフ氏に向けて数回発砲し、近くの公園の木々が生い茂ったエリアに逃げ込んだという。
ポルトノフ氏は、民主化を求める国民の数カ月におよぶ反政府デモの末に2014年に失脚したヤヌコヴィッチ政権で、国会議員と大統領府副長官を務めた。
かつては、ユリア・ティモシェンコ氏率いる政党所属の国会議員だった。2010年大統領選でティモシェンコ氏が敗れ、ヤヌコヴィッチ氏が当選すると、ヤヌコヴィッチ陣営にくら替えした。
ヤヌコヴィッチ政権が失脚した2014年のマイダン革命後はウクライナを離れていたが、2019年にウォロディミル・ゼレンスキー氏が大統領に選出されると帰国した。
その後、再びウクライナを離れ、2021年には米財務省の制裁対象となった。同省はポルトノフ氏について、司法を支配し、改革の取り組みを損なわせる手段を講じてきた「法廷フィクサーとして広く知られた」人物だとしている。
■何があったのか
事件は21日午前9時15分ごろ、登校時間中に起きたと報じられている。銃撃の背後に誰がいるのかは明らかになっていない。
目撃者の証言では、5〜6回の発砲があったとみられる。生徒の1人はスペインのテレビ局に対し、「爆竹か花火」だと思ったと語った。現地紙エル・ムンドは、ポルトノフ氏に駆け寄った女性が悲鳴を上げたと伝えた。
警察は複数のドローン(無人機)とヘリコプター1機で周辺を捜索した。複数の目撃者によると、銃撃犯は青色のトレーニングウェアを着た、細身の男だったという。
ほかに、バイクに乗った共犯者が少なくとも1人いた可能性があると、スペインメディアは報じている。
2018年には、今回の銃撃現場から数キロメートル離れた場所にあるブリティッシュ・カウンシル(英国文化振興会)の学校の外で、コロンビア人の麻薬密売人が射殺される事件があった。
今回の犯行の動機はわかっていない。現場で対応した救急隊は、ポルトノフ氏の背中と頭部に複数の銃創を確認したとしている。
ポルトノフ氏が所有する黒色のメルセデス・ベンツ車の周囲は封鎖された。学校は、校内にいた生徒全員の無事を確認したと保護者に通知した。
ポルトノフ氏の遺体はその後、検視のために運び出された。
ポルトノフ氏はここ数年、ウクライナ国内外の訴訟で勝訴していた。
2014年に欧州連合(EU)がポルトノフ氏を制裁リストに加えると、同氏は裁判所に異議を申し立てた。2015年に裁判所が訴えを認め、制裁は解除された。
2018年にはウクライナ保安庁(SBU)が、ロシアが2014年にウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合したことに関連し、ポルトノフ氏を国家反逆罪で刑事訴追した。しかし翌年、捜査当局は証拠不十分だとして捜査を終了したとされる。
ウクライナの情報機関は過去に、ロシアや、ウクライナ国内のロシア占領地域で起きたいくつかの殺人事件に関係していたことがある。
一方で、昨年2月にスペイン・アリカンテ近郊で、ロシアからの亡命者が殺害された事件には、ロシアの殺し屋が関与していた。
射殺されたロシア人のヘリコプター操縦士マキシム・クズミノフ氏は、事件の数カ月前にウクライナに亡命。ウクライナ当局によると、クズミノフ氏に保護を申し出たものの、同氏は身元を偽ってスペイン南東沿岸に移動したとみられるという。
(英語記事 Ukrainian ex-top official shot dead outside Madrid school)
https://news.yahoo.co.jp/articles/515b0411dd77d2aa7061d11c71d04c36e90eaacb/images/000

❼ダグラス・マクレガー: すべて負け、完全な失敗が達成されました!!!(2025年5月26日)
https://youtu.be/GSiKEgxADXg
https://www.youtube.com/watch?v=GSiKEgxADXg

❽この捕虜は尋問中に全てを明かした!(2025年5月26日)
https://youtu.be/y3mZWnmw8n0
https://www.youtube.com/watch?v=y3mZWnmw8n0

❾時事ネタ】ドイツのメルツ首相、タウルスをウクライナに提供⁈〜5/28水曜版です🙂‍ ↕️‼️(ニキータ伝〜ロシアの手ほどき、2025年5月28日)
https://youtu.be/eg-e3khzScQ
https://www.youtube.com/watch?v=eg-e3khzScQ

❿ジェフリー・サックス 教授 「中立性が欧州を救う」(2025年5月19日)
https://youtu.be/bF-a13hmztc
https://www.youtube.com/watch?v=bF-a13hmztc

2025年5月31日ウクライナ情報pdfはこちら

 


 

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安斎育郎 安斎育郎

1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。

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