【連載】櫻井ジャーナル

【櫻井ジャーナル】2025.06.22XML:イスラエル政府を助けるため、米政府はイランの核施設にバンカー・バスター

櫻井春彦

ナチス時代のドイツがソ連に対する軍事侵攻を始めてから84年後の6月22日、アメリカはイランのフォルドゥにある核濃縮施設に6発の大型地中貫通爆弾(バンカー・バスター)GBU-57を投下したと伝えられている。この施設は地下約90メートルにあり、イスラエル軍は破壊できなかった。そこでGBU-57を使ったのだが、これを投下する能力はイスラエル軍になく、しかも1発では破壊できるとは言い切れない。そのため、アメリカ軍が6発のGBU-57を落としたのだろう。ナタンズとエスファハーンの施設にはトマホーク巡航ミサイルを発射したという。

ジョン・ラトクリフCIA長官は非公開の公聴会でイランの核兵器保有について発言、「1ヤードラインまで迫っている」としていたが、国家情報長官を務めるトルシ・ギャバードは3月25日、イランが核兵器を開発しているとする話を否定していた。アメリカの情報機関はイランで核兵器計画が承認されていないとアメリカの情報機関は評価しているとしていたのだ。IAEA(国際原子力機関)のラファエル・グロッシ事務局長イランの核施設について、「核兵器開発に向けた組織的な取り組みの証拠は発見されなかった」としている。

 

ネオコンやイスラエルがイランを攻撃する理由は核兵器開発にあるわけではない。イラクを先制攻撃する際、「大量破壊兵器」という作り話を使ったのと同じこと。

 

欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めた経験のあるウェズリー・クラークによると(​3月​、​10月​)、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてから10日ほど後、彼は統合参謀本部で見た攻撃予定国のリストを見ている。リストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが記載されていたが、残るはイラン。この計画を実行しているだけ。ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ジョー・バイデン、ドナルド・トランプ、いずれも外交や軍事はネオコンにコントロールされているわけで、全ての政権がひとつの目的に向かった進んできた。ネオコン離れを演出していたトランプだが、結局、その支配から抜け出せなかった。

 

しかも、イスラエルは先制第一撃でイランを屈服させることに失敗、報復攻撃でテル・アビブやハイファなどイスラエルの都市が破壊されている。イランは長期戦を考え、ミサイルの発射を調整しているが、イスラエルやアメリカは近い将来、ミサイルが枯渇する。

 

イスラエルやその支援国は早くイランを屈服させる必要があり、アメリカは一線を越えざるをえなくなったが、イランの攻撃はアメリカ軍の直接参戦により、事態は深刻。すでにモサドの司令部やワイツマン科学研究所が破壊されているが、新たな攻撃目標のなかにイスラエル軍のサイバーコマンド(C4I本部)や軍事情報センターも含まれている。すでに報復攻撃から戦略的な攻撃へエスカレートしたとも言われている。

 

当初、イランがイスラエルの攻撃を防げなかった理由のひとつに、ロシア製の高性能防空システムを保有していなかったことが指摘されている。破壊活動への対応も甘かった。

 

ロシア駐在イラン大使のカゼム・ジャラリは、イランがロシアと防衛協定を結んでいなかったとしている。マスード・ペゼシュキアン大統領は1月17日にモスクワを訪問した際、ロシアと包括的戦略的パートナーシップ協定を結んでいるのだが、防衛協定ではない。イランはロシアと友好的な関係を築きつつあるが、そのブロックには参加しないという立場だ。

 

防衛分野ではロシアと一線を画しているイランだが、核開発の分野では関係を深めている。ウラジミル・プーチン露大統領によると、ロシアはブシェールに原子炉を建設し、さらに2基の建設契約を締結したが、ロシア人スタッフを避難させる予定はないという。もしイスラエルやアメリカがロシア人の命を危険にさらすならば、事態はエスカレートすることになる。

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のテーマは「 イスラエル政府を助けるため、米政府はイランの核施設にバンカー・バスター 」(2025.06.22ML)
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