
6月12日のウクライナ情報
国際6月12日のウクライナ情報
安斎育郎
❶ロシア、NATO結束を試す構え エストニア警戒必要=独情報局長官(2025年6月10日)
[ベルリン 9日 ロイター] -ドイツの対外情報機関、連邦情報局(BND)のブルーノ・カール長官は、ロシアがウクライナ国境を越えて西側諸国との緊張激化を含め、北大西洋条約機構(NATO)の結束を試す構えだとの見解を表明した。
ドイツのオンラインメディア「テーブル・メディア」のポッドキャスト番組のインタビューで述べた。
NATO条約では集団防衛義務が定められている。しかし同長官は、ロシアがもはや実効性がないと判断した明確な情報を既に入手していると述べた。情報源の詳細は言及を避けた。
同長官は「ウクライナ(への侵略)は西方進出の一歩に過ぎないとわれわれは確信しており、それを示す情報も把握している」と述べた。
ただ、「(ロシア軍の)戦車部隊が西に向かって進軍すると予想しているという意味ではない」と指摘。その上で「NATOの集団防衛の誓約が試される時が来るとわれわれは考えている」と言明した。
同長官は、ロシアは米国がNATO条約第5条に基づく集団防衛義務を本当に果たすかどうかを試すとの見通しを示しつつも、全面的な武力衝突には至らない西側との対立状態を想定しているだろうと話した。
同長官はバルト3国の1つ、エストニアを具体的に挙げ、「ロシアは(エストニアで)少数民族ロシア人が抑圧下にあるとみて、その保護のため」と称し、2014年にウクライナ領クリミア半島を併合した際と同じ方法を執るとの見方を示した。階級章や国籍マークのない制服や私服に身を包んだロシア兵が入り込み、建物や官公庁を占拠していくというものだ。
ただ、同長官は米国側当局者との意見交換を通じて「彼らもわれわれ同様に深刻に受け止めており、ありがたいことだ」と話した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b464c14735d02dbce57b14b5eecb68a7507aa589/images/000
❷ウクライナ首都とオデーサに「大規模」ドローン攻撃(2025年6月10日)
【AFP=時事】ウクライナは10日、首都キーウと南部の港湾都市オデーサが同日早朝、ロシア軍による「大規模な」ドローン攻撃を受け、1人が死亡し、病院が被弾したと発表した。
キーウ中心部では、AFP通信の記者が少なくとも12回の爆発音と対空砲の発射音、そしてドローンのうなるような音を聞いた。少なくとも7地区が攻撃を受け、建物や車が炎上し、数人が負傷したと報告された。
オデーサへの攻撃では、59歳の男性が死亡した他、少なくとも4人が負傷した。オレグ・キペル州知事はテレグラムへの投稿で「敵は攻撃ドローンでオデーサを大規模に攻撃した。民間インフラに被害が出ており、火災が発生している」「ロシア軍は産科病院、緊急医療病棟、集合住宅を攻撃した」と述べた。産科病院の利用者は幸い避難していた。
ウクライナ大統領府のアンドリー・イェルマーク長官は「ロシアは毎日、平和を望むとうそをつき、毎日人々を攻撃している。制裁を課す時だ。ウクライナを武力で支援すべき時だ。民主主義に力があることを証明する時だ」とテレグラムに投稿した。
両国の和平交渉は、捕虜交換の合意を除いて停滞しており、ロシアは無条件の停戦要求を繰り返し拒否している。ロシアはウクライナへの攻撃を続けており、ウクライナもロシア領内深くへの攻撃で応戦している。【翻訳編集】 AFPBB News
https://news.yahoo.co.jp/articles/f0c99d62104b539abf2d30356dbb3771f1d0d63e/images/000
❸ ウクライナ西部へのロシア攻撃受け戦闘機を緊急発進 ポーランド(2025年6月9日)
【AFP=時事】ポーランドは9日朝、隣国ウクライナの西部にロシア軍が大規模な攻撃を仕掛けたのを受け、自国の領空を守るため戦闘機を緊急発進させた。
ポーランド軍の作戦司令部はSNSで「ロシアによるウクライナ領への集中的な空爆を受け、ポーランドおよび同盟国の航空機が朝からポーランド領空で作戦を開始した」と発表した。
ウクライナ西部リブネ市のオレクサンドル・トレチャク市長はロシアによる夜間攻撃について、数十に及ぶドローンとミサイルが飛来したとし、西部への攻撃としては「これまでで最大規模」だったと述べた。【翻訳編集】 AFPBB News
https://news.yahoo.co.jp/articles/bbf5be55e6668f4ea555564d8331d8ad92cd73d8/images/000
❹見せかけの密着だったか…ロシア秘密文書に「中国は敵」(2025年6月9日)
ロシア連邦保安局(FSB)が中国を「敵」と描写した秘密文書を入手したと米国のニューヨーク・タイムズ(NYT)が7日(現地時間)、報じた。この文書にはロシア情報機関が中国の情報活動を脅威と認識し、対応策を用意した情況が記されている。
NYTはこの日、2023年末から2024年初めに作成されたとみられる8ページ分のFSB秘密文書を入手したと伝えた。FSBはこの文書で、「ロシア人を対象としたスパイ募集の試み、鉱山会社および研究機関を通した中国情報要員の北極スパイ活動、政権に不満があるロシア科学者の抱き込みおよび敏感な技術確保の試み、ロシア留学生監視強化などが中国によって起きている」と主張した。
特にFSBは中国がウクライナ戦争におけるロシア軍の作戦に対して密偵していることを主な脅威とみなしている。NYTは「中国は1979年ベトナム戦以降、戦争の経験がない」とし「このため台湾との葛藤や南シナ海の紛争でドローン(無人機)など西側武器に対する自国の対応力量を懸念し、ウクライナ戦争でのロシア軍の作戦を把握しようとしている」と指摘した。
これに先立ち、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナを全面侵攻する3日前である2022年2月21日、新しい防諜プログラム「Entente-4(エンテンテ-4)」を承認した。「エンテンテ」は協定や協力関係という意味を持つ。名前だけに注目すればロシア・中国両国の友好関係を示しているようだが、このプログラムの真意は中国スパイの情報活動の遮断だとNYTは指摘した。同じ脈絡でFSBは「戦争直後、中国情報機関に関連した防衛産業の関係者がロシアにやってきてロシア軍の戦争状況を把握しようとしていた」と主張した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/381f43394e132aa234fd1a7208da82c94ac9c498/images/000
❺ウクライナとロシアが捕虜交換を実施、戦争のほぼ全期間捕虜だった兵士も(2025年6月10日)
(CNN) ウクライナとロシアの間で9日、新たな捕虜交換が始まった。両国の当局者が明らかにした。帰還者の中には戦争のほぼ全ての期間を捕虜として過ごしたウクライナ兵も含まれる。
捕虜の交換については、先週トルコで行われた交渉の中で合意に達していた。25歳未満や重傷者が対象となっている。ウクライナのゼレンスキー大統領がSNSで明らかにした。
捕虜交換をめぐっては、ロシア政府が週末に、ウクライナ側が遅らせていると非難していた。ウクライナはそうした主張を否定した。
ゼレンスキー氏は「我が国民が故郷に帰った」と投稿した。「ウクライナ国民はロシアの監禁から家に戻りつつある。交換は今日始まり、今後数日にわたり継続される」
ウクライナの捕虜問題調整本部によれば、解放されたウクライナ人の中には、戦争が始まった最初の数週間でロシア軍の残忍な攻撃の対象となったマリウポリ市を防衛していた兵士も含まれている。
ウクライナの人権問題を担当する委員によれば、解放される人たちの大半は2022年から拘束されていた。
ロシア国防省も捕虜の交換が行われていることを確認した。国防省によれば、ロシアの兵士は現在、ベラルーシに滞在しており必要な医療などの支援を受けている。
和平交渉でロシア側の代表団を率いるウラジーミル・メジンスキー氏は先週、今回の捕虜交換は4年目に突入した戦争が始まって以降で最大規模になるとの見通しを示していた。ロシアは戦死したウクライナ兵士6000人以上の遺体のほか負傷した兵士も移送するとしていた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a2a30fe1559b75593c5894bae83da209b513ba70
❻負傷兵・若い兵士の捕虜交換を実施「数日間にわたり段階的におこなわれる」人道面での取引き進む一方でロシア軍がウクライナ東部へ進軍…停戦の見通しは立たず(2025年6月10日)
ウクライナとロシアは6月2日に行った直接交渉での合意に基づき、捕虜交換を実施したと発表しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、自身のSNSでロシア側と捕虜交換を実施したと明らかにしました。
今回の捕虜交換では、負傷兵や25歳未満の若い兵士が対象で、「今後、数日間にわたり段階的におこなわれる」としています。
一方、ロシア国防省も9日、ウクライナとの間で25歳未満の兵士が捕虜交換が実施され、兵士らは隣国ベラルーシに移送され医療支援を受けたあと、ロシアに帰国すると発表しました。
初日に交換された人数は明らかにされていませんが、「同数」としています。
6月2日のイスタンブールでの交渉では、1000人から1200人の身柄を交換することで合意していて、数日かけて行われるものとみられます。
和平交渉をめぐり、人道面での取引は前進する一方で、停戦条件は両者の主張に隔たりが大きく実現の見通しは立っていません。
こうした中、ロシアのペスコフ大統領報道官は9日、ロシア軍がウクライナ東部ドニプロペトロウスク州へ進軍しているとした上で、「緩衝地帯を作るためだ」とその目的について説明しました。
ロシアは占領地を拡大し、交渉を優位に進める狙いもあると見られます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e65a08a35be54ff3f796f1fb7caab2bdd2c6e4a8/images/000
❼ロシア、ウクライナに大規模攻撃 西部の軍用飛行場標的(2025年6月10日)
[キーウ 9日 ロイター] -ウクライナ空軍は9日、ロシアが実施した無人機(ドローン)とミサイルによる大規模な攻撃で、ウクライナ西部の軍用飛行場などが被害を受けたと明らかにした。
ウクライナ空軍は、ロシア軍が発射した無人機479機のうち460機のほか、ミサイル20発のうち19発を撃墜したと発表。空軍報道官はウクライナ西部の軍用飛行場が主な標的だったとの見方を示した。ただ、被害の詳細については明らかにしていない。
ウクライナ当局によると、標的になった軍用飛行場はポーランドとの国境から約60キロの地点にある。ポーランド軍によると、ポーランド領空の安全確保のため9日早朝、ポーランドと同盟国の航空機が活動を開始していた。
ロシア国防省は今回の攻撃について、ウクライナが今月初めにロシアの空軍基地を攻撃したことに対する報復の一環と表明。「指定された施設全て」を攻撃したとした。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0e52c9fba24e64c3f06ed82db571b73798801463/images/000
❽ルッテ首相、ロシアの生産力がNATOをはるかに上回っていることを認める!(2025年6月10日)
マーク・ルッテ首相はロンドンのチャタム・ハウス・シンクタンクで講演を行い、NATOは特に防空分野への投資を増やす必要があると述べると見られています。また、ルッテ首相は、ウクライナ戦争終結後もロシアの脅威は残ると警告しています。ドイツは兵力増強の必要性から、兵役義務の導入を真剣に検討しています。ポーランドでは、カロル・ナヴロツキ氏が勝利した大統領選挙の票の再集計を求める署名運動が活発化しています。ロシアとウクライナは捕虜交換を開始しており、ウクライナ側はこのプロセスには数日かかると発表し、ウクライナの戦死者送還にも取り組んでいます。ウクライナの特殊部隊は、サヴァスレイカ飛行場でロシアの戦闘機2機を撃墜したことを確認しました。 NATOのピエール・ヴァンディエ提督は、NATOはウクライナの「スパイア・ウェブ」作戦から多くのことを学ぶべきだと述べた。
https://youtu.be/d6U640Dnyms
https://www.youtube.com/watch?v=d6U640Dnyms
❾ジョン・ミアシャイマー:トランプの誤った計画がウクライナを破滅させた!中国はロシアの西側に対する戦争に加わる!(2025年6月9日)
https://youtu.be/PKnYBaNY-uI
この衝撃的な論評では、政治リアリストのジョン・ミアシャイマーの理論が再浮上。批判者たちは、トランプ大統領の外交政策がウクライナを弱体化させ、権威主義体制を勢いづかせていると非難している。トランプ大統領が提案した和平協定が懸念材料となる中、中国とロシアは戦略的パートナーシップを深め、新たな反西側軸の出現への懸念を引き起こしている。私たちは、欠陥のある外交の結果を目撃しているのだろうか?
https://www.youtube.com/watch?v=PKnYBaNY-uI
❿ロシア空軍基地攻撃の責任者であるイギリスとウクライナの幹部をロシアが排除(2025年6月10日)
https://youtu.be/ZIQfqX3chmw
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。