
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年6月28日 (土) 西田昌司議員への落選運動
社会・経済北陸新幹線の小浜ルート延伸計画について京都仏教会が
「千年の愚行」
だとして撤回を求める街頭署名活動が行った。
同会常務理事で聖護院の宮城泰年門主は
「山や谷や川、千年の自然が作り上げてきたものを壊すのは千年の愚行。
子や孫の代にツケを残してはならない。
90を超えた私に残っている時間を有効に、多くのみなさんに伝えていきたい」
と語る。
宮城門主は93歳。
精力的に運動を展開する。
計画では新幹線ルートが京都府の小浜市から南下して京都市の地下40メートル以上の深さを通過する。
京都の約1千ヵ寺が加盟する京都仏教会は京都市内の大深度地下にトンネルを建設する現行計画について、地下水の水位低下や汚染を懸念している。
「豊かな地下水に育まれた食文化や世界遺産を含む数多くの国宝や重要文化財を擁する京都を台無しにし、『京都が京都でなくなる』計画」
だとして、白紙撤回を求める署名活動を2月から続けている。
極めて正当な主張。
北陸新幹線は現在、敦賀まで開通しているが敦賀以西についてはルートが定まらず、着工されていない。
小浜ルート以外に米原ルート、琵琶湖西岸ルートが候補として挙げられてきた。
北陸新幹線敦賀延伸ルート選定は京都市議会が地下トンネルに反対する決議を可決したことで新次元に移行。
京都市が地下トンネルを受け入れなければ小浜ルートは実現不可能。
大深度法は地権者の同意なしに地下40メートル以深の地下に構築物を建造することを認める法律だが違憲立法の疑いが強い。
地下40メートルに巨大トンネルを掘れば地上に影響が出ることは容易に想定できる。
実際にさまざまな負の影響が生じる事例が多数発生している。
東京都調布市では地上の土地が陥没した。
地下にトンネルを掘ることにより、地上の地下水に重大な影響が生じる事例も報告されている。
京都市が大深度地下トンネル建造を懸念するのは当然のこと。
問題はそれだけでない。
小浜ルートはけた違いに多くの費用と長い建設期間をもたらす。
また、トンネルを掘削する際に発生する残土の処理方法も定まらない。
京都府選出の参議院議員である西田昌司氏が小浜ルートを強引に主張しているが、情勢は激変しており、小浜ルートは最終的に断念されることになると考えられる。
京都府民は小浜ルートを強引に主張している西田氏を参院選で落選させることに注力すべきである。
小浜市の振興を願い、求める人々が存在することは理解できる。
しかし、新幹線建設は国家事業であり、国家100年の計に基づいて判断されるべきもの。
京都の歴史に鑑みれば、1000年、2000年の歴史に思いを馳せて熟慮すべき問題だ。
日本の人口が年間100万人減る時代に移行した。
1年に47都道府県が一つずつ消えてゆく時代。
社会保障支出が増大して財政のやりくりにも工夫が必要になっている。
不要不急の投資を見直すべきことは当然だ。
敦賀-米原ルート
敦賀-湖西線-京都ルートを選択することが現実的。
障害になるのはJR各社の企業エゴ。
国鉄民営化はJRのための民営化ではなかった。
国民のための民営化であったはず。
JR東海のエゴを抑止する政府のリーダーシップが必要だ。
国家の見地から小浜ルートを断念して米原延伸を決定するべき局面が到来している。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050