
植草一秀【連載】知られざる真実/2025年7月 2日 (水) しょぼい減税を-ぶっ壊す!
社会・経済参院選が公示される。
7月3日公示、20日投開票の長丁場になる。
炎天下の選挙戦で体力も必要。
最大争点は消費税減税。
消費税減税には二つある。
本格減税とまやかし減税。
この問題に全面的な関与を示す機関が存在する。
財務省。
財務省の至上命題は本格減税阻止。
財務省は消費税率引き下げだけは絶対に阻止する構え。
各種情報統制を強めている。
2024年度一般会計税収が75.2兆円に上振れする。
24年度は2.3兆円定額減税が実施されており、これを含めると税収規模は77.5兆円。
20年度の税収は60.8兆円だった。
20年度からの自然増収は17.3兆円に達する。
自然増収の4年累計は30兆円をはるかに超える。
この自然増収は政府お墨付きの〈財源〉になる。
自民党の森山裕幹事長が正式に認めた。
自民党が提示している現金給付の〈財源〉に自然増収を充てると明言した。
税収が激増している。
自然増収とは制度が変わっていないのに税収が増えること。
払う側からすれば税負担の増加だから〈増税〉と表現してよいものだ。
わずか4年間で1年間あたりの国税収入が17.3兆円も増えた。
これを打ち消す〈減税〉が求められる。
ぴったりの減税措置が〈消費税率5%への減税〉
税率を5%に引き下げると国地方合わせて15兆円減税になる。
国税だけで17兆円も1年あたりの税収が増えているから、これでも足りないくらい。
ところが、財務省は絶対阻止が至上命題。
自公が提示しているのは現金給付。
選挙に際しての現金給付は選挙買収そのもの。
現ナマが手にできるから一部で人気はある。
財務省は大歓迎。
消費税減税と現金給付。
何が違うか。
最大の相違は現金給付が1回限りであるのに対し、消費税減税は恒久措置であること。
財政負担にけた違いの差が生じる。
消費税減税を提案している政党のなかに〈時限的減税〉を掲げる党がある。
1回限りの現金給付と同じ。
時限的減税は減税を実施する期間だけ財政負担が生じるが、期間が過ぎれば財政負担は消える。
2024年度の定額減税も1年限りの時限措置。
財務省は大歓迎。
しかし、自然増収で税収が17兆円増えたら、これは根雪として残る。
17兆円の税負担増加が続くのだ。
したがって、自然増収が発生し、自然増収を財源として減税を行う場合には恒久減税でなければ税負担増=増税を解消することにならない。
20年度と24年度の税収を比較して17兆円税負担が増えたと表記したが、4年間の累計で税収が17兆円増えたということではない。
23年度の税収は20年度より11.3兆円多い。
22年度も21年度も20年度より税収が多い。
総合計では40兆円近い税収増=増税が行われてきたということ。
このときに、1回ぽっきりの減税では負担増=増税の解消にまったくならない。
消費税率を時限措置でなく5%に下げる。
これをまずは確実に実施する。
財務省は大キャンペーンを展開するが、これに打ち勝たねばならない。
時限措置でない消費税減税を信用できる公約として提示する政党に投票することが最重要。
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植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050