
6月10日のウクライナ情報
国際6月10日のウクライナ情報
安斎育郎
❶ウクライナ第2の都市で「侵攻開始以降 最大の攻撃」 4人死亡 60人以上けが(テレ朝ニュース、2025年6月8日)
ウクライナ第2の都市ハルキウに、ロシアの侵攻が始まって以降、最大規模の攻撃があり、4人が死亡し、60人以上がけがをしました。
ウクライナ空軍によりますと、ロシア軍は7日未明、ハルキウをはじめ10の地域を、合わせて215のミサイルやドローンで攻撃しました。
7日午後にも誘導爆弾4発で攻撃し、これまでに合わせて4人が死亡し、60人以上がけがをしています。
ハルキウ市長は「侵攻開始以降、最大の攻撃だ」と指摘しました。
ロシアはこの他にもウクライナによるロシア空軍基地への攻撃「蜘蛛の巣作戦」への報復として、キーウなどに大規模な攻撃を続けています。
ゼレンスキー大統領は「ロシアの攻撃は報復ではなく、破壊だ」と非難しています。
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❷まさにトランプの「外交的勝利」…NATO加盟国が国防費のGDP比5%で大筋合意、「無理難題」が実現へ(Newsweek、2025年6月7日)
[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領と米実業家イーロン・マスク氏が決裂し、SNS上で壮絶なバトルを繰り広げる中、ロシアの軍事的脅威に直面する欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国は対立を避け、トランプ氏に歩み寄った。
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NATO国防相会合に出席したピート・ヘグセス米国防長官は6月5日、加盟国が今後10年間で国防費を現在の国内総生産(GDP)比2%から5%に引き上げる目標について「合意に非常に近づいている」と、今月下旬にハーグで開催される首脳会議で合意できるとの見通しを示した。
「同盟は数週間のうちに5%の拠出を約束することになる。うち3.5%はハード面の国防費、1.5%はインフラ整備と国防関連活動費だ。この組み合わせが真のコミットメントとなる」とヘグセス氏は力を込めた。現在ハード面の国防費で3.5%を上回るのはポーランドの4.32%だけだ。
■同盟国全体で1兆ユーロ以上の追加支出が必要
出口が全く見えないウクライナ戦争の和平交渉を通じてトランプ氏の「脱欧入亜」があからさまになっても、米国の「核の傘」に依存する欧州の安全保障は米国抜きでは成立しない。NATOの要諦は欧州にとって「米国を巻き込み、ロシアを締め出す」ことに変わりはない。
ホワイトハウスに復帰する2週間前、トランプ氏は欧州を青ざめさせた。デンマーク領グリーンランドを手に入れるのに武力行使も排除しないと脅したばかりか、西欧とカナダに国防費をGDP比5%に引き上げるよう要求した。当時は無理難題に思えた要求が現実に近づいている。
仏紙ルモンドによると、同盟国全体で1兆ユーロ以上の追加支出が必要となる。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がクリミアを併合した2014年に設定された2%目標を達成している同盟国はまだ3分の2に過ぎない。5%への引き上げはまさにトランプ氏の外交的勝利と言える。
■英国は戦術核を搭載できるステルス戦闘機F-35A調達へ
中核国防費に3.5%、国防・安全保障関連投資に1.5%という妥協点を示したNATOのマルク・ルッテ事務総長は閉会後の記者会見で「われわれの抑止力と防衛力を強化し、10億人の国民の安全を守るために今後数年間に投資すべき能力を正確に示している」と胸を張った。
ルッテ氏は同盟国がウクライナへの追加支援として今年だけで200億ユーロを超える拠出を約束したことを強調し、ウクライナへのNATO支援を再確認。ロシアだけでなく中国とテロの脅威も挙げて「私たちは危険な世界に生きている」と大幅な軍備拡張を正当化した。
これまで報復用のミサイル原潜による戦略(長距離)核しか有してこなかった英国が6月2日発表した新たな戦略国防見直し(SDR)で低出力の米戦術核兵器B61-12を搭載できるステルス多用途戦闘機F-35Aの調達も視野に入れていることを明らかにした。
■「核抑止力は同盟の安全保障の礎であり続ける」
NATOのニュークリア・シェアリング(核共有)の下、ベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコが約100発のB61-3を共有。トルコを除く4カ国でF-35Aの配備が進められる。英国がこの枠組みに入ることで戦術核使用をちらつかせるロシアを抑え込む狙いがある。
ルッテ氏は「核抑止力は同盟の安全保障の礎であり続ける。平和を維持し、強制を阻止し、侵略を抑止するためにNATOの核能力が強固かつ効果的であり続けることを確保する」と述べた。米国が安全保障の軸足をアジアに移しても、核抑止力は米欧関係の要であることは不変だ。
同盟国の中でいち早く5%に応じる考えを示し、合意の道筋をつくったドイツのフリードリヒ・メルツ新首相は6月5日、ホワイトハウスでトランプ氏と会談、大統領の祖父の出生証明書のコピーを贈呈し、貿易交渉の進展とロシアへの圧力強化に期待を表明した。
安全保障のタダ乗りを決め込み、中露との金儲けにご執心だったアンゲラ・メルケル独首相(当時)とトランプ氏の相性は最悪だったが、メルツ氏はトランプ氏に受け入れられた。欧州はトランプ氏の算術を受け入れ、貿易戦争とウクライナ戦争の難局を乗り越えようとしている。
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❸ 「NATO崩壊」視野に次の手を模索、リトアニア前外相 米国との信頼が揺らぐ中(2025年6月6日)
リトアニアのガブリエリウス・ランズベルギス前外相は、北大西洋条約機構(NATO)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対する懸念について、「シュレーディンガーの猫(訳注:相反する状態が重なり合って存在する状況)」という量子力学の用語を使って説明した。
筆者の取材に応じたランズベルギス前外相は、「われわれは曖昧な立場にある」と語った。米国のドナルド・トランプ大統領は欧州に対し、NATOへの費用負担を増やさなければ米国は離脱すると脅すなど、扇動的な発言をしている。他方で、マルコ・ルビオ米国務長官は先月、ベルギーの首都ブリュッセルで開かれたNATO外相会合に姿を現し、欧州加盟国の指導者らを安心させた。ランズベルギス前外相はこれを「状況の正常化」と呼び、「NATOは試されていると同時に、試されていない」と語る。このように、NATOには混乱と不確実性が渦巻いている。これはプーチン大統領にとってはぞくぞくするほど完璧な機会を生み出す。
このシナリオがどのように展開するのかは想像に難くない。もしプーチン大統領が米ホワイトハウスに、ロシアとの関係を改善すれば米国が利益を得られると説得できれば(同大統領はすでにそれを確信しているようだが)、たとえNATO加盟国が攻撃されたとしても、トランプ大統領はその機会を危険にさらすことをためらうかもしれない。
それはランズベルギス前外相にとって最悪の悪夢だ。「トランプ大統領はこう言うだろう。『私はプーチン大統領と話し合っているところだ。これをほごにすることなどできない。君たちには申し訳ないが、力にはなれない。自分たちのことは自分たちでやってくれ』と」。ランズベルギス前外相は、プーチン大統領はすでに米国を一種の「宙に浮いた状態」に追い込み、NATOにとって重大な危険をもたらしているとみている。プーチン大統領は今こそ行動を起こし、欧州の現実を変えようとしているのかもしれない。
■欧州各国の首脳はNATOの次の手を検討し始めている
欧州各国の首脳がNATOの次の手について検討し始めているのも不思議ではない。トランプ大統領はかねてより加盟国に対し、米国はNATOから脱退すると脅してきたが、実際にそうする必要はない。冷戦時代から同盟国を守り、敵を抑止してきたNATOの信頼を、同大統領はすでに破壊しかけているからだ。
欧州諸国が考えている次の手の1つは、ウクライナを支援するために結集した「有志連合」だ。これはトランプ大統領が2月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と激しい口論を繰り広げたことを受け、結成されたものだ。この連合の目標は、対ウクライナ軍事支援の継続のほか、ロシア政府との交渉の強化、ウクライナ国内に駐留する欧州の「安心供与部隊」が公正で永続的な平和を保証することだ。
一方、ランズベルギス前外相は先月、「有志連合が実際に何か意味のあること、ましてや形勢を一変させるようなことをする意志があるという証拠を見つけるのがこれほど難しいのはなぜなのか?」と述べ、この取り組みを厳しく批判した。同前外相は筆者に対し、有志連合の前提自体は間違っていないが、「われわれは世界が崩壊していく様子を目の当たりにしている。ここで脅威を回避するためには、それ以上のことをしなければならない」と説明した。
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❹「もしも台湾が中国に侵略されたら…」フランシス・フクヤマが語る「日本が『核』を手にする」というシナリオ(COURRiER、2025年6月6日)
国際情勢が混乱しているときこそ、フランシス・フクヤマの意見に耳を傾けるべきだ。そうすることで、この混乱から少し距離を置いて考えることができるようになる。
米スタンフォード大学の研究者で、有名な学説「歴史の終わり」の生みの親、そして最近の著作には『リベラリズムへの不満』があるフクヤマが、仏「レクスプレス」誌の独占インタビューに応じた。
米国が権威主義国家陣営に突然寝返ったこと、19世紀型の帝国主義の復活、さらにはドナルド・トランプの経済面での傲慢さについて氏は分析してみせ、トランプは選挙ですぐにその代償を支払うことになるだろうと言う。
「鞍替え」した米国
──「ドナルド・トランプの政権復帰」の歴史的インパクトは、どのようなものになるのでしょうか。1989年よりも2025年のほうが歴史上の重要な転換点になるかもしれないと考えている人もいます。
米国は権威主義国家に豹変しました。ドナルド・トランプは本能的に米国憲法のぎりぎりのところで踏みとどまっていますが、それでも国内外に影響を及ぼしています。
実のところ、米国はトランプ政権下で弱体化するばかりです。この国は既に政治的な二極化によってもろくなっていました。そこにトランプ政権が、次々に官僚機構を破壊するイーロン・マスクのような人と一緒になって米国政府の破壊を進行させた。
これがどうしたら国を助けることになるのか、理解に苦しみます。本当に節約できるわけですらないのです。そしてこのことが意味するのは、これまで米国のソフトパワーに貢献してきた国際支援の手段がもはや存在しないということです。
西側世界の同盟関係を問題視し、積極的にロシアを助けることになってしまっているだけではなく、権威主義体制と民主主義体制の間の大きな戦いにおいて、まるで米国が鞍替えしたかのように見えるのです。
トランプはただ、新しいロシアが容易に浮上できるよう、あらゆる手を尽くしている。そこにどういう理由があるかは理解しがたいですが、残念ながらそれが現実なのです。
──どうしてトランプはプーチンと接近しているのでしょうか。そこにどのような動機があるとお考えですか。
トランプは1987年、ゴルバチョフ元大統領と会ったことがあります。そもそも軟弱すぎると感じてゴルバチョフのことは好きではなかったようですが。
面会後、トランプは新聞に数ページにわたる全面広告を出して、外交に関する自分の考えを主張しました。「米国はNATO加盟国の防衛のために支払うのをやめるべきだ」と訴えたのです。
こうしてソ連と立場を同調させ、その頃はまだ冷戦期でしたが、米国は同盟国に搾取されていると考えたのです。トランプはずっとこの路線を踏襲しています。2024年の11月に選挙に勝利してからは、今後、自分の考えを思う存分実行に移せるものだと考えて、親密な同盟国に食ってかかっては自由主義陣営の敵国に対する共感を示しているのです。
──プーチンはもうウクライナで勝利したと言えるのでしょうか。
プーチンが持っていた戦略は、ただトランプの返り咲きを待つことだけです。そうなれば、できるだけ多くのウクライナの領土を奪えると考えていたのです。
今後はすべてがヨーロッパの反応にかかっています。ヨーロッパにとっては大きなチャンスなのです。ヨーロッパは政治的な一致点を見つけなければなりません。そうすることでトランプにもプーチンにも抵抗して、ウクライナを支援することができるのですから。
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❺すべてを失ったウクライナ – 崩壊の危機|ジェフリー・サックスとスコット・リッター(2025年6月7日)
https://youtu.be/6fgA9YBgNlY
https://www.youtube.com/watch?v=6fgA9YBgNlY
❻【戦況】前進が止まらない…6/8日曜版です🙂 ↕️‼️(ニキータ伝〜ロシアの手ほどき、2025年6月8日)
https://youtu.be/8F-ZqHNtQyk
https://www.youtube.com/watch?v=8F-ZqHNtQyk
❼ モスクワ、ウクライナのドローン攻撃に関する米国の否定を軽蔑、英国を非難、強力な報復を準備(2025年6月7日)
https://youtu.be/cIzHDWMprDg
https://www.youtube.com/watch?v=cIzHDWMprDg
❽ダニエル・デイビス中佐:トランプはゼレンスキーを解任すべきだ – 彼は理性的な行動者ではない(2025年6月7日)
https://youtu.be/EOVcc0ns808
https://www.youtube.com/watch?v=EOVcc0ns808
❾【時事ネタ】追い詰められたキエフ政権〜6/7土曜版です🫡‼️(ニキータ伝〜ロシアの手ほどき、2025年6月7日)
https://youtu.be/K-nUGfZ9tkE
https://www.youtube.com/watch?v=K-nUGfZ9tkE
❿対ロ関係改善のために【鳩山友紀夫(由紀夫)】【及川幸久】【特別事前対談】【THE CROE FORUM 2025夏】(2025年6月5日)
今そこ、日本はロシアとの関係を変えるべき!
鳩山由紀夫元総理にインタビューしてみた
– この動画を見て、鳩山由紀夫という人物について見方が変わったという人が続出しています。一旦、偏見を横に置いて、ご覧ください。
https://youtu.be/DKcsECgGdd0
https://www.youtube.com/watch?v=DKcsECgGdd0
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。