
【櫻井ジャーナル】2025.06.27XML:米国やイスラエルによるイランの核濃縮工場空爆にIAEA事務局長が協力した疑い
国際政治ドナルド・トランプ米大統領は自国軍にイランのフォルドにあるウラン濃縮工場を空爆させた。B-2戦略爆撃機7機、偵察機、空中給油機、戦闘機などを含む125機以上の航空機を投入、6発のバンカー・バスター(大型地中貫通爆弾)GBU-57を使ったと言われているが、予想通り、構造物を破壊することはできなかったようだ。勿論、アメリカ側もそうしたことを認識、地下施設へ続く入り口や通路を破壊、出入りできなくしようと計画したとされている。
その計画通りになったかどうかは現地を調べなければわからない。そこで登場するのがIAEA(国際原子力機関)のラファエル・グロッシー事務局長。アメリカによる攻撃後、グロッシーはイランが核活動を兵器化に転用したことを示す証拠はないと発言しているが、この事務局長はイスラエルの情報機関が2018年に発表した報告書に基づいて調査を開始、IAEA理事会がイスラエルと米国に望む戦争の口実を与える決議を可決するよう仕向けた。
イランと核兵器を結びつける根拠とされたのは施設で濃縮ウランが発見されたことだとされている。イスラエルの諜報機関モサドやそのイラン協力者であるモジャヘディネ・ハルク(MEK)などが置いたとする反論にIAEAは公に説明していない。
ちなみに、イスラエルは2006年にレバノン南部を攻撃したが、キアムとアトティリで着弾地点でクリス・バスビー博士は濃縮ウランを発見している。新タイプの核分裂装置/兵器、あるいは濃縮ウランを使用した爆弾をイスラエルは使ったのではないかと疑われたが、大きな問題にはされなかった。
IAEA理事会は6月12日、トランプ大統領がイランに突きつけた60日間の猶予期間が終わる日に会議を開き、イランがIAEA加盟国としての義務を遵守していないとする決議を賛成19カ国、反対3カ国、棄権11カ国、無投票2カ国で可決、アメリカがイランを空爆する口実を与えた。アメリカは6月10日に理事会メンバー8カ国と連絡を取り、決議案が可決されるように交錯していたと伝えられている。採択中、イスラエル軍は攻撃の準備をしていたわけだ。アメリカとイスラエルの政治家はイラクを2003年に先制攻撃するときと同様、イランが核兵器を製造する寸前だと叫び始めた。
アメリカ主導軍がイラクを先制攻撃した当時のIAEA事務局長、モハメド・エルバラダイはイラクが核兵器を開発しているという証拠は見つかっていないと安全保障理事会に繰り返し報告、ネオコンがたてた侵略計画の障害になっていた。そこでアメリカのエリートたちは自分たちに従順な人物を事務局長に据える。それが天野之弥、そしてグロッシーにほかならない。IAEAがイランの核科学者に関する情報をイスラエルへ漏らし、暗殺につながったという疑惑がある。
イラン議会はアメリカによる攻撃の後、核施設の安全が保証されない限り、IAEAとの協力を停止することを決議したが、エルバラダイは今回の空爆を受け、2025年6月17日に「交渉ではなく武力に頼ることは、NPTと核不拡散体制(不完全ではあるものの)を確実に破壊する道であり、多くの国々に『究極の安全保障』は核兵器開発であるという明確なメッセージを送ることになる」と書き込んだ。
また、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はIAEAがイランに対して核施設への即時アクセスを認めるよう強く求めていることに対し、その情報が漏洩しないという保証はないと主張、イランがIAEAへの協力を停止することを理解するとしている。
イランのアッバス・アラグチ外相は核開発に関する交渉について、それは攻撃計画を隠すことが目的だったのであり、アメリカを信頼することはできなくなったとジュネーブで発言している。イランのマスード・ペゼシュキヤン政権は新欧米派だが、その政権からそうした発言が出てくるようになった。ただ、政権内にはまだ欧米に従属したがっている勢力がいるようだ。その中にペゼシュキヤンが含まれている可能性も否定できない。
イスラエルはアメリカと手を組んでイランを空爆したが、彼らはガザをはじめパレスチナで住民を大量虐殺、そうした行為を西側の「民主主義国家」は容認してきた。
その現実をドイツのフリードリヒ・メルツ首相はG7サミットが開催されたカナダで正直に語っている。イスラエルの行動は欧米諸国のために「汚れ仕事」を行なっているのだと主張、自分たちは感謝しなければならないというのだ。イラク、リビア、シリアなどにおけるアル・カイダ系武装集団やウクライナにおけるネオ・ナチもイスラエルと同様、欧米諸国のために「汚れ仕事」を行なっている。「自由」や「民主主義」という看板を掲げながら帝国主義を推進する仕掛けだとも言える。
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※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
のテーマは「米国やイスラエルによるイランの核濃縮工場空爆にIAEA事務局長が協力した疑い 」(2025.06.27ML)
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