【連載】植草一秀の「知られざる真実」

植草一秀【連載】知られざる真実/2025年7月 9日 (水) 自滅の刃無限ループ編の自民

植草一秀

自民党の鶴保庸介参議院議員が7月8日に和歌山市で開かれた参院選和歌山選挙区の自民党公認候補個人演説会で、2024年1月の能登半島地震について

「運のいいことに能登で地震があったでしょう」

と発言。

鶴保氏は、この発言に続けて

「能登で地震があった時に、地震の、上の方であったのは、あの、輪島とか、あの…たま…なんだっけ、上の方ね。能登半島の北の方。そういう地域で」

と述べた。

奥能登に「珠洲市」があるが、鶴保氏は珠洲市のことを

「あの…たま…なんだっけ、上の方ね。能登半島の北の方。そういう地域」

と述べたと見られる。

鶴保氏は現在、参議院予算委員長を務めている。

予算審議で能登半島地震関連問題は最重要焦点の一つ。

珠洲市について「たま…なんだっけ、上の方ね」という認識で被災地の支援、復興ができると思われない。

2017年4月25日、安倍晋三内閣の今村雅弘復興相は、都内で開かれた自民党二階派の政治資金パーティーで講演し、東日本大震災の被害について

「まだ東北で、あっちの方だったから良かった。首都圏に近かったりすると、莫大な、甚大な額になった」

と発言した。

今村復興相はその日のうちに辞意を表明。

安倍首相が今村復興相を事実上更迭したものである。

2008年9月14日には、愛知県名古屋駅前で行われた自民党総裁選の街頭演説で自民党幹事長の麻生太郎氏が、2名の死者を出した同年8月28日から29日未明にかけての同県岡崎市や安城市での記録的な集中豪雨について、

「あそこ(岡崎市)は140ミリ(1時間の雨量)だぜ。

これが、安城もしくは岡崎だったからいいけど、あれ、名古屋で同じ事が起きたらこの辺全部洪水よ」

と述べた。

岡崎市の石川優副市長と山本雅宏議長は連名で

「『岡崎だったらいいけど』との麻生氏の発言は、今も災害からの復興活動を続ける岡崎市と岡崎市民を深く傷つける発言」

と抗議。

安城市の神谷学市長も同様の指摘をした。

麻生太郎は岡崎市の抗議に応えて

「不用意な発言で、皆様方に不愉快な思いを抱かせたことに、お詫び申し上げます」

とのわび状を岡崎、安城両市に9月17日に送った。

自民党総裁選に影響が出ることを恐れての対応と見られる。

今回の鶴保氏発言が参院選に大きく影響するだろう。

石破自民党は窮地に追い込まれている。

選挙買収を目的に2万円給付金政策を提示したが目的が見え見えで批判が沸騰した。

106万円、130万円の壁を取り払い、パート労働者を社会保険に強制加入させる法律制定も強行。

「パート労働者が社会保険に加入しやすくなる制度改正」

ではなく

「パート労働者を無理やり社会保険に加入させる制度改正」

である。

強制加入で労働者の手取りは16万円ないし27万円も減少することになる。

内閣支持率は下落し、与党全体での参議院過半数確保にも黄信号が灯っている。

そこに突き刺さる鶴保失言。

「自滅の刃(やいば)、無限ループ編」

が演じられている。

今村復興相の事例を踏まえるまでもなく、鶴保議員の更迭は免れない。

遅れれば遅れるほど傷は深くなる。

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植草一秀 植草一秀

植草一秀(うえくさ かずひで) 1960年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒。大蔵事務官、京都大学助教授、米スタンフォード大学フーバー研究所客員フェロー、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役、ガーベラの風(オールジャパン平和と共生)運営委員。事実無根の冤罪事案による人物破壊工作にひるむことなく言論活動を継続。 経済金融情勢分析情報誌刊行業務の傍ら「誰もが笑顔で生きてゆける社会」を実現する『ガーベラ革命』を提唱。人気政治ブログ&メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」を発行。1998年日本経済新聞社アナリストランキング・エコノミスト部門1位。『現代日本経済政策論』(岩波書店、石橋湛山賞受賞)、『日本の独立』(飛鳥新社)、『アベノリスク』(講談社)、『国家はいつも嘘をつく』(祥伝社新書)、『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)、『低金利時代、低迷経済を打破する最強資金運用術』(コスミック出版)、『出る杭の世直し白書』(共著、ビジネス社)、『日本経済の黒い霧』(ビジネス社)、『千載一遇の金融大波乱』(ビジネス社、2023年1月刊)など著書多数。 スリーネーションズリサーチ株式会社 http://www.uekusa-tri.co.jp/index.html メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」 http://foomii.com/00050

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