
6月9日のウクライナ情報
国際6月9日のウクライナ情報
安斎育郎
❶【前編】ロシアVS.ウクライナ トランプ、プーチン、ゼレンスキー「終わりなき戦争の落としどころ」(FRIDAY digital, 2025年6月7日)
※安斎注:この二人の対話であることを承知の上でお読み下さい。
ロシアによるウクライナ侵攻から3年あまりが経過した。アメリカのトランプ大統領(78)が停戦調停に乗り出し、両国代表団による3年ぶりの直接交渉も行われたが、物別れに終わっている。
この戦争に落としどころはあるのか。ロシア、ウクライナ情勢に詳しい筑波大学の東野篤子教授と東京大学の小泉悠准教授が見ている未来とは――。
小泉 この戦争を通じて両国の国民性の違いが際立ってきました。
東野 ″諦めるロシア人″と″諦めないウクライナ人″ですね。「プーチンが戦争始めちゃったんだから、しょうがない」とロシア人が抵抗せず、戦時経済にアジャストしているのは諦めがいいから。
小泉 ロシア人は一度諦めると、どんな辛い状況にも耐えられる。それがロシアの強さだと思います。
東野 現実に合わせて生き抜くためにはどうすればいいかがわかっている。ある意味でリアリストなんです。対照的に、どれだけ犠牲が出ようとも不条理に立ち向かい、”悪い奴は叩きのめす”と考えるのがウクライナ人。
小泉 では、開戦前に対ロシアでウクライナ国内がまとまっていたかと言えば、決してそんなことはなかった。
東野 ロシアという国民共通の敵ができたことでウクライナはまとまりました。開戦からの3年で、猛烈な勢いで国民形成できた。
小泉 政治学者ベネディクト・アンダーソンが『想像の共同体』で提唱した国民の形成過程を100年遅れで見ているような感じですよね。国民って実は人工的なもの。沖縄だって、歴史が違っていたら外国だったかもしれない。けれど今は、日本人であることを誰も疑わない。ウクライナもロシアとの戦争前は、ドンバス地方の住民とリヴィウ州の住民は違う方向を向いていた。いま、ウクライナ人として団結できているのは、プーチン大統領(72)のおかげと言えるかもしれない。
東野 ドンバスの親露派の人たちは裏切られた思いでしょうね。ロシアに忠誠を誓っていたのに、SNSの書き込みまでチェックされるフィルタレーション(濾過)キャンプのような検査をされた挙げ句、拘束されたりしていますから。
小泉 欧米の支援を受けているウクライナに対し、ロシアが単独で3年も戦争を続けられていることを不思議に思う人は多いですよね。どうやって兵士を集めているか? これはロシアがとてつもない格差社会であることが大きい。ロシアのエリートって物凄く教養があってしかも平気で5〜6ヵ国語をペラペラ話せる超絶エリートなんですよ。
その一方で、普通の労働者たちの教養レベルは想像もつかないぐらい低く、酷い暮らしをしている。世帯平均月収は6万円ですから。そういう人たちがお金に目がくらみ、軍に志願する。超低賃金でなんとか食いつないでいた人が一攫千金を夢見て志願しているのです。今、ロシア軍に志願すると月給60万円もらえます。
東野 10倍!
小泉 自治体によりますが、志願した時点で100万〜300万円の祝い金が出て、戦死すると家族に300万円ぐらい支払われる。花火が上げられ、市長が″彼は立派な人間だった″と褒めてくれる。社会の底辺で生きていた人が英雄になれるんです。
東野 未払いの話もあるじゃない?
小泉 全体的には支払われているようですが、負傷者に対する補償金がどうも未払いになっているようです。前線の映像を見ていると松葉杖をついて歩くロシア兵が出てきます。国防省に負傷者として認めてもらえず、除隊させてもらえないのでしょう。ウクライナ軍が撮影した映像には、片足がない兵士が杖をつきながらヨロヨロと逃げているところに自爆ドローンが突っ込んでいくものがいくつかあります。松葉杖の負傷兵を殺して「やったぜ!」と喜んでいるウクライナ兵を見ていると、いかに戦争で人間が荒んでいくかがわかります。
『FRIDAY』2025年6月6日・13日合併号より
https://news.yahoo.co.jp/articles/ac45e0465ed90d397864243e6345c106f230805a/images/000
❷ハルキウで3人死亡、21人負傷 ロシア軍、2夜連続の大規模攻撃(朝日新聞、2025年6月7日)
ウクライナ第2の都市、ハルキウで7日未明、ロシア軍による大規模な攻撃があった。警察によると、3人が死亡したほか、生後1カ月半の男児を含む21人が負傷したという。
ウクライナ空軍によると、ロシア軍は6日夜から7日朝にかけて、おとり機を含めて206機のドローン(無人機)と9発のミサイルを発射。前夜にもドローン407機とミサイル45発を使用しており、2夜連続の大規模攻撃となった。
ハルキウ州のシネフボウ知事によると、7日未明の攻撃はハルキウのほか周辺の7集落に及び、同州だけで50機以上のドローンが使われた。ウクライナ外務省はX(旧ツイッター)で、午前3時から2時間にわたって爆発音が響いたと指摘。対ロ制裁とウクライナの防衛能力の強化の必要性を改めて訴えた。(ロンドン=藤原学思)
https://news.yahoo.co.jp/articles/44f6587b200e7d227340ceb480f0ed1b4bcc557d/images/000
❸ ウクライナがロシア基地を再攻撃 「蜘蛛の巣作戦」で被害免れた爆撃機など標的(テレ朝ニュース、2025年6月6日)
ウクライナ軍は先日の「蜘蛛(くも)の巣作戦」で被害を免れた爆撃機などを攻撃するため、ロシアの空軍基地などを攻撃したと発表しました。
ウクライナ軍参謀本部は6日未明に、ロシア南部サラトフ州や中部リャザン州の空軍基地などを攻撃したと明らかにしました。
基地にはウクライナ国内への攻撃に用いられる戦略爆撃機などが配備されているとして、今月1日の「蜘蛛の巣作戦」で被害を免れた機体を標的にしたとしています。
攻撃手法などは明らかにしていませんが、「少なくとも3つの燃料タンクに多数が命中し、大規模な火災が発生した」としています。
攻撃はウクライナ軍の部隊のほか、国防省情報総局などが合同で行ったということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f15bb4beff0bf413b5beeda59d8c8f2b014fb73/images/000
❹ロシアが占領のザポリージャ原発、4基にアメリカ製の核燃料…返還含めIAEA事務局長が仲介意向(讀賣新聞、2025年6月7日)
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は6日、ロシア国営原子力企業ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ社長と会談した。タス通信によると、リハチョフ氏は、露軍が占拠するウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所に残る米国製核燃料の取り扱いを米側と調整するため、グロッシ氏に仲介を依頼した。
タスによると、米国製核燃料は同原発の原子炉6基のうち4基に装填(そうてん)されている。未使用と使用済みの燃料もあり、露側は、米側への返還も含めて対応する用意があるという。グロッシ氏は当事者が合意すれば仲介役を務める意向を示した。
露側は、再稼働に向けた計画を策定しているが、グロッシ氏は「再稼働には、水の安定供給や外部電源の再開など技術的な問題を解決しなければならない」と指摘した。会談は、欧州にあるロシアの飛び地カリーニングラードで行われた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/788b4dcae6e7acfe09eb15bbba908e48d070f068
❺遺体、捕虜交換で非難応酬 ロシアとウクライナ、不透明に(KYODO、2025年6月7日)
【モスクワ、キーウ共同】ロシアのメジンスキー大統領補佐官は7日、ウクライナと2日の直接交渉で合意した遺体や捕虜の交換について「ウクライナ側が無期限で延期した」と通信アプリに投稿した。ウクライナ政府は否定し「ロシアに汚いゲームをやめるよう求める」と反論、非難の応酬となった。交換がいつ実施されるのか、不透明となった。
メジンスキー氏は7~9日に1200人ずつの捕虜を交換するとの見通しを示していた。ウクライナのゼレンスキー大統領も7~8日に実施する計画があるとしていた。
ウクライナ政府の捕虜問題調整本部は7日、繊細な人道問題を利用しようとするロシアの情報操作だと訴えた。
メジンスキー氏は、ウクライナ兵士6千人の遺体引き渡しの合意に基づき、第1陣となる1212人分の冷凍保存された遺体を指定場所に運び込んだが、ウクライナ側が現場に現れなかったと主張した。ウクライナ側に捕虜640人のリストを提出したという。
両国の捕虜交換は5月の直接交渉に基づいて、同月下旬に千人対千人で実施されていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/66225f9bf838285035b88e7845917a1626c5d8eb/images/000
❻ウクライナ戦死者1212人を乗せた車列が捕虜交換地点に到着=ロシア国防省(2025年6月7日)
https://sputniknews.jp/20250607/1212-20130532.html
〈関連情報〉ウクライナが遺体引き取りと捕虜交換を突然延期=メジンスキー露団長
2025年6月7日,
https://sputniknews.jp/20250607/1212-20130532.html
❼【ウクライナのテロ攻撃に返答:軍産複合施設に大規模攻撃、全ての標的に命中】(2025年6月6日)
ロシア軍は、ウクライナ軍のテロ攻撃による返答として、昨夜、空・海・陸の長距離精密兵器と攻撃用ドローンによる大規模な攻撃を行った。ロシア国防省が発表した。
攻撃は、設計局、ウクライナの武器・軍事装備の生産修理の企業、攻撃ドローンの組立工場、飛行訓練センター、ウクライナ軍の武器と軍事装備の倉庫に対して行われた。国防省によると、攻撃の目的は達成され、対象となった標的はすべて損害を受けた。
これより少し前、ウクライナはロシアの施設へ一連の攻撃を行った。その中には、ボロネジ、ブリャンスク、クルスク地方の鉄道線路への攻撃、ロシアの飛行場への攻撃、クリミア大橋の爆破などがある。さらにウクライナは定期的にドローンで攻撃を行っており、民間施設も標的に含まれている。
https://sputniknews.jp/20250606/20121500.html
❽【トランプ氏激怒:ゼレンスキー氏のロシア軍飛行場攻撃決定はウクライナへの援助を失わせる】(2025年6月2日)
ドナルド・トランプ米大統領は、ウクライナがロシア軍の飛行場を攻撃したことに不満であり、ホワイトハウスはウクライナへの支援を打ち切る可能性について話し合っている。
情報筋の話を引用して「アトランティック」誌が書いている。
トランプ氏、ロシア軍飛行場へのドローン攻撃に激怒か
🔸ホワイトハウスは、ウクライナの行動は挑発的で危険だと考えている。
🔸トランプ氏は、これが紛争をエスカレートさせ、イスタンブールで今後行われるであろう協議を頓挫させることを恐れている。
ゼレンスキー氏への不快感はエスカレート
🔸トランプ氏は再びゼレンスキー氏を 「不良」「頭に血がのぼっている」と呼んだ。
🔸ウクライナの見せかけ行為ど、攻撃前のアメリカとの協調の欠如を非難した。
🔸トランプ氏は、ゼレンスキー氏は「世界を第三次世界大戦に向かわせている」と考えている。
ウクライナ支援に新たな懐疑論
🔸ホワイトハウスはウクライナへの援助削減を議論している。
🔸トランプ氏は対ロシア制裁を強化するという上院のイニシアチブを支持しなかった。
昨日、ペスコフ大統領報道官は、プーチン氏がトランプ氏との会話の中で、ロシアは軍飛行場攻撃に対してウクライナに報復する、と実際に述べたことを認めていた。
https://x.com/i/web/status/1930900849804345808?rcmd_alg=collaboration2
❾【米国がICC判事4人に制裁】(2025年4月18日)
米国とイスラエルの市民を拘束・逮捕しようとする動きに対し、米国はICC(国際刑事裁判所)判事4人に対し制裁を科した。米国務省長官が発表した声明の中で述べられている。
米国務省長官は「米国とその最も近い同盟国であるイスラエルに対する裁判官のイニシアティブは不当である」としている。
イスラエルのギデオン・サール外相は、自身のSNS上で、米国と同意見であると表明し、裁判所による「危険な権力の乱用」に終止符を打つよう求めた。また、「米国やイスラエルのようなテロと戦っている国の主権と国家安全保障の侵害だ」とも述べた。
ICCはこの制裁を 「国際司法機関の独立性を損なおうとする試み 」とみなしている。
米国もイスラエルもICCの締約国ではない。
https://x.com/i/web/status/1930872452474704198?rcmd_alg=collaboration2
❿ライブ|プーチンの 「蜘蛛の巣 」の復讐は2日目に突入、400機のドローンの後、今度はこの都市への最大の攻撃…(2025年6月7日)
ロシアは、ウクライナ第二の都市ハリコフに対し、これまでで最も強力な攻撃を開始した。これは、ウクライナが最近行ったロシア空軍基地を標的にした「スパイダーウェブ」無人機作戦に対する「復讐」とモスクワが呼ぶもので、2日連続の攻撃強化である。6月7日、ロシア軍はミサイル、無人機、誘導爆弾の弾幕をハリコフとケルソンを含む他の都市に放ち、少なくとも5人の死者と20人以上の負傷者を出した。
https://youtu.be/300rXx0MRLI
https://www.youtube.com/live/300rXx0MRLI
⓫ロシア攻撃後、ウクライナ軍は数秒で壊滅(2025年6月5日)
https://youtu.be/JuQxkpTpvCo
ウクライナの突如とした神風ドローンによる攻撃でロシアのグラード発射装置が破壊されたことを受け、ロシア軍はヘルソンで迅速かつ大規模な報復作戦を開始した。スコーピオン偵察部隊は数日間にわたる偵察活動を行い、敵の隠れ家、部隊の交代地点、住宅地や森林地帯に隠された砲兵陣地を特定した。FPV神風ドローン、モルニヤ徘徊型兵器、そして砲撃を正確に連携させることで、ロシア軍は敵の通信拠点、地下シェルター、指揮所を組織的に壊滅させた。各標的はピンポイントの精度で排除され、ウクライナ軍の戦闘活動は停止し、紛争地域における完全な支配権を回復した。
https://www.youtube.com/watch?v=JuQxkpTpvCo
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。