【特集】日航機123便墜落事件

日航123便墜落事故(第21弾):事故当日、18時台にNHKの速報を見た方々の証言まとめ(日本ファクトチェックセンターへの要望も掲載)

市民記者:小幡瞭介(おばた りょうすけ)

私の第五弾目の記事「NHKの第一報について」では、NHKが運営する「NHKクロニクル」というサイトに掲載されている情報と、事故当時、日航のパイロットだった小林宏之氏の証言が矛盾していることを紹介した。

再度解説すると、「NHKクロニクル」には≪19:26.30―19:27 「18:04羽田発の日航機レーダーから機影絶つ」(第1報)≫と書かれている一方で、小林宏之氏は、自著『航空安全とパイロットの危機管理』において ≪12日の夕方はフライトを終えて、NHKの7時のニュースの前の天気予報を観ていた時、「日航機の機影がレーダーから消えた」というテロップが出た。≫と述べている。

上記2つの情報は矛盾している。どちらの情報が正確なのだろうか。実は、「18時台にNHKの速報を見た」とする情報を発信している方が小林氏以外にも複数人いるので、以下に紹介する。

①増成正哉氏の証言(藤岡市体育館での検死業務に参加した医師)

『御巣鷹 : 鎮魂の賦 文集』35〜36ページ

≪日航機墜落事故を省りみて

増成正哉

昭和六〇年八月一二日NHK六三〇の番組を見乍ら夕食を摂っている時である六時五〇分過ぎ頃臨時ニュースの字幕が突然出てきた。その内容は日航123便のジャンボ機がレーダーから突然消えたと云う報道でその後何回か臨時ニュースとして画面に出てきたが行方不明と言うことで確実な報道はなかった。(中略)

増成医院(外)≫

 

②森明子氏の証言(123便の遺族)

『なにか云って : 8・12日航機墜落事故 26家族の記録』122ページ

≪夕方六時五十分ごろ、会社の人から電話がきた。「テレビを見てますか」と聞く。NHKはテロップで機影の消えたことを伝えていた。≫

(ワタナベケンタロウ氏の動画「日航機墜落事故㊵」では、上記の情報を裏付ける情報を伝えている。https://m.youtube.com/watch?v=ZzWc-klvH0Y

 

③菊地定則氏の証言

『遺恨 御巣鷹』3ページ

≪私の当時の日記

一九八五年(昭六十)年八月十二日(月曜日)いつもは会議やら何やらで、夕方のニュースなどきいたことはありません。この日はめずらしく、ゆかたをきて、NHK、六時のニュースをきいていました。四十分過ぎた頃でしたか、「羽田発六時、日航一二三便大阪行ボーイング七四七型機の機影が消えました。今後、判明次第報道します」という挿入した臨時ニュースを、私は特に気にもかけずにきいていました。

その当時の日誌を見ますと

八月十二日(月) 晴

帰宅十六時過ぎ、夜テレビを見ていたところ十八時四十五分かに、日航ジャンボ大阪行きが、レーダーから消えたことが知らされる。事故の様子。≫

上記の通り、小林氏以外にも、19時前にNHKの速報を目撃した方が複数人いるのである。注目すべきは、123便の犠牲者の検死業務に参加した増成正哉氏が「NHK六三〇の番組」と明記していることである。小林氏の証言ともほぼ一致することから、増成氏の記憶違いである可能性は低いと考えられる。

NHKが第一報を流した本当の時刻は18時台だったのではないだろうか。もしそうであれば、NHKは「NHKクロニクル」の当該箇所を早急に訂正する必要が出てくる。また、なぜ今まで誤った情報を発信し続けてきたのか説明する責任も発生するだろう。

さて、最近、日本ファクトチェックセンターが≪参院議員・佐藤正久氏(自民)が「1985年のJAL123便墜落事故は、自衛隊が訓練中に誤って撃墜したために起きた」と主張しているとの情報が拡散しましたが、誤りです。≫との情報を公表した。

日本ファクトチェックセンターには、「NHKが第一報を流した時刻は19時26分ではなく、本当は18時台だったのではないか」とする情報についても、ぜひファクトチェックしていただきたい。

また、事故当日、123便のニュースに関わった池上彰氏や木村太郎氏、柳澤秀夫氏には、事故当日の記憶を改めて発信していただきたい。

今年の8月12日までには、事故当日のNHK第一報に関する正確な情報が明らかになることを願っている。

  • 付記:「事故があった夜、秩父の両神山頂から、燃える火を発見した人物がいた」とする情報について

実は、「事故があった夜、御巣鷹山を指呼できる秩父の両神山頂から、燃える火を発見した人物がいた」とする情報があるので紹介する。

『企業年金』という雑誌の1985年10月号2ページに、以下の通り記載されている。

≪絵のある随筆

やがて秋

斎藤政一

(中略)

事故の当初からテレビや新聞に見入っていたが、情報の不確実なことや、不思議な話には苛立ちと歯がゆさをおぼえた。現場の発見の遅れたことについては、地元の山男達に相談、依頼をしたのだろうか。あの夜、御巣鷹山を指呼できる秩父の両神山頂から、燃える火を発見した山男がいた。≫

この情報は、非常に重要なのではないだろうか。詳しい情報をご存知の方がいれば、ぜひ詳細を発信していただきたい。

【参考文献】

  • 小幡瞭介. “日航123便墜落事故:NHKの第一 報について”. ISF独立言論フォーラム. 2024年6月21日公開. https://isfweb.org/post-38976/(参照 2025-06-17)
  • “7時のニュース・天気予報<ニュースのみ二ヶ国語放送>”. NHKクロニクル. https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A198508121900001300100 (参照 2025-06-17)
  • 小林宏之. 航空安全とパイロットの危機管理. 交通研究協会, 2016, p.98-99.
  • 藤岡多野医師会. 御巣鷹 : 鎮魂の賦 文集. 1987. p.35-36, 国立国会図書館デジタルコレクション, https://dl.ndl.go.jp/pid/13171785 (参照 2025-06-17)
  • ワタナベケンタロウ. “【日航機墜落事故㊵】ご遺族による証言と資料提供、その思いとは。”. YouTube. 投稿日:2021-10-29. https://m.youtube.com/watch?v=ZzWc-klvH0Y(参照 2025-06-17)
  • 池田知加恵 編著. なにか云って : 8・12日航機墜落事故 26家族の記録. 1987,  p.121-127, 国立国会図書館デジタルコレクション, https://dl.ndl.go.jp/pid/13171784 (参照 2025-06-17)
  • 菊地定則. 遺恨 御巣鷹. 2002, p.3.
  • 日本ファクトチェックセンター(検証:リサーチチーム, 編集:古田大輔). “佐藤正久・参院議員「JAL123便は自衛隊が訓練中に誤って撃墜」と発言? 恣意的な切り取り【ファクトチェック】”. 日本ファクトチェックセンター (JFC).  2025年4月21日. https://www.factcheckcenter.jp/fact-check/politics/false_jal123_sdf_misattributed/ (参照 2025-06-17)
  • 斎藤政一. 絵のある随筆 やがて秋. 企業年金 : 企業年金の未来を拓く専門誌. 1985. 10月号(第4巻, 第10号), p.3. 国立国会図書館デジタルコレクション, https://dl.ndl.go.jp/pid/1822477 (参照 2025-06-17)

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