【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.06.07XML: 私的権力が築いた監視と恫喝の仕組みから米国の大統領も副大統領も逃れられない

櫻井春彦

世界の覇者となるためには強力な軍事力を持ち、食糧とエネルギーを支配するだけでなく、影響力を持っている人びとの弱みを握るために監視システムを構築することも必要だ。そうした能力の高い機関として、イギリスのMI6とGCHQ、アメリカのCIAとNSA、イスラエルのモサドや8200部隊を挙げられるが、この3カ国の情報機関は連携している。

 

そうした情報機関のネットワークには「民間企業」も含まれているのだが、そのひとつがパランティア・テクノロジーズなるデータ分析の会社。CIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設されたのは2003年。この年にジョージ・W・ブッシュ政権はアメリカ主導軍にイラクを先制攻撃させたが、そのイラク、そしてアフガニスタンにおける軍事作戦にパランティアは加わっている。また同社はイスラエルの情報機関とも関係が深く、共同創設者のひとりで、現在会長を務めているピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領は彼の弟子的な存在だ。

 

キア・スターマー英首相が駐米イギリス大使に指名したピーター・マンデルソンは2010年にロビー活動会社のグローバル・カウンセルを設立した。昨年、彼はこの会社の取締役を辞任したが、大株主ではある。このグローバル・カウンセルはパランティアの取引相手だ。

 

2022年に入るとウクライナ軍はドンバスの周辺に集結、住民への砲撃を激化させた。ウクライナ軍の軍事侵攻が近いと言われる中、2月にロシア軍が戦争の準備をしないままウクライナに対する攻撃を開始するのだが、その攻撃によるウクライナ側のダメージは小さくなかったようで、停戦交渉が始まり、ほぼ合意に達した。それを潰すため、4月9日にキエフへ乗り込んだのがイギリスの首相だったボリス・ジョンソンだ。

 

そして2022年6月、パランティアはウクライナ政府へ分析AIソフトを持ち込んだ。その後、同国の国防省、デジタル変革省、経済省、教育省などがそのAIを使っているという。AI信奉者はこれで勝利を確信したかもしれないが、結果は無惨で、ロシアの勝利は決定的だ。

 

しかし、そうしたシステムが導入されたことにより、パランティアはウクライナ政府のほぼ全データへアクセスできるようになった。ウクライナ政府をアメリカやイギリスの情報機関が操るためのシステムが作られたとも言えるだろうが、ウォロディミル・ゼレンスキーはMI6のエージェントである可能性が高い。

 

5月20日にウクライナの治安機関SBUはウラジミル・プーチン露大統領を乗せたヘリコプターをクルスク上空で46機のドローンを使って攻撃し、6月1日にはロシアのオレニャ(ムルマンスク)、ベラヤ(イルクーツク)、イバノボ(イバノボ)、ディアギレフ(リャザン)、ウクラインカ(アムール)にある戦略核基地をやはりドローンで攻撃、6月3日にはケルチ橋(クリミア橋)の防護柵を爆破した。

 

いずれも西側諸国、おそらくイギリス、フランス、ドイツ、アメリカの情報機関から支援を受けていたはずだが、トランプは事前に知らされていなかった可能性がある。しかもアメリカにはジェフリー・エプスタインが行っていたような恫喝システムが存在、その網に中にトランプも入っている。情報機関やパランティアのような「民間企業」に監視されているだけでなく、罠も仕掛けられているのだ。

 

アメリカで1982年にロナルド・レーガン大統領が出したNSDD55によってCOGプロジェクトが承認され、NPO(国家計画局)が創設された。核戦争の際に地下政府を始動させるという計画だ。しかも1988年に出された大統領令12656によって、地下政府を始動させる条件が核戦争から「国家安全保障上の緊急事態」に変更、権力者が恣意的に憲法や政府の機能を停止させるという仕組みができあがった。憲法や政府を超えた力を持つ何者かが国を動かすことができる仕組みだ。(Andrew Cockburn, “Rumsfeld”, Scribner, 2007)

 

1933年から34年にかけてJPモルガンをはじめとするウォール街の大物たちはニューディールを掲げるフランクリン・ルーズベルト政権を倒すためにクーデターを計画したが、スメドリー・バトラー退役海兵隊少将によって阻止された。そのルーズベルトは1938年4月、ファシズムについて次のように語っている。

 

「民主国家そのものよりも私的権力が強大になることを国民が容認するならば、民主主義の自由は安全ではない。それは本質的にファシズムであり、個人、集団、あるいはその他の私的権力による政府所有だ。」

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