
【櫻井ジャーナル】2025.06.16XML: イスラエルによる先制攻撃から立ち直ったイランの報復攻撃でイスラエルは混乱
国際政治イスラエル軍は6月13日早朝にイランをミサイルとドローンで攻撃したが、その直前、イスラエルとイスラエルを支援する西側諸国の情報機関がイランにサイバー攻撃を仕掛け、イランの防空システムを麻痺させていたという。
その攻撃でイスラエル軍はイラン軍のモハメド・バゲリ参謀総長やイラン革命防衛隊(IRGC)のホセイン・サラミ司令官を含む軍幹部、そして核科学者のモハンマド・メフディ・テランチやフェレイドゥーン・アッバシらを殺した。
こうした要人はドローンで殺されたというが、ワシントン・ポスト紙によると、イスラエルは数カ月かけてドローンの部品を商業貨物として秘密裏にイランへ持ち込み、組み立て、主要地域に配置し、トレーラーに設置された発射装置から攻撃したという。
防空システムが麻痺してからイスラエル軍は戦闘機を侵入させ、イラン国内の目標を空爆、IAEA(国際原子力機関)のラファエル・グロッシ事務局長によると、イスラエルの攻撃で核施設の地上部分が破壊されている。敷地内の地下濃縮施設に損傷の兆候が見られるとされているものの、大きなダメージは受けていないようだ。
イスラエルの攻撃は事前にアメリカやヨーロッパ諸国の政府と調整して行われた可能性が高い。こうした欧米諸国もイスラエルと同様、イランの防空システムは数日にわたって麻痺し、その間にイランの重要施設を破壊できると計算していたのかもしれないが、実際は10時間ほどで復旧したという。実際、その頃には防空システムが機能していた。しかもミサイルの発射システムも破壊されていないことがすぐに判明する。
同時にイランによるイスラエルへの報復攻撃が本格化する。最初はドローン、そしてミサイルが発射されたが、映像を見ると、翌日になると超音速ミサイルが使われ始めたようだ。アメリカをはじめとする欧米諸国やヨルダンはイランのドローンやミサイルを撃墜しようとしているものの、相当数がテル・アビブやハイファに着弾、建造物が破壊され、死傷者が出ているようだ。今回もイスラエルの防空システム「アイアン・ドーム」は突破され、イスラエル国防省を守っていたTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムが破壊された。6月15日早朝にイランが実施したミサイル攻撃により、イスラエルでは200人以上が死傷している。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相やアメリカのドナルド・トランプ大統領の思惑は外れた。
バラク・オバマ政権がウクライナで仕掛けたクーデターでロシア産天然ガスの入手が困難になったヨーロッパでは独立を志向する勢力が弱体化、ネオコンの手下としてロシアとの戦争へ向かう勢力が実権を握ったが、そのヨーロッパの「リーダー」たちも混乱しているだろう。ロシアに続き、イランでも大失敗だ。
イスラエル政府はイランの親欧米派に対し、反政府蜂起を呼びかけているが、それだけイスラエル政府は追い詰められているのだろう。反体制運動が体制転覆に成功するためには、まず多くの人びとの支持が必要であり、そのエネルギーをコントロールする指導部も必要だ。かつてウラジミル・レーニンが言った「前衛」とはそうした存在だが、アメリカやイギリスの情報機関、つまりCIAやMI6は配下の人びとにそうした役割を負わせる。
今回、イスラエルも米英もそうした準備をしていないようで、投獄された経験のあるイランの反体制派、サデグ・ジバカラムは「このような状況下でネタニヤフ首相、トランプ大統領、あるいはレザ・パフラヴィ王子(イラン最後の国王の長男)が私にイスラエルを支持し、政権に対抗するよう期待していることに驚いている」と切り捨てている。
イランはイスラエルがイランに対する攻撃をやめない限りイスラエルに対する攻撃をやめないとしている。その間、欧米諸国はイスラエルに武器を供給しなければならないが、すでに西側はウクライナの戦争で武器弾薬が枯渇している。アメリカの国防長官は同国がドローン防衛システムの一部をウクライナから中東へ移転したことを確認したという。ウクライナから武器弾薬をイスラエルへ移動させれば、ウクライナの降伏時期が早まらざるをえない。
しかも、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は1月17日にモスクワを訪問した際、ロシアと包括的戦略的パートナーシップ協定を結んでいる。6月13日にイスラエルはイランを侵略したわけで、ロシアは国連憲章その他の適用可能な国際法の規則に基づいて解決されるよう支援しなければならない。つまりイランが自衛権を行使することを支援する義務がある。イランとイスラエルの戦争でロシアが「中立」を主張することはありえない。アメリカやヨーロッパ諸国がイスラエル支持を打ち出せば、それはロシアに敵対することを意味する。もっとも、すでにイギリス、フランス、ドイツはウクライナでロシアと敵対する道を選んでいる。
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