
【櫻井ジャーナル】2025.06.26XML:対立が話題になったトランプ大統領とマスクの背後にはイスラエルの情報機関
国際政治イーロン・マスクは6月5日、ドナルド・トランプ大統領が「エプスタイン・ファイル」に載っていると書き込んだ。それがファイルの全面公開を妨げているというのだ。トランプを攻撃する材料としてこの問題を持ち出してきたわけだ。トランプとジェフリー・エプスタインが親しくしていたことは知られている話だが、その内容次第では大きな問題になる。
エプスタインは未成年の男女を有力者に提供する一方、そうした関係を秘密裏に記録して有力者を脅して操っていたとされている人物で、彼の背後にはイスラエルの情報機関が存在する。一般的にモサドがその情報機関だとされているが、軍の情報機関AMANの可能性が高い。250人以上の未成年女性に対する性犯罪で2019年7月6日に彼は逮捕されたのだが、翌月の10日にニューヨーク市のメトロポリタン矯正センターで死亡した。エプスタインが収集したような情報は世界の要人、例えばアメリカ大統領を操るために使われる。
2008年6月にもエプスタインは同様の容疑で起訴され、懲役18カ月の判決を受けているが、このときは刑務所に収監されていない。検察の姿勢が異様に甘いと批判されたが、その時に地方検事として事件を担当したのは2017年4月から19年7月まで労働長官を務めたアレキサンダー・アコスタ。エプスタインの事件が発覚し、辞任を余儀なくされたということだ。アコスタによると、上司からエプスタインは「情報機関に所属している」ので放っておけと言われたとしている。
イスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたこともあるアリ・ベンメナシェによると、エプスタインだけでなく彼と内縁関係にあったギスレイン・マクスウェル、そして彼女の父親であるミラー・グループのロバート・マクスウェルはいずれもアマンに所属していた。アリ・ベンメナシェはエプスタインもギスレインも1980年代の後半からイスラエル軍の情報機関に所属してたとしている。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)
イスラエル軍の情報機関AMANの局長を務めた後に参謀総長に就任し、1999年7月から2001年5月まで首相を務めたエフード・バラクは03年にエプスタインと始めて会った。2013年から17年にかけては約30回にわたってエプスタインを訪問、エプスタインのジェット機にも搭乗した。
バラクによると、彼をエプスタインに引き合わせたのはイスラエル労働党の政治家で首相にもなったシモン・ペレス。その兄弟であるギデオン・ペルスキーが創設したスイス・イスラエル銀行から融資を受けていたブルース・ラッパポートはウイリアム・ケイシーの友人で、ミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルを介してロシア暗黒街におけるボスの中のボス、セミオン・モギレビッチと結びついていた。ロシアの犯罪組織は事実上、イスラエル・マフィアだ。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022)
バラクが重役を務めていたカービンは決済サービス企業のペイパルを創業したピーター・ティールらが創設した緊急通報システムの会社で、イスラエルの電子情報機関8200部隊と関係が深い。重役の大半はその部隊の「元将校」が大半を占めるのだ。エプスタインはカービンの主要な資金源のひとりだった。トランプ以上にマスクはエプスタインと関係が深いと言えるかもしれない。(Gidi Weitz, “Revealed: Jeffrey Epstein Entered Partnership Worth Millions With Ehud Barak in 2015,” Haaretz, July 11, 2019 / “Jeffrey Epstein was Ehud Barak’s business partner as late as 2015,” Times of Israel, 11 July 2019など)
8200部隊は米英の電子情報機関、つまりNSAやGCHQと連携して情報を収集、分析、シリコンバレーの大企業、グーグル、マイクロソフト、フェイスブックなどと結びつき、グーグルとはシステムを共同で開発している。こうしたハイテク企業はトランプのスポンサーだ。
アメリカ、イギリス、イスラエルが電子情報機関を設置、「民間企業」と連携して通信情報を集める目的は、言うまでもなく、世界の人びとを監視することにある。その主要ターゲットには各国の政治家、官僚、大企業経営者、国際機関の幹部、学者、ジャーナリスト、活動家なども含まれている。
ところで、エプスタインは私立大学のクーパー・ユニオンとニューヨーク大学をともに中退しているのだが、有名人の子弟が通う予科学校のドルトン・スクールに教師として1974年に雇われている。雇ったのは校長だったドナルド・バー、つまり第1期のトランプ政権で司法長官を務めたウィリアム・バーの父親だ。ちなみにウィリアムはCIA出身、ドナルドはCIAの前身である戦時情報機関OSSに所属していた。
その学校に通っていた生徒の父親のひとりがベア・スターンズのCEOだったアラン・グリーンバーグ。その縁でエプスタインは1976年に同社へ入り、そこで顧客だった酒造メーカー、シーグラムのエドガー・ブロンフマンと知り合った。エドガー・ブロンフマンの父親、サミュエル・ブロンフマンは密造酒で財をなした人物として知られている。サミュエルの同業者で親しくしていたひとりがルイス・ローゼンスティール。その妻だったスーザン・カウフマンによると、ルイスはユダヤ系マフィアの大物、メイヤー・ランスキーと親しく、CIAとも緊密な関係にあった。ローゼンスティールは1922年、フランスのリビエラに滞在していた際、ウィンストン・チャーチルから、アメリカで酒を合法的に販売できるようになるので準備をするようにとアドバイスされたという。
このローゼンスティールと親子のような関係だったと言われているロイ・コーンは大学を出て間もない頃、性的スキャンダルによる恐喝を生業としている暗黒街の一味の下で働いていたとも言われているが、その後、弁護士として「赤狩り」のジョセフ・マッカーシーの法律顧問になった。その一方、彼はニューヨークの犯罪組織、ガンビーノ・ファミリーのメンバー何人かの法律顧問にもなっている。そのひとりがジョン・ゴッチ。カトリックのフランシス・スペルマン枢機卿とも親しくしていたが、この「聖職者」はCIAと教皇庁を結ぶ重要人物だった。死の直前にはドナルド・トランプの顧問も務めている。
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※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
のテーマは「対立が話題になったトランプ大統領とマスクの背後にはイスラエルの情報機関 」(2025.06.26ML)
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