
【櫻井ジャーナル】2025.07.03XML:イスラエルのイラン攻撃に協力した疑いがあるIAEAに英情報機関の工作員が潜入
国際政治イスラエル軍は6月13日にイランを攻撃した。アメリカ軍と連携していた可能性は高い。攻撃の口実として、IAEA(国際原子力機関)の報告書が利用されたことは否定できない。報告書の作成を主導したのは同機関のラファエル・グロッシ事務局長だ。
報告書の中にIAEAへ「申告されていない核物質を用いて秘密裏に核活動を行っていた」とする記述があり、それを根拠にして、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツは理事会に対し、イランが核不拡散義務に違反していると宣言するよう働きかけた。6月12日、ドナルド・トランプ米大統領がイランに突きつけた60日間の猶予期間が終わる日に行われた採決では賛成19カ国、反対3カ国、棄権11カ国、無投票2カ国で可決された。
決議の翌日に攻撃、数百人の民間人のほか、少なからぬ軍の幹部、そして核科学者9名が殺されている。科学者の名前をはじめとする極秘の個人情報がIAEAからイスラエルへ伝えられていた疑いがある。
グロッシ事務局長は6月17日、CNNのクリスチャン・アマンプール記者に対し、イランが核兵器開発に向け、組織的に取り組んでいたことを示す証拠はないと語っている。核兵器を開発している証拠はないことを承知の上でグロッシは核兵器の開発を匂わせる報告書を出したわけで、責任を問われるのは当然である。
イランの核開発を監視するIAEAのシステムで中核を担っているのはパランティア・テクノロジーズ。その報告書は同社のAI(人工知能)によって作成されたという。
パランティアは2003年、CIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された。この年にジョージ・W・ブッシュ政権はアメリカ主導軍にイラクを先制攻撃させたが、そのイラク、そしてアフガニスタンにおける軍事作戦にパランティアは加わっている。また同社はイスラエルの情報機関とも関係が深く、共同創設者のひとりで現在会長を務めているピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領は彼の弟子的な存在だ。
IAEAの内部にアメリカやイギリスの情報機関員が潜入していると以前から疑われていたが、そうしたことを裏付ける機密文書が出てきた。インターネットメディアのグレイゾーンが入手した文書によると、潜入していたのはイギリスの対外情報機関MI6のニコラス・ラングマン。
この情報機関員は1997年8月31日にダイアナ妃がパリで交通事故で死亡する数週間前、パリに入り、ダイアナ妃の死はイギリスの情報機関によるものだという世論の憶測を逸らすための情報作戦を行ったとされ、2005年にはアテネでパキスタン人28人を拉致・拷問した罪でギリシャ当局から告発されている。
そして2006年から08年にかけて彼はイギリス外務省のイラン局長を務め、イラン政府の核開発計画に対する「理解を深める」ためのチームを率いていたとされている。
2010年から西側はイランに対して厳しい「制裁措置」を開始、イスラエルはイランの核科学者に対する強力な秘密作戦を強化するが、この時期、ラングマンはイギリス外務省の核拡散防止センターに勤務していた。
この年の6月に国連安全保障理事会は決議1929を採択し、イラン革命防衛隊の資産を凍結し、海外の金融機関によるテヘランへの事務所開設を禁止。その1か月後、バラク・オバマ政権は包括的イラン制裁説明責任投資撤退法案を採択、2012年3月にEUはイランの銀行をSWIFT国際銀行ネットワークから排除することを全会一致で決定した。オバマ政権は2015年7月に包括的共同行動計画(JCPOA)を締結、その条項に基づき、イランは制裁解除と引き換えに核研究活動を制限することに同意している。
イスラエルがイランを攻撃する直前、イランの当局者はイスラエルの機密文書を押収したと発表、その中にはイスラエル占領下のプロジェクトと核施設に関する数千点の文書が含まれ、イラン側によると、グロッシ事務局長とイスラエルとの連携を示す情報が存在することも判明したという。
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