
【櫻井ジャーナル】2025.07.09XML:イスラエルがイランを奇襲攻撃する直前、未成年女性の性犯罪に関する出来事
国際政治ニューヨーク南部地区連邦検事のジェフリー・バーマンはニューヨークで記者会見を開き、故ジェフリー・エプスタインを性的人身売買と共謀の罪で起訴すると発表した。彼の恋人であるギレイン・マクスウェルは児童の性的人身売買および関連犯罪で20年の刑に服している。エプスタインは2019年8月10日にニューヨークのメトロポリタン矯正センターの独房で死亡している。
エプスタインは2019年8月9日午後10時40分頃に独房へ入れられたのだが、同房者はほかへ移され、その後に首を吊ったとされている。独房へ入れられてから意識不明の状態で発見された翌日午前6時30分頃まで撮影された独房の映像を詳しく調べたとされているが、2023年に発表された司法省とOIG(情報監視委員会)の報告書によると、エプスタインの収容ユニットで録画していたカメラは2台のみ。それらには多数の死角があり、少なくともほかに3人の受刑者がいたエプスタインの独房棟のカメラは録画していなかった。エプスタインが死亡する前日、収容所の職員はカメラの故障を認識していたことも明らかにされている。しかも問題の時間帯にスタッフは居眠りしていた。
裁判所の文書によると、エプスタインは数十人の未成年少女を性的に搾取/虐待することを可能にするネットワークを構築、維持したとされている。FBIはエプスタインが1000人以上の被害者に危害を加えたことを確認したとしているが、司法省とFBIは、これ以上の情報開示は適切ではなく、また正当化されないと判断したという。
FBIによる発表の前日、エプスタインに関する調査結果を詳述したメモをAxiosは入手したという。そのメモによると、犯罪を示す「顧客リスト」は発見されず、エプスタインが著名人を脅迫したという信頼できる証拠も見つからず、起訴されていない第三者に対する捜査の根拠となる証拠は発見されなかったとアメリカ司法省とFBIは判断している。
しかし、パム・ボンディ司法長官は2月、FOXニュースのスティーブ・ドゥーシーに対し、顧客リストは自分の机の上に置いてあり、精査中だと語っている。トラック一杯の証拠が彼女の事務所に届いたともしていた。
その顧客リストを何者かが紛失したとしても、数十人の未成年少女を性的に搾取し、虐待したこと証拠があるということは、延べ数十人の顧客を特定しているということであり、エプスタインたちが作成しいたリストがなくても、FBIは「顧客リスト」を作成しているのだろう。
エプスタインは2008年6月にも同様の容疑で起訴され、懲役18カ月の判決を受けているが、このときは刑務所に収監されていない。検察の姿勢が異様に甘いと批判されたが、その時に地方検事として事件を担当したのは2017年4月から19年7月まで労働長官を務めたアレキサンダー・アコスタ。エプスタインの事件が発覚し、辞任を余儀なくされたということだ。アコスタによると、上司からエプスタインは「情報機関に所属している」ので放っておけと言われたとしている。
この発言を裏付ける証言もある。エプスタインがイスラエル軍に所属する情報機関のメンバー、または協力者として世界の要人を脅迫していたというのだ。
1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、エプスタイン、ギレイン・マクスウェル、彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルはいずれもイスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。ロバートは1960年代から、エプスタインとギレインは1980年代の後半からその情報機関に所属してたとベンメナシェは語っている。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)
この人脈はアメリカの支配階級に深く浸透している。例えば、1953年から54年にかけてジョセフ・マッカーシー上院議員の法律顧問として「赤狩り」に参加、後にドナルド・トランプの顧問弁護士になるロイ・コーンもエプスタインと関係があり、コーン自身もスキャンダルを利用して有力者を脅していたと言われている。
コーンのボスだったルイス・ローゼンスティールは禁酒法時代に大儲けしたひとり。ローゼンスティールの妻だったスーザン・カウフマンによると、元夫はCIAの秘密工作にも協力していたユダヤ系ギャングの大物であるメイヤー・ランスキーと親しかった。
エプスタインの事件を明るみに出す上で重要な役割を果たしたひとりは被害者のバージニア・ジュフリーだが、時速110キロで走行していたバスと自分の自動車が衝突、腎不全に陥ったと3月31日にインスタグラムへ投稿した。
彼女の家族によると、警察に通報したものの、現場に駆けつける人がいないと言われたという。その後、容態が悪化したため病院に搬送されたとされている。彼女は退院した後、4月25日に西オーストラリア州の自宅で死亡した。「自殺」とされているが、父親は自殺説を否定している。
ジェフリーはフランスのモデル・スカウト、ジャン-リュック・ブルネルがエプスタインの人身売買に協力していたと告発している。1998年から2005年にかけての時期、ブルネルはエプスタインのプライベート・ジェットに25回搭乗した記録が残っている。ジェフリーは2015年の宣誓供述書の中で、エプスタインが「ブルネルの少女1000人以上と寝た」と自慢していたとも主張している。また、ブルネルは2008年にエプスタインが逮捕された際、拘置施設でエプスタインと70回以上面会した記録が残っている。そのブルネルは2020年12月、未成年者へのセクハラと性的犯罪の罪で起訴されたが、22年2月に独房内で「自殺」した。
消滅する直前のソ連には西側の権力階級と怪しげなビジネスを始める人がいた。そのひとりがミハイル・ホドルコフスキー。ジャーナリストのマイケル・グロスによると、ソ連時代に彼はコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者だったが、そのときにロシアの若い女性を西側の金持ちに売り飛ばしていた疑いがあるという。
ソ連時代の1989に彼はリチャード・ヒューズなる人物とロシアの若い女性を「モデル」としてニューヨークへ送るビジネスを始めたのだが、ソ連当局は怪しみ、出国ビザを出し渋る。そのときにホドルコフスキーのKGB人脈に助けられたとヒューズは語っている。(Michael Gross “From Russia with Sex”, New York, August 10, 19989
この年にホドルコフスキーは銀行設立のライセンスを取得、メナテプ銀行を設立した。違法送金やマネー-ロンダリングが目的だったとみられ、1995年にCIAはこの銀行を「世界で最も腐敗した銀行のひとつ」と表現しているが、この年、彼はユーコスを買収した。(The Village Voice, September 7, 1998)
ユーコスは西側の銀行から数億ドルの融資を受けていたが、それ以外に強大な投資会社カーライル・グループからも資金を得ていたことが知られている。この投資会社にはジェームズ・ベイカー元米国務長官をはじめ、フランク・カールッチ元米国防長官、ジョン・メジャー元英首相、ジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領などが幹部として名を連ねてきた。
イスラエルがイランを奇襲攻撃する10日前、6月3日に行われたクネセト(イスラエル議会)の特別合同委員会で数人の女性が、未成年時代に宗教儀式の一環として受けた性的虐待について証言した。虐待被害者のひとりであるヤエル・アリエルは5歳から15年近くまで儀式的な虐待を受け、他の子どもたちに危害を加えることを強要されたと語っている。彼女によると、警察に告訴状を提出したが、数カ月後に却下されてしまったという。彼女はまた、医師、教育者、警察官、そして現職および元クネセト議員が虐待の隠蔽に関与していたと主張する他の女性たちの証言も聞いたとも述べている。
6月上旬、未成年者に対する性犯罪をめぐる出来事が相次いだ。偶然だろうか?
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※なお、本稿は「櫻井ジャーナル」https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/
のテーマは「イスラエルがイランを奇襲攻撃する直前、未成年女性の性犯罪に関する出来事 」(2025.07.09ML)
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