
7月6日のウクライナ情報
国際7月6日のウクライナ情報
安斎育郎
❶ロシア海軍副司令官、クルスク州でのウクライナとの戦闘で死亡(CNN、2025年7月4日)
(CNN) ロシア国防省は3日、ロシア海軍副司令官ミハイル・グドコフ少将が南西部クルスク州での戦闘で死亡したと発表した。ウクライナ側の発表は現時点で出されていない。
グドコフ氏は、3年前に開始されたウクライナへの本格侵攻以降に死亡したロシア幹部として最高位のひとり。
グドコフ氏は3月、ロシアのプーチン大統領から同国海軍の沿岸・地上軍副司令官に任命された。
ウクライナ軍は以前、グドコフ氏と同氏が所属していた第155旅団の他の兵員らがウクライナで戦争犯罪を行ったとして非難していた。開戦初期にブチャ、イルピンなどの各都市で民間人を殺害するなどしていたという。
これとは別にウクライナ国家国境庁は、第155旅団がウクライナ人捕虜の処刑に関与したと発表した。
ウクライナや国際調査機関が収集した証拠があるにもかかわらず、ロシアはウクライナでの戦争犯罪への関与を一貫して否定している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6c23d14c9db10ea791333ba0118a037d6bf8596b/images/000
❷ルハンスク市の親ロ派前トップ爆殺 ウクライナ関与か(2025年7月4日)
ロシア侵攻下のウクライナ東部ルハンスクで3日、同市の親ロ派トップだったマノリス・ピラボフ氏が爆殺された。
プーチン政権が軍事介入を始めた2014年から23年まで、親ロシア派武装勢力が「市長」に任命していた。ウクライナのメディアによると、同国保安局(SBU)が暗殺に関わったという。
ロシア国営タス通信は、女が「自爆テロ」を実行したとの捜査関係者の見方を伝えた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ecbf5a966b7cfe37d9e9548507cc3b40bc4a7401/images/000
❸ トランプ氏「プーチン氏とウクライナ戦議論…何の進展もなく不満足」(2025年7月4日)
米国のドナルド・トランプ大統領は3日(現地時間)、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談を行ったが、ウクライナ戦争停戦に関連して「何の進展も成し遂げられなかった」と明らかにした。
この日、トランプ氏はワシントンDC近郊のアンドルーズ空軍基地合同基地で記者団に対して「かなり長い通話だった」と話した。
トランプ氏は「我々はイランを含めて多くのことについて話し合った。そして知ってのとおりウクライナ戦争に関しても話をした」とし「私はその(ウクライナ戦争)部分については不満足だ」とした。
トランプ氏は国防総省がウクライナに対する武器船積みをなぜ中断したのかという質問には「我々は武器を提供しているが、これまでにあまりにも多くの武器を与えすぎた」と話した。
続いて「我々はウクライナと協力し、彼らを助けようとしている」とし「バイデン(前米国大統領)が彼らに武器を提供するために国全体を空っぽにした。我々自身のために(武器の蓄えが)充分なのか確認しなければならない」と明らかにした。
トランプ氏はスティーブ・ウィトコフ中東担当特使が来週イランと高官会談を開催する計画という報道に関しては「見守ろう」と話した。あわせて「イランは(我々と)話をしたがっていて、イランは私と話をしたがっていると思う。そしてイランがそうする時が来た」と付け加えた。
また「私たちはイランにけがをさせようとするのではなく、イランが再び国になるようにしたい」とし「私はイランが会いたがっているのを知っていて、必要なら私がすると思うが、スティーブが深く介入していて素晴らしい仕事をしている」と話した。
トランプ氏は今もガザ地区を所有したいと思っているかという質問に「私はガザの住民たちが安全になるよう望む」と答えるにとどまった。
一方、トランプ大統領は米国の独立記念日であるこの日午後、自身の力点法案「1つの大きく美しい法案」の署名式を行う。
「法案が『ロケット船』のように米国経済を浮揚させるだろう」としながら「歴代署名した法案のうち最も大きい」と期待した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/73bfd8a4cf4327b85d5447efd1ad132419616973/images/000
❹ウクライナ、防空能力低下の懸念高まる 米兵器供給一部停止に危機感(毎日新聞、2025年7月4日)
米国によるウクライナへの一部兵器の供給停止で、ロシアと戦うウクライナの防空能力が低下し、現地の軍や民間人の被害が拡大する懸念が高まっている。
7月から欧州連合(EU)欧州理事会の議長国となったデンマークのフレデリクセン首相は3日の記者会見で、「ウクライナへの兵器の供給を停止するという米国の決定は、ウクライナ、欧州、そして北大西洋条約機構(NATO)にとって深刻な打撃となる」と懸念を表明した。
米国防総省は2日、ウクライナへの一部兵器の供給を一時停止し、優先事項の検証作業を進めていると明らかにした。米政治メディア「ポリティコ」などの報道によると、供給が停止されたのは、防空システム「パトリオット」用のミサイルや、精密誘導弾、F16戦闘機に搭載するミサイルなどの米国製兵器という。
ウクライナ軍にとって特に影響が大きいとみられるのが、露軍のミサイル攻撃などへの防御で威力を発揮しているパトリオットだ。
他国製の兵器での代替が難しく、米国からの供給が滞った場合、ウクライナは既にパトリオットが配備されている欧州各国に供給を要請しなければならない。だが、その場合には米国の承認が必要だ。
ウクライナ政府高官は3日、AP通信に「真の問題は、米国がウクライナ支援への消極姿勢をどこまで貫く意向なのかという点だ」と述べた。
F16搭載用ミサイルの不足も防空能力の低下に直結する。
ウクライナ空軍は6月29日、防衛任務中のF16の墜落とパイロットの死亡を発表した。このF16は搭載ミサイルの全てを使ってロシアのドローン7機を撃墜した後、残るドローンに接近して機銃攻撃していたという。
ロイター通信によると、ウクライナ軍高官は3日、今後、ミサイルが不足すれば同様のリスクの高い戦術を使わざるを得なくなると指摘した。
ウクライナ軍の防空能力が低下すると、露軍の標的となる地上のインフラ施設などの被害がさらに拡大し、民間人の犠牲者が増える可能性がある。【ブリュッセル宮川裕章】
https://news.yahoo.co.jp/articles/2dcb4fed150beb1216e2f0a147d2b3f3759689ad/images/000
❺プーチン大統領、トランプ大統領の嘆願を拒否 /ダニエル・デイビス中佐(2025年7月4日)
現在のロシア・ウクライナ紛争とその解決の可能性を詳細に分析した講演者は、以下の点を強調しています。
プーチン大統領はトランプ大統領との外交関係を維持し、戦後の米国との関係構築を期待していますが、譲れない譲れない一線は依然として堅持しています。ロシアは停戦や紛争の凍結には関心がなく、最終的な解決を望んでいます。
プーチン大統領が6月14日に発表した提案では、ウクライナが係争中の4つの州(ドネツク州、ルハンシク州、ザポリージャ州、ヘルソン州)すべてから撤退し、永世中立、非軍事化、そして「非ナチ化」を受け入れることに同意すれば、和平交渉は直ちに開始できるとされています。
協議にもかかわらず、ロシアは依然として軍事的に前進を続けており、スミ州やドニプロ州といったウクライナの他の州でも軍事作戦を展開している。そして、いずれの州からも撤退することに同意していない。交渉の遅延は、ウクライナにとって将来的にさらに厳しい条件を意味する可能性がある。
講演者は、ロシアは交渉か軍事力のいずれかによって目的を達成するだろうと警告し、必要であれば何年も戦争を継続できるだけの資源、政治的意思、そして国民の支持を有していると述べている。
トランプ大統領が紛争を迅速に(1日、100日など)解決すると約束したが、実現していない。米国はもはやウクライナを支えるための弾薬備蓄を持たず、ウクライナには効果的な抵抗を続けるための人員が不足している。
トランプ大統領は、武器、情報収集、訓練を含むすべての米国からの支援を撤回すべきだという提言がなされている。これは戦略としてではなく、ウクライナの死者を増やすだけの不確実な大義を支援し続けることは不道徳であるという理由からである。
西側諸国が協調して関与を断ち、ロシアの条件による和解交渉を受け入れることで、調和はともかく安定がもたらされる可能性はある。ウクライナにとってこの戦争は勝ち目のないものであり、西側諸国による支援の継続は避けられない事態を遅らせるだけだ。
この会話は、トランプ大統領とプーチン大統領の間の開かれた対話は建設的であり、両大統領がコミュニケーションのチャンネルを維持してきたことは評価に値する、そしてそれが紛争解決への道筋となる可能性がある、という結論で締めくくられた。
https://youtu.be/l5AOx5TxNiY
https://www.youtube.com/watch?v=l5AOx5TxNiY
❻ゼレンスキーのゲームオーバー? トランプの武器凍結、NATOの衝撃、プーチンが米大統領に語る(2025年7月4日)
ホワイトハウスは、パトリオット防空ミサイル、HIMARSロケット、スティンガーミサイル、155mm砲弾を含む、ウクライナへの主要な米国製兵器出荷の凍結を確認した。ウクライナがロシアのミサイル攻撃やドローン攻撃の激化に直面しているなかでの停止であるため、キエフでは警戒が高まっている。ウクライナ政府関係者は、停止は数カ月以内に防空と戦場での能力を著しく損なう可能性があると警告している。
https://youtu.be/O9I3-gvuatk
https://www.youtube.com/live/O9I3-gvuatk
❼おそらく最大3万人の北朝鮮兵士がウクライナでロシアと共に戦うことになるだろう!(2025年7月3日)
https://youtu.be/3xoTwXTRwjs
https://www.youtube.com/watch?v=3xoTwXTRwjs
❽10日に欧州首脳会合 ウクライナ支援で英仏共催(2025年7月5日)
【ロンドン時事】ロシアが侵攻するウクライナへの支援に関する欧州首脳会合が10日、英仏両政府の共催で開かれることが分かった。
仏大統領府筋が4日明らかにした。停戦後のウクライナの安全を保証する部隊の派遣計画などが主要議題となる見込み。
8~10日のマクロン仏大統領の英国国賓訪問に合わせた形で、ドイツのメルツ首相、イタリアのメローニ首相、ウクライナのゼレンスキー大統領らはオンラインで参加する予定。同筋によれば、ロシアに無条件停戦を受け入れさせるための圧力強化などを協議する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/88a83cfaaf60979acb236394610240c744d64ad4
❾ロシア軍がウクライナに過去最大550発の長距離攻撃を実施、撃墜したドローンから中国製部品を発見(2025年7月4日)
2025年7月4日のウクライナに対するロシア軍の長距離ドローン・ミサイル攻撃は合計550飛来(ドローン539機+ミサイル11発)、これは1日あたりではこの戦争における過去最大数となります。わずか5日前の6月29日(記事)に合計537飛来(ドローン477機+ミサイル60発)だったのを早くも更新しました。
ただし7月4日のロシア軍の長距離攻撃のほとんどを占めるドローン539機のうち、シャヘド136自爆無人機は330機以上と報告されており、約200機は安価な囮無人機ということになります。またミサイルの飛来数が更に減少しており、民生部品を多く流用できるので中国から部品調達しやすいドローンに頼る傾向が更に拡大しています。
そして今日の攻撃で回収されたシャヘド136自爆無人機の残骸から、実際に中国の会社名が刻印された部品が発見されています。
2025年7月4日迎撃戦闘:ウクライナ空軍司令部
キンジャール空中発射弾道ミサイル×1飛来0撃墜
イスカンデルM/KN-23弾道ミサイル×6飛来0撃墜
イスカンデルK巡航ミサイル×4飛来2撃墜
敵性無人機×539飛来476排除(268撃墜+208未到達)
ウクライナ空軍より2025年7月4日迎撃戦闘、550飛来478排除(270撃墜+208未到達)
※ドローン迎撃率は未到達を除いて計算すると81%であり低い数字ではないが、飛来数があまりに多いので63機も突破を出してしまっている。
※7月4日のロシア軍の攻撃はほとんどが首都キーウに集中したにもかかわらず、弾道ミサイルの7飛来を1発も撃墜できていない。
※ドローン539機のうち、シャヘド136自爆無人機は330機以上と報告。つまり約200機は囮無人機と推定される。
※打撃力換算では大まかに自爆無人機10機分が巡航ミサイル1発と同等の弾頭重量になる。つまり330機の自爆無人機は33機の巡航ミサイルと同等であり、7月4日の攻撃はミサイル換算で33+10発に相当すると考えると、実は過去のミサイル中心の大規模攻撃(一度に100発超えも珍しくなかった)の方が苛烈だったとも言える。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/4db9962428edde96816ccc9720745ad914f506b9
❿トランプ氏の発言注視とロシア報道官、電話会談「失望」発言で(ロイター、2025年7月4日)
[モスクワ 4日 ロイター] – ロシアのペスコフ大統領報道官は4日、トランプ米大統領が、3日のプーチン・ロシア大統領との電話会談に失望したと述べたことに関し、ロシアはトランプ氏の全ての発言を注意深くフォローしていると述べた。
プーチン氏との電話会談後、トランプ氏は、プーチン氏に戦争を終わらせようとする姿勢は見られなかったと述べた。
ペスコフ氏は、トランプ氏の発言について「われわれは当然ながら、トランプ大統領の全ての発言に細心の注意を払っている」と述べた。
ペスコフ氏によると、プーチン氏はトランプ氏に対し、ロシアはウクライナに関する目標を政治的・外交的手段で達成することを望むと述べたものの、「特別軍事作戦」は継続すると表明した。また、ウクライナとの3回目の和平交渉の日程に合意することを期待していると語ったという。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b5985ee4b84728fcc3328d184bd46c9cb4374eec/images/000
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1940年、東京生まれ。1944~49年、福島県で疎開生活。東大工学部原子力工学科第1期生。工学博士。東京大学医学部助手、東京医科大学客員助教授を経て、1986年、立命館大学経済学部教授、88年国際関係学部教授。1995年、同大学国際平和ミュージアム館長。2008年より、立命館大学国際平和ミュージアム・終身名誉館長。現在、立命館大学名誉教授。専門は放射線防護学、平和学。2011年、定年とともに、「安斎科学・平和事務所」(Anzai Science & Peace Office, ASAP)を立ち上げ、以来、2022年4月までに福島原発事故について99回の調査・相談・学習活動。International Network of Museums for Peace(平和のための博物館国相ネットワーク)のジェネラル・コ^ディ ネータを務めた後、現在は、名誉ジェネラル・コーディネータ。日本の「平和のための博物館市民ネットワーク」代表。日本平和学会・理事。ノーモアヒロシマ・ナガサキ記憶遺産を継承する会・副代表。2021年3月11日、福島県双葉郡浪江町の古刹・宝鏡寺境内に第30世住職・早川篤雄氏と連名で「原発悔恨・伝言の碑」を建立するとともに、隣接して、平和博物館「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」を開設。マジックを趣味とし、東大時代は奇術愛好会第3代会長。「国境なき手品師団」(Magicians without Borders)名誉会員。Japan Skeptics(超自然現象を科学的・批判的に究明する会)会長を務め、現在名誉会員。NHK『だます心だまされる心」(全8回)、『日曜美術館』(だまし絵)、日本テレビ『世界一受けたい授業』などに出演。2003年、ベトナム政府より「文化情報事業功労者記章」受章。2011年、「第22回久保医療文化賞」、韓国ノグンリ国際平和財団「第4回人権賞」、2013年、日本平和学会「第4回平和賞」、2021年、ウィーン・ユネスコ・クラブ「地球市民賞」などを受賞。著書は『人はなぜ騙されるのか』(朝日新聞)、『だます心だまされる心』(岩波書店)、『からだのなかの放射能』(合同出版)、『語りつごうヒロシマ・ナガサキ』(新日本出版、全5巻)など100数十点あるが、最近著に『核なき時代を生きる君たちへ━核不拡散条約50年と核兵器禁止条約』(2021年3月1日)、『私の反原発人生と「福島プロジェクト」の足跡』(2021年3月11日)、『戦争と科学者─知的探求心と非人道性の葛藤』(2022年4月1日、いずれも、かもがわ出版)など。