
【櫻井ジャーナル】2025.07.04XML:米政権の対ロシア戦争で第2のウクライナになりつつあるアゼルバイジャン
国際政治ウクライナでの敗北が決定的になっているアメリカ/NATOだが、対ロシア戦争を進めるため、必死にジョージア、モルドバ、ルーマニアを押さえ込もうと画策、コーカサスではアゼルバイジャンを配下に置いている。ただ、中東ではシリアに親イスラエル(アル・カイダ)体制を樹立したものの、イランの体制転覆には失敗した。ジョージアやルーマニアの選挙を操作するため、西側の支配層は国外からの投票システムを利用している。
NATOは1年以上前からルーマニア南東部にヨーロッパ最大の軍事基地の建設を開始、黒海沿岸におけるNATOの拠点である第57空軍基地を拡張している。拡張工事は2030年までに完了する予定だとされ、その敷地には最大1万人のNATO軍兵士とその家族を収容でき、学校、幼稚園、病院などの支援施設も備えられるという。
アゼルバイジャンはすでにNATOやイスラエルの攻撃拠点で、6月1日に実行されたウクライナのSBUによるロシアの戦略核基地に対する攻撃、あるいは6月13日からイスラエルが始めたイランに対する攻撃でも使われたと言われ、イラン北部でイスラエル軍の燃料タンクが発見されたとの報道もあった。またイスラエルにとってアゼルバイジャンは兵站や情報収集の拠点でもある。
イスラエルとアゼルバイジャンの関係は経済面でも強い。イスラエルの石油輸入の半分以上はアゼルバイジャンから来ているのだ。その一方でアゼルバイジャンはイスラエルからドローン、監視機器、情報支援を入手している。
ウクライナとイラン、いずれもドローンやミサイルをターゲット国へ持ち込み、発射している。手口が似ているのだ。そうした兵器を持ち込み、工作をサポートするネットワーク、衛星などからの情報など、いずれの攻撃ともCIAやMI6のような組織の支援がなければ不可能。作戦本部はアメリカかイギリスにあるのだろう。両国にとってアゼルバイジャンは最前線の基地だ。
そうした中、ロシアでアゼルバイジャン系犯罪組織の摘発が強化されている。ソ連消滅後、ボリス・エリツィン時代のロシアでは国民の資産が不正な手段で国外の強大な私的権力に奪われ、その手先として活動していた一部のロシア人も巨万の富を築き、「オリガルヒ」と呼ばれるようになったのだが、そのオリガルヒは犯罪組織を後ろ盾にしていた。
イスラエル軍の情報機関AMANの局長を務めた後に参謀総長に就任し、1999年7月から2001年5月まで首相を務めたエフード・バラクによると、ウイリアム・ケイシー元CIA長官の友人であるブルース・ラッパポートはロバート・マクスウェルを介し、ロシア暗黒街におけるボスの中のボスと言われたセミオン・モギレビッチと結びついていた。CIAは工作の手先として、犯罪組織やカルトをしばしば使う。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022)
アゼルバイジャン系の犯罪組織もアゼルバイジャン系の実業家と結びつき、その背後に西側の情報機関が存在している可能性がある。ロシアの内務省やFSB(連邦保安局)が犯罪組織を国家安全保障上の問題だと認識しても不思議ではない。この推測が正しいなら、アゼルバイジャン政府がロシア政府が行っている摘発に反発しても不思議ではない。
アゼルバイジャンはトルコとも関係が深く、間にあるアルメニアも反ロシア勢力に組み込まれようとしている。このルートを使い、中央アジアの資源をヨーロッパへ運ぶという計画もあるのだろう。ロシアと敵対する道を選び、苦境に陥ったEUとしては、この計画を実現させられれば苦境から脱することができると考えているだろうが、中央アジアを思い通りにできるかどうかという大きな問題がある。
ソ連が1991年12月に消滅した後、ジョージ・H・W・ブッシュ政権はアゼルバイジャンのバクー(B)、ジョージアのトビリシ(T)、トルコのジェイハン(C)を結ぶBTCパイプラインを計画したが、構想は似ている。BTCパイプラインをの発案したのはロンドンに本社がある巨大石油企業のBPだった。
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